http://www.freeassociations.org/
economics12 (@cool_warm) | |
清滝先生といえば、清滝-ムーアのクレジットサイクルが有名。簡単にいうと、金融システムの不安が経済に大きな打撃を与えるというもの。竹森先生の「経済論戦は甦る」や、清水谷先生の「期待と不確実性の経済学」☆☆では、日本のバブル崩壊後の影響を説明する際にこのモデルを引用している。
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土地や住宅などの資産を担保にお金を借りられる経済では、資産価格の変動が信用市場と経済活動に与える影響を増幅し、しかもその影響は長期間続く――清滝らはこの現象を理論的に証明した。バブル崩壊後の日本の「失われた10年」を説明する理論であり、08年のアメリカ発金融危機も説明できるとして引っ張りだこになった。
登録情報
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「ショック」が及ぼす効果
企業家 投資家 地価の動き
今期 土地の担保価値低下
↙︎
企業家への融資額減少
↙︎
土地に対する投資減少
↘︎
土地の遊休化 →地価下落
↓
来期 土地の担保価値低下
↙︎
企業家への融資額減少
↙︎
土地に対する投資減少
↘︎
地価下落予想 → 地価下落
↓
実際に世の中に出回っているお金の指標にマネーサプライというのがあるのですが、
マネーサプライ=「現金」+「普通預金」+「当座預金」+「定期預金」+「外貨預金」+「譲渡性預金(CD)」
の総合計でして、現在約900兆円ぐらいです。この残高が増えないとインフレや
円安にならないと言われており、今まで、白石前日銀総裁もマネタリーベースを増やしてきたのですが、マネーサプライがほとんど増えなかったので、
デフレの現状が続いているということでした。今回、黒田総裁はマネタリーベースをちびちびと増やすのではなく、皆がびっくりするほどの規模で増やすということで、
インフレ期待感をあおり、マネーサプライを増やそうとしているのです。マネーサプライには銀行の信用創造分が加味されており、例えば、Aが100円を銀行に預金し、
銀行がそのお金をBに貸し出すとマネーサプライは200円となります。Bがまたこのお金を預金して銀行がCに貸し出すとマネーサプライはAの預金100円、Bの預金100円、Cの現金100円で300円になります。100円のベースマネーが300円の
マネーサプライとなるのです。ようするに経済が活性化してお金が世の中をぐるぐる回り、
銀行貸出が増えるとマネーサプライが増えるのです。そのために規制緩和等の第2第3の矢を放つと安部政権は言っておるのですが、これが本当にできるかどうかがポイントになってきます。
ものすごく大きな石を動かそうと白川前総裁が押していたのですが、全然動かないので、黒田総裁がどかんと動かしたと言う状況です。
これが適度な速さで動いてくれれば良いのですが、
制御を間違えると加速していき、今度は止めることが出来なくなるかもしれません。
その結果お金の価値が半分になるということはあるのかもしれません。
日銀はお金を刷れるのでどこからも持ってきません。当座預金の残高の数字を増やすだけです。引き出されてお札が必要な場合はお札を刷るだけです。
マネタりーベースが2倍になってもマネーサプライは2倍にはなりません。マネーサプライ(マネーストック)が2倍になればお金の価値は半分になります。
全要素生産性(ぜんようそせいさんせい)とは - コトバンク
kotobank.jp/word/全要素生産性-5295
全要素生産性ぜんようそせいさんせい. Total Factor Productivity. TFP。経済成長を供給面から分析すると、労働と資本という通常の生産要素と、それらの要素でははかれない技術革新などの要因があるが、後者のことをいう。
1994年(平成6)版の経済白書 ...
野村證券 | TFP(証券用語解説集)
www.nomura.co.jp/terms/english/other/A02825.html
全要素生産性(Total Factor Productivity、TFP)の略称。経済成長(GDP成長)を生み出す要因のひとつで、資本や労働といった量的な生産要素の増加以外の質的な成長要因のこと。技術進歩や生産の効率化などがTFPに該当する。TFPは直接計測することが ...
