http://www.freeassociations.org/
この図から明らかなように、列島の三民族、本土日本人、アイヌ民族、琉球人に見られる非常に少ない頻度のafb1b3遺伝子と、高い頻度で見られるab3st遺伝子の組合せは、チベット以南では急激に消滅している。東南アジアはもとより中国雲南省などの少数民族とも近似性は認められない。
すなわち、日本列島の三民族は、極めて北方的な民族ということが出来る。しかも、ab3st遺伝子を25%~26%以上という高い頻度で、現在も保持するという特性を持つ。
松本秀雄に言わせると、北方的な民族を象徴的に示すab3st遺伝子は、バイカル北部のブリアートを基点として四方に遺伝子の流れを作っているという。
そしてこの現在も保持し続ける特性に基づき、松本は、
--私は、「日本民族は北方型蒙古系民族に属するもので、その起源はシベリアのバイカル湖畔にある」と結論する。--
と述べている。
Gm遺伝子解析を支持する東アジアの旧石器文化
この松本のGm遺伝子解析からの結論を、「恐ろしいほどの一致といわざるを得ない。」と
驚きをもって支持したのは、東アジアの旧石器文化に詳しい、考古学の加藤晋平である。
加藤晋平は自著「日本人はどこから来たか」のなかで(p.171)、
12000~13000年前に東日本を覆った、クサビ型細石核と荒屋型彫器を伴った、細石刃文化
を担った人類集団の技術伝統は、バイカル湖周辺から拡散してきたものである。
バイカル湖周辺から東方への拡散の動機は、サケ・マス漁撈の発達と漁場の追求であったらしい。日本におけるクサビ形細石器文化圏と、サケ・マス類の主要遡上河川の分布域とはよく一致している。--としている。
加藤は、この考古学からの仮説と、松本秀雄博士の意見は全く同じ結果を示している。恐ろしいほどの一致だと言うのである。
(加藤の説は、下図によれば、シベリア東方型細石刃石器群の分布地域の青線で示したとこ
ろ。)
http://www.geocities.jp/ikoh12/honnronn1/08gmidennsi-1/1higasi_ajia_no_kyuusekki.jpg
松本秀雄の、日本人バイカル湖畔起源説は、その一元的方法論と断定的結論もあっていろいろな批判にさらされている。しかし、筆者はなかなか魅力的な学説の一つではないかと思っている。
ただ、筆者は最初に記したように、いろんな研究分野を統合した整合性のある結論を得たいと考えているので、Gm遺伝子からの仮説もその一つと考えている。
筆者の一応の結論は、第4部09.「日本人の成立モデルを考える」で纏めているので、ご一読願いたい。
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