ミンスキー,金融不安で見直される経済学者 CAN “IT” HAPPEN AGAIN? +テイラールール
マクロ経済学のパラドックス
労働供給線
カレツキ1944[1939]
https://www.dropbox.com/s/ak0ha845ln5x0yw/kalecki1944-1939.pdf?dl=0
《 所与の利潤フローをもたらすことが期待される資本資産の買い手は、負債に
よる資金調達の増加を反映して,資本資産の需要価格を引き下げることにより,
負債取引契約を履行できなくなる危険性の増大を防ぐための安全性のゆとり幅
を増加させることができる.資金の借り手のリスクは,資本資産の需要価格が
右下がりになることにあらわれる12).それは,いかなる金融価格の中にも反映さ
れるものではない,つまりそれは,危険を埋め合わせる潜在的な収獲が存在す
る場合にのみ,債務不履行の危険の増加に身をさらしても価値がある, という
見解を映し出しているのである.》
《12)借手のリスクおよび貸手のリスクという用語は,ケインズの『一般理論』にもみられるが,
通常は,カレツキに帰せられている》(Minsky[1986]邦訳『金融不安定性の経済学』#8注:234頁)
12. The terms borrower's risk and lender's risk are usually associated with Kalecki, although the terms appear in Keynes's General Theory.
[p.190]
*原書、邦訳共にこの箇所だけカレツキの名が索引に反映されていない。
『ポストケインズ派経済学入門』2008[2004]の著書ラヴォアがマクロ経済学における
政策上のパラドックスをうまくまとめて表にしている。
2014年には8個だったが2017年には12個に増えている
Here’s a table from Marc Lavoie’s fantastic book, Post-Keynesian Economics: New Foundations.
参考文献としてはてクルーグマンの『さっさと不況を終わらせろ』
の第3章「ミンスキーの瞬間」がいい
ミンスキー関連[負債関連]を含め、倹約のパラドックス、負債圧縮[デレバレッジ]のパラドックス、柔軟性のパラドックス、
この3つのパラドックスを説明している
倹約のパラドックス:①
《沈滞した経済では、みんなが貯蓄を増やそうとすれば(つまりは支出を減らせば)総所得は減り経済は収縮する。そして経済がますます沈滞すると、事業投資は増えるどころか減る。個人としての貯蓄を増やそうとすることで、消費者たちは全体としては貯蓄が減ってしまうわけだ。》
柔軟性のパラドックス:⑤
《確かに個々の労働者は、低い賃金を受け容れれば、職にありつく可能性を改善できる。
他の労働者に比べて魅力的になるからだ。でも、だれもが賃金カットに応じるのであれば、
みんなの立場はまったく変わらず、単に全員の所得が下がるが、負債水準は前のままだ。
だから賃金(と物価)の柔軟性は、単に事態を悪化させるだけだ。》
負債圧縮のパラドックス:⑧
《借り手が支払えば支払うほど、借金は増える。大恐慌の背後にあるのはこれだ、とフィッシャーは論じた…借り手が返済すればするほど借金は増える》
クルーグマン2014[2012]#3
(レバレッジ上昇──収入や資産に比べて負債のほうが増えること)
ただしラヴォアがカレツキに言及しているのに対してクルーグマンはケインズのみに言及する
ミンスキーはカレツキから多大な影響を受けているのに
#6,11ではカレツキ『完全雇用.…』1943に言及してはいる
ラヴォア154頁:
「費用の逆説」は,図5.2の下の図を用いると,よりよく理解することができる。実質賃金の増加と利潤シェアπの低下によって,稼働率と会計上の利潤率の関係を示すPC曲線は,下向きに回転する。ミクロ経済学の部分均衡分析で用いられるように企業の費用マージンの低下を想定すると,稼働率がu0*で一定であれば,利潤率はrminに低下する。しかし,マクロ経済に対する影響を考慮したならば,実際の稼働率は初期水準〔u0*〕に固定されない。現実の販売に対応した稼働率がu1へと増加するので,費用マージンが低下したにもかかわらず,短期利潤率は初期水準r0*で一定である。
長期では,加速度効果が効力を発揮する。稼働率が上昇すると蓄積率が増大し,後者が利潤率をより高めるように作用する。その結果,経済は最終的に利潤率r1*に導かれる。それはPC曲線とED曲線が再度交わる点である。
この例は,「費用の逆説」がマクロ経済的現象であることを示している。他のすべてを一定に保ったまま, もし1社だけが実質賃金を上げ,総費用マージンを小さくすれば,(もし,実質賃金率の上昇が,効率賃金仮説〔賃金と労働生産性との正の相関を考慮した理論〕のように,生産性の上昇をもたらさなければ)明らかに,利潤が減少し,利潤率の低下に直面するだろう。しかし, もしすべての企業が総費用マージンを低下させた場合,経済全体の稼働率が増加し,その結果,マクロの利潤率も上昇する。
155頁
(加速度原理〔現在の実物資本ストックと国民所得水準のあいだには一定の正常比率が存在するという仮説のもと,消費財の産出高に比べ投資が比例的に増大していることを説明するための理論〕152頁)
ブルス148頁:
カレツキが「黄金律」的解決の発見に注意を集中しなかったのは、それが彼にとっては、技術進歩の型にかんする若干の仮定のもとでは、効果的なヴァリアントの上限を示すことができるだけだからであった。
ブルス『社会主義における政治と経済』における解説
カレツキ:投資の低下が資本主義経済で雇用と国民所得におよばす結果
p=(1+Cc)
| / 45度
| /
| /
| /
| /
A |_____/____ _ーB p/y
| / _ー |
A・|___/__ _ー___|B' (p/y)'
| / _ー _- ̄
| / _ー |_- ̄ |
|/_ー_- ̄|_____|______
C' C y
[AからA'への投資活動の低下]
p=(I+Cc):利潤は、投資(I)に資本家の消費(Cc)を加えたものに等しい
p/y:国民所得に占める所与の利潤の割合
資本主義(p/y)
社会主義(p/y)'
ふたつの社会体制[注:資本主義(p/y)と社会主義(p/y)']では、「投資性向」の低下[A→A']にたいする
反応のしかたが異なるのである。一方は、賃金と利潤への所得分配の所与のパターン
に産出高と雇用を適応させるという反応のしかたをし、他方は、産出と雇用の能力水準
に所得分配を適応させるという反応のしかたをするのである。
(2)
Determimtion of National Income and Consumption 1971
(邦訳『経済変動の理論』1958,67頁 新訳『資本主義経済の動態理論』1984もある)
利潤率は下がっても稼動率は上がる
利潤は下がっても国民所得(分配を工夫するだけ)は同じ
(利潤率を下げてでも分配を重視)
稼動率と分配率が対応する
生産と雇用
稼動率は雇用率
Correspondence between Keynes and Kalecki
ポストケインズ派経済学入門 単行本 – 2008/7 マルク ラヴォア (著), Marc Lavoie
ミンスキー,金融不安で見直される経済学者 CAN “IT” HAPPEN AGAIN? +テイラールール
https://books.google.co.jp/books?isbn...
