火曜日, 11月 24, 2015

ニーチェ、喜ばしき知恵 Friedrich Nietzsche “Die fröhliche Wissenschaft: la gaya scienza” (河出文庫)

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本「喜ばしき知恵  Die frohliche Wissenschaft: la gaya scienza (河出文庫)」
フリードリヒ・ニーチェ、村井則夫 訳
喜ばしき知恵  Friedrich Nietzsche “Die fröhliche Wissenschaft: la gaya scienza” (河出文庫)
○著者: フリードリヒ・ニーチェ村井則夫
○出版: 河出書房新社 (2012/10, 文庫 491ページ)
○定価: 1,260円


……初版が1882年、大幅な増補を含む第二版が1887年に刊行されているということは、その間に主著『ツァラトゥストラはこう語った』 (1883-85年)をまるまる挟み、さらには『善悪の彼岸』(1886年)をもまたいで成立していることになる、際立って特異な位置を占める


ニーチェの最も美しく、最も重要な著書が、冷徹にして流麗な日本語によってよみがえる。「この書物の言葉は、氷晶を融かす春風に も似ている[…]。いまだ冬の圏内にありながら、冬を打倒する勝利が予感されるのだ。」「神は死んだ」と宣言しつつ永遠回帰の思想をはじめてあきらかにし たニーチェ哲学の中核をなす大いなる肯定の書。


≪目次: ≫
喜ばしき知恵――華やぐ知恵 la gaya scienza 』 Die fröhliche Wissenschaft

序文 第二版に寄せて (ジェノヴァ郊外ルータにて 一八八六年秋)

「戯(たわむ)れ、企(たくら)み、意趣返し」――ドイツ語韻文の序曲
1 招待/2 わが幸福/3 尻込みせずに/4 対話/5 徳ある人びとに/6 処世訓/7 汝が汝の指南役/8 三たび脱皮して/9 わが薔薇/10 軽蔑する者/11 箴言に曰く/12 光の愛好者に/13 舞踏者にとって/14 豪気な者/15 錆/16 上へ向って/17 傑物の言葉/18 狭い心/19 意図せざる誘惑者/20 一考の余地/21 傲慢の戒め/22 男と女/23 解釈/24 ペンシミストへの特効薬/25 願い/26 私の非情さ/27 彷徨(さすら)い人/28 初心者のための慰め/29 天体のエゴイズム/30 隣人/31 聖者の変装/32 奴隷/33 孤独者/34 セネカとその知友―― Seneca et hoc genus omne /35 氷/36 青年期の著作/37 用心/38 敬虔な者は語る/39 夏に/40 嫉みをもたない/41 ヘラクレイトス主義/42 気位の高すぎる者の原則/43 忠告/44 底を究める者/45 永遠の来訪者/46 疲弊した者の判断/47 没落/48 法則に逆らって/49 賢者は語る/50 頭脳流出/51 真摯な願い/52 足で書く/53 『人間的な、あまりに人間的な』――ある著作/54 わが読者に/55 写実主義の画家/56 詩人の虚栄心/57 選り好みの趣味/58 曲がった鼻/59 筆が進まない/60 高等な人間/61 懐疑論者は語る/62 この人を見よ―― Ecce homo /63 星のモラル

第一書
1 生存の目的の教師/2 知的良心/3 高貴と低俗/4 種を維持するもの/5 無条件の義務/6 威厳の失墜/7 勤勉な者たちへの忠告/8 無意識の徳/9 われわれの噴火/10 ある種の隔世遺伝/11 意識/12 学問の目標について/13 権力感情の理論に寄せて/14 愛と呼ばれる一切のもの/15 遠方から/16 橋を渡って/17 自分の貧しさに理由をつける/18 古代的な誇り/19 悪/20 愚劣さの品格/21 無私無欲を説く者に/22 国王のためのタイムテーブル/23 頽廃の特徴/24 あれこれの不満/25 認識に不適格/26 生きるとは何か?/27 世棄て人/28 最善のもので害をなす/29 嘘であとづけをする者たち/30 著名人の喜劇/31 商業と貴族/32 望まれざる弟子/33 講演を立ち聞きして/34 隠れた歴史―― historia abscondita /35 異端と魔術/36 末期の言葉/37 三種の誤謬にもとづいて/38 爆発する人びと/39 趣味の変化/40 高貴な外見の払底/41 後悔することなく/42 労働と退屈/43 法律が語るもの/44 思い込まれた動機/45 エピクロス/46 われわれの驚嘆/47 情熱の抑圧について/48 苦境の知識/49 寛大さとその同類/50 孤立という論証/51 真理感覚/52 他人がわれわれについて知っていること/53 善が始まるところ/54 仮象の意識/55 最後の高貴な心映え/56 苦悩への欲求

