水曜日, 2月 13, 2019

根井 雅弘(ねい まさひろ)&カレツキ関連


根井
市場主義

 I S / L M図表は 、 G N P (国民総生産 )と利子率が I S曲線 (財市場の均衡を示す )と L M曲線 (貨幣市場の均衡を示す )の交点によって同時に決定されることを教えてくれるが 、ケインジアンとマネタリストの違いは 、 I S曲線と L M曲線の形状にかかわっているという 。すなわち 、マネタリスト (古典派も同様 )が 、 L M曲線がほとんど垂直であるようなケース (貨幣の流通速度がほとんど限界に達しており 、投機的動機に基づく貨幣需要がほとんど存在しない )を想定しているのに対して 、ケインズやケインジアンは 、 L M曲線がほとんど水平 (いわゆる 「流動性の罠 」の状態 ) 、かつ I S曲線がほとんど垂直であるようなケ ースを想定しているというのである 。サムエルソンは 、次のように解説している ( * 2 5 ) 。

「ヒックス=ハンセン図は 、財政政策と金融政策 、所得決定の理論 、それに貨幣理論の全部を総合することに成功している 。それはさらに 、貨幣の流通速度についての明確な一般理論を提供することにより 、マネタリストとケインジアンのマクロ経済理論を総合するのにも役立っている 。すなわち重要な意味において 、マネタリストの反革命は 、 L Mおよび I Sの形についての論争に帰してしまうのである 。 」

* 2 4 … …出典は 、ポ ール ・ A ・サムエルソン 『経済学 (第十一版 ) 』都留重人訳 、上巻 (岩波書店 、一九八一年 )三七二ペ ージ 。
* 2 5 … …前同 。

根井雅弘『市場主義のたそがれ』より

参考:
Kelton and Krugman on IS-LM and MMT Jo MichellMarch 6, 2019
https://nam-students.blogspot.com/2019/06/kelton-and-krugman-on-is-lm-and-mmt-jo.html
                 ( 経済学リンク::::::::::
NAMs出版プロジェクト: Famous Figures and Diagrams in Economics (英語)
http://nam-students.blogspot.jp/2015/09/famous-figures-and-diagrams-in-economics.html
根井 雅弘(ねい まさひろ)
https://nam-students.blogspot.com/2019/02/blog-post_70.html
kindle
経済学史の本
http://nam-students.blogspot.com/2019/02/blog-post_94.html



ノーベル経済学賞 天才たちから専門家たちへ (講談社選書メチエ) Kindle版

https://www.amazon.co.jp/dp/B01MAY31EP/

(根井ははしがきとあとがきだけ執筆。あくまで下記の後に上だが、上は副題がいい。名称への疑義も書かれている**)

《フリードマン自身が次のように言う 。 「受賞の発表が 、受賞者をさまざまな分野すべてのにわか専門家に変えてしまい … …風邪の直し方から J ・ F ・ケネディのサイン入り手紙の市場価値まで 、ありとあらゆる質問を受けました *4 」と 。》#1廣瀬より

*ウィリアム ・ブレイト 、ロジャ ー ・ W ・スペンサ ー編 『経済学を変えた七人栄光のノ ーベル経済学賞受賞者 』 (佐藤隆三ほか訳 、勁草書房 、一九八八年 、 ( W i l l i a m B r e i t a n d R o g e r W . S p e n c e r , L i v e s o f t h e L a u r e a t e s S e v e n N o b e l E c o n o m i s t s , 1 9 8 6 ) )訳一三〇ペ ージ 。


**『読売新聞 』 (二〇〇一年十一月二十九日付朝刊 ) 。根井『物語 現代経済学』2006の#7も参照

 この一冊だけでいいという本はないが、経済学史としては、まずは以下、

『経済学の歴史 』根井雅弘 講談社学術文庫  電子書籍版あり 2014^2005(^1998筑摩)
内容説明
『経済表』を考案したケネーはルイ15世寵妃の侍医であり、『国富論』の著者・スミスは道徳哲学の教授だった。興味深い経済学草創期からリカード、ミル、マルクス、ワルラスを経てケインズ、シュンペーター、ガルブレイスに至る12人の経済学者の評伝と理論を解説。彼らの生きた時代と社会の発展をたどり、現代経済学を支える哲学と思想を再発見する。(講談社学術文庫)
目次
プロローグ なぜ経済学の歴史を学ぶのか
1 フランソワ・ケネー―「エコノミスト」の誕生
2 アダム・スミス―資本主義の発見
3 デイヴィッド・リカード―古典派経済学の完成
4 ジョン・ステュアート・ミル―過渡期の経済学
5 カール・マルクス―「資本」の運動法則
6 カール・メンガ―主観主義の経済学
7 レオン・ワルラス―もう一つの「科学的社会主義」
8 アルフレッド・マーシャル―「自然は飛躍せず」
9 ジョン・メイナード・ケインズ―有効需要の原理
10 ヨゼフ・アロイス・シュンペーター―「創造的破壊」の世界
11 ピエロ・スラッファ―「商品による商品の生産」
12 ジョン・ケネス・ガルブレイス―「制度的真実」への挑戦

5にカレツキ、7でプルードンの名が出てくる。
カレツキに関しては同著者の、

『現代イギリス経済学の群像~正統から異端へ』(岩波書店 1989年,新版,1995年)