経済ショックが生産性低下の循環を招く「清滝・ムーアモデル」を構築した米プリンストン大 清滝信宏教授 - NAVER まとめ
https://matome.naver.jp/odai/2144391944739076401
土地や住宅などの資産を担保にお金を借りられる経済では、資産価格の変動が信用市場と経済活動に与える影響を増幅し、しかもその影響は長期間続く――清滝らはこの現象を理論的に証明した。バブル崩壊後の日本の「失われた10年」を説明する理論であり、08年のアメリカ発金融危機も説明できるとして引っ張りだこになった。
清滝教授が主張してきた「清滝=ムーア クレジットサイクル」という学説
出典
livedoor.blogimg.jp
清滝教授が主張してきた「清滝=ムーア クレジットサイクル」という学説
「清滝=ムーア」モデルが優れているのは3つの数式に簡略化できるシンプルさだ。研究者は独自の変数(賃金や価格など)を追加して、持論を検証したり政策をシミュレーションすることができる。
4·
信用と景気循環
203
右辺は企業家の土地·工場1単位当りの生産物から,
工場の利子·減
である·
価償却費を差し引いた値に等しい.
203頁
資源配分が効率的となる条件は,企業家の土地の限界生産が資産家の土地の
限界生産と等しくなることである (図5の点C), しかしこのモデルの経済の
均衡では,企業家の信用が制約されているために,企業家の土地の限界生産が
資産家のそれを上回る (図5の点E),つまり,企業家の土地が効率的な配分
比べて過小となっている(K*<K0).経済全体の生産量は限界生産の曲線の
の面積で表されるので, この経済の定常的均衡では総生産量が,効率的な配
に比べて図のCDEの斜線の部分だけ小さくなっている. また定常的均衡の
近傍で,企業家の土地 Ktが増加すると,生産量の損失CDEが小さくなり,総
生産量Yt+1が増加する.
から将来
点)にお
発散しな
(25)
生産量
+1が増加する。
示すると
土地は右
産を表
地の限
次に,企業家の生産性が突然一時的に変化したとき,均衡で何が起こるか考
察しよう。仮にt-1期には経済は定常的均衡にあったとして, t期において企
業家の生産性が一時的に だけ, t-1期の予想に反して上昇し, t+1期以降
にはもとの水準に戻ったとしよう·動学的均衡における地価·企業家の土地.
負債の径路(qr, K,, Br),a:は(20), (21), (24)式によって特徵づけられる
が, t-1期における(24)式だけは予期しない変化のために事後的に成立しな
い, その替り地価atは, (25)式を満たし定常的均衡に収束するような径路の
上に急上昇することになる数学的な分析はKiyotaki-Moore (1993) を参照
することにして,本論では直観的な説明を行なうio), t期において企業家の生
E
(26)
10)
t-1期における
(24)
式から,
Q1は
(24')
となる. (24')式を(20, (21)式のQ1に代入すると, K.とBtはq,-, Kt-1,B-1の関数となり,
式と合わせる
(24')
この差分方程式を定常的均衡の近傍で線型
e,
(q,,K, B.)の非線型差分方程式となる.
近似すると,
at-i-q
Bt-B
Bi-1-B
となる、たたしJはジ
件の下で
Jの固有値の1つはRに等しく,
素数となる.
他の2つの固有値は一定の条
したがってこの勤学系は鞍点解となり. K., Bt-1を
ャコピアンで.
絶対値が1より小さ1、複
式を満たして
,
与とす
唯一の鞍点径路が存在する
ると、
る.
