新刊の渡辺直己編の『日本批評大全』はおもしろい。その中に「日本文学史上の奇跡と称すべき女性作家」である一葉の日記の一部分が取りあげられている。以前『十三夜』を読んで記事を書いたとき、一葉という人は刃物のように鋭い人だという印象をもったが、想像以上の人であった。
「文だんの神よといふ」森鷗外の絶賛を『たけくらべ』が受けてみんなが喜んでくれているときにこう日記に書いている。彼女が亡くなる年に書かれたものである。
我れを訪(と)ふ人十人に九人まではたゞ女子(をなご)なりといふを喜びてもの珍しさに集(つど)ふ成けり、さればこそことなる事なき(注: 平凡な)反古紙(ほごがみ)作り出ても今清少よむらさきよとはやし立つる、誠は心なしのいかなる底意ありてともしらず、我をたゞ女子と斗(ばかり)見るよりのすさび。されば其(その)評のとり所なきこと、疵(きず)あれども見えずよき所ありてもいひ顕はすことなく、たゞ一葉はうまし、上手なり、余(よ)の女どもは更也、男も大かたはかうべを下(さ)ぐべきの技倆なり、たゞうまし、上手なりといふ斗(ばかり)その外にはいふ詞なきか、いふべき疵を見出さぬか、いとあやしき事ども也。
「その外にはいふ詞なきか」!!
まるで蓮實さんの記者会見である。すごい!
第二次世界大戦後の一時期には、漢字使用を制限し、日本語表記を単純化しようとする動きが強まった。1946年(昭和21年)4月、志賀直哉は雑誌『改造』に「国語問題」を発表し、「日本語を廃止して、世界中で一番美しい言語であるフランス語を採用することにしたらどうか」という旨の提案をした。11月12日、読売報知(今の読売新聞)は「漢字を廃止せよ」と題した社説を掲載した。同じ年の3月、連合国軍総司令部 (GHQ/SCAP) が招いた第一次アメリカ教育使節団が3月31日に第一次アメリカ教育使節団報告書を提出、学校教育における漢字の弊害とローマ字の便を指摘した。同様の動きは識字率の向上に取り組んでいた朝鮮や中国においても見られ、北朝鮮では漢字が全廃され、韓国でも漢字教育が基本的に行なわれなくなり、また中国では漢字を全廃して全ての文字表記をピンインとする動きもあったが、最終的には簡体字が導入された。
追記:
岩波文庫の類書と比較すべきだ。
日本近代文学評論選 明治・大正篇
シリーズ名 岩波文庫 タイトルヨミ ニホン キンダイ ブンガク ヒョウロンセン メイジタ
シリーズ名ヨミ イワナミ ブンコ
人名 千葉 俊二/編 坪内 祐三/編 人名ヨミ チバ シュンジ ツボウチ ユウゾウ
出版者・発行者等 岩波書店 出版・発行年月 2003.12 ページ数または枚数・巻数 398p
目次
小説神髄(抄) 7-20☆ 坪内 逍遙/著
小説総論 21-27☆ 二葉亭 四迷/著
早稲田文学の没理想 28-40 森 鷗外/著
頼襄を論ず(抄) 41-47 山路 愛山/著
人生に相渉るとは何の謂ぞ 48-61☆ 北村 透谷/著
小説と社会の隠微・下流の細民と文士 62-67 田岡 嶺雲/著
歌よみに与ふる書(抄) 68-74 ☆正岡 子規/著
美的生活を論ず 75-90 高山 樗牛/著
露骨なる描写 91-98☆ 田山 花袋/著
予が見神の実験 99-111 綱島 梁川/著
幻滅時代の芸術 112-124 長谷川 天渓/著
無解決の文学 125-129 片上 天弦/著
文芸上主客両体の融会 130-137 相馬 御風/著
観照即人生の為也 138-140 島村 抱月/著
自ら知らざる自然主義者 141-145 阿部 次郎/著
イズムの功過 146-149 夏目 漱石/著
自己主張の理想としての自然主義 150-156 魚住 折蘆/著
時代閉塞の現状 157-174☆ 石川 啄木/著
元始女性は太陽であつた 175-191☆ 平塚 らいてう/著
二十五年間の文人の社会的地位の進歩 192-210 内田 魯庵/著
生の拡充 211-219☆ 大杉 栄/著
母性偏重を排す 220-235 与謝野 晶子/著
「遊蕩文学」の撲滅 236-248 赤木 桁平/著
自然主義前派の跳梁 249-261☆ 生田 長江/著
異郷意識の進展 262-272 折口 信夫/著
新らしき村に就て 273-277 武者小路 実篤/著
創作月旦(抄) 278-285 佐藤 春夫/著
花火 286-297 永井 荷風/著
第四階級の文学 298-305 中野 秀人/著
宣言一つ 306-314☆ 有島 武郎/著
文芸作品の内容的価値 315-324 菊池 寛/著
散文芸術の位置 325-334☆ 広津 和郎/著
新感覚派の誕生 335-345 千葉 亀雄/著
「私」小説と「心境」小説 346-361☆ 久米 正雄/著
前田河広一郎氏に 362-368 江戸川 乱歩/著
農民芸術概論綱要 369-378 宮沢 賢治/著
自然生長と目的意識 379-384 ☆青野 季吉/著
解説(仮名垣魯文「著作道書キ上ゲ」☆全文を含む)
日本近代文学評論選 昭和篇
タイトル 日本近代文学評論選 昭和篇
シリーズ名 岩波文庫 タイトルヨミ ニホン キンダイ ブンガク ヒョウロンセン シヨウワ
シリーズ名ヨミ イワナミ ブンコ
人名 千葉 俊二/編 坪内 祐三/編 人名ヨミ チバ シュンジ ツボウチ ユウゾウ