Table 1.4 Holism: some post-Keynesian macro-paradoxes Paradox of thrift (Keynes, 1936) Higher saving rates lead to reduced output Paradox of costs (Kalecki, ... end up transforming liquid assets into illiquid ones Paradox of risk (Wojnilower, 1980) The availability of individual risk cover leads to more risk overall Paradox of ...
Notation used in the book
Preface
1 Essentials of heterodox and post-Keynesian economics
2 Theory of choice
3 Theory of the firm
4 Credit, money and central banks
5 Effective demand and employment
6 Accumulation and capacity
7 Open-economy macroeconomics
8 Inflation theory
9 Concluding remarks
References
Name index
Subject index
#8
Kalecki’s (1971, p. 163) belief that ‘a wage rise showing an increase in the trade union power leads … to an increase in employment’. This se
Kalecki(1971、p.163)は、「労働組合の力の増加を示す賃上げは、雇用の増加につながる」と信じている。 #14階級闘争と国民所得の分配
《労働組合の力の増大を表わす賃金上昇は…雇用の増大をもたらす》165頁
Kalecki’s (1971, ch. 14) last article, titled ‘Class struggle and distribution of national income’. Whereas earlier he took the degree of monopoly to be an exogenous variable, Kalecki argues in this article that t
Kalecki(1971、ch.14)の最後の記事、「クラスの闘争と国民所得の分配」。 以前、彼は独占の程度を外生変数とみなしていたが
Post-Keynesians are very much influenced by Kalecki’s (1971, p.165) statement to the effect that ‘the long-run trend is but a slowly changing component of a chain of short-period situations; it has no independent entity’. #15趨勢と景気循環167頁
ポストケインジアンは、「長期的な傾向は短期的な状況の連鎖のゆっくりと変化する要素である」というKalecki(1971、p.165)の声明の影響を非常に受けている。 それは独立した実体を持たない。
《長期的趨勢というものは、短期的状態の連鎖のうちの変化がなだらかな構成部分にすぎないのであって、それは独立の実体などなんらもたず…》166頁
ch.階級闘争…が引用されている
カレツキの結論は経路依存性を強調しているようにも見えるが、史的唯物論を双頭的に捉え直すものでもある。
2009~追加
良かれと思って悪くする 1,4,5,6
悪くなると思うが良くなる 2,3
危機関連 7,8,9,10,11,12
Some general macroeconomic paradoxes that every policy maker should be aware of
1,Paradox of thrift (Keynes 1936,Robinson 1956)☆
Higher saving rates lead to reduced output or reduced growth
2,Paradox of public deficits (Kalecki 1971)
Government deficits raise private profits
3,Paradox of costs (Kalecki 1969,Rowthorn 1981)
Higher real wages lead to higher profit rates (activity, wage-led growth)
4,Paradox of profit-led demand (Blecker 1989)
Lower wages may lead to slower growth despite all countries being profit-led
5,The flexibility paradox I (Krugman 2012)☆
The more flexible wages and prices are, the more dramatic the perverse
Fisher debt effect will be
6,The flexibility paradox II (Seppecher 2012, Dosi et al. 2016)
The more easily employers can hire and fire employees, the less
employment there is
Some crisis-related macroeconomic paradoxes that every policy maker should be aware of
7,Paradox of tranquillity (Minsky 1975)
Stability is destabilizing
8,Paradox of debt (I. Fisher 1933, Steindl 1952)☆
Efforts to de-leverage might lead to higher leverage ratios
9,Paradox of liquidity I (Minsky 1986, Nesvetailova 2007)
Financial innovations seem to increase liquidity when in fact they are reducing it
10,Paradox of liquidity II (Dow 1987)
Efforts to become more liquid transform liquid assets into illiquid ones-the Minsky moment
11,Paradox of risk (Wojnilower 1980)
The possibility of individual risk cover (MBS, CDS) leads to more risk overall
12,Paradox of degrading standards(McCauley 2009)
Default rates are low because of the degradation of underwriting standards
Florence EPOG July 2017
uOttawa
すべての政策立案者が知っておくべきいくつかの一般的なマクロ経済のパラドックス
1.節約のパラドックス(ケインズ1936、ロビンソン1956)
貯蓄率が高いほど生産量が減少し、成長率が低下する
2.公的債務のパラドックス(Kalecki 1971)
政府の赤字は民間の利益を上げる
3.費用のパラドックス(Kalecki 1969、Rowthorn 1981)
実質賃金が上昇すれば、利益率が上昇する(活動、賃金主導の成長)
4.利益主導の需要のパラドックス(Blecker 1989)
すべての国が利益を上げているにもかかわらず、賃金の低下は成長の遅れにつながる可能性がある
5.柔軟性のパラドックスI(Krugman 2012)
より柔軟な賃金と価格があるほど、フィッシャーの負債[デフレスパイラル]の影響はより劇的になります
6.柔軟性パラドックスII(Seppecher 2012,Dosi et al.2016)は、
雇用者が従業員を雇って雇うことが容易になればなるほど、雇用は少なくなる
____
すべての政策立案者が知っておくべき危機関連のマクロ経済のパラドックス
7.平穏のパラドックス(Minsky 1975)
安定性が不安定化している
8.債務[負債圧縮]のパラドックス(I.フィッシャー1933、Steindl 1952)
デ-レバレッジ[負債圧縮]への取り組みは、より高いレバレッジ率につながる可能性がある
9.流動性のパラドックスI(Minsky 1986 Nesvetailova 2007)
金融革新は、実際には流動性を低下させている
10.流動性のパラドックスII(Dow 1987)
より流動性の高い液体資産を非流動的資産に変換しようとする努力 - ミンスキーモーメント[ミンスキーの瞬間]
11.リスクのパラドックス(Wojnilower 1980)
個々のリスク・カバー(MBS、CDS)の可能性は、全体的なリスクを全体的に高める
12.劣化基準のパラドックス(McCauley 2009)
引受基準の低下のためデフォルト[債務不履行]率は低い
フィレンツェEPOG 2017年7月
オタワ大学
ラヴォア発表資料
参考:
パラドックス集
11,12,13,14,23,24が経済関連
ラヴォア原書
関連 :
☆
倹約(節約)のパラドックス、
ケインジアンの交差図
#3景気上昇のメカニズム:33(33?頁)
It should be emphasized that the pattern of public investment taken up is not
essential for the effect of government ... The creation of purchasing power for the
sake of financing the budget deficit, whatever its reason, renders a similar effect.