第二書
57 現実主義者たちに向けて/58 ただ創造する者のみが/59 われわれ芸術家/60 女性たちと遠隔作用/61 友情を讃えて/62 愛/63 音楽における女性/64 疑い深い者たち/65 献身/66 弱者の強み/67 自らを演じる/68 意志と受諾/69 復讐の能力/70 英雄を圧倒する女傑/71 女性の貞淑について/72 母たるもの/73 聖なる残酷/74 もてない女性たち/75 第三の性/76 最大の危機/77 悪びれることのない動物/78 感謝すべきこと/79 未熟さの魅力/80 芸術と自然/81 ギリシア的な趣味/82 非ギリシア的なエスプリ/83 翻訳/84 詩の起源について/85 善いものと美しいもの/86 劇場について/87 芸術家の自惚(うぬぼ)れ について/88 真理への熱意/89 今と昔/90 光と影/91 要注意/92 散文と詩/93 ところで一体、なぜ君はものを書くのか/94 死後の成長/95 シャンフォール/96 二人の弁論家/97 文筆家の饒舌について/98 シェイクスピアを讃えて/99 ショーペンハウアーの信奉者たち/100 尊敬を学ぶ/101 ヴォルテール/102 文献学者たちに一言/103 ドイツ音楽について/104 ドイツ語の響きについて/105 芸術家としてのドイツ人/106 仲介者としての音楽/107 芸術に対するわれわれの究極の感謝

第三書
108 新たな闘争/109 用心しよう!/110 認識の起源/111 論理的なものの起源/112 原因と結果/113 毒物学/114 道徳的なものが及ぶ範囲/115 四つの誤謬/116 集群本能/117 集群の良心的呵責/118 好意/119 利他主義にあらず!/120 魂の健康/121 生は論拠にあらず/122 キリスト教における道徳的懐疑/123 手段に甘んじることのない認識/124 無限なるものの地平で/125 狂乱の男/126 神秘的な物言い/127 最古の宗教性の名残り/128 祈りの価値/129 神の条件/130 剣呑な決意/131 キリスト教と自殺/132 キリスト教への反感/133 原則/134 犠牲者としてのペシミスト/135 罪の由来/136 選ばれた民/137 比喩で語ると/138 キリストの誤り/139 情熱の色合い/140 あまりにユダヤ的な/141 あまりに東方的/142 香の薫り/143 多神教の最大の効用/144 宗教戦争/145 菜食主義者の危険/146 ドイツ的希望/147 問いと答え/148 宗教改革が起こるところ/149 宗教改革の挫折/150 聖人の批判について/151 宗教の起源について/152 最大の変化/153 詩人たる人間―― homo poeta /154 人生のさまざまな危険/155 われわれに欠けているもの/156 影響甚大な人物/157 嘘を吐く―― mentiri /158 厄介な性格/159 すべての徳に時節あり/160 徳との交流に際して/161 時代の讃美者に対して/162 エゴイズム/163 大勝利のあとで/164 安らぎを求める者たち/165 諦念者の幸福について/166 いつも同じ仲間のうちで/167 人間嫌いと愛/168 ある病んだ者について/169 公然たる敵/170 大衆とともに/171 名声/172 趣味を台無しにする者/173 深遠であることと、深遠に思われること/174 はぐれ者/175 雄弁について/176 同情/177 「教育制度」に関して/178 道徳的啓蒙について/179 思想/180 自由思想家の絶好の時代/181 追随と先行/182 孤独の中で/183 最良の未来の音楽/184 司法/185 貧しさ/186 良心の疼き/187 実演に際して気分を害するもの/188 労働/189 思想家/190 賞讃者に抗して/191 多くの弁護に抗して/192 最良な人びと/193 カントの機知/194 隠し事のないひと/195 笑止千万/196 われわれの聴覚の限界/197 ゆえに用心を/198 気位の高い者の不快/199 気前の良さ/200 笑い/201 賛同/202 浪費家/203 この男は腹黒い―― Hic niger est /204 物乞いと礼節/205 必要/206 雨が降る日に/207 嫉妬深い者/208 偉大な男!/209 理由を尋ねるやり方/210 勤勉さの節度/211 隠れた敵/212 見損なわないよう/213 幸福への道/214 信じる者は救われる/215 理想と素材/216 声の危険/217 原因と結果/218 私が嫌悪するもの/219 刑罰の目的/220 犠牲/221 思いやり/222 詩人と嘘吐き/223 感覚の代理/224 動物たちの批評/225 自然に従う人びと/226 疑い深い者とその話法/227 考え損ない、撃ち損ない/228 調停者に対して/229 強情と忠誠/230 沈黙の欠如/231 「徹底した」人たち/232 夢を見ること/233 最も危険な観点/234 音楽家への慰めの言葉/235 精神と人格/236 大衆を煽動するために/237 礼儀正しい人/238 嫉み知らず/239 楽しみを知らない人/240 海辺に/241 作品と芸術家/242 各人にその持ち分を―― suum cuique /243 「良」と「劣」の起源/244 思想と言葉/245 選択における賞讃/246 数学/247 習慣/248 書物/249 認識者の溜息/250 罪/251 苦悩する者への誤解/252 むしろ負債を/253 どこでもわが家に/254 苦境に逆らって/255 模倣者/256 皮膚性/257 経験から/258 偶然を否定する者たち/259 楽園から/260 九九/261 独創性/262 「永遠の相の下に」―― sub specie aeterni /263 虚栄心ではなく/264 われわれの行い/265 究極の懐疑/266 冷酷さが必要なところ/267 偉大な目標をもつと/268 英雄になるには/269 あなたは何を信じているか?/270 あなたの良心はどう語るか?/271 あなたの最大の危険はどこにあるか?/272 あなたは他人の何を愛するか?/273 あなたは誰を劣っているとみなすか?/274 あなたにとって最も人間的なものとは何か?/275 事由が達成された証とは何か?