『ケインズ革命の群像~現代経済学の課題』(中公新書 1991年)
『わかる現代経済学』根井 雅弘【編著】朝日新書 2007 (カレツキ関連の執筆は服部 茂幸)
で補完する必要がある。
ブローグやシュンペーターの経済学史の大著は調べるにはいいが読み物としては勧められない。
ブローグは持っておくべきだが。
通史ではなく伝記の寄せ集めだが、アダム・スミスとマルクスとケインズだけでも読んでおくべきだ。
ゲゼルの名がないのは仕方ないがフィッシャーがいないのはおかしいが。

フィッシャーに関しては、全然網羅的ではないが、
NAMs出版プロジェクト: 竹森俊平『経済論戦は甦る』日経ビジネス人文庫 2007
http://nam-students.blogspot.jp/2017/10/2007.html(第1、2章でフィッシャーに言及)
がおすすめ。

フィッシャーの伝記としては吉川洋『経済学をつくった巨人たち』(2001)の小文がいい。
これらは対デフレ理論的に再評価したもの。

マルクスに興味があれば以下もおすすめ、
越村 信三郎『四元的価値のパラダイム マルクス経済学と近代経済学の統一のために』1989
(サミュエルソンの樹形図より優れている)

斎藤他マクロ、ブランシャール下巻付録、ここら辺の顔写真付きの経済学史の記述もおすすめ


カレツキ関しては以下新書になりますが…

『わかる現代経済学』根井 雅弘【編著】朝日新書 2007
『「ケインズ革命」の群像』根井 雅弘【著】中公新書 1991(2000年第4版が電子書籍化)
https://books.rakuten.co.jp/rk/9453fb743e28353197cdfe080e962158/

両書にあるカレツキ関連の記述が貴重。上の方が初心者向け
下はKoboなどで電子書籍版がある。kindle版はない

章題にカレツキの名がないのであまり知られていない

「一般理論」同時発見? 奇妙な訪問者

根井『「ケインズ革命」…』中公新書147~8頁

《…カレツキは、ケインズとは対照的に、マーシャルやピグーに代表
のされる正統派経済学との対決を意識する必要は当初からなかったのである。その証拠に、カレツ
キは、前に説明した利潤決定に関する命題(P=I+C)を、カール・マルクスの再生産表式を利
用することによっていとも簡単に導き出した。
 いま、経済体系を投資財を生産する第1部門、資本家の消費財を生産する第2部門、および賃
金財を生産する第3部門の三つに分割しよう(*p.154)。
 各部門の産出量の価値Vは、利潤Pと賃金Wの和に等しい。すなわち、
Vi=Pi+Wi  (i=1,2,3)
第3部門の産出量は、一部はそれを生産した労働者によって消費され、残りは他の部門におけ
る労働者によって消費されるから、
 P3=W1+W2      (5)
が成り立つ。
 ここで、第1部門と第2部門の産出量の価値を合計すると、
 V 1 + V2=P 1+ P2+ W 1+ W2   (6)
となるが、(5)式を(6)式に代入すると、ただちに次の式が得られる。
 V 1+ V2=P 1+ P2 + P3         (7)
 (7)式は、経済全体の利潤が、投資財の産出量の価値と資本家の消費財の産出量の価値の和に等
しいことを示している。利潤決定に関する命題は、こうして得られるわけである。》


Shackelton and Gareth
Twelve Contemporary Economists 1981


限界革命についてはブローグを読むべきだが
ブローグによるとジェボンズはフロイトとも親交のあったフェーヒナーから限界効用のアイデアを得たという。
以下がわかりやすい













ライブ・経済学の歴史―“経済学の見取り図”をつくろう | 小田中 直樹 |本 ...


www.amazon.co.jp/ ...
Amazonで小田中 直樹のライブ・経済学の歴史―“経済学の見取り図”をつくろう。 

マルサスについても補完すべきだが初心者向けの良書を知らない。
前述の越村『四元的価値のパラダイム マルクス経済学と近代経済学の統一のために』がマルサスの位置付け、見取り図としては正しいが。

以下はブローグ?の見立て、

シュムペーターによれば、マルサスが人口論以外の点で名声を博すべき資格が三つある。
第一は貨幣分析に対する貢献
第二は貯蓄と投資との理論
第三はスミスの『諸国民の富』の理論の反リカード的方向への改鋳

マルサス『経済学原理』第7章第3節「富の増大にたいする一刺激と考えられる蓄積、すなわち資本に追加するための収入からの蓄積について」

マルサスは、倹約、節約で資本を追加しても、その分の消費が減り、生産過剰になる、富を増やすには消費(有効需要)を増やす必要があるとする
「貯蓄は個々の人びとにとってつねに有徳なことであるとしても、国民経済的にみた場合には、貯蓄は生活水準の上昇という公共利益を害することなしに、一定の点を越えることは許されない
ある点以上に押し進められた収入の資本への転化は、生産物への有効需要を減少することによって労働者階級を失業におとしいれる」
マルサスは、その「ある点」を解明できなかったが、ケインズが解明した
ケインズは、「合成の誤謬」において、個人の貯蓄額は、その意思によって増減できるが、社会全体の貯蓄額は人々の意思にかかわりなく社会全体の投資額によって決まるとする
もし投資が増えると所得も増え、所得に依存する消費も増え、投資と貯蓄が等しくなる水準で所得が決まる
Y=C+I
Y−C=S
したがって、I=S (Y;所得、C;消費、I;投資、S;貯蓄)

マルクスとの関係で言えば、恐慌についての再生産表式論争がある
恐慌の原因について、セイとリカードは、不比例説を主張し、マルサスは過少消費説を主張して対立した
マル経では、不比例説がツガン・バラノフスキー、ヒルファーディング、過少消費説がカウツキー、ローザ・ルクセンブルクなどである
その他の推薦書に、
ブローグが編集にかかわつた図解モデルで振り返った本(電子版はあるが邦訳なし)
                 
NAMs出版プロジェクト: Famous Figures and Diagrams in Economics (英語)

Famous Figures and Diagrams in Economics Hardcover – December 29, 2010

https://books.google.co.jp/books?isbn...
diagrams. (45°. diagrams). Keynesian cross diagrams continued Keynesian cross diagramscontinued Size of. ,AD=Y AD>Y Demand too high AD<Y Demand too low The 45 degree line shows all the combinations of points where the values of ...

