日曜日, 7月 03, 2016

マルクス資本論『第1巻のための変更一覧表』(1877年)

マルクス資本論『第1巻のための変更一覧表』(1877年)
"Verzeichnis der Veränderungen für den ersten Band des 'Kapitals'" 
MEGA-II/8

新 MEGA (Marx −Engels−Gesamtausgabe)当該巻の 編集責任者ア イケ

(Adobe PDF)

ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=en&type=pdf...

ン. ゲ ル ス ・マ ル クス 主義研 究』. 第 1号,. 1987年 10 月)。 2 ) MEGA II. /8, S. 17# “. N 工工一Eleotronlo. Llbrary .... 覧表 J の 基底稿で あ る。 マ ル ク ス は 後者 を 1877年 10 月に ゾル. ゲ に 送 っ て い る. 8〕 。 エ. ン ゲ ル ス が ゾ ル ゲ か らこ の  ...




 








「一覧表」の指示(A)に完全に従うと,第3版——第4版でも同一——とは異
なり,第14章前半の生産的労働論や絶対的剩余価値と相対的剩余価値の区別
と関連に関わる論点は簡略化され,後者の論点に関わって提示される資本の
もとヘの労働の形式的ならびに実質的包摂論は削除される。
指示に)の主たる内容はフランス語版第16章——第2版第14章に相当する
——後半で提示されるJ、S.ミルヘの批判をドイツ語版第14章末尾に付加せ
よ,というものであって,この指示をエンゲルスは独自の判断で概ね取り込
んでいる。しかし「一覧表」に従っていないために完全にではない。「一覧表」
の指示に)を完全に実現すると,第2版第14章の結語段落,「労働の歴史的に発
達した社会的な生産諸力がそうであるように,労働の自然によって制約され
た生産諸力も,労働が合体される資本の生産諸力として現れる」33)は「抹消」
される。そしてその「代わり」にフランス語版対応箇所の段落,「労働はそれ
が生産者の生計費を入手するために必要な労働時間を超えて延長できる以前
に,工程度の生産性をもっていなければならない。しかしその程度がどれ
らいであろうと,剩余価値の源泉となるものはツけっしてこの生産性では
ない。この原因は,剩余労働をもぎ取る様式がどのようなものであろうと,
必ず剩余労働である」34),が入る。この指示は第3版では採用されていない。
わが国の「資本論」の解説書は,いずれをとっても第1部第14章「絶対的
および相対的剩余価値」の論述でもっとも重視すべきは,同章前半で両形態
の剩余価値の区別と関連に関わって提示される資本のもとヘの労働の形式的
ならびに実質的包摂規定であるとし,章末のJ.S.ミル批判に注意を喚起する
ことはほとんどない。だがエンゲルス版第3版と「一覧表」に完全に従った
版本とでは,第14章には以上のようなきわだった相違が存在するのであって,
この相違を全体としてみた場合,マルクス自身は,第14章の改訂では,「包摂」
論を「抹消」しも前半の簡略化を図り,力点を後半におく予定であったの
は明白である。

33)MEGA,II/6,S.484.
34)MEGA,II/7,S.446.
大村1998年,231頁
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http://www.marino.ne.jp/~rendaico/marxismco/marxism_genriron_shihonronco_cosei.htm
32511三論     資本論の構成  「佐々木信男論文集」、「『資本論』をひとりよがりに読むシリーズ」より
...
 全4部のどれも編輯問題に関して、さまざまな議論を誘発するテクストである。第1巻では初版(1867年)の前半部分が第2版(1872~73年)にお いて改訂されており、後半部分の改訂をマルクスはフランス語版(1872~75年)で行った。マルクスは「ドイツ語第2版のどこを削除してフランス語版の どこに置き換えたらよいのか」ということを『第1巻のための変更一覧表』(1877年)として遺したが、結局マルクス本人による両者の統合・編輯は行われ ることなく、マルクスはこの世を去ることになり、最終的な編輯の手はエンゲルスに委ねられることになった。

 新MEGA第2部の編輯委員の一人である大村泉によると、エンゲルスは第3版編輯の時点でこの『一覧表』の存在に気づかなかったそうである。そのためエ ンゲルスの編輯は第2版とフランス語版マルクス自用本の書き込みに従って行われて、結果『一覧表』と第3版との間にはいくつかの乖離が残されることになっ た、というのが大村泉の見解である(注3)。