#12完全雇用の政治的側面:139(145頁)
... (ii) the dislike of the direction of Government spending (public investment and
subsidising consumption) ; (iii) dislike of the social and ... Hence budget deficits
necessary to carry out Government intervention must be regarded as perilous.
(クルーグマンが同じ頁を引用)
まずは「産業界の親玉」たちが、雇用問題について政府介入を受け容れたがらない点を扱うものとする。国家活動拡大はすべて、実業界からは疑念をもって受け止められるが、政府支出による雇用創出は、それが持つ特殊な側面のおかげで反対論を特に強硬なものとする。自由放任方式では、雇用水準は相当部分が安心の状態と呼ばれるものに依存する。もしこれが劣化すれば、民間投資は低下し、結果として産出と雇用は低下する(このどちらも、収入の低下が消費と投資にもたらす直接、あるいは間接的な二次的影響である)。
これは資本家に対し、政府の政策に対する強力な間接的支配力を与える。安心の状態を揺るがすようなものはすべて、慎重に回避されなくてはならない。というのもそれは経済危機を引き起こすからだ。しかし一度政府が自分自身の購入を通じて雇用を増やすという技を覚えたら、この強力な支配装置はその有効性を失う。したがって政府介入を実施するのに必要な財政赤字は、危険なものと見なされなくてはならないのである。「健全な財政」という教義の社会的機能は、雇用を安心状態に依存させることなのである。
クルーグマン引用箇所
ラヴォア#8
Kalecki’s (1971, ch. 14) last article, titled ‘Class struggle and distribution of national income’. Whereas earlier he took the degree of monopoly to be an exogenous variable, Kalecki argues in this article that t
Kalecki’s (1971, p. 163) belief that ‘a wage rise showing an increase in the trade union power leads … to an increase in employment’. This se
Post-Keynesians are very much influenced by Kalecki’s (1971, p.165) statement to the effect that ‘the long-run trend is but a slowly changing component of a chain of short-period situations; it has no independent entity’.
ch.階級闘争…が引用されている
ポストケインズ派経済学入門 単行本 – 2008/7 マルク ラヴォア (著), Marc Lavoie
While Alfred S. Eichner is primarily known as the scholar who wrote The Megacorp and Oligopoly (1976
Rowthorn, R. E. 1981. Demand, Real Wages and Economic Growth. Thames Papers in Political Economy, Autumn.「需要,実質賃金,経済成長」『構造変化と資本主義経済の調整』所収,横川信治・野口真・植村博恭訳,学文社,1994.
第3章 ミンスキーの瞬間 デレバレッジ=負債圧縮
倹約のパラドックス
負債圧縮のパラドックス
柔軟性のパラドックス
《確かに個々の労働者は、低い賃金を受け容れれば、職にありつく可能性を改善できる。他の労働者に比べて魅力的になるからだ。でも、だれもが賃金カットに応じるのであれば、みんなの立場はまったく変わらず、単に全員の所得が下がるが、負債水準は前のままだ。だから賃金(と物価)の柔軟性は、単に事態を悪化させるだけだ。》#3
「デレバレッジ」とは「過剰債務の調整」。リーマンショック対策として金融緩和を進めている先進国は、いずれ「デレバレッジ」が共通課題になる
書評:
そしてゆり戻しが来た。大不況に「嵌っている」現在の状況。クルーグマンはこれは持続的な不況であり、景気循環的に、待っていれば、「清算すれば」、「膿を出せば」済む問題ではなく、まさにケインズの直面した状況だと強調している。ケインズが直面し、経済学を書き換えた状況に再び「嵌ってしまった」、「流動性の罠」に落ちてしまった。その事実を直視すれば、ケインズ的な経済学の知見を利用するのは当たり前ではないか、という訳だ。
しかし時代が変わった、ということだ。市場の野放図な規制緩和と景気拡大は終わった。大不況時代なのだ。大不況を分析する知的装置を、ミクロ経済学、合理的期待形成はもたない。不合理な事態であるから。そこで大不況始末のエースであるケインズが召還される。主に、分析の概念装置として。
最終部で、アメリカのオバマ大統領の中途半端で効果の薄い対応、ヨーロッパの緊縮主義の猛威など、具体的な政策的状況について述べている。まあ、間違った政策を採っている、断固としたマクロ政策の実行と決然とした金融緩和が必要であると。
そして結びとしては、中途半端な対応や、反動的な先祖がえり(緊縮主義)をやめて、「大不況の経済学」、ためらわずマクロ政策を実行しようではないかと。
Dosi, G., Pereira, M. C., Roventini, A., and Virgillito, M. E. (2016a). The efects of labour market reforms upon unemployment and income inequalities: an agent based model. Working paper series 2016/27, Laboratory of Economics and Management (LEM), Sant'Anna School of Advanced Studies, Pisa, Italy.
