《すべての生産要素の量を変えることができる期間を長期といい 、一部の生産要素の量が固定されているような期間を短期という 。
ミクロ経済学における短期と長期》#2
埋没費用(まいぼつひよう、英: sunk cost 〈サンクコスト〉)とは、事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力のこと。
いしいひさいち『バイトくん』から垣間見える、労働のもう一つの側面:
書評:
ISBNコード978-4-535-55756-7 発刊日:2014.09(下旬刊)(2016年kindle版がオススメ)
判型:A5判 ページ数:552ページ 定価:税込み 3,456円(本体価格 3,200円)
「モデルを正確に理解して使うだけでなく、モデルが導いた結論を日常の言葉で言い直してみて、確かにそれが現実の重要な一面をとらえているかどうかをはっきり理解する。」(経済分析のコツ:神取030頁)
著者はゲーム理論の専門家らしく、素人目にも後半のゲーム理論の記述が優れている。
特に共同体の論理を利得表で裏から説明*しているのが素晴らしい。いわゆる「イデオロギーの話」*を数学的に説明しているのだ**。
ソ連などはこの共同体の論理を拡大しすぎたのだという(2:10)。
いしいひさいちの漫画バイトくん***(455頁)で説明する旧国鉄のサービスの悪さはわかりやすい。
ここまでくれば協同組合と労働組合の違いについて一言あってもよかった。
(社会主義への理解はサミュエルソンに負ける****。)
前提となる数学的教養としては前半は微分、後半は離散数学ということになる。
(ちなみにマルクスの数学研究はほとんど微積分の研究だった。)
私見では、協同組合は離散数学から導かれるのだが、本書は後一歩のところまで来ている。
前半(経済学としてはこちらがメイン)の微分を使ったスルツキー方程式の説明などもわかりやすいが(1:1:9)、結局、微分の理解次第だから、これでわかるなら
どの研究書でもわかるのではないか? 理解の時間が短縮されるということだろう…奥野(著者公式webに図が多数ある)より図が多いのでオススメだが。
ちなみにヴァリアンの入門書には載っているがクルーグマンの入門書にはスルツキーは載っていない。
以下、類書比較用メモ。
スティグリッツは全ページ白黒。
マンキューマクロ応用編1,2は、経済学の十原理を引いていない。ミルの1867年の文章(『大学教育について 』 岩波文庫, 原タイトル:Inaugural Address delivered to the University of St.Andrews)が冒頭で引かれている。神取は、ピケティが否定したクズネッツ曲線を肯定している(465頁)。ピケティはパレートも批判(邦訳『21世紀の資本』,382~3頁)しているから立場が違うのだろうが。
さらに言うと、神取ミクロには奧野ミクロにあった情報の非対称性、オークションに関する解説がないのが惜しい。
神取ミクロはそこが弱い
以下、twitterより
susumuogawa@susumuogawa
著名経済学者神取道宏先生のミクロ経済学の教科書『ミクロ経済学の力』。これは買い。すぐ経済学の復習を。いしいひさいちさんの漫画も出てる!