まる
(25)
また
定常的均衡に循環しながら収束する,
(24')式は前期の時
点(1-1期)で満たされるとは限らず,
q'は鞍点径路上に乗るよ
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34111020T10C18A8TCR000?unlock=1&s=4
リーマン後10年、次の危機は(時論)
清滝信宏氏
2018年8月14日 2:00
米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻してから9月で10年を迎える。世界中に広がった金融危機の記憶は薄れつつあるものの、米中の貿易戦争など次なる危機への懸念も生じている。財政再建の進まない日本も含め、今後起こりうるリスクへの備えは十分か。金融危機の経済分析で世界的に知られる米プリンストン大の清滝信宏教授に聞いた。
貿易戦争、金融に波及も
――2008年8月、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題について「適切な政策で危機は回避できる」と本紙「経済教室」に書きました。
「直感でそう書いたが、将来のことは分からない。07年夏から米連邦準備理事会(FRB)は短期金融市場に流動性を供給するなど様々な政策により危機を封じ込めようとしていた。その方向は間違っていなかったが、08年9月にリーマンを破綻させたのは予想外だった。同年3月に米当局は証券大手のベア・スターンズを救済し、世論の批判を浴びていた。政治的なプロセスはよく分からないが、当局が金融大手を続けて救済するのはまずいと思ったのではないか」
――リーマン破綻以降、米当局は大規模な資産買い入れなど非伝統的な政策に踏み切った。
「市場の流動性が枯渇する金融危機の際には、リスク資産と安全資産の間のスプレッド(利回りの差)が大きくなる。FRBがリスク資産を買い取ることでスプレッドを抑えたのは市場の不安を和らげるための措置として適切だった。さらに当局は流動性の高い資産を供給する代わりに低い資産を買い取ることで、後々利益を得られる。実際、FRBは09~10年に過去最高の利益を国庫に納入した」
――日米欧の対応にはどのような違いがあったと考えますか。
「米当局の対応は90年代の日本に比べると迅速だった。危機に陥った金融機関への資本注入などは同じようだったが、タイミングが圧倒的に早かった。さらに欧州と比べて政策への信頼も厚かった。FRBが09年に大手銀の健全性を評価した資産査定(ストレステスト)を公表すると、直後から各種の金融指標が安定した。欧州のストレステストがなかなか市場の信頼を得られなかったのとは対照的だ」
「米当局が迅速かつ信頼性の高い政策を打ち出せた要因は2つある。一つは資本市場が高度に整備されていたため、証券化されたローンの価値が評価しやすかった。もう一つは資産評価や審査を担う当局の人数が非常に多かったためだ」
――10年制定の米金融規制改革法(ドッド・フランク法)などにより次の危機は封じ込められますか。
「危機の引き金となった投資銀行をはじめ、大銀行への規制は大幅に強化された。自己資本を厚く積ませるだけでなく、仮に破綻したときも混乱を引き起こさないように手続きを明確化した。大銀行については危機前よりも安全になった」
――次の危機の芽はなんでしょうか。
「貿易戦争がエスカレートするのを心配している。米トランプ政権が自動車や関連部品の輸入に多大な関税を課したら大変なことになる。貿易関税が上がればインフレ要因となり、米財政も拡張気味だからFRBはさらに金利を上げるだろう。それらのショックが為替の混乱や株価の下落を通じて金融システムに及ぶ可能性がある。いわば相乗効果の危機だ。実際に米国の利上げの影響もあって、一部の新興国では資本流出が起きかけている」
日本、財政破綻へ備えを
――日本は約20年前に金融危機に直面し、リーマン危機を迎えました。
「日本は90年代のバブル崩壊以降、生産性が伸びていない。技術革新が停滞しているだけでなく、人的資本の蓄積が進んでいない可能性がある。かつての日本企業は若い人を雇ってがっちり訓練していた。長引く不況で新規採用を削り続けた結果、熟練労働は継承されず、人的資本の蓄積も進まなくなった」
