八田達夫『ミクロ経済学 Expressway』(東洋経済新報社 (2013/4/4))
「貧困を嫌悪している政治的に極左の人々は、貧困を固定化する政策を支持
している。市場を尊重する自由放任主義の熱狂的な支持者たちは、市場の崩壊
を引き起こすシステムを提唱している。」
(八田ミクロExはしがきのことば、ジョン・マクミラン『市場を創る』より
書評:
総括原価方式の解説は珍しいし貴重だ☆。社会的厚生に関してもわかりやすい☆☆。最後の民主党政権への言及など経済学というより政治学寄りの部分もあるが、そこも成功している。電子書籍への対応などもアクチュアルだ。ただ一番興味深かったのは時事的なところではなく第4章の会計学の利益と経済学の利潤を比較した箇所だ(94頁@,96頁)。なおエッジュワースの箱などゲーム理論的な理論はもちろん、ゲーム理論は(直接的には)扱っていない。また、地域再投資法などの対案に切り込んでもいない。◾︎
5 3,4
12
↑八田達夫『ミクロ経済学expressway』より
(中央に政府13があると考えられる。市場の失敗(最適化の失敗)は11で12の手前)
『ミクロ経済学 Expressway』八田達夫著 392頁 C3033
発行日:2013年03月22日
3,024円(税込)
『ミクロ経済学I・II』(プログレッシブ経済学)を1冊に再構成。基本理論と現実の経済問題への考え方を学ぶことのできる入門書。
http://store.toyokeizai.net/books/9784492813027/プログレッシブ経済学シリーズの八田達夫著『ミクロ経済学Ⅰ』『ミクロ経済学Ⅱ』の2冊の幹の部分のみを1冊にまとめたもの。
単純に「章」を抜き出したのではなく、章ごとに再構成が行われ、大幅に加筆作業が行われた「最新要約版」となっています。
多量の図のすべてに「説明」が加えられ、それを追っていくだけでも復習が可能になりました。
ミクロ経済学の最重要な部分の展望を与えるとともに、独習書として読み終えた後では、さまざまな経済政策問題への対応策を自分自身で考えられるようになることができます。
本書の特色は、以下の点に要約されます。
第1に、加減乗除以外の数学を持ちいていない。
第2に、現実の日本の経済政策問題を数多く分析している。
第3に、需要曲線と供給曲線と余剰の概念を用いて分析を貫いている。
第4に、独学者が部分的に読んだ知識でも現実に活用することができる。
【主な内容】
はしがき
序章 市場と政府の役割分担
1章 経済の全体像
2章 需要と供給
3章 供給曲線
4章 生産者余剰、可変費用、帰属所得 @
5章 需要曲線の導出と総余剰 @@
6章 参入規制
7章 市場介入
8章 外部不経済
9章 規模の経済:独占 ☆
10章 外部経済と公共財
11章 道路と市場の失敗
12章 労働市場
13章 社会的厚生 ☆☆
14章 効率化原則
終章 政治家と官僚の役割分担
索引
内容(「BOOK」データベースより)
本書は、Expressway(高速道路)に乗ったように素早くミクロ経済学の最重要な部分の展望を与えるとともに、さまざまな経済政策問題への対応策を自分自身で考えられるようになることを目的としています。『ミクロ経済学1・2』(プログレッシブ経済学シリーズ)の主要トピックを1冊に再構成しなおすことにより、『ミクロ経済学1』で論じた効率性だけではなく、『ミクロ経済学2』で詳しく論じた所得再分配と効率化政策の兼ね合いの問題も分析することができる最新要約版。
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典拠元前身書籍:
http://booklive.jp/product/index/title_id/234534/vol_no/001
ミクロ経済学1,2 (プログレッシブ経済学シリーズ)2008,2009
本書は、経済学を初めて学ぶ人が、さまざまな経済政策問題への対応策を自分自身で考えられるようになることを目的としたミクロ経済学の入門テキストです。
上巻(I)では,市場と政府の役割分担を明らかにしたうえで、市場の失敗と政府の失敗への対策を論じました。
本巻(II)では、労働・土地・資本市場をくわしく分析し、それを土台に、格差是正政策と効率化政策との関連を明確にします。さらに、その視点から現在日本の経済政策を評価します。