The World in the Model: How Economists Work And Think Paperback – September 17, 2012


図解 使えるマクロ経済学 (中経出版) | 菅原 晃 ( kindleあり)は近年の経済学史に詳しい
瀧澤弘和 現代経済学 中公新書 2018/8  のゲーム理論関連の系譜図
(ティロール『良き社会…』の該当部分#4:5を併読するとわかりやすい)


根井 雅弘(ねい まさひろ)
主要著作・論文

『現代イギリス経済学の群像~正統から異端へ』(岩波書店 1989年,新版,1995年)

『現代アメリカ経済学—その栄光と苦悩』(岩波書店 1992年)
『近代経済学の誕生—マーシャルからケインズへ』(ちくま学芸文庫 1994年)
『ケインズ革命の群像~現代経済学の課題』(中公新書 1991年)
『シュンペーター~孤高の経済学者』〔共著〕(岩波新書 1993年)
『ガルブレイス—制度的真実への挑戦』(丸善ライブラリー 1995年)
『現代経済学講義』(筑摩書房 1994年)
『異端の経済学』(筑摩書房 1995年)
『経済学のたそがれ』(講談社 1997年)
『21世紀の経済学』(講談社現代新書 1999年)
『シュンペーター~企業者精神・新結合・創造的破壊とは何か』(講談社 2001年)
『経済学のことば』(講談社現代新書 2004年)
『経済学の歴史』(講談社学術文庫 2005年)
『物語現代経済学』(中公新書 2006年)
『経済学の教養』(NTT出版 2006年)
『ケインズとシュンペーター~現代経済学への遺産~』(NTT出版 2007年)
『経済学とは何か』(中央公論新社 2008年)
『経済学はこう考える』(ちくまプリマー新書 2009年)
『市場主義のたそがれ~新自由主義の光と影』(中公新書 2009年)

学生に一言

経済学に限らず,幅広い読書を期待します。

自己紹介

近代から現代にかけてのイギリス経済学の流れを主に研究しています。






https://www.jstage.jst.go.jp/article/ker1926/60/1-2/60_1-2_19/_pdf/-char/en


THE CHALLENGE TO MARSHALLIAN ORTHODOXY



Masahiro NEI


Author information

Masahiro NEI

Faculty of Economics, Kyoto University



JOURNALS FREE ACCESS

1990 Volume 60 Issue 1-2 Pages 19-24


DOI https://doi.org/10.11179/ker1926.60.19



Details

Published: March 30, 1991 received: -Released: March 17, 2010 accepted: -[Advance Publication] Released: - corrected: -

>>891

「ケインズ革命」の群像―現代経済学の課題 中公新書(1991/7)
根井 雅弘 (著)
カレツキを紹介した第4章「『一般理論』の同時発見?」が重要。

koboで電子書籍化されている
ibooks,kindleにはない

根井のカレツキ関連はこれ以外ほとんど電子書籍化されていない

カレツキを紹介したものは他に以下、

わかる現代経済学 (朝日新書)2007/12/13
根井 雅弘 (編集)
(こちらの方が初心者向け)

現代イギリス経済学の群像―正統から異端へ 単行本(1989/4/27)
根井 雅弘 (著)

こちらもカレツキに関する記述多数
Jロビンソンとの関係が興味深い

以下、『現代イギリス経済学の群像―正統から異端へ』1989/4/27 根井雅弘より



   所得           支出
資本家の所得(P)      投資(I)
              資本家の消費(CC)
労働者の所得(W)     労働者の消費(CW)
労働者はその所得をすべて消費する(すなわち、W=CW)
と仮定されているから、
    P=I十CC
資本家は、利潤を決定することは出来ないがゆえに、この式は、I十CCがPを決定することを示している。
両辺からCCを減じると、
    S=I
   [貯蓄=投資]

(同188-9頁より)


 カレツキが、マルクスの再生産表式に関心を持って、マルクス研究に没頭した一時期があったことは、すでに本文でも述べたとおりである。では、彼はマルクスの再生産表式をどのように自らの理論に取り入れたのだろうか。ここでは それを簡単に説明しておきたいと思う。
 まず、経済をカレツキ的に、投資財を生産する第I部門、資本家の消費財を生産する第II部門、そして賃金財を生産する第III部門の三つに分割しよう。 
  各部門の産出の価値Vは、利潤Pと賃金Wの和に等しいから、
  Vi=Pi+Wi (i =1,2,3)                     (1)
 第III部門の資本家は、産出の価値のうちのW3にあたるものをその部門内の労働者へ、残りのP3にあたるものを第I・II部門の労働者へ販売すると考えられるから、
  P3=W1+W2                            (2)
 ここで、第I部門と第II部門の産出の価値を合計すると、
  V1+V2=P1+P2+W1+W2                     (3)
を得るのだが、(2)式を(3)式に代入すると、次式が得られるのだがただちにわかるだろう。
  V1+V2=P1+P2+P3                        (4)
 (4)式は、経済全体の利潤が、投資財の価値と資本家の消費財の価値の和に等しいことを示している。こうして、本文で述べたような、P=I十CCというカレツキの命題が得られるわけである。
Cf.,Josef Poschl and Gareth Locksley, Michal Kalecki : A Comprehensive Challenge to orthodoxy,
in J. R.Shackleton and Gareth Locksley eds.,Twelve Contemporary Economists,1981,p.157.