出版者・発行者等 岩波書店 出版・発行年月 2004.3 ページ数または枚数・巻数 457p
目次
文壇ギルドの解体期 7-19☆ 大宅 壮一/著
饒舌録(抄) 20-30 谷崎 潤一郎/著
文芸的な、余りに文芸的な(抄) 31-38 芥川 竜之介/著
プロレタリヤ・レアリズムへの道 39-54 ☆蔵原 惟人/著
誰だ?花園を荒らす者は! 55-69 中村 武羅夫/著
政治的価値と芸術的価値 70-86 平林 初之輔/著
「敗北」の文学(抄) 87-104 宮本 顕治/著
様々なる意匠 105-129☆ 小林 秀雄/著
新心理主義文学 130-144 伊藤 整/著
文芸評論家群像(抄) 145-159 杉山 平助/著
シェストフ的不安について 160-177☆ 三木 清/著
冬を越す蕾 178-191 中条 百合子/著
純粋小説論 192-213☆ 横光 利一/著
トルストイについて 214-220 正宗 白鳥/著
閏二月二九日 221-231 中野 重治/著
描写のうしろに寝てゐられない 232-238☆ 高見 順/著
日本への回帰 239-246 萩原 朔太郎/著
文明開化の論理の終焉について 247-260 保田 与重郎/著
錯乱の論理 261-277 花田 清輝/著
「近代」への疑惑 278-296 中村 光夫/著
江戸人の発想法について 297-310☆ 石川 淳/著
配給された「自由」 311-316 河上 徹太郎/著
堕落論 317-330 坂口 安吾/著
ひとつの反措定 331-337 平野 謙/著
一匹と九十九匹と 338-364福田 恒存/著
肉体が人間である 365-372 田村 泰次郎/著
横光利一弔辞 373-377 川端 康成/著
重症者の兇器 378-385 三島 由紀夫/著
滅亡について 386-399 武田 泰淳/著
近代主義と民族の問題 400-412☆ 竹内 好/著
東西文学論(抄) 413-427 ☆ 吉田 健一/著
「文壇」崩壊論 428-442 十返 肇/著
☆太字(約20ほど)が渡部直己編と共通。70弱で篇数もほぼ同じ。
2
《ただ世の中の物語なるがゆゑに、さる筋の善悪の論はしばらくさしおきて、さしもかかはらず、ただもののあはれを知れる方のよきを、とりたててよしとはしたるなり。
ただ世間の(人々のありさまや出来事を描いた)物語であるのだから、そのような(儒教や仏教の)方面(で)の善悪の論議は少し置いておいて、それほどこだわらず、ただ「もののあはれ」を理解している方面が優れていることを、特に取り上げて「よし」としているのである。》
______
☆
必読書150のリスト http://shinagawa-lunch.blog.so-net.ne.jp/2007-04-21
必読書150(太田出版2002)
柄谷 行人,岡崎 乾二郎,島田 雅彦,渡部 直己,浅田 彰,奥泉 光,スガ 秀実
人文社会科学50
1. 『饗宴』プラトン(岩波文庫)
2. 『詩学』アリストテレス(岩波文庫)
3. 『告白』アウグスティヌス(岩波文庫)
4. 『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』レオナルド・ダ・ヴィンチ(岩波文庫)
5. 『君主論』マキァヴェッリ(岩波文庫)
6. 『ユートピア』トマス・モア(岩波文庫)
7. 『方法序説』デカルト(岩波文庫)
8. 『リヴァイアサン』ホッブズ(岩波文庫)
9. 『パンセ』パスカル(中公文庫)
10. 『エチカ』スピノザ(岩波文庫)
11. 『社会契約論』ルソー(岩波文庫)
12. 『純粋理性批判』カント(岩波文庫)
13. 『精神現象学』ヘーゲル(平凡社ライブラリー)
14. 『死に至る病』キルケゴール(岩波文庫)
15. 『資本論』マルクス(岩波文庫)
16. 『道徳の系譜』ニーチェ(岩波文庫)
17. 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』マックス・ヴェーバー(岩波文庫)
18. 『一般言語学講義』ソシュール(岩波書店)
19. 『精神の危機』ヴァレリー(中公バックス『世界の名著66アラン/ヴァレリー』収録)
20. 『快感原則の彼岸』フロイト(ちくま学芸文庫『自我論集』収録)
21. 『政治神学』シュミット(未来社)
22. 『シュルレアリスム宣言』ブルトン(岩波文庫)
23. 『存在と時間』ハイデッカー(岩波文庫)
24. 『ガンジー自伝』ガンジー(中公文庫)
25. 『複製技術時代における芸術作品』ベンヤミン(岩波文庫『ボードレール他五篇』収録)
26. 『大転換』ポランニー(東洋経済新報社)
27. 『啓蒙の弁証法』アドルノとホルクハイマー(岩波書店)
28. 『全体主義の起源』アレント(みすず書房)
29. 『哲学探究』ウィトゲンシュタイン(大修館書店『ウィトゲンシュタイン全集8』収録)
30. 『野生の思考』レヴィ=ストロース(みすず書房)
31. 『グーデンベルグの銀河系』マクルーハン(みすず書房)
32. 『言葉と物』フーコー(新潮社)
33. 『グラマトロジーについて』デリダ(現代思潮新社)