○本書で扱う課題
【格差是正】 家計が得る所得(賃金,地代,家賃など)が市場でどのように決まるかを分析し,所得格差の原因を探り,格差是正策を論じます。
【効率化】 まず,労働・土地・資本市場の余剰分析を行います。つぎに,社会的機会費用の概念を用いて,独占や外部不経済などの非効率を示します。さらに厚生経済学の基本定理を証明します。
【格差是正と効率化の両立】 格差是正政策が効率化政策と両立可能であることを示し,そのうえで,日本では効率化政策も格差是正政策も実行する余地がきわめて大きいことを示します。けでなく、経済学を独習したいと考えている社会人にも、大学で経済学を専攻するかどうか判断しようとしている高校生にも、役立つでしょう。
ミクロ経済学〈1〉市場の失敗と政府の失敗への対策 (プログレッシブ経済学シリーズ)2008/10
序章 市場と政府の役割分担
1章 市場
2章 供給
3章 余剰と参入規制
4章 市場介入
5章 弾力性・限界収入
6章 規模の経済:独占
7章 外部経済と不経済
8章 減産補助金と環境権
9章 情報の非対称性
10章 公共財
11章 権利の売買
ミクロ経済学〈2〉効率化と格差是正 (プログレッシブ経済学シリーズ)2009/8
12章 フローとストック
13章 労働
14章 生産要素の総量市場と帰属所得
15章 供給者による自家消費
16章 混雑
17章 長期と最長期
18章 生産と消費の基礎理論
19章 厚生経済学の基本定理
20章 社会的厚生
21章 効率化政策
22章 格差是正政策
終 章 効率化政策と格差是正政策の両立
こちらもkindle版が出た。
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ミクロ経済学Expressway2013/3
【主な内容】
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5 Comments:
マクロ経済学 | 有斐閣
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641053724
マクロ経済学
New Liberal Arts Selection
齊藤 誠 (一橋大学教授),岩本 康志 (東京大学教授),太田 聰一 (慶應義塾大学教授),柴田 章久 (京都大学教授)/著
2010年04月発行
A5判並製カバー付 , 742ページ
定価 4,212円(本体 3,900円)
ISBN 978-4-641-05372-4
Macroeconomics:Theory and Policy
経済理論 > マクロ経済学
基本書・体系書
○在庫あり
マクロ経済の理解に不可欠な経済統計と理論の両面から解説した,新しいスタンダード・テキスト。基本モデルからミクロ的基礎までを初学者向けに丁寧に解説。豊かさを実感できる国民経済を築き上げていくために必要となる,経済政策の考え方を身につける。
■教科書で取り扱われている統計データについて,アップデートされた図表(エクセル・ファイル)を以下のファイルからダウンロードすることができます。
また,日本経済の最新の動向に関する解説(コメント)も参照できます。
『New Liberal Arts Selection マクロ経済学』ウェッブ・データ付録(PDFファイル)
http://www.econ.hit-u.ac.jp/~makoto/NLS/NLAS_Macro_data_appendix_20120808.pdf
第1部 マクロ経済の計測
第1章 第1部のねらい:われわれはどのようにマクロ経済を理解するのであろうか?
第2章 国民経済計算の考え方・使い方
第3章 資金循環表と国際収支統計の作り方・見方
第4章 労働統計
第2部 マクロ経済学の基本モデル
第5章 第2部のねらい:マクロ経済モデルの基本的な考え方
第6章 閉鎖経済の短期モデルの展開
第7章 閉鎖経済の中期モデルの展開
第8章 開放経済のモデルの展開
第9章 労働市場の長期モデル
第10章 閉鎖経済の長期モデル:資本蓄積と技術進歩
第3部 経済政策とマクロ経済学
第11章 安定化政策
第12章 財政の長期的課題
第4部 マクロ経済モデルのミクロ的基礎づけ
第13章 第4部のねらい:なぜマクロ経済モデルにミクロ的基礎が必要なのか?