Dosi, G., Pereira, M. C., and Virgillito, M. E. (2016b). The footprint of evolutionary processes of learning and selection upon the statistical properties of industrial dynamics. Industrial and Corporate Change, 26(2):187 210.
Seppecher, P. 2012A. Monnaie Endogène et Agents Hétérogènes dans un Modèle Stock-Flux Cohérent, paper presented at the ‘Political Economy and the Outlook for Capitalism’ conference, Paris, 5–7 July
Seppecher, P. 2012B. Flexibility of wages and macroeconomic instability in an agent-based computational model with endogenous money, Macroeconomic Dynamics, vol. 16, Suppl. 2, 284–97
www.cambridge.org/.../DD4626A3C9BD50AC831739...
Joseph L. McCauley, University of Houston ... Online publication date: December 2010; Print publication year: 2009 ...
2nd Edition, Kindle版
www.amazon.com/...Joseph-McCauley/dp/0511606583
Joseph L. McCauley (Author) .... Printed Access Code; Publisher: Cambridge University Press (October 31, 2009) ...
en.wikipedia.org/wiki/Joseph_L._McCauley
Joseph L. McCauley (born 1943) is Professor of Physics at the ... McCauley predicted a Dollar crisis in April, 2007, this is described in chapter 9 of his 2009 book Dynamics of Markets. Once an avid and ...
バロンズ拾い読み 2017/11/20
「ミンスキー·モーメント」というのは米債券運用会社のPIMCO (パシフィック·インベストメント·マ
ネジメント·カンパニー)の元ポートフォリオマネジャー、ポール·マッカリー氏が作った言葉で、好景気
は金融市場に自信過剰をもたらし、その結果として金融市場はますます不安定化するとの説を唱えた米経済
学者のハイマン·ミンスキー氏にちなんでいる。具体的には、債務が増加し、過剰に寛大な条件で信用が供
与される。マッカリー氏は細切れにされ、高格付け証券に組成されたサブプライム住宅ローンが破綻した
とで引き起こされた2008~ 2009年の金融危機を説明するのにミンスキー氏のその理論を引用した。
member.rakuten-sec.co.jp/.../171120Barrons_closed.pd...
2017年11月20日 ... るが、それは一般的に経済的持ち分ではなく ..... Q:行動経済学によれば、人間は .... ETF がなければ、発行者、保険会社、債券ファンドのピムコしか ..... ネジメント・ カンパニー)の元ポートフォリオマネジャー、ポール・マッカリー氏が作った言葉 ...
19:
バロンズ拾い読み2017年11月20日号
【コラム】
6·Up And Down Wall Street予想よりも早期に訪れるかもしれない弱気相場
新車種発表のテスラ、その手付金で不足しつつある運転資金を補充
ミンスキー·モーメント
中国は多くの面で米国に追いつこうとしている。中国
人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は先月、世界第2
位の経済大国で急上昇している債務水準の危険性にっ
いて警告した。メディアが伝えたところによると、周
総裁は中国共産党大会に合わせて行われたイベントで
中国が「ミンスキー·モーメント」に直面する可能性
があると指摘したという。
「ミンスキー·モーメント」というのは米債券運用会社のPIMCO (パシフィック·インベストメント·マ
ネジメント·カンパニー)の元ポートフォリオマネジャー、ポール·マッカリー氏が作った言葉で、好景気
は金融市場に自信過剰をもたらし、その結果として金融市場はますます不安定化するとの説を唱えた米経済
学者のハイマン·ミンスキー氏にちなんでいる。具体的には、債務が増加し、過剰に寛大な条件で信用が供
与される。マッカリー氏は細切れにされ、高格付け証券に組成されたサブプライム住宅ローンが破綻した
とで引き起こされた2008~ 2009年の金融危機を説明するのにミンスキー氏のその理論を引用した。
ところが周総裁がミンスキー·モーメントに言及してしばらくすると、中国人民銀行は中国のクレジット市
場のストレスを緩和するために行動を起こした。人民銀行は先週、6210億元もの資金を短期金融市場に注入
したのだ。中国の英字紙チャイナ·デイリーによると、それは過去10カ月近くで最高額だったという。
れもあって中国の長期金利の指標となる10年物国債利回りを4%超に押し上げてきた短期金利と長期金利
は引き下げられ、その大量資金供給は不安定な金融環境への中銀の反応と見なされた。
それとは関係ないかもしれないが、16日には売り込まれていた米国のジャンク債や株式が週前半の下落基調
から反転し、米国のリスク資産は連日の下落から脱した。バンクオブアメリカ·メリルリンチによると、
イイールド債ファンドは15日までの1週間で過去3番目に大きい約67億ドルの資金流出を記録したという。
その一方でハイテク株ファンドは過去2番目に大きい約11億ドルの資金流入を記録した。過去最高は前週
の13億ドルだった。
現在、信用過剰をめぐってミンスキー·モーメントを懸念する声は聞かれるのだろうか。ハイイールド債市
場はそうした状況を示唆してきた。米連邦議会下院で可決された税制改革法案にも一因があるのかもしれな
い。それによって債務が多い企業の利払い額を控除する能力が抑制されるかもしれないからだ。エバーコア
ISIの資本市場ストラテジスト、スタン·シップリー氏は顧客向けノートで価格決定力が最も弱い業界
放送、通信、小売りなど-のジャンク債が最大の打撃を受けてきたと指摘している。
とはいえ、その悪影響は拡大するかもしれない。ソシエテ·ジェネラルの挑発的なグローバルストラテジス
トであるアルバート·エドワーズ氏は、バランスシートが健全ではない企業の株式が健全な企業の株式のノ
フォーマンスに後れを取り始めたと、リサーチレポートに書いている。
同氏は「米国企業の過剰債務は、米連邦準備制度理事会(FRB)が作ってきた量的緩和で膨張したねずみ講
を崩壊させる可能性がある主な弱点だろう」と主張している。同氏は年初からバランスシートが健全な米国
企業の株式のパフォーマンスが財務基盤のより弱い企業の株式のそれを上回っていることを示す、同僚のア
ンドリューラプソーン氏の分析結果を引用し、「これはほとんどの投資家が予想していたよりもずっと早期
に弱気相場が来つつあることを示すものだろうか」と問いかけ、「そうかもしれない」と自答している。
www.seikeiken.or.jp/data_files/view/288/mode:inline
森戸辰男、農業経済学の近藤康男、憲法担当. 国務大臣の金森徳次郎、元日本銀行総裁 ...... 券運用会社PIMCOのマネージング・ディレクタ. ー、ポール・マッカリーが「預金に基づかない. 資金調達」として用いたことに ...