34. 『アンチ・オイディプス』ドゥルーズとガタリ(河出書房新社)
35. 『精神分析の四つの基本概念』ラカン(岩波書店)
36. 『近代世界システム』ウォーラーステイン(岩波書店)
37. 『ジョン・ケージ』ケージ(青土社)
38. 『オリエンタリズム』サイード(平凡社ライブラリー)
39. 『精神と自然』ベイトソン(新思索社)
40. 『想像の共同体』アンダーソン(NTT出版)
41. 『玉勝間』本居宣長(筑摩書房『本居宣長全集1』収録)
42. 『胆大小心録』上田秋成(岩波文庫)
43. 『余は如何にして基督信徒となりし乎』内村鑑三(岩波文庫)
44. 『東洋の思想』岡倉天心(講談社学術文庫)
45. 『西田幾多郎哲学論集1・2・3』西田幾多郎(岩波文庫)
46. 『「いき」の構造』九鬼周造(岩波文庫)
47. 『風土』和辻哲郎(岩波文庫)
48. 『木綿以前の事』柳田國男(岩波文庫)
49. 『国語学原論』時枝誠記(岩波書店)入手不可
50. 『経済学方法論』宇野弘蔵(東京大学出版会)入手不可
日本文学50
1. 『浮雲』二葉亭四迷(岩波文庫)
2. 『舞姫』森鴎外(文春文庫)
3. 『にごりえ』樋口一葉(岩波文庫)
4. 『高野聖』泉鏡花(新潮文庫)
5. 『武蔵野』国木田独歩(新潮文庫)
6. 『吾輩は猫である』夏目漱石(新潮文庫)
7. 『破戒』島崎藤村(新潮文庫)
8. 『布団』田山花袋(岩波文庫)
9. 『あらくれ』徳田秋声(新潮文庫)
10. 『或る女』有島武郎(新潮文庫)
11. 『小僧の神様』志賀直哉(新潮文庫)
12. 『冥途・旅順入城式』内田百閒(岩波文庫)
13. 『銀河鉄道の夜』宮澤賢治(新潮文庫)
14. 『押絵と旅する男』江戸川乱歩(ちくま文庫)
15. 『機械』横光利一(新潮文庫)
16. 『春琴抄』谷崎潤一郎(新潮文庫)
17. 『ドグラ・マグラ』夢野久作(角川文庫)
18. 『村の家』中野重治(講談社文芸文庫)
19. 『雪国』川端康成(新潮文庫)
20. 『死者の書』折口信夫(中公文庫)
21. 『斜陽』太宰治(新潮文庫)
22. 『俘虜記』大岡昇平(新潮文庫)
23. 『死霊』埴谷雄高(講談社)
24. 『仮面の告白』三島由紀夫(新潮文庫)
25. 『ひかりごけ』武田泰淳(新潮文庫)
26. 『楢山節考』深沢七郎(新潮文庫)
27. 『砂の女』安部公房(新潮文庫)
28. 『エロ事師たち』野坂昭如(新潮社)
29. 『死の棘』島尾敏雄(新潮文庫)
30. 『神聖喜劇』大西巨人(光文社文庫)
31. 『万延元年のフットボール』大江健三郎(講談社文芸文庫)
32. 『円陣を組む女たち』古井由吉(中公文庫)
33. 『挟み撃ち』後藤明生(講談社文芸文庫)
34. 『食卓のない家』円地文子(新潮社)入手不可
35. 『枯木灘』中上健次(小学館文庫)
36. 『赤光』斉藤茂吉(新潮文庫)
37. 『月に吠える』萩原朔太郎(角川文庫)
38. 『田村隆一詩集』田村隆一(思潮社)
39. 『吉岡実詩集』吉岡実(思潮社・現代詩文庫)
40. 『小説神髄』坪内逍遥(岩波文庫)
41. 『人生に相渉るとは何の謂ぞ』北村透谷(旺文社文庫)入手不可
42. 『福翁自伝』福沢諭吉(岩波文庫)
43. 『歌よみに与ふる書』正岡子規(岩波文庫)
44. 『時代閉塞の現状』石川啄木(岩波文庫)
45. 『様々なる意匠』小林秀雄(新潮文庫『Xへの手紙・私小説論』収録)
46. 『日本の橋』保田與重郎(講談社文芸文庫『保田與重郎文芸論集』収録)
47. 『堕落論』坂口安吾(角川文庫)
48. 『復興期の精神』花田清輝(講談社学芸文庫)
49. 『転向論』吉本隆明(講談社文芸文庫『マチウ書志論・転向論』収録)
50. 『成熟と喪失』江藤淳(講談社文芸文庫)
海外文学50
1. 『オデュッセイア』ホメロス(岩波文庫)
2. 『創世記』旧約聖書(岩波文庫)
3. 『オイディプス王』ソポクレス(新潮文庫)
4. 『唐詩選』(岩波文庫)
5. 『ルバイヤート』ハイヤーム(岩波文庫)
6. 『神曲』ダンテ(岩波文庫)
7. 『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』ラブレー(岩波文庫)
8. 『ハムレット』シェイクスピア(ちくま文庫)
9. 『ドン・キホーテ』セルバンテス(ちくま文庫)
10. 『ガリヴァー旅行記』スウィフト(岩波文庫)
11. 『トリストラム・シャンディ』スターン(岩波文庫)
12. 『悪徳の栄え』サド(河出文庫)
13. 『ファウスト』ゲーテ(新潮文庫)
14. 『パルムの僧院』スタンダール(新潮文庫)
15. 『外套』ゴーゴリ(岩波文庫)
16. 『盗まれた手紙』ポー(新潮文庫『モルグ街の殺人事件』収録)
17. 『嵐が丘』エミリー・ブロンテ(新潮文庫)
18. 『白鯨』メルヴィル(講談社文芸文庫)
19. 『ボヴァリー夫人』フローベール(新潮文庫)
20. 『不思議の国のアリス』キャロル(新潮文庫)
21. 『悪霊』ドストエフスキー(新潮文庫)
22. 『桜の園』チェーホフ(新潮文庫)
23. 『ブラウン神父の童心』チェスタトン(創元推理文庫)
24. 『失われた時を求めて』プルースト(ちくま文庫)
