土曜日, 3月 17, 2018

『経済学原理論 』上下 鈴木鴻一郎 1960,1962:目次


                       (マルクスリンク:::::::::

『経済学原理論 』上下 鈴木鴻一郎 1960,1962

http://nam-students.blogspot.jp/2018/03/blog-post_17.html@


宇野弘蔵と弁証法:メモ

http://nam-students.blogspot.jp/2014/12/blog-post_13.html
岩井克人『資本主義を語る』
http://tetsusala.seesaa.net/article/400611103.html
(「貨幣の起源」に関して、柄谷行人氏との対談『貨幣・言語・数』の中で、岩井氏は次のようなことを語っています。)文庫版197-9頁
《柄谷 …震撼させられたという思いがしたのは、マルクスではなくて、鈴木鴻一郎の『経済学原理論』だった。…ぼくのマルクスの読み方は、宇野弘蔵よりも鈴木鴻一郎を経由しているもので、はじめから「信用」の問題なんです。
岩井 ぼくは、鈴木鴻一郎の講義を一度聞いて、マルクス経済学をやめたんですよ(笑)。
柄谷 ぼくは、講義なんか一度も出ていないもの(笑)。…
岩井 …ぼくがやったというのは、結局、鈴木鴻一郎のいう信用過程が終わって後ろからすべてを見直して、信用過程を最初の流通過程にくり込んだということな のかもしれません。マルクスの場合、「労働価値説」という不可能性のコアをもっていて、「真理」への到達がつねに遅れてしまうから、どうしても俗な意味で の「弁証法的」な展開をしてしまうわけです。ぼくの場合は、その「労働価値説」という不可能性のコアがないから、無限の時間を、無限そのものを今ここで実 体化している「貨幣」の問題の一つの派生的な問題として処理することができたわけです。…》



柄谷行人『資本論』を語る - 本と奇妙な煙

http://d.hatena.ne.jp/kingfish/20090605


柄谷行人 政治を語る―シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する〈1〉 (シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する 1)

作者: 柄谷行人,小嵐九八郎

出版社/メーカー: 図書新聞

発売日: 2009/04

『資本論』は資本主義経済が「信用の体系」だということを論じている

[試験のために読んだ]鈴木鴻一郎の『経済学原理』で、はじめてその体系性がわかったのです。

 ふつう『資本論』というと、第一巻・第二巻しか読まないですね。ルカーチもアルチュセールも、第三巻を読んでいない。少なくとも精読していないということは明らかです。じつは僕もそうだった。試験があるから、精読してはじめて『資本論』が体系的な著作であることに気づいたのです。

 第三巻は信用過程を論じています。第一巻・第二巻しか読まないと、『資本論』が、資本主義経済が「信用の体系」だということを論じていることがわからないのです。ふつうは、第一巻を読んで、資本は労働者から剰余価値を搾取しているというようなことで、資本主義を理解する。そして、マルクスはそういうことを書いているのだと思う。しかし、その程度のことなら、マルクス以前のリカード左派の人たちが書いています。彼らは「搾取」や「賃金奴隷」という言葉も使っていた。マルクスの独自性は、そういうところにはないのです。

(略)

たとえば、ある商品が、実際に売れるまで待っていたのでは、つぎの生産ができない。だから、売れたことにして、事を進める。その時に、手形が使われます。これが信用です。

 信用によって、交換が増大し拡大する、だから、資本主義経済は、根本的に信用にもとづくのです。資本主義経済は、無数の信用の関係の網目からできている。そこに、いったんほころびができると、がたがたになる。それが「危機」(恐慌)です。信用にもとづくヴァーチャルな世界が壊れるからです。もっとも、これによって資本主義が崩壊するわけではない。不況になるだけです。その間に不良企業が淘汰される。そして、徐々に好況に向かう。

社会主義は、倫理的な問題だ

 一般にマルクス主義者は、恐慌は資本主義の崩壊、社会主義の到来をもたらすと考えますが、宇野弘蔵はちがった。彼は、『資本論』に書かれているのは、恐慌の必然性である、しかし、それは革命の必然性や社会主義の必然性ではないのだ、といったわけです。資本主義は、「労働力商品」という特殊な商品にもとづくので、恐慌や不況を避けることができない。しかし、宇野は、資本主義経済から社会主義が必然的に出てくるものではない、と考えた。社会主義は、倫理的な問題だ。つまり、各人の自由な選択の問題だ、と。