「中途採用の拡大で企業が『コストをかけて訓練しても辞められてしまうので訓練しない』という意識になった。そうなると自己負担で向上するしかないが、誰もができるわけではない。成功者と失敗者、経営者と被雇用者などの格差が大きくなった。雇用流動性が高くなるのはある程度は仕方ない現象だが、日本は金融危機が労働市場の変化に結びついたパターンだ」
――アベノミクスをどう評価しますか。
「安倍政権と黒田日銀は多少のリスクはあってもデフレを止めるという政策にかじを切った。デフレが止まってインフレになれば長期債の価格が下がり、金融機関などに損失が出る恐れがある。しかしインフレによる金利上昇で利子所得が増えれば5~6年で損失は解消できる。そのような考え方は間違っていない」
「政策がうまくいっていないという人もいるが、安倍政権の前は物価はマイナス1%からゼロ近傍だった。それがゼロからプラス1%の間に収まるようになったのだから、政策目標は半分くらい達成した。デフレは少なくとも止めたと言える」
――金融政策は今後どう展開すべきでしょう。
「2%の物価上昇率を達成する目標はあきらめる必要はないが、無理して2%にこだわる必要はない。1%の上昇率を2%に高める利益は、マイナス1%をプラスにする利益よりは小さいからだ。物価上昇率はプラス1~2%に収まっていればいい」
「一方で日銀が導入したマイナス金利には副作用がある。金融機関の収益を圧迫するだけでなく、資源配分をおかしくしてしまう。例えば相続税対策のアパート建設に金融機関が貸し込んでいることがその兆候だ。社会的に有用な投資とはいえず、ゆがみを生んでいる。マイナス金利はそろそろ解除すべきだろう」
――日本の財政は持続可能ですか。
「かなり危ない。財政破綻に備えたコンティンジェンシープラン(緊急時の対応計画)を作り、国民の合意を取り付けるべきだ。プランは支出カット、税収増、インフレによる国債減価という3つの政策をどのような割合で発動するかがポイントになる」
「支出カットと税収増の双方に効くのは定年延長で長く働いてもらうことだ。年金の支給期間を短くし、元気な高齢者に働いて税金も納めてもらうことが基本になる。ただし雇用形態が多様になっているので、所得の捕捉は難しい。税収増には消費増税も欠かせない」
「財政破綻への対応で重要なのは、病気などで衰えた人にも最低限の生活を保障することだ。まずは憲法が定める『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』を国民に確保すること。それ以上は資本主義国家なのだから、自分でがんばれというのが原則だ」
――そのような困難な状況は起こりますか。
「やがて外国人が大量に国債を買う時がくる。日本の貯蓄率がどんどん下がり、自国だけでは債務の償還や借り換えが間に合わなくなるからだ。外国人は低金利では国債を買わない。そこで金利の急上昇を引き金として財政危機がやってくる。低金利や高い貯蓄率がいつまでも続くとは考えない方がいい」
――未然に防ぐ手立てはありませんか。
「財政の持続可能性は政府の責任だ。金利が上昇したときに日銀に国債を買わせて上昇を抑えるなど無理なこと。財政の持続可能性について長期的なメドを立てるしかない。19年10月に予定される消費増税はやるべきだ」
ノーベル経済学賞の呼び声
きよたき・のぶひろ 1978年に東大経済学部を卒業後、85年に米ハーバード大博士。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)教授などを経て2006年から現職。専門は金融理論とマクロ経済学。金融危機が資産価格の下落を通じて実体経済に波及する過程を理論化した「清滝=ムーア・モデル」などで世界的に知られる。10年以降は日本人として初めてノーベル経済学賞を受賞するか注目されている。大阪府出身、63歳。
◇ ◇
〈聞き手から〉政策決定、理論家と対話を
「金融パニックの経済モデル」「FRBによる流動性供給の量的評価」――。清滝氏は近年発表した論文でも10年前の金融危機を研究対象としている。「昔は『そんなの重要なのか』と言われていたが、今は話を聞いてくれるようになった」。危機前から金融ショックの重要性を論じ続けてきた自負がのぞく。