25. 『審判』カフカ(岩波文庫)
26. 『阿Q正伝』魯迅(岩波文庫)
27. 『ユリシーズ』ジョイス(集英社)
28. 『魔の山』トーマス・マン(岩波文庫)
29. 『われら』ザミャーチン(岩波文庫)
30. 『特性のない男』ムージル(松籟社)
31. 『夜の果ての旅』セリーヌ(中公文庫)
32. 『アブサロム、アブサロム!』フォークナー(講談社文芸文庫)
33. 『フェルディドゥルケ』ゴンブローウィッチ(『集英社版世界の文学10ゴンブローヴィッチ』)
34. 『嘔吐』サルトル(人文書院)
35. 『泥棒日記』ジュネ(新潮文庫)
36. 『ゴドーを待ちながら』ベケット(白水社)
37. 『嫉妬』ロブ=グリエ(新潮社)入手不可
38. 『モデラート・カンタービレ』デュラス(河出文庫)
39. 『ソラリスの陽のもとに』スワニワフ・レム(ハヤカワ文庫)
40. 『百年の孤独』ガルシア=マルケス(新潮社)
41. 『真夜中の子どもたち』ラシュディ(早川書房)入手不可
42. 『ブレイク詩集』ブレイク(角川文庫)
43. 『ヘルダーリン詩集』ヘルダーリン(河出書房新社)入手不可
44. 『悪の華』ボードレール(新潮文庫)
45. 『ランボー詩集』ランボー(新潮文庫)
46. 『荒地』エリオット(思潮社)
47. 『マヤコフスキー詩集』マヤコフスキー(飯塚書店)入手不可
48. 『ツェラン詩集』ツェラン(青土社)
49. 『ドストエフスキーの詩学』バフチン(ちくま学芸文庫)
50. 『文学空間』ブランショ(現代思潮新社)
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日本近代文学評論選 明治・大正篇
シリーズ名 岩波文庫
タイトルヨミ ニホン キンダイ ブンガク ヒョウロンセン メイジタ
シリーズ名ヨミ イワナミ ブンコ
人名 千葉 俊二/編 坪内 祐三/編
人名ヨミ チバ シュンジ ツボウチ ユウゾウ
出版者・発行者等 岩波書店
出版者・発行者等ヨミ イワナミ ショテン
出版地・発行地 東京
出版・発行年月 2003.12
ページ数または枚数・巻数 398p
大きさ 15cm
価格 ¥760
ISBN 4-00-311711-5
分類記号 910.26
件名 日本文学-歴史-近代
件名 日本文学-歴史-明治時代 / 日本文学-歴史-大正時代
タイトルコード 1009810527977
目次
内容細目
小説神髄(抄) 7-20
坪内 逍遙/著
小説総論 21-27
二葉亭 四迷/著
早稲田文学の没理想 28-40
森 鷗外/著
頼襄を論ず(抄) 41-47
山路 愛山/著
人生に相渉るとは何の謂ぞ 48-61
北村 透谷/著
小説と社会の隠微・下流の細民と文士 62-67
田岡 嶺雲/著
歌よみに与ふる書(抄) 68-74
正岡 子規/著
美的生活を論ず 75-90
高山 樗牛/著
露骨なる描写 91-98
田山 花袋/著
予が見神の実験 99-111
綱島 梁川/著
幻滅時代の芸術 112-124
長谷川 天渓/著
無解決の文学 125-129
片上 天弦/著
文芸上主客両体の融会 130-137
相馬 御風/著
観照即人生の為也 138-140
島村 抱月/著
自ら知らざる自然主義者 141-145
阿部 次郎/著
イズムの功過 146-149
夏目 漱石/著
自己主張の理想としての自然主義 150-156
魚住 折蘆/著
時代閉塞の現状 157-174
石川 啄木/著
元始女性は太陽であつた 175-191
平塚 らいてう/著
二十五年間の文人の社会的地位の進歩 192-210
内田 魯庵/著
生の拡充 211-219
大杉 栄/著
母性偏重を排す 220-235
与謝野 晶子/著
「遊蕩文学」の撲滅 236-248
赤木 桁平/著
自然主義前派の跳梁 249-261
生田 長江/著
異郷意識の進展 262-272
折口 信夫/著
新らしき村に就て 273-277
武者小路 実篤/著
創作月旦(抄) 278-285
佐藤 春夫/著
花火 286-297
永井 荷風/著
第四階級の文学 298-305
中野 秀人/著
宣言一つ 306-314
有島 武郎/著
文芸作品の内容的価値 315-324
菊池 寛/著
散文芸術の位置 325-334
広津 和郎/著
新感覚派の誕生 335-345
千葉 亀雄/著
「私」小説と「心境」小説 346-361
久米 正雄/著
前田河広一郎氏に 362-368
江戸川 乱歩/著
農民芸術概論綱要 369-378
宮沢 賢治/著
自然生長と目的意識 379-384
青野 季吉/著
https://opac.libnet.pref.okayama.jp/licsxp-opac/WOpacMsgNewListToTifTilDetailAction.do?tilcod=1009810556564
日本近代文学評論選 昭和篇
書誌詳細
この資料の書誌詳細情報です。
書誌種別 図書
タイトル 日本近代文学評論選 昭和篇
シリーズ名 岩波文庫
タイトルヨミ ニホン キンダイ ブンガク ヒョウロンセン シヨウワ
シリーズ名ヨミ イワナミ ブンコ
人名 千葉 俊二/編 坪内 祐三/編