(同224-5頁より)


カレツキが史的唯物論を一般化された計量経済学の中に統合した論文が興味深い
結局下部から上部への一方通行の史的唯物論を双方向に読み替えているので
視野の狭い計量経済学を批判するとともに従来の史的唯物論を批判していることになる
柄谷の生産様式から交換様式への読み替えも国家と経済を双方行に読み替えているので
両者は(経済学に内在的/外在的の違いはあるが)繋がるものがある

カレッキ「計量経済学モデルと史的唯物論」1964 "Econometric Model and Historical Materialism"

以下参考、
http://byoubyou.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_b710.html
カレツキの再生産表式は、マルクスの再生産表式の価値部分のみを表現しているもので、
現物部分の存在を無視している。
さらにカレツキは国家を含めた投資家を階級に加えることで有効需要をケインズに先駆けて
発見、定式化した。

マルクス
資本家1
労働者2

カレツキ
投資家1
資本家2
労働者3
[ただし各部門内に各要素がある]


以下、根井雅弘『経済学の教養』(20-1頁,2006年より)

【コラム3】利潤決定の命題
 単純化のために、政府の経済活動と外国貿易が存在しない「封鎖経済」を考えてみまし
ょう。カレツキは、表の左側に国民所得勘定を、右側に国民生産物(支出)勘定を置いて
対照させます。すなわち、左側には、利潤(資本家の所得)十賃金(労働者の所得)=国民
所得を、右側には、投資十資本家の消費十労働者の消費=国民生産物、を書き込みます。
ここで、労働者はその所得をすべて消費する(賃金=労働者の消費)という仮定を置くと、
あとに残されたものの関係から、利潤P=投資I十資本家の消費Cという式が出てきます。
これがカレツキの利潤決定の命題ですが、彼は、この式を右辺が左辺を決定する(資本家
の投資および消費に関する決意が利潤を決定する)というように解釈します。ところが、資本
家の消費は利潤の関数(C=B0+λP, Bは基礎的消費部分で常数、0<λ<1)なので、これを
前の式に代人すると、P=(B0+I)/(1−λ )という式が得られます。さらに、賃金分配率
W−Y(Wは賃金所得、Yは国民所得を表わす)をα(0<α<1)とおくと、利潤分配率は(1−α)
なので、これをさらに代入すると、次の式が得られます。

  (B0+I)
Y=______
  (1−λ )(1−α)

 ここで、1/(1−λ )(1−α)がカレツキの「乗数」に当たります。
 カレツキは、利潤決定の命題を、マルクスの再生産表式をヒントに次のように導き出し
ました。まず、経済を三つの部門(投資財を生産する第1部門、資本家の消費財を生産する第
II部門、労働者の消費財を生産する第III部門)に分けて考えましょう。各部門の生産物の価
値が、不変資本c、可変資本v、および剰余価値mの和に等しいことはマルクス経済学の
ABCですが(以下では、各部門のc、v、mを表わすために下に数字を添えます)、カレツキ
は労働者はその所得(v1+v2+v3)をすべて消費する(c3+v3+m3)仮定しているので、
v1+v2=c3+m3という関係が得られます。この関係を利用すると、粗利潤c+mの総計
(m1+m2+m3+c1+c2+c3)は、第I部門と第II部門の生産物の価値の合計
(c1+v1+m1+c2+v2+m2)に等しくなります。すなわち、P=I+Cと同じ命題が得られるのです。
0584 名無しさん@お腹いっぱい。 2016/11/14 01:38:35
(カレツキはマルクス再生産表式の生産手段(生産財)部門を二つにわけることで有効需要の概念を
ケインズに先駆けて定式化した。)

参考:
カレツキ「利潤の決定要因」1935年初稿、邦訳『資本主義の動態理論』79頁〜
根井雅弘『「ケインズ革命」の群像』145頁〜
栗田康之『資本主義経済の動態』105頁〜

カレツキに関しては過去に幾つか翻訳があるし、栗田康之『資本主義経済の動態』、
根井雅弘『「ケインズ革命」の群像』がいい。後者は読みやすく安価でオススメ。
わかる現代経済学 (朝日新書) 2007/12/13根井 雅弘 (編集)でも数頁だがカレツキに
触れられている(第三章「ポスト・ケインズ派経済学」服部茂幸)。
こちらの方が初心者向け。他の一般参考書にカレツキの名がないのが残念…