www.erroneous-order.com>...>外貨預金・外貨 MMF
ニューヨーク 10日 ロイター] 米債券運用会社のPIMCOは10日、クレジット収縮による ... 同社のマネジング・ディレクター、ポール・マッカリー氏は、「FRBは、ウォール ..... 実勢為替相場で見て)世界第2位の経済大国の地位を失うと予想する向きが多い」とし、
We will explain why efficient markets and equilibrium markets are mutually
contradictory, why if you have “efficiency” then you cannot have equilibrium (
McCauley, 2009). An efficient market admits no equilibrium, so it exhibits no
stationary ...
- Eggertsson, Gauti B.; Krugman, Paul (14 February 2011), Debt, Deleveraging, and the Liquidity Trap: A Fisher-Minsky-Koo Approach (PDF), retrieved 2011-12-15
Dow, S.C. (1987a): Money and Regional Development. In: Studies in Political Economy, Vol. 23,. No.
Dow, S. C. (1993). Money and the Economic Process. Aldershot: Elgar.
Fisher "The Debt-Deflation Theory of Great Depressions", 1933, Econometrica.
[「大恐慌の負債デフレーション理論」未邦訳]
Wojnilower:
econpapers.repec.org/RePEc:bin:bpeajo:v:11:y:1980:i:1...
2018年1月23日 ... By Albert M. Wojnilower; The Central Role of Credit Crunches in Recent Financial ... Date: 1980
Blecker, R. 1989. International Competition, Income Distribution and Economic Growth, Cambridge Journal of Economics, 13(3), 395-412.
Dow, A. C. and Dow, S. C. (1989) "Endogenous Money Creation and Idle Balances", in J. Pheby (ed.) New Directions in Post-Keynesian Economics, ("New Directions in Modern Economics"), Aldershot and Brookfield: Edward Elgar, Chapter 7.
Dow, S. C. (1996a) "Horizontalism: A Critique", Cambridge Journal of Economics, vol. 20, no. 4, July, pp. 497-508.
_____ (1996b) "Keynes's Philosophy and Post Keynesian Monetary Theory", in P. Arestis (ed.) Keynes, Money and the Open Economy: Essays in Honour of Paul Davidson, Cheltenham and Brookfield: Edward Elgar, vol. 1, Chapter 4.
_____ (1997) "Endogenous Money", in G. C. Harcourt and P. A. Riach (eds) A ‘Second Edition’ of The General Theory, London and New York: Routledge, vol. 2, Chapter 28.
https://books.google.co.jp/books?isbn...
Drawing on the work of Hyman Minsky, the book discusses the global financial system over the past decade, suggesting that financial fragility stems from an explosive combination of financial innovation, over-borrowing, and progressive ...
ボブ・ローソン:
Rowthorn, R. E. 1981. Demand, Real Wages and Economic Growth. Thames Papers in Political Economy, Autumn.「需要,実質賃金,経済成長」『構造変化と資本主義経済の調整』所収,横川信治・野口真・植村博恭訳,学文社,1994.
過剰能力:より高い→より大きな→より多くの→より多くの
賃金 需要 産出 投資
完全稼働:より大きな→より高い→より低い →より多くの
需要 物価 実質賃金 投資
18
Post-Keynesian economics
Table 1.4
Holism: some post-Keynesian macro-paradoxes
Paradox of thrift (Keynes, 1936)
Paradox of costs (Kalecki, 1969;
Higher saving rates lead to reduced output
ligher real wages lead to higher profit rates
Rowthorn, 1981)
Paradox of public deficits (Kalecki, 1971 Gvernment deficits raise private profits
Paradox of debt (Fisher, 1933; Steindl
Efforts to de-leverage might lead to higher leverage
ratios
Stability is destabilizinsg
New ways to create liquidity end up transforming
iquid assets into 1lliquid ones
The availability of individual risk cover leads to
1952)
Paradox of tranquillity (Minsky, 1975)
Paradox of liquidity (Dow, 1987;
Nesvetailova, 2007)
Paradox of risk (Wojnilower, 1980)
more riSk overall
Generalized wage restrictions lead to a slowdown
n growth even when all economies seem to be
profit-led
Paradox of profit-led demand (Blecker,
1989)
T hree formalized macroeconomic paradoxes
Keynes's paradox of thrift says that an increase in the propensity to save will lead to
reduced output. In its growth version, it says that it will lead to a decrease in the actual
growth rate of output. With households being over-indebted, the paradox of thrift acts
against the recovery, as households desperately try to restore their past levels of wealth by
saving a larger proportion of their revenues. A quick check confirms that the notion of
the paradox of thrift has now disappeared from most principles of economics textbooks
The Global Financial Crisis illustrated the lack of awareness of this paradox, as several
new classical economists seemed to endorse Havek's view that purchasing additional con-
sumption goods would increase unemployment (Robinson, 1973, p. 94). Luckily, some
decision-makers understood the paradox of thrift: Mark Carney (2008, p. 2), former
Governor of the Bank of Canada and now Governor of the Bank of England, referred
to it in a speech made during the financial crisis, when he pointed out that it would be
'individually rational for people to want to save more' in uncertain times, although if all
individuals do so, then 'it becomes collectively irrational'
The paradox of costs, in its static version, says that a decrease in real wages will not
raise the profits of firms and will instead lead to a fall in the rate of employment. This
was explained by Kalecki (1969, p. 26) in a Polish paper first written in 1939, where he
concluded that 'one of the main features of the capitalist svstem is the fact that what is
to the advantage of a single entrepreneur does not necessarily benefit all entrepreneurs as
a class'. Its dynamic version has been proposed by Robert Rowthorn (1981). It says that
rising real wages (relative to productivity) can generate higher profit rates. This flies in
the face of a microeconomic analysis that would demonstrate that lower profit margins
generate lower profit rates. But if higher real wages generate higher aggregate consump
tion, higher sales, higher rates of capacity utilization and hence higher investment
expenditures, profit rates will be driven up. This of course is nothing else than a variant
of Marx's problem of the realization of profit, underlined for instance by Amit Bhaduiri
(1986). In the midst of a crisis, it is important to resist calls to reduce labour costs in an
Essentials of heterodox and post-Keynesian economics
19
effort to improve the profitability of individual firms. While this will be profitable to the
firms that achieve the greatest real wage reductions, the overall effect will be detrimental
to the overall economy, and most certainly to the overall world economy, as we shall
discuss further in later chapters
The paradox of public deficits can be directly attributed to Kalecki (1971). He showed
that higher government deficits play a role similar to that of higher net exports on cor
porate profits. Higher public deficits lead to higher corporate profits, just like higher
public deficits lead to higher GDP and employment following the teaching of Keynes
ile mainstream authors used to argue about the crowding-out effects of government
activity, based on Ricardo-equivalence effects or rising real interest rates, several govern
ments have engaged in expansionary fiscal policies in 2009 so as to sustain aggregate
demand and corporate profits despite the financial crisis. When things go really wrong
neoclassical theories are thrown out of the window, being replaced by more pragmatic
and realistic theories. It must be admitted, however, that pragmatism did not occur for
long, as governments quickly called for fiscal consolidation programmes, especially in
Europe.