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____________________
| | 協 力 |利己的な行動|
|______|______|______|
| 協 力 | 3,3 | -1,4 |
|______|______|______|
|利己的な行動| 4,-1 | 0,0 |←自己利益を追求すると、
|______|______|______| みんなが困る
共同体での助け合いは、囚人のジレンマの
ようになっていることが多い
表10.1、450頁より
***
****
《一工場内の20人ないし100人にのぼる労働者が労働 者協議会をつくる .名目的には,彼らが自分たちのため の経営者を選ぶ、(企業役員として経験を積んだ人を求 めて、広告募集することさえある!)彼らはその資本を、 中央のブールから借りる」。(資本は時には最高人札者 に「せり売り」されることもある、)企業は、自分で考 えて売れると思うものを生産するよう、自分で決めるこ とができる。企業は,原料を外国から輪人してもよいし、 時にはそのために外国の信用供与を受けてもよい,企業 による費用の削减は,所得や土地にかんする税を払った あとに残った余剩を、ボーナスとして労働者に払うとか、 あるいは企業に再投資するとかに利用できるという期待 のもとに行なうことができる。》
サミュエルソン新版経済学下932頁1981年、原著1980年第11版
ユーゴスラビアのチトーイズムの説明より
また、自分の知る限り労働組合と協同組合との利益の不一致を指摘したのはラッセルだけだ。
ワイド版世界の大思想 第2期〈13〉ラッセル , 市井三郎 & 中村秀吉
//////////
『ミクロ経済学の力』神取道宏:目次
序 章 経済学の目的と方法 001
0.1 ミクロ経済学の方法 001
0.2 事実解明的な問いとミクロ経済学 003
事例0.1 価格転嫁と常識的議論の問題点 004
0.3 規範的な問いとミクロ経済学 006
第1部 価格理論:市場メカニズムの特長と問題点
第1章 消費者行動の理論 010
1.1 合理的行動:選好と効用関数 010
1.2 消費者の選好と無差別曲線 017
経済学でよく使う数理の道具箱 凸集合 022
1.3 最適消費:図解による分析 024
1.4 重要な補論:数理モデルと現実の関係、およびミクロ経済学の考え方について 026
事例1.1 政策評価:老人医療費補助制度の問題点 027
1.5 限界分析入門 035
(a) 限界効用 036
(b) 消費の微調整と効用の変化 038
(c) 限界代替率と限界効用の関係 042
(d) 最適消費の条件 044
1.6 最適消費の性質 049
附論 無差別曲線は原点に向かって凸であると考えてよいか 053
1.7 代替と補完の程度を測る分析道具:補償需要関数 055
1.8 支出関数 062
事例1.2 TPPと農家への所得補償 063
1.9 所得効果と代替効果 066
(a) 消費の二面性 066
(b) 価格の上昇による所得の実質的な減少 067
(c) 価格変化と需要の変化(スルツキ―分解) 069
1.10 価格弾力性 076
例題ゼミナール1 効用最大化から需要量を導く 081
第2章 企業行動の理論 085
2.1 経済学における企業のとらえ方 085
2.2 生産要素が一つ(労働)の場合の企業行動 087
事例2.1 部品組み立て工場 087
(a) 生産関数 088
(b) 利潤最大化 092
(c) 費用関数と供給曲線 098
(d) 費用曲線の実例 112
事例2.2 東北電力の費用曲線 113
2.3 生産要素が二つ(労働と資本)の場合の企業行動 116
(a) 規模に対する収穫 117
(b) 生産要素間の代替と技術的限界代替率 119
(c) 利潤最大化 122
経済学でよく使う数理の道具箱 凹関数と凸関数 124
凹関数の式による定義 129
事例2.3 要素価格の国際比較 134
(d) 長期の費用関数と供給曲線 136
2.4 生産要素と生産物がともに多数あってもよい、一般的な場合の企業行動 142
2.5 利潤と所得分配:なぜ所得格差が生まれるのか 147
事例2.4 日本の所得分配 151