ちなみに、カレツキはマルクスを礼賛しているわけではない…
《…カレツキは、以上みた論文Kalecki[1968]*の最後の部分において、マルクスの『資本論』第3巻、第15章のい
わゆる「剰余価値の実現」の問題を論じた一節「直接的搾取の諸条件と剰余価値の実現の諸条件とは同一で
はない。‥‥‥‥」を引用して、「マルクスは、明らかに、資本主義の動態に対する有効需要の影響を深く認
識していた」としつつも、「彼は、彼の再生産表式によって叙述されている過程を、有効需要の問題の帰結
として資本主義に内在する矛盾という観点から体系的に吟味することをしなかった」と、マルクスにおける
『資本論』第3巻の「剰余価値の実現」の問題=「有効需要の問題」と第2巻の再生産表式論との関連の未
展開を批判する。》
http://www.unotheory.org/news_II_8
 栗田康之 :カレツキの資本主義経済論―マルクスおよび宇野理論との関連で―(PDF形式:563KB)

*("The Marxian equations of reproduction and modern economics"1968
「マルクスの再生産の方程式と近代経済学」1968,1991未邦訳)
以下、同未邦訳論文より
カレツキ「国民所得の経済表」(tableau economique of the national income)1968
 ___________
| 1  2  3|  |
|________|__|
|P1 P2 P3| P|
|W1 W2 W3| W|
|________|__|
|I  Ck Cw| Y|
|________|__|
ID:u5kQk2u7(2/5)
0585 名無しさん@お腹いっぱい。 2016/11/14 01:41:15
以下、『現代イギリス経済学の群像―正統から異端へ』1989/4/27 根井雅弘
224-5頁より

* カレツキが、マルクスの再生産表式に関心を持って、マルクス研究に没頭し
た一時期があったことは、すでに本文でも述べたとおりである。では、彼はマルク
スの再生産表式をどのように自らの理論に取り入れたのだろうか。ここでは それ
を簡単に説明しておきたいと思う。
 まず、経済をカレツキ的に、投資財を生産する第I部門、資本家の消費財
を生産する第II部門、そして賃金財を生産する第III部門の三つに分割しよう。 
  各部門の産出の価値Vは、利潤Pと賃金Wの和に等しいから、
  Vi=Pi+Wi (i =1,2,3)                     (1)
 第III部門の資本家は、産出の価値のうちのW3にあたるものをその部門内
の労働者へ、残りのP3にあたるものを第I・II部門の労働者へ販売すると考えら
れるから、
  P3=W1+W2                            (2)
 ここで、第I部門と第II部門の産出の価値を合計すると、
  V1+V2=P1+P2+W1+W2                     (3)
を得るのだが、(2)式を(3)式に代入すると、次式が得られるのだが
ただちにわかるだろう。
  V1+V2=P1+P2+P3                        (4)
 (4)式は、経済全体の利潤が、投資財の価値と資本家の消費財の価値
の和に等しいことを示している。こうして、本文で述べたような、P=I十CCと
いうカレツキの命題が得られるわけである。
Cf.,Josef Poschl and Gareth Locksley, Michal Kalecki : A Comprehensive Challenge to orthodoxy,
in J. R.Shackleton and Gareth Locksley eds.,Twelve Contemporary Economists,1981,p.157.

   所得           支出
資本家の所得(P)      投資(I)
              資本家の消費(CC)
労働者の所得(W)     労働者の消費(CW)
労働者はその所得をすべて消費する(すなわち、W=CW)
と仮定されているから、
    P=I十CC
資本家は、利潤を決定することは出来ないがゆえに、この式は、I十CCがPを
決定することを示している。
両辺からCCを減じると、
    S=I

I(投資)がS(貯蓄)を決定する。しかも、S=Iは利子率から独立している。
(同188-9頁より、一部改変)

http://www.abebooks....ailsPL?bi=8370052739
Image Not Available View Larger Image Twelve Contemporary Economists
J. R. Shackleton, Gareth Locksley Published by Palgrave Macmillan, 1981

http://byoubyou.coco...06/09/post_b710.html
カレツキの再生産表式は、マルクスの再生産表式の価値部分のみを表現しているもので、
現物部分の存在を無視している。

以下、『現代イギリス経済学の群像―正統から異端へ』1989/4/27 根井雅弘
224-5頁より

  各部門の産出の価値Vは、利潤Pと賃金Wの和に等しいから、
  Vi=Pi+Wi (i =1,2,3)                     (1)
 第III部門の資本家は、産出の価値のうちのW3にあたるものをその部門内
の労働者へ、残りのP3にあたるものを第I・II部門の労働者へ販売すると考えら
れるから、
  P3=W1+W2                            (2)
 ここで、第I部門と第II部門の産出の価値を合計すると、
  V1+V2=P1+P2+W1+W2                     (3)
を得るのだが、(2)式を(3)式に代入すると、次式が得られるのだが
ただちにわかるだろう。
  V1+V2=P1+P2+P3                        (4)
 (4)式は、経済全体の利潤が、投資財の価値と資本家の消費財の価値
の和に等しいことを示している。こうして、本文で述べたような、P=I十CCと
いうカレツキの命題が得られるわけである。



再掲:カレツキ経済表の図解
 ______            ______
| _____|________  | ____ |
||     |  _____ | ||    ||
||利潤P1 |+| 賃金W1||=||投資I ||V1
||     | |/I=w1|| ||    ||
||     | |(分配率)|| ||    ||
||     | |     || ||資本家 ||
||利潤P2 |+| 賃金W2||=/|消費Ck||V2
||     | |/Ck=w2|/||    ||
||     | |(分配率)|/ ||    ||
||     ③ |_____/| ||    ||
||_____|/_____/_| ||____||
|      /     /    |      |
|     ②|    /  (⑤)|(⑥)   |
| ___/ |   /      | 労働者  |
||利潤P3||+ /賃金W3  =| 消費Cw |
||____|| //Cw=w3  |      |
|      |/ (分配率)   |      |
|______/          |______|
      /               |  
     ④                ⑦ 
 ___/___________   ___|__ 
| _/___         |①|      |
||総利潤P |+  総賃金W |=| 国民所得Y|
||_____|        | |      |
|_______________| |______|