金融危機後、FRBや国際決済銀行は清滝氏が重視するレバレッジ(負債依存度)や流動性に関する規制強化を進めた。有限責任監査法人トーマツの大山剛パートナーは「清滝氏の理論モデルは新たな規制のバックボーンの一つとなった」と話す。
清滝氏はインタビューで、07年以降にニューヨーク連銀の担当者と市場介入の手法について意見交換した経験も明かした。理論の構築にとどまらず、政策形成の現場に赴く行動派の顔も見せる。一方で大規模な資産買い入れなど異例の政策に踏み切った米当局が、理論家とも積極的な対話の場を持っていた側面もうかがわせて興味深い。
日本はどうか。安倍政権下の経済財政諮問会議は14年以降、政策コメンテーターと呼ばれる有識者から意見を吸い上げている。しかし消費増税の判断など重大な局面に「有識者の議論が反映されたとは言いがたい」(鶴光太郎・慶大教授)。政策コメンテーターを務める清滝氏は今回、日本財政の危機的な状況に警鐘を鳴らした。政策決定を官邸に一元化するだけでなく、外部との開かれた対話に臨む柔軟性が問われている。
(高橋元気、高見浩輔)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34111020T10C18A8TCR000?unlock=1&s=4
リーマン後10年、次の危機は(時論)
清滝信宏氏
2018年8月14日 2:00
米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻してから9月で10年を迎える。世界中に広がった金融危機の記憶は薄れつつあるものの、米中の貿易戦争など次なる危機への懸念も生じている。財政再建の進まない日本も含め、今後起こりうるリスクへの備えは十分か。金融危機の経済分析で世界的に知られる米プリンストン大の清滝信宏教授に聞いた。
貿易戦争、金融に波及も
――2008年8月、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題について「適切な政策で危機は回避できる」と本紙「経済教室」に書きました。
「直感でそう書いたが、将来のことは分からない。07年夏から米連邦準備理事会(FRB)は短期金融市場に流動性を供給するなど様々な政策により危機を封じ込めようとしていた。その方向は間違っていなかったが、08年9月にリーマンを破綻させたのは予想外だった。同年3月に米当局は証券大手のベア・スターンズを救済し、世論の批判を浴びていた。政治的なプロセスはよく分からないが、当局が金融大手を続けて救済するのはまずいと思ったのではないか」
――リーマン破綻以降、米当局は大規模な資産買い入れなど非伝統的な政策に踏み切った。
「市場の流動性が枯渇する金融危機の際には、リスク資産と安全資産の間のスプレッド(利回りの差)が大きくなる。FRBがリスク資産を買い取ることでスプレッドを抑えたのは市場の不安を和らげるための措置として適切だった。さらに当局は流動性の高い資産を供給する代わりに低い資産を買い取ることで、後々利益を得られる。実際、FRBは09~10年に過去最高の利益を国庫に納入した」
――日米欧の対応にはどのような違いがあったと考えますか。
「米当局の対応は90年代の日本に比べると迅速だった。危機に陥った金融機関への資本注入などは同じようだったが、タイミングが圧倒的に早かった。さらに欧州と比べて政策への信頼も厚かった。FRBが09年に大手銀の健全性を評価した資産査定(ストレステスト)を公表すると、直後から各種の金融指標が安定した。欧州のストレステストがなかなか市場の信頼を得られなかったのとは対照的だ」
「米当局が迅速かつ信頼性の高い政策を打ち出せた要因は2つある。一つは資本市場が高度に整備されていたため、証券化されたローンの価値が評価しやすかった。もう一つは資産評価や審査を担う当局の人数が非常に多かったためだ」
――10年制定の米金融規制改革法(ドッド・フランク法)などにより次の危機は封じ込められますか。
「危機の引き金となった投資銀行をはじめ、大銀行への規制は大幅に強化された。自己資本を厚く積ませるだけでなく、仮に破綻したときも混乱を引き起こさないように手続きを明確化した。大銀行については危機前よりも安全になった」