 僕は、社会主義が実践的(倫理的)な問題だ、という宇野の考えに影響を受けましたね。それをずっと考えてきた。宇野の考えはマルクスというより、カントから来ていると僕は思う。そのことに気づいたのはだいぶあとで、僕が『トランスクリティーク――カントとマルクス』を書きはじめた1990年ごろですね。

(略)

[宇野の『経済原論』は必須科目、左翼でない者もそれを学んで、官庁や大企業に行った]

 宇野がいったのは、君らは何をしてもよい、しかし、資本主義には根本的な弱点がある、恐慌は不可避的だ、それを覚えておけ、ということです。宇野経済学を学んだ官僚や企業幹部が、その後それをどう活かしたかは知りませんけど、市場経済万能論を学んだ人たちよりはましでしょうね。いまのように恐慌が起こると、途端にうろたえ、資本主義が終わる、なんていって騒ぐ人がいますが、資本主義が自動的に終わることはない。国家と資本は何をしてでも生き延びようとしますから。



経済学原理論. 上 著者 鈴木鴻一郎 1960



経済学原理論. 上
著者
鈴木鴻一郎 編
出版者
東京大学出版会
出版年月日
1960
シリーズ名
経済学大系 ; 第2,3

経済学原理論 [128]

経済学大系2/経済学原理論上巻 目次

経済学原理論 上巻

はしがき

・序論/p3

一 経済学の対象/p3

二 経済学の方法/p9

三 原理論の篇別構成/p17


第一篇 流通形態―商品・貨幣・資本

・第一章 商品/p25

第一節 商品の二要因/p25

第二節 価値形態/p29

一 簡単な価値形態/p30

二 拡大された価値形態/p31

三 一般的価値形態/p34

第三節 貨幣形態/p35

・第二章 貨幣/p38

第一節 価値尺度としての貨幣/p38

第二節 流通手段としての貨幣/p44

一 商品流通/p44

二 貨幣流通/p48

三 商品流通の変動/p55

第三節 貨幣としての貨幣/p58

一 退蔵貨幣/p63

二 支払手段としての貨幣/p68

三 世界貨幣/p72

・第三章 資本/p79

第一節 商人資本形式/p79

第二節 金貸資本形式/p86

第三節 産業資本形式/p89


第二篇 資本主義的生産

・第一章 資本の直接的生産過程/p99

第一節 絶対的剰余価値の生産/p99

一 生産過程/p99

二 価値形式および増殖過程/p109

三 絶対的剰余価値の生産/p117

第二節 相対的剰余価値の生産/p122

一 相対的剰余価値の生産/p122

二 機械装置と大工業/p130

三 絶対的および相対的剰余価値の生産/p138

第三節 労働賃銀/p140

一 労働力の価値の労働賃銀への転化/p140

二 賃銀形態/p141

三 生産過程の流通過程化/p143

・第二章 資本の流通過程/p145

第一節 貨幣資本の循環形式と資本の回転/p145

一 資本の流通および生産期間と流通期間/p145

二 流通費用/p152

三 資本の回転/p158

第二節 生産資本の循環形式と固定資本および流動資本/p163

一 固定資本と流動資本/p163

二 生産資本と流通資本/p167

三 可変資本の回転/p172

第三節 剰余価値の流通と商品資本の循環形式/p177

・第三章 資本の再生産過程/p184

第一節 資本の再生産過程/p188

一 単純再生産/p188

二 拡張再生産/p197

三 貨幣材料の再生産/p202

第二節 資本の蓄積過程/p206

一 資本の構成に変化なくしておこなわれる資本の蓄積/p207

二 資本構成の高度化を伴う資本の蓄積/p216

三 資本主義社会の人口法則/p220

第三節 資本主義的生産の確立/p225



経済学原理論. 下 1962

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3014034

経済学原理論 [156]