カレツキ「国民所得の経済表」(tableau economique of the national income)
("The Marxian equations of reproduction and modern economics"「マルクスの再生産の方程式と近代経済学」1968,1991未邦訳より)



   所得           支出
資本家の所得(P)      投資(I)
              資本家の消費(CC)
労働者の所得(W)     労働者の消費(CW)
労働者はその所得をすべて消費する(すなわち、W=CW)
と仮定されているから、
    P=I十CC
資本家は、利潤を決定することは出来ないがゆえに、この式は、I十CCがPを
決定することを示している。
両辺からCCを減じると、
    S=I

I(投資)がS(貯蓄)を決定する。しかも、S=Iは利子率から独立している。
(同188-9頁より、一部改変)

http://www.abebooks.com/servlet/BookDetailsPL?bi=8370052739
Image Not Available View Larger Image Twelve Contemporary Economists
J. R. Shackleton, Gareth Locksley Published by Palgrave Macmillan, 1981

http://byoubyou.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_b710.html
カレツキの再生産表式は、マルクスの再生産表式の価値部分のみを表現しているもので、
現物部分の存在を無視している。


投資家
資本家
労働者

「労働者は得るものを支出し、資本家は支出するものを得る」
(Workers spend what they get Capitalists get what they spend)
カレツキ...動態理論212頁より

参考:
『資本論』の新しい読み方―21世紀のマルクス入門
ミヒャエル・ハインリッヒ 明石英人 (翻訳), 佐々木隆治 (翻訳)他

資本論全三巻プラス国家論を一冊306頁(#1-12)にまとめている。特に第二巻は#6一章だけ
で済ませている。横書きなので表式の説明☆などは読みやすい。


《...
 部門I cI+vI+mI
 部門 II cII+v II+m II

 部門1の生産物は素材的には生産手段からなっている。単純再生産が可能であるためには、
この生産物は両部門で用いられる生産手段を補填しなくてはならない。したがって以下のような
価値比率となる。

 (1)cI+vI+mI=cI+c II

 また、部門IIの生産物は消費手段からなっている。それは両部門の労働者と資本家の使用
をカバーしなければならない。そのためには、次の式になる。

 (2)c II+v II+m II=vI+v II+mI+m II

 両等式はどちらも以下のようになる(等式の両辺の同じ項を引くことによって)。

 (3)c II=vI+mI

 つまり、部門IIで用いられる不変資本の価値は、部門Iの可変資本の価値と剰余価値に等し
くなくてはならない。》
_________
改訂版:
 この一冊だけでいいという本はないが、経済学史としては、まずはこの一冊、

『経済学の歴史 』根井雅弘 講談社学術文庫  電子書籍版あり 2014^2005(^1998筑摩)

通史ではなく伝記の寄せ集めだが、アダム・スミスとマルクスとケインズだけでも読んでおくべきだ。
ゲゼルの名がないのは仕方ないがフィッシャーがいないのはおかしい。
#5にカレツキ、#7でプルードンの名が出てくる。
カレツキに関しては同著者の、

『現代イギリス経済学の群像~正統から異端へ』(岩波書店 1989年,新版,1995年)

『ケインズ革命の群像~現代経済学の課題』(中公新書 1991年)KOBOあり
『わかる現代経済学』根井 雅弘【編著】朝日新書 2007 (カレツキ関連の執筆は服部 茂幸)

のどれかで補完する必要がある。
ブローグやシュンペーターの経済学史の大著は調べるにはいいが読み物としては勧められない。
ブローグは持っておくべきだが。

経済理論の歴史 1 - 3 ,1966 M.ブローグ (著)新訳は全4巻]


フィッシャーに関しては、全然網羅的ではないが、
NAMs出版プロジェクト: 竹森俊平『経済論戦は甦る』日経ビジネス人文庫 2007
http://nam-students.blogspot.jp/2017/10/2007.html(第1、2章でフィッシャーに言及)
がおすすめ。

フィッシャーの伝記としては吉川洋『経済学をつくった巨人たち』(2001)の小文がいい。
これらは対デフレ理論的に再評価したもの。
(現代経済学は細分化したので大元の巨人の業績を振り返る必要がある。
 フィッシャーはスミス、マルクス、ケインズと並ぶ存在)

マルクスに興味があれば以下もおすすめ、
越村 信三郎『四元的価値のパラダイム マルクス経済学と近代経済学の統一のために』1989
(サミュエルソンの系譜図より優れている)

斎藤他マクロ、ブランシャール下巻付録、ここら辺の顔写真付きの経済学史の記述もおすすめ

限界革命についてはブローグを読むべきだが
(ブローグによるとジェボンズはフロイトとも親交のあったフェーヒナーから限界効用のアイデアを得たという。)
以下がわかりやすい













ライブ・経済学の歴史―“経済学の見取り図”をつくろう | 小田中 直樹

 


マルサスについても補完すべきだが初心者向けの良書を知らない。
前述の越村『四元的価値のパラダイム マルクス経済学と近代経済学の統一のために』がマルサスの位置付け、見取り図としては正しいが。

その他の推薦書に、
ブローグが編集にかかわった図解モデルで振り返った本(電子版はあるが邦訳なし)

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追記:
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ジョン・K.ガルブレイス/〔著〕 斎藤精一郎/訳
出版年月 2009年4月
税込価格 1,512円
頁数・縦 498P 15cm
  • 1 予言者たちと古典的資本主義の約束
  • 2 資本主義最盛期の行動と紀律
  • 3 カール・マルクスの異議申し立て
  • 4 植民地の思想
  • 5 レーニンと大いなる解体
  • 6 貨幣の浮き沈み
  • 7 ケインズ革命
  • 8 致命的な競争
  • 9 大企業
  • 10 土地と住民
  • 11 大都市圏(メトロポリス)
  • 12 民主主義、リーダーシップ、責任



12 Comments:

Blogger yoji said...

