ケインズの定理
- (仮定1) 利子率が一定なら投資は一定量に決まる。
- (仮定2) 国民が所得を消費と貯蓄に分ける方法は、関数としてはっきり決まっている。
したがって、所得、消費、貯蓄のどれか1つが決定されれば、残る2つの要素の値も決まる。
ケインズの第一定理
(定理1) (仮定1)と(仮定2)のもとで、利子率が決まれば国民所得は決まる。
- (補題1) 投資(I)=貯蓄(S)
- 補題の証明
総生産(Y)=消費(C)+貯蓄(S)
総生産(Y)=消費(C)+投資(I)
∴投資(I)=貯蓄(S)
- 定理の証明
利子率は固定されているとする。
すると(仮定1)から投資(I)は決定される。従って、(補題)によって貯蓄(S)も決定される。
よって、(仮定2)によって、所得(Y)は決まる。
ケインズの第二定理(乗数定理)
(定理2) (仮定1) と以下に述べる(仮定3)のもとで、もしも投資不足があるなら、政府が税収分あるいはそれを越えて支出することによって総生産を増加させることができる。
- (仮定3) (仮定2)の 所得(Y)可処分所得、つまり税引き後の所得とし、以下のように関数を特定化する。
消費(C)=c×可処分所得
貯蓄(S)=s×可処分所得
- (補題2) 貯蓄(S)=投資(I)+政府支出(G)- 税金(T)
- 補題の証明
総生産(Y)= 消費(C)+投資(I)+政府支出(G) 総生産(Y)=国民所得=消費(C)+貯蓄(S)+税金(T)
∴貯蓄(S)=投資(I)+政府支出(G)- 税金(T) - 定理2の証明
補題2と仮定3から、 c×可処分所得=投資(I)+政府支出(G)- 税金(T)
ここで、両辺を1/c倍すると、
可処分所得=(1/c)×I+(1/c)×G-(1/c)×T
さらに、両辺に税金(T)を加えると、
可処分所得+税金(T)=総生産(Y) より
Y=(1/c)×I+(1/c)×G-{(1-c)/c}×T
政府部門が存在しないとき、つまり政府支出(G)と税金(T)が0のとき、総生産(Y)は投資(I)の(1/c)倍となる。
この総生産の水準で完全雇用に達していないならば、政府が税金以上の支出を行うことで
(1/c)×G-{(1-c)/c}×T >0
だけ総生産(Y)を増加することが出来る。
この時、T=Gという均衡財政状態を考えても、 (1/c)×G--(1/c)×G=G
となるので、政府支出(G)分は総生産(Y)が増加する。
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