経済学大系3/経済学原理論 下巻 目次

経済学原理論 下巻


第三篇 資本主義的生産の総過程/p233

・第一章 利潤/p242

第一節 利潤/p242

一 費用価格とその超過分/p242

1 個別資本/p242

2 費用価格とその超過分/p248

3 資本家の活動/p256

二 費用価格の節約/p257

1 費用価格の節約/p257

2 生産諸要素の消費の節約/p259

3 回転の促進/p262

三 利潤率/p264

1 利潤率/p264

2 利潤率における諸資本相互の同質性/p271

3 利潤率をめぐる諸資本相互の競争/p277

第二節 一般的利潤率/p283

一 一般的利潤率の形成/p283

二 生産価格の成立/p291

1 費用価格および販売価格の生産価格化/p291

2 生産価格の形成/p295

3 生産価格と価値法則/p299

三 市場生産価格と市場価格の変動/p302

1 市場生産価格と超過利潤/p302

2 地代/p309

a 差額地代/p311

i 超過利潤の地代化/p311

ii 差額地代の第一形態/p316

iii 差額地代の第二形態/p321

b 最劣等地における差額地代/p328

c 絶対地代/p332

3 市場価格の変動と超過利潤/p335

第三節 商業資本と利潤率の均等化/p341

・第二章 利子/p352

第一節 貨幣資本/p352

一 商業信用/p352

二 銀行信用/p363

1 銀行信用の形成/p363

2 銀行券発行の集中/p372

3 貨幣市場の成立と利子率/p381

三 貨幣資本/p395

第二節 資本主義的蓄積の現実的過程/p406

一 資本家社会的な蓄積―好況/p406

二 資本家社会的な蓄積の破綻―恐慌/p420

三 個別資本的な蓄積―不況/p428

第三節 資本主義的生産の運動法則/p447

・第三章 利潤の利子化/p461

補註―『資本論』体系と原理論―/p477

一 『資本論』体系の意義/p477

二 『資本論』体系の問題点/p492

三 『資本論』体系の歴史的限界/p513



鈴木は地代を利潤に組み込むことで最後に信用を体系の肝に置く。


経済学原理論 (1960年) (経済学大系〈第2, 3〉)  鈴木 鴻一郎 

https://www.amazon.co.jp/dp/B000JAK7SQ/

2009年5月5日


10 Comments:

Blogger yoji said...

参考:
鈴木鴻一郎
経済学原理論. 上下 1960,1962 目次及び書誌
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3014033
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3014034

(図書館向けデジタル化資料送信サービス参加館一覧、
 http://dl.ndl.go.jp/ja/soshin_librarylist.html)

7:39 午前  
Blogger yoji said...


経済学原理論. 上
鈴木鴻一郎 編 東京大学出版会 1960

↓ 経済学原理論 [128]
・ 経済学大系2/経済学原理論上巻 目次
・ 経済学原理論 上巻
・ はしがき
・序論/p3

第一篇 流通形態―商品・貨幣・資本
・第一章 商品/p25
・ 第一節 商品の二要因/p25
・ 第二節 価値形態/p29
・ 第三節 貨幣形態/p35
・第二章 貨幣/p38
・ 第一節 価値尺度としての貨幣/p38
・ 第二節 流通手段としての貨幣/p44
・ 第三節 貨幣としての貨幣/p58
・第三章 資本/p79
・ 第一節 商人資本形式/p79
・ 第二節 金貸資本形式/p86
・ 第三節 産業資本形式/p89

第二篇 資本主義的生産
・第一章 資本の直接的生産過程/p99
・ 第一節 絶対的剰余価値の生産/p99
・ 第二節 相対的剰余価値の生産/p122
・ 第三節 労働賃銀/p140
・第二章 資本の流通過程/p145
・ 第一節 貨幣資本の循環形式と資本の回転/p145
・ 第二節 生産資本の循環形式と固定資本および流動資本/p163
・ 第三節 剰余価値の流通と商品資本の循環形式/p177
・第三章 資本の再生産過程/p184
・ 第一節 資本の再生産過程/p188
・ 第二節 資本の蓄積過程/p206
・ 第三節 資本主義的生産の確立/p225


経済学原理論. 下 1962
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3014034

第三篇 資本主義的生産の総過程/p233
・第一章 利潤/p242
・ 第一節 利潤/p242
・ 第二節 一般的利潤率/p283
・ 第三節 商業資本と利潤率の均等化/p341
・第二章 利子/p352
・ 第一節 貨幣資本/p352
・ 第二節 資本主義的蓄積の現実的過程/p406
・ 第三節 資本主義的生産の運動法則/p447
・第三章 利潤の利子化/p461
・ 補註―『資本論』体系と原理論―/p477
・ 一 『資本論』体系の意義/p477
・ 二 『資本論』体系の問題点/p492
・ 三 『資本論』体系の歴史的限界/p513

4:11 午前  
Blogger yoji said...