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5:37 午後  
Blogger yoji said...

この一冊だけでいいという本はないが、経済学史としては、まずはこの一冊、

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5:40 午後  
Blogger yoji said...

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ライブ・経済学の歴史―“経済学の見取り図”をつくろう | 小田中 直樹

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前述の越村『四元的価値のパラダイム マルクス経済学と近代経済学の統一のために』がマルサスの位置付け、見取り図としては正しいが。

その他の推薦書に、
ブローグが編集にかかわった図解モデルで振り返った本(電子版はあるが邦訳なし)
                 
NAMs出版プロジェクト: Famous Figures and Diagrams in Economics (英語)
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(ティロール『良き社会…』の該当部分#4:5を併読するとわかりやすい)

5:45 午後  
Blogger yoji said...


この一冊だけでいいという本はないが、経済学史としては、まずはこの一冊、

『経済学の歴史 』根井雅弘 講談社学術文庫 電子書籍版あり 2014


通史ではなく伝記の寄せ集めだが、アダム・スミスとマルクスとケインズだけでも読んでおくべきだ。
ゲゼルの名がないのは仕方ないがフィッシャーがいないのはおかしいが。
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のどれかで補完する必要がある。
ブローグやシュンペーターの経済学史の大著は調べるにはいいが読み物としては勧められない。
ブローグは持っておくべきだが。

経済理論の歴史 1 - 3 ,1966 M.ブローグ (著)[ 新訳は全4巻]

フィッシャーに関しては、全然網羅的ではないが、
NAMs出版プロジェクト: 竹森俊平『経済論戦は甦る』日経ビジネス人文庫 2007
http://nam-students.blogspot.jp/2017/10/2007.html(第1、2章でフィッシャーに言及)
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フィッシャーの伝記としては吉川洋『経済学をつくった巨人たち』(2001)の小文がいい。
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(現代経済学は細分化したので大元の巨人の業績を振り返る必要がある。
 フィッシャーはスミス、マルクス、ケインズと並ぶ存在)

6:04 午後  
Blogger yoji said...

マルクスに興味があれば以下もおすすめ、
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(ブローグによるとジェボンズはフロイトとも親交のあったフェーヒナーから限界効用のアイデアを得たという。)
以下がわかりやすい

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マルサスについても補完すべきだが初心者向けの良書を知らない。
前述の越村『四元的価値のパラダイム マルクス経済学と近代経済学の統一のために』がマルサスの位置付け、見取り図としては正しいが。

その他の推薦書に、
ブローグが編集にかかわった図解モデルで振り返った本(電子版はあるが邦訳なし)
                 
NAMs出版プロジェクト: Famous Figures and Diagrams in Economics (英語)
http://nam-students.blogspot.jp/2015/09/famous-figures-and-diagrams-in-economics.html

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https://www.amazon.com/Famous-Figures-Diagrams-Economics-Blaug/dp/1848441606/

6:04 午後  
Blogger yoji said...

図解 使えるマクロ経済学 (中経出版) | 菅原 晃 ( kindleあり)は近年の経済学史に詳しい
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(ティロール『良き社会…』の該当部分#4-5を併読するとわかりやすい)

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追記:
前述の根井2014kindleと似た趣向の本の映像版
ガルブレイス 不確実性の時代 字幕なし 1977 BBC
https://www.youtube.com/playlist?list=PL2UuZUPZA4vjnPDGBe6HMHzep0aeUbRbH

NHKのライブラリーからコンパクトな映像版経済学史を再編集してほいところだ。

6:05 午後  
Blogger yoji said...

マルクスに興味があれば以下もおすすめ、
越村 信三郎『四元的価値のパラダイム マルクス経済学と近代経済学の統一のために』1989
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(サミュエルソンや後述瀧澤本の系譜図より優れている)

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Famous Figures and Diagrams in Economics Hardcover – December 29, 2010
by Mark Blaug (Author, Editor), Peter Lloyd (Author, Editor)
https://www.amazon.com/Famous-Figures-Diagrams-Economics-Blaug/dp/1848441606/

8:34 午後  
Blogger yoji said...