例題ゼミナール2 生産関数と労働者の取り分 152
第3章 市場均衡 157
3.1 部分均衡分析 157
(a) 市場需要と市場供給 157
(b) 産業の長期均衡 163
事例3.1 自社ビルでのレストラン経営 165
(c) 消費者余剰 168
(d) 部分均衡分析の応用例 174
3.2 TPPについて、これだけは知っておこう:TPPとコメの輸入自由化 180
(1) コメの供給曲線はどうすればわかるのか 180
(2) 米作農家とはどのような人たちなのか 184
(3) コメの供給曲線を推計する 186
(4) 自由化前のコメ市場の均衡 187
(5) 自由化でコメの値段はどのくらい下がるのか 188
(6) 自由化でコメの国内生産はどうなるのか 189
(7) 自由化で得をするのは誰か 190
(8) コメは自由化すべきか 193
3.3 一般均衡分析 197
(a) 経済の全体像を見る:一般均衡モデル 197
(b) 労働供給 201
(c) 一般均衡モデル(つづき) 205
(d) 超過需要関数の性質 207
(e) 均衡の存在 212
(f) 交換経済の分析:エッジュワースの箱 219
(g) 市場メカニズムの効率性の論証:厚生経済学の第1基本定理 230
(h) グローバリズムはなぜ起こるのか?:市場均衡とコア 234
(i) 厚生経済学の第2基本定理と効率性のための条件 238
(j) 厚生経済学の第2基本定理と経済政策 247
(k) 市場メカニズムの特長とは?:分権的意思決定と情報・誘因 254 *
第4章 市場の失敗 257
4.1 外部性 257
(a) 外部不経済下の市場均衡 258
(b) ピグー税 260
(c) ピグー補助金 262
(d) 課税か補助金か? 263
事例4.1 ピグー税の実例 ロンドン混雑税 265
(e) いくつかのコメント 268
事例4.2 地球温暖化と排出権取引市場 269
(f) 交渉による外部性の解決とコースの定理 269
4.2 公共財 274
(a) 公共財の最適供給:部分均衡分析 275
(b) リンダール均衡 278
事例4.3 公共財の実例としての街灯 279
(c) 公共財の最適供給:一般均衡分析 283
第5章 独占 288
5.1 独占企業の行動 288
5.2 独占の弊害 293
事例5.1 原油価格の高騰と価格転嫁 再考 294
5.3 自然独占と価格規制 297
事例5.2 東北電力の規制価格 301
第2部 ゲーム理論と情報の経済学:経済理論の新しい流れ
イントロダクション なぜゲーム理論が必要なのか 304
第6章 同時手番のゲームとナッシュ均衡 308
6.1 ゲームとは? 308
6.2 ナッシュ均衡 309
事例6.1 リニエンシー制度 315
事例6.2 新技術の業界標準 319
事例6.3 二大政党のマニュフェスト 323
事例6.4 道路交通量の予測 325
6.3 ナッシュ均衡が実現する理由 327
事例6.5 エスカレーターの右空け 330
6.4 個人の利益追求と社会全体の利益の関係 333
6.5 寡占への応用(I):数量競争と価格競争 335
(a) 数量競争(クールノー・モデル) 336
(b) 価格競争(ベルトラン・モデル) 340
6.6 不確実性と期待効用 343
6.7 混合戦略均衡とナッシュ均衡の存在 352
事例6.6 サッカーのペナルティ・キック 354
第7章 時間を通じたゲームと戦略の信頼性 358
7.1 例:銀行の破綻処理 358
7.2 部分ゲーム完全均衡 364
(a) 展開型と時間を通じたゲームの戦略 364
(b) 部分ゲーム完全均衡とは? 368
7.3 寡占への応用(II):シュタッケルベルク・モデル 374
7.4 コミットメント 380
事例7.1 金融危機と銀行破綻処理 380
事例7.2 ユーロ危機 385
7.5 長期的関係と協調 390
事例7.2 ユーロ危機 385
事例7.3 ガソリンスタンドの協調 391
第8章 保険とモラル・ハザード 399
8.1 効率的な危険分担と保険の役割 399
8.2 モラル・ハザードとその対策 403
事例8.1 保険における「免責」の役割 414
第9章 逆淘汰とシグナリング 418
9.1 逆淘汰とは? 418