――次の危機の芽はなんでしょうか。
「貿易戦争がエスカレートするのを心配している。米トランプ政権が自動車や関連部品の輸入に多大な関税を課したら大変なことになる。貿易関税が上がればインフレ要因となり、米財政も拡張気味だからFRBはさらに金利を上げるだろう。それらのショックが為替の混乱や株価の下落を通じて金融システムに及ぶ可能性がある。いわば相乗効果の危機だ。実際に米国の利上げの影響もあって、一部の新興国では資本流出が起きかけている」
日本、財政破綻へ備えを
――日本は約20年前に金融危機に直面し、リーマン危機を迎えました。
「日本は90年代のバブル崩壊以降、生産性が伸びていない。技術革新が停滞しているだけでなく、人的資本の蓄積が進んでいない可能性がある。かつての日本企業は若い人を雇ってがっちり訓練していた。長引く不況で新規採用を削り続けた結果、熟練労働は継承されず、人的資本の蓄積も進まなくなった」
「中途採用の拡大で企業が『コストをかけて訓練しても辞められてしまうので訓練しない』という意識になった。そうなると自己負担で向上するしかないが、誰もができるわけではない。成功者と失敗者、経営者と被雇用者などの格差が大きくなった。雇用流動性が高くなるのはある程度は仕方ない現象だが、日本は金融危機が労働市場の変化に結びついたパターンだ」
――アベノミクスをどう評価しますか。
「安倍政権と黒田日銀は多少のリスクはあってもデフレを止めるという政策にかじを切った。デフレが止まってインフレになれば長期債の価格が下がり、金融機関などに損失が出る恐れがある。しかしインフレによる金利上昇で利子所得が増えれば5~6年で損失は解消できる。そのような考え方は間違っていない」
「政策がうまくいっていないという人もいるが、安倍政権の前は物価はマイナス1%からゼロ近傍だった。それがゼロからプラス1%の間に収まるようになったのだから、政策目標は半分くらい達成した。デフレは少なくとも止めたと言える」
――金融政策は今後どう展開すべきでしょう。
「2%の物価上昇率を達成する目標はあきらめる必要はないが、無理して2%にこだわる必要はない。1%の上昇率を2%に高める利益は、マイナス1%をプラスにする利益よりは小さいからだ。物価上昇率はプラス1~2%に収まっていればいい」
「一方で日銀が導入したマイナス金利には副作用がある。金融機関の収益を圧迫するだけでなく、資源配分をおかしくしてしまう。例えば相続税対策のアパート建設に金融機関が貸し込んでいることがその兆候だ。社会的に有用な投資とはいえず、ゆがみを生んでいる。マイナス金利はそろそろ解除すべきだろう」
――日本の財政は持続可能ですか。
「かなり危ない。財政破綻に備えたコンティンジェンシープラン(緊急時の対応計画)を作り、国民の合意を取り付けるべきだ。プランは支出カット、税収増、インフレによる国債減価という3つの政策をどのような割合で発動するかがポイントになる」
「支出カットと税収増の双方に効くのは定年延長で長く働いてもらうことだ。年金の支給期間を短くし、元気な高齢者に働いて税金も納めてもらうことが基本になる。ただし雇用形態が多様になっているので、所得の捕捉は難しい。税収増には消費増税も欠かせない」
「財政破綻への対応で重要なのは、病気などで衰えた人にも最低限の生活を保障することだ。まずは憲法が定める『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』を国民に確保すること。それ以上は資本主義国家なのだから、自分でがんばれというのが原則だ」
――そのような困難な状況は起こりますか。
「やがて外国人が大量に国債を買う時がくる。日本の貯蓄率がどんどん下がり、自国だけでは債務の償還や借り換えが間に合わなくなるからだ。外国人は低金利では国債を買わない。そこで金利の急上昇を引き金として財政危機がやってくる。低金利や高い貯蓄率がいつまでも続くとは考えない方がいい」
――アベノミクスをどう評価しますか。
「安倍政権と黒田日銀は多少のリスクはあってもデフレを止めるという政策にかじを切った。デフレが止まってインフレになれば長期債の価格が下がり、金融機関などに損失が出る恐れがある。しかしインフレによる金利上昇で利子所得が増えれば5~6年で損失は解消できる。そのような考え方は間違っていない」