第四書 聖なる一月―― Sanctus Januarius 聖ヤヌアリウス
276 新しい年に/277 人格的な摂理/278 死の思想/279 星の友情/280 認識者向けの建築/281 締め括るすべ/282 馬脚/283 肝の据わった人間/284 自己への信頼/285 いよいよ高く!/286 口を挟む/287 盲目の喜び/288 昂揚感/289 船に乗れ!/290 一事が肝心/291 ジェノヴァ/292 道徳の説論者に/293 われわれの空気/294 自然の誹謗者に抗して/295 短期の習慣/296 定評/297 矛盾しうること/298 溜息をついて/299 われわれは芸術家から何を学び取るべきか/300 科学の前奏曲/301 観想的人間の妄想/302 最も幸福な人間の危険/303 二人の幸福者/304 実行することで諦める/305 自己統制/306 ストア派とエピクロス派/307 批判のために/308 日々の歴史/309 第七の孤独から/310 意志と波/311 屈折した光線/312 私の犬/313 受難図は描かない/314 新たな愛玩動物(ペット)/315 最後の時について/316 預言者たる人間/317 回顧/318 苦痛の中の知恵/319 われわれの体験の解釈者として/320 再会に際して/321 新たな用心/322 比喩/323 宿命の中の幸運/324 生の半ばで―― in media vita /325 偉大さに必要なもの/326 魂の医師と苦痛/327 真面目に考える/328 愚劣さをいたぶる/329 閑暇と怠惰/330 喝采/331 聾者にされるより、聾者になるのがまし/332 魔が差す瞬間/333 認識とは何か/334 愛することを学ばなければならない/335 物理学を讃えて/336 自然の吝嗇/337 未来の「人間性」/338 苦悩への意志と同情する者たち/339 生は女性である―― vita femina /340 死に臨むソクラテス/341 最大の重石(おもし)/342 ここに悲劇が始まる―― incipit tragoedia

第五書 われら怖れを知らぬ者
343 われわれの快活さが意味するもの/344 われわれはなお、どれほど敬虔であるか/345 問題としての道徳/346 われわれの疑問符/347 信仰者と、その信仰の必要性/348 学者の出自について/349 学者の出自について、再説/350 宗教的人間(homines religiosi)を讃えて/351 司祭型本性の人びとを讃えて/352 道徳はどれほど不可欠なものか/353 宗教の起源について/354 「種の守護霊」について/355 「認識」概念の起源/356 ヨーロッパはどこまで「俳優的」となっていくか/357 「ドイツ的とは何か」――この古い問題について/358 精神の農民一揆/359 精神への復讐、および道徳のその他の背景/360 混同されがちな二つの原因/361 俳優の問題について/362 ヨーロッパの男性化に対するわれわれの信仰/363 愛について、両性はいかなる先入見をもっているか/364 隠者は語る/365 隠者はふたたび語る/366 博学な書物を前に/367 われわれは芸術作品をまずいかに区別するか/368 キニク派の徒は語る/369 われわれの内なる並走/370 ロマン主義とは何か?/371 われわれ理解されがたい者/372 われわれはなぜ観念論者(イデアリスト)で はないのか/373 先入見としての「科学」/374 われわれの新たな「無限」/375 われわれはなぜエピクロス主義者に見えるのか/376 われわれの緩慢な時/377 われわれ故郷喪失者/378 「そしてふたたび清らかに澄む」/379 道化が口を挟む/380 「漂泊者」は語る/381 理解の問題について/382 大いなる健康/383 エピローグ

プリンツ・フォーゲルフライの歌
ゲーテに寄せて/詩人の使命/南国にて/信仰深い遊女ベッパ/神秘の小舟/愛の告白/テオクリストス風山羊飼いの歌/「この虚ろな人びと」/絶望に囚われ た阿呆/詩的療法―― Rimus remedium あるいは、病んだ詩人はいかにして自己を慰めるか/「わが幸福よ!」/新たな海へ/シルス・マリーア/北風(ミストラル)に寄せて ある舞踏歌


訳者解説 友よ、この響きではなく! (村井則夫)