人名ヨミ チバ シュンジ ツボウチ ユウゾウ
出版者・発行者等 岩波書店
出版者・発行者等ヨミ イワナミ ショテン
出版地・発行地 東京
出版・発行年月 2004.3
ページ数または枚数・巻数 457p
大きさ 15cm
価格 ¥800
ISBN 4-00-311712-3
分類記号 910.26
件名 日本文学-歴史-近代
件名 日本文学-歴史-昭和時代
タイトルコード 1009810556564
目次
内容細目
文壇ギルドの解体期 7-19
大宅 壮一/著
饒舌録(抄) 20-30
谷崎 潤一郎/著
文芸的な、余りに文芸的な(抄) 31-38
芥川 竜之介/著
プロレタリヤ・レアリズムへの道 39-54
蔵原 惟人/著
誰だ?花園を荒らす者は! 55-69
中村 武羅夫/著
政治的価値と芸術的価値 70-86
平林 初之輔/著
「敗北」の文学(抄) 87-104
宮本 顕治/著
様々なる意匠 105-129
小林 秀雄/著
新心理主義文学 130-144
伊藤 整/著
文芸評論家群像(抄) 145-159
杉山 平助/著
シェストフ的不安について 160-177
三木 清/著
冬を越す蕾 178-191
中条 百合子/著
純粋小説論 192-213
横光 利一/著
トルストイについて 214-220
正宗 白鳥/著
閏二月二九日 221-231
中野 重治/著
描写のうしろに寝てゐられない 232-238
高見 順/著
日本への回帰 239-246
萩原 朔太郎/著
文明開化の論理の終焉について 247-260
保田 与重郎/著
錯乱の論理 261-277
花田 清輝/著
「近代」への疑惑 278-296
中村 光夫/著
江戸人の発想法について 297-310
石川 淳/著
配給された「自由」 311-316
河上 徹太郎/著
堕落論 317-330
坂口 安吾/著
ひとつの反措定 331-337
平野 謙/著
一匹と九十九匹と 338-364
福田 恒存/著
肉体が人間である 365-372
田村 泰次郎/著
横光利一弔辞 373-377
川端 康成/著
重症者の兇器 378-385
三島 由紀夫/著
滅亡について 386-399
武田 泰淳/著
近代主義と民族の問題 400-412
竹内 好/著
東西文学論(抄) 413-427
吉田 健一/著
「文壇」崩壊論 428-442
十返 肇/著
週刊読書人 20170303
カント(物自体) 唯物論
ヘーゲル 言語論的転回
マルクス 柄谷
プルードン プルードン
渡部 (略)で、実際にやってみると いろいろなことに気づく。 たとえ
ば、一九八三年に 『杼』の二号で、インタビューさせてもらいましたよね。
僕は生意気盛りのテクスト論者で調子に乗って話してると、柄谷さんからひと
こと、しかし「君の本読んでると、文学テクストを解放すれば世の中よくなる
ような気がしてくるぞ」って、グサリと。即なんだかんだ口答えはしましたが、
あれには参りました。今から考えると、あれ、戸坂潤ですよね。要するに、
あの当時の僕のテクスト論は、 柄谷さんの眼から見ると、 昭和十年代の
「文学主義」の再演みたいなものだったんですね。だから、少し後 に『批評
とポストモダン』も 書かれたんだと、今になって痛感しています。あの時は、
柄谷さんが戸坂潤で、僕はちゃちな三木清だった(笑)、しかもマルクスも
ちゃんと読んでいない三木。
柄谷 先ほど、僕は、いわゆる唯物論には言語という「物」が抜けている、
といいました。それは、別の言い方でいえば、言語という生産活動が抜けて
いるということです。六〇年代から七〇年代にかけて、そのよな言語的生産が
強調されるようになった。これを「言語論的転回」と呼んでもいいと思います。
それは、もう一つの唯物論なんですよ。しかし、元々あった唯物論がそれで
消えてしまうわけではない。むしろ、それが大事になるのです。ところが、
言語論的転回以後はむしろ、それまでの唯物論が否定されるようになった。そ
うなると、言語的唯物論が観念論になる。たとえば、テクストこそ世界だとい
うふうな話になる。リチャード・ローティがそれを「テクスト的観念論」と呼
んだことがありますが。
これは新しい現象ではありません。哲学史では、カントからヘーゲルヘ
の段階で起こったことですね。カントは、物は、たんにあるのではなく、主観
の活動を通して認識されるという。 したがって、われわれが把握するのは、
現象であって物自体は把握できない。これは、今日でいえば、世界は言語
活動を通して把握される、ということです。そのようなカントの考えから生ま
れると同時に、それを否定したところに、ヘーゲルの観念論が成立します。
つまり、精神がこの世界を生産するという考えです。 物も精神的活動の
産物であって、物自体などはない。 それがヘーゲル的観念論です。これは、
でたらめなものではない。それは少なくとも、人間の生産的活動をとらえて
いるからです。だから、マルクスは最初、フォイエルバッハに従って、 ヘ
ーゲルの観念論を否定したのに、まもなく、『フォイエルバッハに関するテー
ゼ』で、それを修正した。今までの人間の活動的な側面は、観念論がとらえて
