メキシコで1日、アンドレスマヌエル・ロペスオブラドール氏(65)が新大統領に就任した。1時間半以上にわたる就任演説で「悲惨な歴史に終止符を打ち、新たなよりよい歴史を始めることを国民に約束する。新自由主義の偽善を捨て去る」などと述べた。任期は2024年までの6年間だが、2年半後に大統領職の継続を求めるかを問う国民投票をすると語った。
メキシコには現在、米国をめざす中米ホンジュラスなどからの移民キャラバンが1万人規模で滞在する。避難所は衛生環境が整わず、食料も不足するなど人道的な問題も生じている。トランプ米大統領は入国を認めないとの強い姿勢を示しており、ロペスオブラドール氏は就任早々、対応を迫られることになる。
メキシコは麻薬や人身売買に関わる犯罪組織間の抗争で、治安が悪化。既存政党や役人が犯罪組織と癒着するなど、政界の汚職もはびこっている。ロペスオブラドール氏はこうした政治体質を批判し、貧困層支援などを訴え、当選した。
ただ、大衆迎合的な面も目立ち、新政権の行方を不安視する見方もある。
大統領専用機の売却を表明したほか、建設が進んでいたメキシコ市の新空港建設の中止を決定。大統領就任後も自宅に住み続け、大統領公邸は文化芸術活動のために、一般に開放するという。就任演説では、改めて貧困層支援を訴えたが、増税はしないと語り、財源は明らかになっていない。
就任式には、米国のトランプ大統領の娘イバンカ氏らが出席し、ベネズエラのマドゥロ大統領も招待された。マドゥロ氏は到着が遅れたが、式典でその名前が呼ばれると、メキシコの国会議員たちは「マドゥロは歓迎しない」との横断幕を掲げ、「独裁者」と叫んだ。(ブエノスアイレス=岡田玄)
3 Comments:
燃料盗難が多発するメキシコ「笑えない対策」 左派新大統領が過去の「慣行」にメス | 中南米 - 東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/260673 #東洋経済オンライン via @Toyokeizai
《国民からの高い支持を得て、70年あまり続いた右派政権に終止符を打ったアムロ氏は、メキシコが抱える闇の1つに切りこもうと意欲を見せている。》
燃料盗難が多発するメキシコ「笑えない対策」
左派新大統領が過去の「慣行」にメス
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白石 和幸 : 貿易コンサルタント
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2019/01/18 11:00
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報道によると、ペーニャ・ニエト前大統領の政権時まで燃料の盗難防止対策はほとんど取られていなかった。というのも、メキシコの政治はこの70年余り2大政党の国民行動党(PAN)と制度革命党(PRI)という右派によって政権が運営されて、この2大政党の議員がカルテルなどと癒着して資金の提供をこれまで受けてきたからとされる。
麻薬カルテルや小規模な犯罪組織以外に、一部企業経営者もそれに絡んでいる。たとえば、ケレタロ州のガソリンスタンドやカジノをチェーン展開しているハビエル・ロドリゲス・ボルヒオの場合、PEMEXから盗んだ燃料をタンクローリー車に詰めて隠していたことが警察当局の調べで明らかになっている。
パイプラインの随所に抜き出し口が!
それを自らが経営するガソリンスタンドで販売したり、闇で安価に密売して得た資金を元上院議員で、現州知事フランシスコ・ドミンゲス・セルビエンの選挙資金に充てていたこともわかったという。
一方、アムロ氏は左派系の新しい政党、国民再生運動(MORENA)の党首であり、同党の議員同様にカルテルなどとの癒着がない。だから、アムロ氏はあえてこの盗難にメスを入れることができたのである。問題は盗難防止への取り組みを急激にやりすぎたことから、ガソリンスタンドなどで燃料不足が発生していることだ。
アムロ氏は大統領に就任してすぐにこの問題に取り組み、12月20日から軍隊に連邦警察も加えた4000人規模の人員を、PEMEXが所有している精油所やパイプラインのターミナルなど58カ所に派遣して監視強化に乗り出した。
だが、カルテルと密接な関係にある地方自治体の警察はこの種の取り組みに参加しない。一方、軍隊の場合、一部がカルテルと癒着しているとはいえ、国家規模の犯罪の取り締まりには彼らの力を使わないわけにいかない。そこでアムロ氏は、軍部からの信頼を得るため、就任早々に軍隊幹部との会合を持ってきた。
ただし、軍隊などを主要スポットに派遣したからといって盗難をすべて取り締まれるわけではない。何しろ2018年10月までにパイプラインの途中で石油を抽出するための抜出し口が1万2581カ所も見つかっているというのである。すなわち、1日に42カ所の抜き出し口が誕生していた計算だ。抜き出し口が特に多いのは、タマウリパス州(1084カ所)やプエブラ州(1815カ所)など、カルテルが勢力を振るっている州である。
→次ページガソリンの盗み方を心得た熟練軍団
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メキシコ大統領、G20首脳会議を欠席へ
中南米
2019/6/5 2:03
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【メキシコシティ=丸山修一】メキシコのロペスオブラドール大統領は4日の定例会見で、6月に大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席しないことを明らかにした。代理として、エブラルド外相、ウルスア財務公債相を派遣する。追加関税などを巡りトランプ米大統領と面会して直接協議する機会を失うことになる。
メキシコのロペスオブラドール大統領=ロイター
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メキシコのロペスオブラドール大統領=ロイター
ロペスオブラドール氏は選挙期間中から内政を重視し、外交や通商問題についてはほとんど発言をしていない。2018年12月の就任以来、外国の首脳訪問を受け入れているが、本人は一度も外遊していない。トランプ氏とも電話でのやりとりはあるが直接、会談はしていない。
メキシコは日本を含む40カ国以上と自由貿易協定を結ぶなど、これまで対外開放・民間重視の経済政策で安定的な成長を続けてきた。歴代の大統領も積極的に外遊し、貿易や投資の拡大に貢献してきた。
左派のロペスオブラドール氏は従来の経済政策が格差や不正を生んだとして批判している。経済政策も政府の関与を強めているほか、貿易拡大よりも、国内での自給自足を理想としている。外交面でも混乱状態の南米ベネズエラに対して中立の立場をとり、他国に干渉しないとの立場を取っている。
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