「政策がうまくいっていないという人もいるが、安倍政権の前は物価はマイナス1%からゼロ近傍だった。それがゼロからプラス1%の間に収まるようになったのだから、政策目標は半分くらい達成した。デフレは少なくとも止めたと言える」
――金融政策は今後どう展開すべきでしょう。
「2%の物価上昇率を達成する目標はあきらめる必要はないが、無理して2%にこだわる必要はない。1%の上昇率を2%に高める利益は、マイナス1%をプラスにする利益よりは小さいからだ。物価上昇率はプラス1~2%に収まっていればいい」
「一方で日銀が導入したマイナス金利には副作用がある。金融機関の収益を圧迫するだけでなく、資源配分をおかしくしてしまう。例えば相続税対策のアパート建設に金融機関が貸し込んでいることがその兆候だ。社会的に有用な投資とはいえず、ゆがみを生んでいる。マイナス金利はそろそろ解除すべきだろう」
――日本の財政は持続可能ですか。
「かなり危ない。財政破綻に備えたコンティンジェンシープラン(緊急時の対応計画)を作り、国民の合意を取り付けるべきだ。プランは支出カット、税収増、インフレによる国債減価という3つの政策をどのような割合で発動するかがポイントになる」
「支出カットと税収増の双方に効くのは定年延長で長く働いてもらうことだ。年金の支給期間を短くし、元気な高齢者に働いて税金も納めてもらうことが基本になる。ただし雇用形態が多様になっているので、所得の捕捉は難しい。税収増には消費増税も欠かせない」
「財政破綻への対応で重要なのは、病気などで衰えた人にも最低限の生活を保障することだ。まずは憲法が定める『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』を国民に確保すること。それ以上は資本主義国家なのだから、自分でがんばれというのが原則だ」
――そのような困難な状況は起こりますか。
「やがて外国人が大量に国債を買う時がくる。日本の貯蓄率がどんどん下がり、自国だけでは債務の償還や借り換えが間に合わなくなるからだ。外国人は低金利では国債を買わない。そこで金利の急上昇を引き金として財政危機がやってくる。低金利や高い貯蓄率がいつまでも続くとは考えない方がいい」
――未然に防ぐ手立てはありませんか。
「財政の持続可能性は政府の責任だ。金利が上昇したときに日銀に国債を買わせて上昇を抑えるなど無理なこと。財政の持続可能性について長期的なメドを立てるしかない。19年10月に予定される消費増税はやるべきだ」
ノーベル経済学賞の呼び声
きよたき・のぶひろ 1978年に東大経済学部を卒業後、85年に米ハーバード大博士。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)教授などを経て2006年から現職。専門は金融理論とマクロ経済学。金融危機が資産価格の下落を通じて実体経済に波及する過程を理論化した「清滝=ムーア・モデル」などで世界的に知られる。10年以降は日本人として初めてノーベル経済学賞を受賞するか注目されている。大阪府出身、63歳。
◇ ◇
〈聞き手から〉政策決定、理論家と対話を
「金融パニックの経済モデル」「FRBによる流動性供給の量的評価」――。清滝氏は近年発表した論文でも10年前の金融危機を研究対象としている。「昔は『そんなの重要なのか』と言われていたが、今は話を聞いてくれるようになった」。危機前から金融ショックの重要性を論じ続けてきた自負がのぞく。
金融危機後、FRBや国際決済銀行は清滝氏が重視するレバレッジ(負債依存度)や流動性に関する規制強化を進めた。有限責任監査法人トーマツの大山剛パートナーは「清滝氏の理論モデルは新たな規制のバックボーンの一つとなった」と話す。
清滝氏はインタビューで、07年以降にニューヨーク連銀の担当者と市場介入の手法について意見交換した経験も明かした。理論の構築にとどまらず、政策形成の現場に赴く行動派の顔も見せる。一方で大規模な資産買い入れなど異例の政策に踏み切った米当局が、理論家とも積極的な対話の場を持っていた側面もうかがわせて興味深い。