きた、唯物論にはそれが欠けていた、と。僕が気ついたのは、そういう古典的
哲学の出来事が一九七〇年代にもくりかえされたということです。ただし、僕
がそのことを自覚するようになったの は、九〇年代にカントをやるようにな
ってからですが。むしろ、七〇年代には、言語的活動の生産性に注目していた。
そのほうがすごいものに見えていたと思います。
渡部 確かにそう見えました。
______
柄谷 僕は若い時に、江藤淳のことを、文章を書く手本にしていたことがある
んですよ。同じ英文学出身だし、書くことにおいて影響を強く受けた。これ
も余談だけれど、江藤淳が亡くなった後、福田和也からおもしろい話を聞いた
ことがあります。江藤がこんなことをいっていたそうです。「柄谷くんという
のは実に無礼な男だ。しかし、文章はいい」(笑)。意外だなと思ってね。僕
はひとに、文章がいいというここで褒められたことがないし。おそらく彼は自
分自身の影を、僕の文章の中に見たんでしょうね。実際に僕は影響を受けてい
たから。
渡部 それはいい話ですね。( 略)
柄谷 吉本隆明には具体的なアドバイスをもらったことがあります。僕は大
学院に入ったとき、田端の駅の辺に下宿したのですが、ちょうど坂道を降りた
ところに吉本の家があることを知ったんです。それからちょくちょく訪ねてい
くようになった。彼は、僕に大体こういうことをいいました。「あなたは全部
の雑誌に書きなさい。『群像』や『文芸』だけでなく、『新潮』、『文學』に
も。全部に書けるようになった時、やっと一人前だといえる。自分にはそれが
できない。まず向うから依頼が来ないから。だけど本当は、どこからも依頼さ
れるようにならないといけない。小林秀雄や中野重治がそうでしょう」と。
渡部 それもいい話。それこそ、批評というものが生きていた証拠ですよ。
立場をこえて後進に期待がもてたということですね。
柄谷 吉本隆明はその頃、雑誌『試行』をはじめていたんだけれど、僕に『
試行』に書けとは、ひと言もいわなかったですね。そして、全部の雑誌に書け、
といったのです。そういうこともあって、江藤淳にしても吉本隆明にしても、
僕の中では一般に見られているイメージとはちょっと違う見方がありますね。
たとえば、吉本は丸山眞男のことを褒めていた。丸山は別格だといっていた。
渡部 今の批評家は、それだけのキャパを持ち得ないでしょうね。それにし
ても、いまの二つのエピソード、今日初めうかがいましたが感慨深いですね。
かつて、批評というのは、生きるに値するものだったということがよくわかり
ます。今だとなかなか、そうはなりません。
___
渡部 …『すばる』誌を拠点にして、この 「ゲンロン」に対抗しようとし
ているようですが、彼らにとっても柄谷さんが淵源。簡単にいうと、かつての
小林秀雄の位置に柄谷さんがいるわけです。どちらにも、蓮實重彦の影が薄い
のが、個人的には寂しい限りですか、その『すばる』組の言い分を僕なりに敷
衍すると、どうやら、柄谷さんがふたりいて、ひとりは理論的な柄谷であり、
もうひとりは実存的な柄谷である、と。大きくいえば、「マルクス的柄谷」と
「キルケゴール的柄谷」かな。そのマルクス方向は東さんが引き継いで、キ
ルケゴールの方向は山城むつみさんが引き継いでいる、となります。これは、
さほど間違った見方ではないとも思います。東さんは近頃、「観光」といっ
たキーワードで、理論的に批評を構築する。一方の山城さんは、小林秀雄風の
実存的な批評をやっている。それで今の若い三十代四十代ぐらいの世代は、東
派と山城派にわかれているようですよ。つまり、柄谷さんが持っていたものが
枝分れして、表面的に繁茂しているかにみえます(笑)。
柄谷 その場合、「マルクス系」の方は、あまりマルクス的ではないという
感じがするな。
ヘーゲル左派を生んだヘーゲルを想起させる。
参考:
意味という病
https://www.amazon.co.jp/dp/B000J9675Y/
柄谷 行人 (著)河出書房新社 (1975)
(ゲンロン所収の年表でも代表的に取り上げられている)
《 …面白いのは、その年表がまた柄谷さんの『意味という病』で始まってることです。僕の本と逆。で、結果的に、あちらとこちらを併せると、江戸後期から今日までが見渡せる格好になっています。もちろん、偶然ですが。》
(渡部直己の発言。『日本批評大全』刊行記念の柄谷行人との対談より 週刊読書人 20170303)
渡部は著書の最後に柄谷『日本近代文学の起源』を配置している。
https://search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=applpd&x=wrt&p=自然生長と目的意識+青野季吉
《自然生長と目的意識》(しぜんせいちょうともくてきいしき)とは - コトバンク
kotobank.jp/word/《自然生長と目的意識》-1330850
【青野季吉】より …以後《種蒔く人》《文芸戦線》を舞台に活発な批評活動を展開し,初期 プロレタリア文学運動の理論的な指導者となった。〈`調べた'芸術〉(1925),〈自然生長と 目的意識〉(1926)などの明確な論は,当時の無産者文学運動を方向づける大きな影響 ...