第14章 金融市場と貨幣市場:将来の経済が繁栄される“場”
第15章 消費と投資
第16章 マクロ経済と労働市場
第17章 新しいケインジアンのマクロ経済モデル
第18章 経済成長
数学付録
*訂正情報をアップロードしました。→詳細はこちらをご覧ください。
http://yuhikaku-nibu.txt-nifty.com/blog/2010/07/post-92b4.html
http://theyoungeconomist.blog115.fc2.com/blog-entry-128.html
経済学の定番教科書
教科書について何度かオススメを聞かれることがあったので、個人的に読んでよかったものや面白かったもの、使って役立ったものをまとめておく。…
<目次>
1.ミクロ経済学(学部初級~大学院)
…
【学部初級】
いま世界で最も影響力(コラムを通した発言力?)のある経済学者のクルーグマン。彼の手によるミクロ入門書は間違いなくオススメできる一冊だ。彼のブログ/コラムと合わせと読むと面白さが増すだろう。ロングセラーのマンキューも定評がある。もちろん彼のブログも要チェックだ。
八田達夫『ミクロ経済学Ⅰ』は副題 <市場の失敗と政府の失敗への対策> の通り、数式よりも現実の経済政策に力点を置いた実践的な入門テキスト。日本の雇用環境や住宅問題等、身近な政策の背景にあるロジックが経済学で説明されていく。
その中でも、特にいま読む価値が高いのが第6章「規模の経済:独占」。日本の電力会社を題材に、独占の理由と弊害、その対策として(1)国有化、(2)料金規制、(3)企業分割(発電・送電分離、電力自由化)までが分析されている。東京電力および今後の電力業界再編を注視していく上でも抑えておきたい論点である。第Ⅱ巻は副題<効率化と格差是正>。
【学部中級】
奥野ミクロはトピックが新しく、かつ読みやすい。武隈ミクロは数学的記述に重きが置かれ、淡々と続いていく。好みは分かれるところだが、どちらも併用問題集が合わせて出版されており、問題を解いて習得するという使い方は変わらない。個人的にはすっきりとした構成とレイアウトの奥野ミクロが好きだ。もう少し幅広い内容を詳しく、という向きには、伝統とボリュームのある Varian の最新訳書を読み進めることをお勧めする。
【学部上級】
Varian がよいだろう。洋書にしてはコンパクトにまとまっており、記述も簡潔で読みやすく、個人的にも好きで読み込んだ一冊だ。同書の訳本もあるが、版が古くその上読みにくいので、原書に当たることを強くお勧めしたい。日本語のものを探すなら奥野・鈴村の『ミクロ経済学I・II』がよい。出版から年数は経っているものの、内容の充実ぶりは他に類書をみないものとなっている。
【大学院】
大学院テキストとなると、結局のところMWGしかない。他にも何冊か参照するものもあるが、あくまでもメインのMWGを補完するという形になるだろう。手強い相手だが、経済理論のエッセンスを吸収しようと思えばこれしかない。何度でも挑戦してその考え方を身に付けよう。1年目コースワークの秋学期と春学期の履修内容もご参考までに。
MWGの欠点は1995年の出版以来改定がなされていないということ。もし最新のテイストを感じたければ、2011年刊の "Advanced Microeconomic Theory" がその期待に応えてくれるだろう。
http://nam-students.blogspot.jp/2015/09/blog-post_4.html
上昇(インフレ)貨幣優勢→ 利 子 率 ←財優勢(デフレ)下降
輸入
財の需要 財・サービス 財の供給Oc
お金の流れ------➡︎D市場S⬅︎--------- 輸出 資本財Ok
|支出C 均衡点E_\/ 販売された財・| ___市場___
(=GDP) /\ サービス| 投資支出I\/ |
| -------⬅︎S D➡︎------- | | _/\_ |
| |購入された ⬇︎⬆︎ 収入|\|__| |S D| |
| |財・サービス 消費税|補助金 (=GDP) ⬆︎____| | |
| | |政府購入G 産出|\|____ ⬇︎ ⬆︎
| | ⬅︎生活保護-- || | | _ | | |
⬆︎ ⬇︎(⬅︎短期国債-➡︎)||(---助成金➡︎ ⬇︎ ⬆︎/ | |____| |