日本はどうか。安倍政権下の経済財政諮問会議は14年以降、政策コメンテーターと呼ばれる有識者から意見を吸い上げている。しかし消費増税の判断など重大な局面に「有識者の議論が反映されたとは言いがたい」(鶴光太郎・慶大教授)。政策コメンテーターを務める清滝氏は今回、日本財政の危機的な状況に警鐘を鳴らした。政策決定を官邸に一元化するだけでなく、外部との開かれた対話に臨む柔軟性が問われている。
(高橋元気、高見浩輔)
リーマン後10年、次の危機は(時論): 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO34111020T10C18A8TCR000
リーマン後10年、次の危機は(時論)
清滝信宏氏
2018年8月14日 2:00
米プリンストン大教授
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米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻してから9月で10年を迎える。世界中に広がった金融危機の記憶は薄れつつあるものの、米中の貿易戦争など次なる危機への懸念も生じている。財政再建の進まない日本も含め、今後起こりうるリスクへの備えは十分か。金融危機の経済分析で世界的に知られる米プリンストン大の清滝信宏教授に聞いた。
貿易戦争、金融に波及も
――2008年8月、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライ
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768 名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 2020/09/22(火) 22:08:38.75 ID:T00FFYzc
766
(記者)「日本の財政は持続可能ですか?」
2018
(清滝教授)「かなり危ない。財政破綻に備えたコンティンジェンシープラン(緊急時の対応計画)を作り、国民の合意を取り付けるべきだ。プランは支出カット、税収増、インフレによる国債減価という3つの政策をどのような割合で発動するかがポイントになる」
(記者)「未然に防ぐ手立てはありませんか」
(清滝教授)「財政の持続可能性は政府の責任だ。金利が上昇したときに日銀に国債を買わせて上昇を抑えるなど無理なこと。財政の持続性について長期的なめどを立てるしかない」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34111020T10C18A8TCR000/
769 名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 2020/09/22(火) 22:13:45.69 ID:T00FFYzc
続き
「財政破綻への対応で重要なのは、病気などで衰えた人にも最低限の生活を保障することだ。
まずは憲法が定める『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』を国民に確保すること。
それ以上は資本主義国家なのだから、自分でがんばれというのが原則だ」
――そのような困難な状況は起こりますか。
「やがて外国人が大量に国債を買う時がくる。日本の貯蓄率がどんどん下がり、自国だけでは債務の償還や借り換えが間に合わなくなるからだ。
外国人は低金利では国債を買わない。
そこで金利の急上昇を引き金として財政危機がやってくる。
低金利や高い貯蓄率がいつまでも続くとは考えない方がいい」
――未然に防ぐ手立てはありませんか。
「財政の持続可能性は政府の責任だ。
金利が上昇したときに日銀に国債を買わせて上昇を抑えるなど無理なこと。
財政の持続可能性について長期的なメドを立てるしかない。
19年10月に予定される消費増税はやるべきだ」
日本人の貯蓄で国債買ってるのかー(棒
金利の上昇局面で金融緩和しても利下げできないのかー(棒
ところでスヴェンソンは副総裁ではないでしょうか。
http://www.riksbank.com/templates/Page.aspx?id=26735