青野季吉(あおのすえきち)とは - コトバンク
kotobank.jp/word/青野季吉-24150
代表作は外在批評の提唱や闘争目的の自覚を説く『自然生長と目的意識』 (26) などで あるが,人民戦線事件 (38) で検挙されて転向。第2次世界大戦後は日本ペンクラブの 再建に努め,日本文芸家協会会長をつとめるなど,ヒューマニズムの立場から幅広い ...
辞書別に見る:日本大百科全書(ニッポニカ)-世界大百科事典 第2版
目的意識論争 ( その他文学 ) - 論争する文学 - Yahoo!ブログ
blogs.yahoo.co.jp>芸術と人文>文学>その他文学
目的意識論争」(1) =☆= 「論争する文学」第31回=☆ 青野季吉『自然成長と目的意識 』(文芸戦線・1926年9月号) (プロレタリア文学とプロレタリア文学運動との違い) 《 プロレタリア文学運動が起って来たのは、この四五年のことである。
岩波文庫
昭和篇
トップカスタマーレビュー
5つ星のうち 3.0基本的資料集
投稿者 芝楽朽渓 投稿日 2015/6/15
目次に注釈を添えておきます。
大宅壮一:文壇ギルドの解体期 ・・・大正15年12月「新潮」
谷崎潤一郎:饒舌録(抄) ・・・昭和2年3月「改造」 ・・・芥川・谷崎論戦
芥川竜之介:文芸的な、余りに文芸的な(抄) ・・・昭和2年4月「改造」 ・・・芥川・谷崎論戦 ・・・7/24 芥川の自殺
蔵原惟人:プロレタリヤ・レアリズムへの道 ・・・昭和3年5月「戦旗」創刊号 ・・・「ナップ」機関誌
中村武羅夫:誰だ?花園を荒らす者は! ・・・昭和3年6月「新潮」 ・・・反プロレタリア文芸
平林初之輔:政治的価値と芸術的価値 ・・・昭和4年3月「新潮」 ・・・「芸術的価値論争」の発端
宮本顕治:「敗北」の文学(抄) ・・・昭和4年8月「改造」 ・・・懸賞論文
小林秀雄:様々なる意匠 ・・・昭和4年9月「改造」 ・・・懸賞論文
伊藤整:新心理主義文学 ・・・昭和7年3月「改造」
杉山平助:文芸評論家群像(抄) ・・・昭和7年11月「改造」 ・・・(筆名:氷川烈)
・・・正宗白鳥、小林秀雄、大宅壮一、青野季吉、4名の分を本書には収録
三木清:シェストフ的不安について ・・・昭和9年9月「改造」 ・・・左翼運動衰退後の状況へ
中条百合子:冬を越す蕾 ・・・昭和9年12月「文芸」 ・・・転向論流行の状況へ
横光利一:純粋小説論 ・・・昭和10年4月「改造」 ・・・「文芸復興」の状況へ
正宗白鳥:トルストイについて ・・・昭和11年1月「読売新聞」 ・・・「思想と実生活論争」の発端
中野重治:閏二月二九日 ・・・昭和11年4月「新潮」 ・・・2・26事件後「中野・小林論争」の発端
高見順:描写のうしろに寝てゐられない ・・・昭和11年5月「新潮」 ・・・明治期以来のリアリズム描写への疑義
萩原朔太郎:日本への回帰 ・・・昭和12年12月「いのち」
保田与重郎:文明開化の論理の終焉について ・・・昭和14年1月「コギト」
花田清輝:錯乱の論理 ・・・昭和15年3月「文化組織」
他13篇
コメント 5人のお客様がこ
歌よみに与ふる書」(抄)正岡子規貫之は下手な歌よみにて古今集はくだらぬ集に有之候。「額祭書屋俳話」貧八九二年)、「俳諧大要」(九五年)などにより、俳句革新をなしとげた子規が、 つづいて、短歌の刷新をめざし、『日本』新聞紙上に掲げたマニフェスト。説くところは、俳句の場合と同様、「理窟」と「飾り」を退け、実景と実感を中心とした、いわゅる「歌俳同一」的な写実性の導入が、第一。短歌に固有な「調」については、『古今集』的な「なだらか」さ一辺倒を避け、むしろ、『万葉集』もしくは実朝歌にみる「迫りたる」調子に学べといった主張が、第二となる。革新者の王道的手法といってょい偶像破壊の威力は、芭蕉句にたいする俳論以上に、この歌論において爽快なまでに苛烈を極めるが、歌俳いずれの場合も、破壊者の舌鋒が、具体的引例とともに鋭さをます点に変わりはない。子規の批評が稀にみる成功を収めえたのは、分析対象の短さにある。当の俳句や短歌をまるごと引き寄せ、必要ならその場で添削してみせうるといったジャンルの特性が、大胆さと繊細さとが自砒に共存する子規の理路を鼓舞してくるのだ(たとえば、枕詞・序詞を「贅物」としながらも、人麿歌「足引の……」を例外とみなすセンスー)。この子規の「写実」志向が、さらに散文(「叙事文し へと伸びるとき、これが、言葉の長さと逆にどう延触するか? この点については、子規の言語世界を独自のデータベース(「俳句分類し作成の意義のもとに検討した小著『リアリズムの構造』の参覧にゆだねておく。
分類 俳句大観 | 日本図書センター
http://www.nihontosho.co.jp/2001/11/post-508.html
分類 俳句大観
分類 俳句大観
カタログPDF
内容見本
編著者
正岡子規
巻数
全12巻・別巻1
体裁
A5判・上製本・函入り・総約7,200頁
本体 揃:140,000円+税
ISBN 978-4-8205-9189-4
刊行年
2001年11月刊
歳時記の枠を超えた日本人の生活と心の百科全書である。
子規が情熱と時間をたっぷりとそそぎ込んだ大事業の復刻。
空前絶後の規模の俳句の宝庫。資料的価値も絶大。
俳句の伝統の豊饒さを今に伝える10万2千余句を収録した最大規模の類句集!