第三部の構成:

マルクスは、 利潤、利子、地代
宇野は、 利潤、地代、利子
鈴木は、 利潤、利子、利潤の利子化

4:21 午前  
Blogger yoji said...

第三部の構成:

マルクスは、 利潤、利子、地代、(階級)
宇野は、 利潤、地代、利子、(階級)
鈴木は、 利潤、利子(恐慌論を含む)、利潤の利子化

鈴木は階級については補註2で軽く触れる程度
経済研究、信用論に還元されると考えている

4:28 午前  
Blogger yoji said...

62考える名無しさん2018/11/25(日) 01:24:19.010
参考:
宇野弘蔵『経済原論』における、剰余価値率/利潤率/利子率:
宇野弘蔵『経済原論』はヘーゲル『小論理学』の構成を参考にしている
(『「資本論」と私』2008年、お茶の水書房)。図解するなら(☆=起点)、

        /\
       C利子\
      /(分配論) \
     B利潤__地代\
    /\宇野弘蔵・ 資本の再
   /資本\経済原論/生産過程A
  / (流通論)\  /(生産論)\
 /商品__貨幣\/生産__流通\
☆         過程  過程

A.剰余価値率:
《いわゆる労働日をできうる限り延長することが…資本にとっては…基本原理となる。
…マルクスはこれを剰余価値率m/v(vは可変資本、mは剰余価値)をもってあらわし、
労働力の搾取度を示すものとするのである。》(宇野弘蔵『経済原論』岩波文庫版78頁)

B.利潤率:
《剰余価値率がm/vとして、資本家と労働者との関係をあらわすのに対して、利潤率は
m/c+vとして、剰余価値の全資本に対する分配率を示し、資本家と資本家との関係を
あらわすものになる。》(同151頁)

C.利子率:
《利潤率に対する利子率の関係は、前者が一般に個々の資本にとってその投資部面を
決定する基準となるのに対して、後者は個々の資本の運動中に生ずる遊休貨幣資本を
資金として資本家社会的に共同的に利用しつつ、利潤率の相違を補足的に均等化する
ものといってよいのであって、この資金は、個々の資本家の資金でありながら、銀行
を通して社会的資金として、上述のように資本の蓄積に対する社会的規制をなすもの
となる。》(同225頁)

4:17 午前  
Blogger yoji said...