追記:
図解 使えるマクロ経済学 (中経出版) | 菅原 晃 ( kindleあり)は近年の経済学史に詳しい
https://lh3.googleusercontent.com/-HE7XGtgPmWk/VUmiWKbcAlI/AAAAAAAAuR0/6dhHDn9vJEk/s1600/blogger-image-1873491835.jpg
瀧澤弘和 現代経済学 中公新書 2018/8 のゲーム理論関連の系譜図
https://lh3.googleusercontent.com/-uqwqxOwMx8I/XCxND_ItQzI/AAAAAAABf2I/exZM_pWsw1oNNjOyEHvsrQdKUf8PZ4ZSgCHMYCw/s640/blogger-image--1383236475.jpg
(ティロール『良き社会…』の該当部分#4-5を併読するとわかりやすい)

『経済学大図鑑』(ナイアル・キシテイニー ,2014^2012)などもいいがそもそも世界史を学ぶべきだ。


前述の根井2014kindleと似た趣向の本の映像版
ガルブレイス 不確実性の時代 字幕なし 1977 BBC
https://www.youtube.com/playlist?list=PL2UuZUPZA4vjnPDGBe6HMHzep0aeUbRbH
NHKのライブラリーからコンパクトな映像版経済学史を再編集してほいところだ。
ガルブレイスの番組は以下に対応
不確実性の時代 講談社学術文庫 
ジョン・K.ガルブレイス/〔著〕 斎藤精一郎/訳 出版年月 2009年4月

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000211425

8:35 午後  
Blogger yoji said...

この一冊だけでいいという本はないが、経済学史としては、まずはこの一冊、

『経済学の歴史 』根井雅弘 講談社学術文庫 電子書籍版あり 2014^2005(^1998筑摩)
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000151291

通史ではなく伝記の寄せ集めだが、アダム・スミスとマルクスとケインズだけでも読んでおくべきだ。
ゲゼルの名がないのは仕方ないがフィッシャーがいないのはおかしいが。
#5にカレツキ、#7でプルードンの名が出てくる。
カレツキに関しては同著者の、

『現代イギリス経済学の群像~正統から異端へ』(岩波書店 1989年,新版,1995年)
『ケインズ革命の群像~現代経済学の課題』(中公新書 1991年)KOBOあり
https://books.rakuten.co.jp/rk/9453fb743e28353197cdfe080e962158/
『わかる現代経済学』根井 雅弘【編著】朝日新書 2007 (カレツキ関連の執筆は服部 茂幸)

のどれかで補完する必要がある。
ブローグやシュンペーターの経済学史の大著は調べるにはいいが読み物としては勧められない。
ブローグは持っておくべきだが。

経済理論の歴史 1 - 3 ,1966 M.ブローグ (著)[ 新訳は全4巻]

フィッシャーに関しては、全然網羅的ではないが、
竹森俊平『経済論戦は甦る』日経ビジネス人文庫 2007(第1、2章でフィッシャーに言及)
がおすすめ。

フィッシャーの伝記としては吉川洋『経済学をつくった巨人たち』(2001)の小文がいい。
これらは対デフレ理論的に再評価したもの。
(現代経済学は細分化したので大元の巨人の業績を振り返る必要がある。
 フィッシャーはスミス、マルクス、ケインズと並ぶ存在)

8:37 午後  
Blogger yoji said...


根井雅弘
市場主義のたそがれ 中公新書 kindle

スティグラ ーは 、従来の産業組織論 (ハ ーヴァ ードに E ・ H ・チェンバリン 、 R ・ケイヴズ 、エドワ ード ・メイスンのような中心的な学者がいたので 、 「ハ ーヴァ ード学派 」と呼ばれることが多い )が 「独占 」 「寡占 」 「自然独占 」などの 「市場構造 」に注目して 、 「経済的厚生 」の改善のために規制を正当化してきたのに対して 、規制とは 、 「業界によって獲得され 、主としてその利益に適うように設計され運営される ( * 9 ) 」という新しい理論を提示した (規制によってその産業への新規参入が困難になれば 、既存の企業はその分超過利潤を獲得することが可能であることに注意 。このような考え方は 、いまでは周知のものになったが 、 「政治過程の経済分析 」と密接な関連性をもっている ) 。スティグラ ーは 、次のように述べている ( * 1 0 ) 。

「規制を求める産業は 、政党が必要とする二つのもの 、すなわち票と資金をもってその代価を支払う用意がなければならない 。資金は 、政治活動資金の寄付 、(実業家が 、選挙資金調達委員会の責任者となるといったような )奉仕活動や 、政党の職員を雇用するといったようなもっと間接的な方法などによって提供することが可能である 。当該産業や他の関連業界の構成員を教育したり (あるいは反教育したり )するような金のかかる企画によって 、規制に対する支持票は結集され 、反対票は駆逐される 。 」


* 9 … … G ・ J ・スティグラ ー 『小さな政府の経済学 ─ ─規制と競争 』余語将尊 、宇佐見泰生訳 (東洋経済新報社 、一九八一年 )一七九ペ ージ 。引用は 、 「経済規制の理論 」から 。
* 1 0 … …前同 、一九八ペ ージ 。

8:20 午後  
Blogger yoji said...

経済学者はこう考えてきた (平凡社新書0893) Kindle版
根井 雅弘 (著)
5つ星のうち 3.5 2件のカスタマーレビュー
その他(2)の形式およびエディションを表示する
2018

カレツキについての記述あり

2:12 午前  
Blogger yoji said...

根井氏の業績の一つにカレツキの紹介がある。カレツキはマルクスとケインズをつなぐ経済学史上最重要人物だ(最近話題のMMTもカレツキに負う部分が多々ある。本書で言及されるミンスキーにもカレツキの影響がある)。
ただしkindleで読めるものは少ない。中公新書『「ケインズ革命」の群像』はkoboでしか読めない。
電子版にこだわる必要はないが一般に勧めやすくなるから欠かせない。
本書はマルクスから記述が始まるから敬遠する一部読者もいるだろうがカレツキの箇所まで読み進めれば疑念は氷解するはずである。

8:20 午後  

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