9.2 シグナリングの原理 421
9.3 労働市場のシグナリング均衡 431
事例10.1 MBA 445
終 章 最後に、社会思想(イデオロギー)の話をしよう 447
10.1 社会問題に対する意見の対立の根本にあるもの:共同体の論理 対 市場の論理 447
(1) 共同体の論理とは 449 **
(2) 市場の論理とは 451
(3) 社会主義の失敗と共同体の論理の限界 454 ***
(4) 二つの論理の役割 457
10.2 市場の恩恵を受けるのは誰か:補償原理と社会正義 460
補論A 最小限必要な数学の解説 473
A.1 関数 473
A.2 直線の傾き 474
A.3 微分 475
A.4 多変数の関数の微分 478
A.5 確認の練習問題 482
補論B 条件付最大化問題とラグランジュの未定乗数法 484
B.1 内点解の場合 491
B.2 内点解でない場合 491
B.3 凹関数と準凹関数 492
補論C 補償変分と等価変分:価格変化が消費者に与える損害や利益を、需要曲線から推定する 495
C.1 補償変分 495
C.2 等価変分 499
C.3 まとめ 501
経済学でよく使う数理の道具箱 凹関数と凸関数 集合の足し算A+B 504
補論D 厚生経済学の第2基本定理の証明は難しくない 502
D.1 まずは、いくつかの準備をしよう 503
D.2 証明の大筋 510
D.3 一目でわかる証明の流れ 518
D.4 細かい注意 520
D.5 定理の正確な記述 525
D.6 多数の消費者と生産者がいるなら、厚生経済学の第2基本定理はほぼ成り立つ 527
附論 補題の証明 531
索引 533
経済学でよく使う数理の道具箱
凸集合 022
凹関数と凸関数 124
凹関数の式による定義 129
集合の足し算A+B 504
事例一覧
事例0.1 価格転嫁と常識的議論の問題点 004
事例1.1 政策評価:老人医療費補助制度の問題点 027
事例1.2 TPPと農家への所得補償 063
事例2.1 部品組み立て工場 087
事例2.2 東北電力の費用曲線 113
事例2.3 要素価格の国際比較 134
事例2.4 日本の所得分配 151
事例3.1 自社ビルでのレストラン経営 165
事例4.1 ピグー税の実例 ロンドン混雑税 265
事例4.2 地球温暖化と排出権取引市場 269
事例4.3 公共財の実例としての街灯 279
事例5.1 原油価格の高騰と価格転嫁 再考 294
事例5.2 東北電力の規制価格 301
事例6.1 リニエンシー制度 315 (以下4刷目次の章番号に間違い。著者公式サイトでも未訂正?)
事例6.2 新技術の業界標準 319
事例6.3 二大政党のマニュフェスト 323
事例6.4 道路交通量の予測 325
事例6.5 エスカレーターの右空け 330
事例6.6 サッカーのペナルティ・キック 354
事例7.1 金融危機と銀行破綻処理 380
事例7.2 ユーロ危機 385
事例7.3 ガソリンスタンドの協調 391
事例8.1 保険における「免責」の役割 414
事例9.1 MBA 445
(別記されている数理の道具箱と事例は本目次にも組み入れた。)
追記メモ:
価|
格|\
| \
P'|_ \__超過供給__
| \ 売れ残り /
|高過ぎ \ /市場供給
|消費者余剰\ /
均衡価格|______\/
|作りすぎ /\
|生産者余剰/ \
| / \市場需要
P''|_ _/__品薄__\
| / 超過需要159
| /
0|/____________
均衡取引量 数量
159,175参照
「経済分析のコツ:モデルを正確に理解して使うだけでなく、モデルが導いた結論を日常の言葉で言い直してみて、確かにそれが現実の重要な一面をとらえているかどうかをはっきり理解する。」神取030頁
価|
格|
| 超過供給
| \ / 市場供給
均衡価格|___\/
| /\
| / \ 市場需要
| 超過需要
0|____________
均衡取引量 数量
価|
格|\
|消\超過供給
|費者\ / 市場供給
均衡価格|余剰_\/
|生産者/\
|余剰/ \ 市場需要
| /超過需要
0|/____________
均衡取引量 数量
無産者礼讃
バイトくん全集1
1984