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2018年度 経済学部 0701101 経済原論 清水 真志
資本主義経済を形成するさまざまな要素の間の関係や、それらの発生根拠についての理論的考察を行うことで、資本主義経済の全体像の把握を目指す。この講義では、前半部では「流通論」と「生産論」とを取り扱う。後半部では「機構論」を取り扱う。
2018 Economics 0701101 Principles of Political Economy Masashi Shimizu
開講学期 Semester A1A2
開講時限 Period
月曜4限 月曜5限 Mon 4th Mon 5th
単位数 Credits 4
学年 Academic Year B4 B5 B6
他学部聴講 Open to other faculties 不可 NO
USTEP生聴講 Permitted to USTEP Students 不可 NO
授業使用言語 Language in Lecture 日本語 Japanese
講義題目 Title 経済原論
授業計画 Schedule (前半部)
最大、以下の15 項目について、順次講義を行う予定である。(1)経済原論の対象と方法、(2)商品とは何か、(3)商品の価値形態、(4)価値形態の展開、(5)貨幣の発生と条件、(6)貨幣の諸機能と商品流通の基本構造、(7)資本の本質をどう捉えるか、(8)資本形式の展開、(9)資本と資本主義、(10)労働と生産、(11)価値形成と価値増殖、(12)剰余価値生産の増進、(13)資本主義的生産方法、(14)賃金形態と労働市場、(15)流通論と生産論との総括
(後半部)
 最大、以下の15項目について、順次講義を行う予定である。(1)資本主義的市場の構成、(2)資本循環の仕組み、(3)予備資本と流通費用、(4)遊休資金の形成、(5)商業資本の発生根拠、(6)商業利潤の取得根拠、(7)商業信用の発生根拠、(8)商業信用の意義と限界、(9)銀行信用の発生根拠、(10)発券と預金、(11)信用機構の意義と限界、(12)貸付と出資、(13)資本結合機構の発生根拠、(14)資本結合機構と証券業資本、(15)機構論の総括
授業の方法 Teaching Methods 板書を行う講義スタイルによる。また講義の進捗に合わせて、穴埋め式のプリントを配布する予定である。板書の内容だけでなく、講義中の発言等も、適宜ノートに記録しておくことを推奨する。
成績評価方法 Method of Evaluation 定期試験による
教科書 Required Textbook
教科書は特に指定しない。講義の内容を簡略にまとめたプリントを配布する予定である。
参考書 Reference Books (前半部)
小幡道昭『経済原論』東京大学出版会,2009年.
(後半部)
清水真志『商業資本論の射程』ナカニシヤ出版,2006年.
小幡道昭『経済原論』東京大学出版会,2009年.
履修上の注意 Notes on Taking the Course ※今年度より必須項目となりましたので、ご記載をお願いいたします。

3:41 午前  
Blogger yoji said...

http://catalog.he.u-tokyo.ac.jp/ug-detail?code=0701101&year=2018&x=40&y=10

3:43 午前  
Blogger yoji said...


http://d.hatena.ne.jp/kingfish/20090605


柄谷行人 政治を語る
作者: 柄谷行人,小嵐九八郎 出版社/メーカー: 図書新聞
発売日: 2009/04

[試験のために読んだ]鈴木鴻一郎の『経済学原理』で、はじめてその体系性がわかったのです。
 ふつう『資本論』というと、第一巻・第二巻しか読まないですね。ルカーチもアルチュセールも、
第三巻を読んでいない。少なくとも精読していないということは明らかです。じつは僕もそうだった。
試験があるから、精読してはじめて『資本論』が体系的な著作であることに気づいたのです。
 第三巻は信用過程を論じています。第一巻・第二巻しか読まないと、『資本論』が、資本主義経済
が「信用の体系」だということを論じていることがわからないのです。ふつうは、第一巻を読んで、
資本は労働者から剰余価値を搾取しているというようなことで、資本主義を理解する。そして、マルクス
はそういうことを書いているのだと思う。しかし、その程度のことなら、マルクス以前のリカード左派
の人たちが書いています。彼らは「搾取」や「賃金奴隷」という言葉も使っていた。マルクスの独自
性は、そういうところにはないのです。
(略)
[宇野の『経済原論』は必須科目、左翼でない者もそれを学んで、官庁や大企業に行った]
 宇野がいったのは、君らは何をしてもよい、しかし、資本主義には根本的な弱点がある、恐慌は不可避
的だ、それを覚えておけ、ということです。宇野経済学を学んだ官僚や企業幹部が、その後それをどう
活かしたかは知りませんけど、市場経済万能論を学んだ人たちよりはましでしょうね。いまのように
恐慌が起こると、途端にうろたえ、資本主義が終わる、なんていって騒ぐ人がいますが、資本主義が
自動的に終わることはない。国家と資本は何をしてでも生き延びようとしますから。

3:50 午前  
Blogger yoji said...

『カラクリ技術史、捕鯨史(福本和夫著作集第7巻)』
http://www.ts-kaneko.net/?p=841
2008年9月19日 kaneko書評
対象書名:『カラクリ技術史、捕鯨史(福本和夫著作集第7巻)』こぶし書房、3,200円(税別)、2008年7月刊
掲載紙:週刊読書人
年:2008.09.19

見直される福本文化史観

福本和夫といったら、同じ藤沢に住むよき理解者、いいだもも流にいえば、大正12年の有島武郎、昭和2年の芥川龍之介という二人の死を挟む時期に光芒を 放った、「福本イズム」の提唱者であった。日本的マルクス主義体制である山川(均)イズムを批判して、無産者階級の純化を唱え、日本共産党の再建を図った のだが、いわゆる「二七年テーゼ」によるモスクワからの指示で失脚する。その後の福本の活動を知るものは少ない。が、じつはみごとな日本文化史家に転向し ていたのである。