Four paradoxes tied to the financial system
Then there is the paradox of debt. This paradox is also based on the concept of effec
tive demand, and it was put forward by Joseph Steindl (1952, ch. 9), who was a follower
of Kalecki. From a strictly microcconomic point of view, one would be led to believe
that it is always possible for cconomic agents to reduce their debt or leverage ratios by
simply deciding to do so. While this may be true for houscholds, it may be quite difficult
for firms and financial institutions taken as a group. To reduce the weight of indebted
ness, firms may decide to cut their investment expenditures and hence the amounts they
borrow. However, if all companies are pursuing this scheme, cutting back on borrowing
and investment may not put matters right, for the slowdown in capital accumulation
reduces the overall profitability of businesses and hence the accumulation of retained
earnings. In the end, the actual leverage ratio may rise, moving in a direction that is the
opposite of what is intended by the entrepreneurs. This is what Steindl (1952, p. 119) and
Jan Toporowski (2005, p. 126) call 'enforced indebtedness'. The paradox of debt may
also apply to governments: as they reduce government expenditures and pursue other
austerity measures to reduce public debt, the government debt to GDP ratio may rise
instead.
Something quite similar may happen to banks and other financial institutions as they
try to reduce their leverage ratios. This is linked to Irving Fisher's debt-deflation effect
As banks sell some of their assets, in an effort to reduce leverage or recover liquidity
such forced sales bring down the price of thesc assets, which are now sold at a loss, thus
reducing the banks' own funds, so that the leverage ratio is rising instead of falling
Other efforts to reduce the amount of loans may put borrowers in financial distress, as is
observed in times of credit crunch, so that again individual attempts to reduce the lever
age ratio (or to increase the capital to asset ratio) may indeed lead to the opposite macro
economic effect. This can be associated with what we could call the paradox of banking
refusal. When the economy is slowing down or is entering a recession, it may be rational
for each individual bank to take protection measures against loan losses by rationing
credit and refusing to grant new loans. But, as is recognized by the Governor of the Bank
of England, if all banks do the same, 'their actions will exacerbate the downturn and
increase their eventual losses' (Carney, 2008, p. 2)
Also closely tied to the financial system is the paradox of tranquillity. This is an expres-
sion that I coined nearly 30 years ago (Lavoie, 1986a, p. 7), when studying the works of
Minsky. According to Minsky, a stable growing cconomy is a contradiction in terms. A
fast-growing free-market economy will necessarily transform itself into a speculative
booming cconomy. In a world of uncertainty, without full information about the fun
damentals, a string of successful years diminishes perceived risk and uncertainty. People
tend to forget the difficulties encountered in the past: turning points, falling asset prices
credit crunches and recessions. As time goes on, memories fade and economic agents
dare to take on higher levels of risk. Or else, as time goes on, the risk level as computed
by engineering models of finance, such as the very popular value at risk model, appears
to get smaller because the last recession is just one remote observation among a series
of more recent successful years. The longer an economy is in a tranquil state of growth
the less likely it is to remain in such a state. As Minsky himself says, 'each state nurtures
forces that lead to its own destruction' (Minsky, 1975, p. 128). In three words, the paradox
of tranquillity says that 'stability is destabilizing' (Minsky, 1982, p. 26). Applied to a morn
etary economy, this implies that a string of successful financial operations will induce
banks to indulge in ever riskier financial structures.