 .... 詳細については大村泉『新MEGAと《資本論》の成立』(八朔社)、大村泉・宮川彰編著『『資本論』関連内外研究文献 マルクス/エンゲルス著作邦訳史集成』(八朔社)を参照されたい。また『AERA Mook マルクスがわかる。』(朝日新聞社)所収の大村泉「『資本論はいったい誰の作品か」、大谷禎之介「マルクスの遺稿は呪われたリングか」と題された2論文が短い中で要点を得ており、読みやすい。

 (注3)
 この報告は1988年、旧東ベルリンにて行われた新MEGA編輯者の『資本論』会議の席上、提示された。当初編輯者の多くが強く反発したようであるが、次第に意見を取り入れるようになり、これにより新MEGA第2部既刊の第10巻でドイツ語第3・4版において採用されなかったフランス語訳テキストの一覧を収録し、マルクスとエンゲルスとの乖離を表示する形となった。大村泉・宮川彰編著『『資本論』関連内外研究文献 マルクス/エンゲルス著作邦訳史集成』(八朔社)、27~29頁参照。


書評 大村泉著『新MEGAと《資本論》の成立』(IX頁+5頁+436頁)
http://rio.andrew.ac.jp/matuo/ronbun/199911r.html
次いで第7章では、『資本論』第1部のマルクスにとっ
ての「最終決定版」は、エンゲルス編集増補第3版でも
第4版でもなく、1877年にアメリカで計画された英語版
のためにマルクスが作成した「『資本論』第1巻のための
変更一覧表」の変更指示を完全に実現した版であるとい
う筆者年来の主張が、MEGA編集者の見解を批判しつ
つ展開されている。その考証内容は妥当であり、取りあ
えず早急に筆者の言う「最終決定版」を実現しなければ
ならないであろう。しかしそうして実現された「最終版」
がマルクス著 『 資本論 』「最終版」であるとしても、直
ちに、我々にとっての『資本論』「最終最良版・決定版」
となるかどうか。これが本来の問題であろう。

新MEGAと《資本論》の成立
 著者名等  大村泉/著  ≪再検索≫
 出版者   八朔社
 出版年   1998.04
 大きさ等  22cm 436p
 NDC分類 331.6
 目次    新MEGAと国際マルクス/エンゲルス財団;『資本論』の成立―編集史および理論成立
史の争点;第3章 「資本と利潤」の成立;1861‐63年草稿における第3部構想の
成立;「機械」論草稿の成立;剰余価値論と工場法分析;エンゲルスによる第1部編集の
根本問題;エンゲルス第3部編集への批判(新MEGA編集者間の論争;日本人研究者に
よる再審);『資本論』第1部初版本の伝承;マルクス稀覯本の伝承
 ISBN等 4-938571-71-4
[mixi] マルクス研究 | 資本論草稿について
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=2531273&id=22722396

またフランス語版『資本論』では、初版の後半部分にマルクスは改訂の手を加えていますが、このフランス語版とドイツ語版との統一に関してマルクスは完成することなくこの世を去ります。ところがマルクスは生前にドイツ語第2版のどこを削除し、フランス語版のどこに置き換える必要があるかを「第1巻のための変更一覧表」で一括整理していました。しかし第3版編集の際にエンゲルスはその存在に気づいていませんでした(!)。  
そんな訳でエンゲルスは第3版を編集・出版する際に「変更一覧表」ではなく、その元になった第2版とフランス語版マルクス自用本の「書き込み」を参考にしました。ただ研究者によるとこの「書き込み」は単なる備忘録・メモの域を越えないものであって、「一覧表」の存在なしには意図が不鮮明な部分が多数あったようです。  
そんな訳で依拠すべき草稿が取り違えられてしまい、フランス語版で訂正された箇所が第3版で訂正がされないままになったり、不正確になったりしました。  
エンゲルスが「一覧表」の存在に気づいたのは、後年の英語版監修の時点・1887年のことだったのですが、エンゲルスはどうしたわけか第3版でも第4版(現行流布版底本)でも編集の手入れをほとんど行わず、またこうした事実を率直に述べていません。