ところで洞察を得るために学ぶ者にとっては、書物と研究とは、認識の頂点にまで登るはしごの単なる段にすぎない。段が人間を一歩だけ高めると、ただちに彼はその段を放置する。それに反して、記憶を満たすために学ぶ多くの者は、登るためにはしごの段を利用するのでなく、そのはしごの段をはずして荷物の重さが増加するのを喜びながら、それを背に負って持っていく。彼らを運んでいかなければならなかったものを、彼らはいまだに運んでいるのだから、永遠に下にいつづけているのである。
ショーペンハウアー全集5 白水社 138~9頁
2004年
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