What Minsky was claiming 30 ycars ago seems quite prescient today: 'Over a period in
which the economy does well, views about acceptable debt structure change. In the deal-
making that gocs on between banks, investment bankers, and businessmen, the accept
able amount of debt to use in financing various types of activity and positions increases
(Minsky, 1977, p. 24). The cushion for safety - the difference between the additional
revenues expected from some new activity and the financial commitments required by
this activity - gets reduced through time. For Minskv, instability and the rising fragilitv
of the financial system are inherent features of an unregulated capitalist economy. Part
of this destabilizing stability is tied to financial innovations, which will be introduced or
expanded when things go well (ibid.). This view of the financial system is reminiscent of
that of John Kenneth Galbraith, who, in his various books, most notably A Short History
of Financial Euphoria (1990), has argued that speculative euphoria in market capitalism
was an inevitable outcome, as speculators and bankers ride the wave by using leverage
and believe they become rich because they are smart
The paradox of tranquillity is certainly at the heart of the Global Financial Crisis. But
no less important for the subprime crisis is the paradox of liquidity. In modern finance
theories of the neoclassical type, most assuredly the efficient-market hypothesis, liquidity
is of little concern. It is assumed that well-informed market participants always manage
to arrive at a transaction price reflecting the correct fundamental valuc of an asset. What
is at issue is only the expected return and the estimated risk of the asset. By contrast
liquidity is a crucial element of post-Keynesian cconomics (Davidson, 2009). Investors
should always be concerned about the impossibility of cashing in their assets. There must
be some market-maker who guarantees to purchase assets if the market suddenly goes
one wav. These market-makers are dealers, with access to lines of credit issued by banks
or the banks themselves, with access to central bank liquidity
The paradox of liquidity can be seen from two angles. First there is the obvious fact
also linked to Fisher's debt-deflation proposition, that the attempt of economic agents
to become more liquid transforms previously liquid assets into not-so-liquid assets
The frenzy to get rid of assets drives down the price of these assets and may transform
the markets for these assets into one-way markets, with no purchaser, leading to a total
freeze, as occurred in some markets during the Global Financial Crisis. As Sheila Dow
(1987, p. 85) says, 'attempts to increase the stock of liquid assets only succeed in reduc
ing it; this is a paradox of liquidity on a par with Keynes' paradox of saving'. But there
is a second paradox of liquidity, tied to innovations in the financial system that we just
mentioned. Financial innovations seem to increase liquidity when they are really dimin
ishing it. This second paradox was already pointed out by Minsky, but it has recently
been underlined in a book. Anastasia Nesvetailova (2007, p. 78) claims that 'to Minsky
and his followers, therefore, everv institutional innovation that leads to both new wavs
to finance business and new substitutes for cash assets, decreases the volume of liquiditv
available to redeem the debts incurred'. Thus, she continues, 'in the process of financial
expansion the financial system, contrary to appearances, becomes progressively illiquid
The financial system gets ever more layered, with everybody thinking that they can
easily access means of payment, but with virtually nobody holding safe assets without
capital-loss risk.
The paradox of liquidity can be extended to a paradox of risk. Financial innovations
designed to reduce risk at the microeconomic level, by spreading it over a larger number
of financial institutions - as is the casc with sccuritization, collaterized debt obligations
credit default swaps, equity default swaps, interest rate swaps, and the whole gamut of
financial futures and financial derivatives - end up creating a larger amount of macro
economic or systemic risk. For instance, it is now widely believed that the extensive use
of mathematical models to quantify risk, yielding the illusion of precise and objective
assessments, encouraged banks and other financial institutions to pursue more risky
strategies and to use more leverage. Famous US regulators such as Alan Greenspan - the
former Federal Reserve Chairman-and Tim Geithner-the former President of the New
York Fed and former US Secretary of Treasury-both claimed as late as 2006 that credit
derivatives were a stabilizing factor in the financial system, as they reduced the concen
tration of individual exposure to risk, spreading credit risk to those best able to handle
it. Even left-wing economists such as Michel Aglietta (1996) argued that securitization
would have beneficial effects on the economv. Each microeconomic agent believes that he
or she is now covered against risk; but the risk is still there, in the form of counterparty
risk. Indeed, even if the counterparty seems to be safe, the counterparty's counterparty
may not be, and its failure may well spill over. The illusion of liquidity induces agents to
take even more riskv decisions. Thus risk-reducing microcconomic financial innovations
end up producing a more risky macroeconomic environment. Derivatives were likened to
the contingent markets of the general cquilibrium model à la Arrow-Debreu. But we do
not live in such a world. It is completely imaginary. Wc live in a world of fundamental
uncertainty à la Keynes and Knight.
Derivative financial products do not stabilize the economy. While they are a tool of
risk management, 'derivative markets actually increase the credit risks', since 'at the first
whiff of crisis or instability, the first thing to evaporate is the liquidity'that these tools are
supposed to provide (McKenzie, 2011, p. 212). Thus, ultimately, as summed up long ago
by another Minsky follower, Albert M. Wojnilower (1980, p. 309), the 'supposed immu
nity to financial risk always turns out to be illusory, and the risks and costs of shattering
the illusion may be considerable'. Wojnilower was particularly perceptive about this
since, as far back as 1984, he predicted the bailout of AIG from its CDS sales: 22
The recent entry of major insurance companies into the business of insuring banks and bond
investors against loan defaults represents another effort to stretch the safety net. Now, it can be
presumed, the authorities will have to intervene to interdict a cascading of defaults only if to
save the insurance industry. (Wojnilower, 1985, p. 356)
An open-economy paradox
The final fallacy of composition shown in Table 1.4 is the paradox of profit-led demand
which has some relationship with the paradox of costs. While a country taken in isolation
may succeed in raising its net exports and its economic activity by imposing reductions in
nominal and real wages, thus gaining a competitive advantage, this scheme will be unsuc
cessful if all other countries do the same. As will be discussed in Chapters 6 and 7, when
only domestic demand is taken into consideration, thus omitting demand arising from
abroad, all countries benefit from an increase in real wages (or in the wage share), mainly
because of their positive impact on consumption expenditures. Because Planet Earth
is a closed economy, the exports of one country are necessarily the imports of another
country, and hence globally net exports are nil. Even though all countries may individu
ally benefit from a change in income distribution towards profits, if other countries do
not follow suit, such a change will have detrimental effects on the cconomic activity of the
world cconomy if all countries pursue wage restrictions.