\ / ---所得税➡︎【政府】⬅︎保険・法人税)\ / |________|
【家\計】 公的貯蓄|⬆︎政府赤字 【企\業】 ________
/ \_⬅︎利子・貸付け ⬇︎|(----融資➡︎ / \ | ____ |
⬇︎ ⬆︎Sa預金・利息➡︎【銀行】⬅︎利息・取付け)⬆︎ ⬇︎\_| | | |
| | 金融 | |____| | |
| | 民間貯蓄Sa➡︎ 市場 ➡︎投資I⬆︎ |/|____ ⬆︎ ⬇︎
| |所得Y 生産へ| ⬇︎__ | 原料・| |
| (=GDP) 生産要素 の投入|/| | |中間財 | |
| -------⬅︎D市場S➡︎------- | | |_市場_| |
| E_\/均衡点 賃金・地代| | \/ |
|労働・土地・資本 /\ ・利潤(=GDP) |___/\___|
---------➡︎S D⬅︎--------- S D
労働の供給 労働の需要
http://home.hiroshima-u.ac.jp/masters/TSS-gakumon-sanpo/23-2-sano.pdf
佐野進策講演録より
(分配) (生産) (支出)
国内所得Y=国内生産(OC+OK)=国内支出(消費C+投資I(+政府支出G))【三面等価の原則】
ちなみに、サミュエルソン『経済学』(11ed)第3章では需要と供給の二本線の間に土地(下)・住宅(上)を入れた三本線を使って同種の図を描かれている。労働・土地・資本ということだ(茶・住宅・靴)。また、中心部において上から、何を、いかに、誰のためにが決定されるとサミュエルソンは説明する。量(+質)、様相、関係に対応するだろう。第32章の完成図では線が五本になっている。需給モデルも加えられ歴史的に上の図の原型と言える。西村和雄まんがDE、八田達夫ミクロexpなども踏襲している。需給モデルを上下に描いているのがわかりやすい。上の図は需給モデル以外で交差してわかりにくいが、Sは/、Dは\、と一定。
八田達夫「ミクロ経済学1,2」(2008,2009)は,全二巻立てのミクロ経済学の教科書のうち,
1巻目をすべて部分均衡分析にあて,2巻目でもごくマイナーな部分に最適化理論が出てくるだけである。
基本的に「マーシャリアン・クロス」を使って,様々な具体的な政策課題を説明することに重点を強く置いた,
最も理想に近い初級ミクロ教科書である。
松尾、波床「経済学基礎教育科目のあり方」
Amazon.co.jp: 消費税はやはりいらない: 八田 達夫: 本
https://www.amazon.co.jp/dp/4492610308
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
不公平まやかし税制の全骨格を示す。大蔵省ゴリ押し強制にこれだけの矛盾。高齢化対策・業種間格差対策等の消費税必要論はすべて神話だ。国民的常識のうそを衝く。
内容(「MARC」データベースより)
大蔵省ゴリ押し税制にこれだけの矛盾。高齢化対策・業種間格差対策等の消費税必要論はすべて神話だ。不公平まやかし税制の全骨格を示す。消費税シフトに代わる税制改革を具体的に提案する。
登録情報
単行本: 243ページ
出版社: 東洋経済新報社 (1994/12)
言語: 日本語
ISBN-10: 4492610308
ISBN-13: 978-4492610305
発売日: 1994/12
5つ星のうち 5.0現代の名著です
投稿者 もすら 投稿日 2007/7/29
形式: 単行本
消費税のみならず税制全般を考える上で大変役立ちます。
政党が繰り広げる感情的な税制論議にまったく欠けている、理論的なお話がメインです。
税制のもたらす影響(長所、短所)がわかりやすく書かれていて、世の俗説がいかに誤っているかが分かります。
10年以上前の著作ですが今読んでも色あせておりません
とりもなおさず、税の問題点が解決されずに残ってしまっている、国民の理解が追いついていないということでもあるのですが、、
中には所得控除廃止など著作の中での指摘が実際に反映されているものもあり、なぜそのような税制改正がされたかという理論的裏付けもわかります
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