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You see, to me it seems as though the artists, the scientists, the philosophers were grinding lenses. It's all a grand preparation for something that never comes off. Someday the lens is going to be perfect and then we're all going to see clearly, see what a staggering, wonderful, beautiful world it is...
Henry Miller, quoted from Gilles Deleuze: Spinoza. Practical Philosophy (1970)
Henry Miller, Sexus.
哲学史のなかの<伝説>の一つに、衆人の無理解のなかで形而上学的思索を行っていたスピノザが、生活の資を得るためレンズ磨きをしていたというものがある。スピノザがレンズ磨きを行っていたのは事実と考えられるが、それが生活を支えるためというのは現代のスピノザ研究者によって明確に否定されている。以下、そうした否定論の一例として工藤喜作氏の文章を紹介し、また、より具体的なスピノザのレンズ磨きの状況を知るために、工藤氏が言及しているスピノザからフッデに宛てた書簡の一部を引用し紹介する。
レーウェンフックの同時代人・同国人に哲学者のスピノザがいた。レーウェンフックと同じ年、1632年に生まれている。スピノザもレンズを磨くことによって生計を立てていたといわれている。私はオランダを旅した際、スピノザが隠遁生活を送ったとされるレインスブルグという小村にスピノザの家を訪問したことがある。小さな書斎とそれに続く土間づくりの作業場。そこにレンズを磨く足踏み式の回転盤を置いて、スピノザはあるときレンズを一心に磨き、また別の時は、一心に自らの思索を深めていたのである。 レンズを磨くこと。
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