別巻「季題索引」付き!
豆腐や酒を詠んだ俳句にはどんなものがあるか。人間の喜怒哀楽はどんなふうに俳句に詠まれているか……子規が生命を削った俳句の宝庫に便利有益な別巻を増補し復刻!
アマゾンco.jphonto紀伊国屋書店三省堂書店MARUZEN JUNKUDOネットストアe-honセブンネットショッピング楽天Honya Club.com
底 本
『分類俳句全集』昭和3-4年・アルス刊
特 色
最大規模の類句集であり、室町時代の連歌の発句から江戸時代末期の俳諧の発句まで、十万二千余句収録。
主として四季の季語別に分類(甲号分類)し、それをさらに内容(題材)によって細別している。
別に建築・飲食・器物・外国品・人事・女流・地名・釈教(仏・鐘等)などの分類もあり(乙号分類)。
別巻として、検索の便をはかって五十音順の季題索引を新たに付し、各巻の目次をまとめ、解説(山下一海)をつけた。季題索引は例句さがしに抜群の威力あり。
*たとえば「梅」が、これまでの俳句にどのように詠まれてきたかといったことを知りたいとき、索引でみつけて第2巻の「梅」の項を開いてみると、二段組で百二十数ページにわたって二千数百句のさまざまな梅の句が並んでいる。しかもそれが「香と雨」「香と雪」「香と日と天空」「香と風と生物」「月と建築」といったぐあいに、取り合わせた材料によって、二百数十通りに細分されており、俳句における梅の句の詠まれかたが、おのずからわかってくる。便利この上もない。
各巻構成
第1巻:歳旦の部・春の部(上)
第2巻:春の部(中)
第3巻:春の部(下)
第4巻:夏の部(上)
第5巻:夏の部(中)
第6巻:夏の部(下)・秋の部(上)
第7巻:秋の部(中)
第8巻:秋の部(下)1
第9巻:秋の部(下)2・冬の部(上)
第10巻:冬の部(中)
第11巻:冬の部(下)・雑・乙号分類(上)
第12巻:乙号分類(下)・丙号分類
別 巻:総目次・季題索引・解説(山下一海)
●正岡子規(まさおか・しき)
慶応3年(1867)9月17日―明治35年(1902)9月19日。俳人・歌人・随筆家。愛媛県生まれ。本名常規(つねのり)、別号獺祭書屋主人・竹の里人など。明治28年、新聞『日本』の記者として日清戦後の金州旅順などを訪ねる。帰途船中で喀血、以後の文学活動のほとんどは病床でなされる。俳句革新を唱え、近代俳句の基礎をきずく。明治28年『日本』に連載の「俳諧大要」は、俳句の文学性を強調した。明治31年には松山で創刊の『ほとゝぎす』を東京に移し、子規は刊行に全面的に尽力。また、明治31年「歌よみに与ふる書」を『日本』に連載し短歌革新にも着手。明治33年1月には「叙事文」を『日本』に連載、写生文を提唱。病床随筆『墨汁一滴』『仰臥漫録』『病牀六尺』他。俳論『俳諧大要』『行脚俳人芭蕉』他。
刊行のことば
山下一海(解説執筆者・鶴見大学教授)
子規はこの分類を、明治二十二、三年のころからはじめて、病気が重くなる明治三十三年のころまで続けた。文学史的に大きな出来事であった子規による蕪村の再評価もこの仕事に並行して行われたものである。これだけの大仕事の大半が病床でなされているわけだから驚くほかはない。子規はこのために文字通り生命を削った。この仕事の全体が子規の文学的な表現なのである。子規は俳句革新の理論家として知られているが、その背後にこれだけの作業がなされていたことは注目されなければならない。子規の俳句論の類いまれな説得力は、これだけの根気のいい仕事を基礎にすることによって生じたものである。
俳句を集めた書物として、これは空前絶後の規模のものである。室町時代の連歌の発句から、江戸時代末期の俳諧の発句まで、十万二千余句を収めている。主として四季の季語別に分類されているが、別に建築・器物・外国品・人事・女流・地名・釈教などという分類もなされている。採録した書物は、有名無名の連歌書・俳諧書数千にのぼる。なかにはその後湮滅してしまったものもあるので、この書物自体の資料的な価値も多大である。
各社の歳時記が編纂されるとき、今でもこの書はなくてかなわぬものであるし、うろ覚えの名句なども、季語を手掛かりにたやすく検索することができる。現代の俳句愛好家の座右に置かれて、俳句の伝統の豊饒さを今に伝える有益なものとなるに違いない。歴史的であり、かつ現役として役に立つこの書物が新装成って江湖に提供されることを大いなる慶びとしたい。
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