このいきさつを私もこの著作集で初めて知ったのだが、戦争中14年間の獄中生活で書き上げ、戦後間もない一九四七年の序文をつけた草稿が、35年後福本 氏88歳のときに刊行された。それが本巻に収まる「カラクリ技術史話」である。この中身がすばらしい。

まず、道家思想の列子を手がかりに、中国最古の木偶師いまでいうロボット師の二人の存在、偃師と魯般を指摘し、高名な細川半蔵の『機巧図彙』より半世紀 も前に、わが国最初のカラクリ製作過程を図解記述した多賀谷環中仙の『?訓蒙鏡草』を取り上げて、その翻刻読解を付すことで、歴史に位置づけている。りっ ぱな技術史的貢献である。また、ゼンマイ時計からゼンマイカラクリが生まれる詳細も明らかにして、注目に値する。

福本氏はカラクリ技術「復興」史と呼んでいるが、それはわが日本にも、遅ればせながら、ルネッサンス(人間と自然を再発見する文芸復興期)も啓蒙期(福 沢諭吉・西周・中村正直らが輩出する幕末から明治10年代頃まで)もあったとする福本史観にもとづく。とくに徳川江戸期に、マニュファクチュア(機械制工 業に先立つ手工業的分業を伴う協同生産体制)の発展と商人階級の台頭によって、日本ルネッサンス文化が、寛文初年(1661)から嘉永三年(1850)の 190年間にかけて生まれた、とする福本史観は、大著『日本ルネッサンス史論』(1957年刊、著作集第九巻に収載予定)に詳しい。これなどは『資本論』 以前のアダム・スミスの『富国論』の日本版であるとさえいえる。

とくにその工業化の側面は、本巻収載の「日本工業の黎明期」(工業系の新聞に連載、1962年刊)と「日本工業先覚者史話」(同、1981年)にある。 ここでは鉱山業・製銅・製鉄に始まり、塩田や酒造、ガラス製造、鋳物業、織物業、製紙、製茶、陶磁器業などのマニュファクチュアを人物と合わせて点検して いる。その間に「日本永代蔵」などの井原西鶴物を見直して、稲扱き機の製造過程に言及したり、安田財閥が釘の製造から始まる話など、興味は尽きない。

さらに感嘆するのは、本巻掉尾を飾る鯨組マニュファクチュアの調査報告書「日本捕鯨史話」(1960年刊、1978年再販)である。柳田民俗学の手法を 駆使したケーススタディであった。わが国の捕鯨業は、幕府の鎖国政策・大船製造禁止その他の制約の中で、突取法・網取法・銃砲打ちなどと捕鯨法が変遷する が、沿岸捕鯨と鯨体陸上処理に終始した。しかしその厖大は作業内容は製銅・製鉄に匹敵する大規模な手工業分業工場制を生んだと証言する。「日本捕鯨史話」 は、文献処理も手堅く、図版も豊富で、跋文を寄せた渋沢栄一氏もいうように、「人が躍動している」。福本氏の代表作といってよいだろう。

福本史観は、直線的な唯物論的発展段階説に立つとか、江戸期初期に至る南蛮学の時期が無視されているとか、また、西欧における17世紀科学革命期の意義 をつかめなかったとか、いろいろ問題点はあるだろう。しかし、田口卯吉の影響を受けた一橋系の経済学者、福田徳三を高く評価するなど、西鶴・列子再評価と ともに独学のよい個性があって魅力である。江戸文化再認識の先鋒として、また東西の総合比較研究に立ち、経済史技術史の枠を超えて問題提起したという意味 で、今後評価されていくことだろう。

7:04 午後  
Blogger yoji said...

4:7:2
国富論

あった。捕鯨業は、法外な奨励金にもかかわらず、グレート・ブリテンでは、ほとんど成果をあげるようにいとなまれていないのであって、そのために、おおくの人々の意見では(ただしわたくしは、それを保証しようとは

7:08 午後  

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