1.3.4
Scarcity versus Abundance
I have already alerted the reader to the fact that the orthodox definition of economics
focuses on the notion of scarcity, a definition that heterodox authors reject. Scarcity is
the fulcrum of neoclassical economics. As Parguez (2012-13, p. 55) points out, scarcity
in neoclassical economics plays a role akin to that of austerity in religion, where auster
ity is 'the supreme virtue of renouncing pleasures of worldly life to attain the ioy of
the afterlife'. Hayek (1941, pp. 373-7), when rejecting Keynes's economics, is precisely
invoking the crucial importance of scarcity. To proclaim the existence of an economy of
plenty or an economics of abundance, as did Keynes, was to negate the foundations of
orthodoxy. A similar point is made by Galbraith (1958) in his book The Affluent Societ,y
In the neoclassical model, the main feature of a capitalist market economy is the proper
allocation of resources, real and financial. Prices, as emphasized by Hayek, are supposed
to provide all the information required to make the market system function efficiently
because prices are the measure of scarcity, so that the knowledge of prices allows agents
to respond to changes in scarce resources
But is this really the case? Certainly, with respect to recent events, we can assume that
prices did misallocate financial resources, as securitization provided misleading prices
and too many financial resources were put into real estate. This had just been preceded
by the stock-market crash of 2001, when stock markets worldwide took a beating, while
the NASDAQ in particular plunged and never fully recovered. And then the real-estate
bubble was immediately followed by the super-high prices in commodities, food products
and oil, with these prices falling sharply just a few months later, thus giving a strong
indication that these prices had risen only as a result of unwarranted speculative activ
すべての政策立案者が知っておくべきいくつかの一般的なマクロ経済のパラドックス
節約のパラドックス(ケインズ1936、ロビンソン1956)
貯蓄率が高いほど生産量が減少し、成長率が低下する
公的債務のパラドックス(Kalecki 1971)
政府の赤字は民間の利益を上げる
費用のパラドックス(Kalecki 1969、Rowthorn 1981)
実質賃金が上昇すれば、利益率が上昇する(活動、賃金主導の成長)
利益主導の需要のパラドックス(Blecker 1989)
すべての国が利益を上げているにもかかわらず、賃金の低下は成長の遅れにつながる可能性がある
柔軟性のパラドックスI(Krugman 2012)
より柔軟な賃金と価格があるほど、フィッシャーの倒産の影響はより劇的になります
柔軟性パラドックスII(Seppecher 2012、Dosi et al。2016)は、
雇用者が従業員を雇って雇うことが容易になればなるほど、雇用は少なくなる
____
すべての政策立案者が知っておくべき危機関連のマクロ経済のパラドックス
平穏のパラドックス(Minsky 1975)
安定性が不安定化している
債務[負債圧縮]のパラドックス(I.フィッシャー1933、Steind 1952)
デフレバレッジへの取り組みは、より高いレバレッジ率につながる可能性がある
流動性のパラドックスI(Minsky 1986 Nesvetailova 2007)
金融革新は、実際には流動性を低下させている
流動性のパラドックスII(Dow 1987)
より流動性の高い液体資産を非流動的資産に変換しようとする努力 - ミンスキーモーメント
リスクのパラドックス(Wojnilower 1980)
個々のリスク・カバー(MBS、CDS)の可能性は、全体的なリスクを全体的に高める
劣化基準のパラドックス(McCauley 2009)
引受基準の低下のためデフォルト率は低い
フィレンツェEPOG 2011年7月
オタワ大学
ラヴォア発表資料
www.researchgate.net/.../5055107_Debt_Deflation_The...
The idea goes back to the debt-deflation hypothesis of Fisher (1933) and was discussed by King (1994) ; this idea has ...
Post-Keynesian economics
18
Table 1.4 Holism: some post-Keynesian macro-paradoxes
Paradox of thrift (Keynes, 1936) :
Higher saving rates lead to reduced output.
Paradox of costs (Kalecki, 1969;Rowthorn, 1981):
Higher real wages lead to higher profit rates.
Paradox of public deficits (Kalecki, 1971) :
Government deficits raise private profits.
Paradox of debt (Fisher, 1933; Steindl,1952):
Efforts to de-leverage might lead to higher leverage ratios.
Paradox of tranquillity (Minsky 1975):
Stability is destabilizing.
Paradox of liquidity (Dow, 1987;Nesvetailova, 2007):
New ways to create liquidity end up transforming liquid assets into illiquid ones.
Paradox of risk(Wojnilower, 1980):
The availability of individual risk cover leads to more risk overall.
Paradox of profit-led demand (Blecker,1989) :
Generalized wage restrictions lead to a slowdown in growth even when all economies seem to be profit-led.
In the last post, Effective Demand And The Labour Market, I argued how the effect of raising minimum wages on employment is straightforward—it’s beneficial. This seems contradictory to the “intuition”—which it is not really, it’s learning to think like an economist—which suggests that raising wages will lead to unemployment.
Economists have been struggling to find answers to analysis which do not find empirical support. But they needn’t, as explanations are already available. You just need to take the Keynesian principle of effective demand more seriously.
Keynes highlighted the paradox of thrift — reduction in the propensity to consume (or rise in the propensity to save) leads to a fall in output. This goes against intuition, which considers saving as only positive. Of course the solution is to not promote a policy in which consumers spend like crazy. So fiscal policy has to be relaxed if consumers want to save a lot.
And there are other paradoxes such as the paradox of costs, which is related to the discussion on wages, profits, output and employment in the previous post.
Here’s a table from Marc Lavoie’s fantastic book, Post-Keynesian Economics: New Foundations.
https://www.concertedaction.com/2017/04/16/the-paradox-of-costs-and-other-macro-paradoxes/
ポストケインズ経済学より
表1.4 ホーリズム:ケインズ後のマクロパラドックス
節約のパラドックス(ケインズ、1936年):
節約率が高いほど、生産量は減少します。
コストのパラドックス(Kalecki、1969; Rowthorn、1981):
実際の賃金が高いほど利益率が高くなります。
公的赤字のパラドックス(Kalecki、1971):
政府の赤字は民間の利益を上げる。
債務[負債圧縮]のパラドックス(Fisher、1933; Steindl、1952):
脱レバレッジへの取り組みは、レバレッジ・レシオの向上につながる可能性がある。
平静のパラドックス(Minsky 1975):
安定性は不安定化している。
流動性のパラドックス(Dow、1987; Nesvetailova、2007):
流動性を創出する新しい方法は、液体資産を流動性のない資産に変えることに終わります。
リスクのパラドックス(Wojnilower、1980): 個々のリスクカバーの可用性により、全体的にリスクが増加します。
利益主導の需要のパラドックス(Blecker、1989):
全般的な賃金制限は、すべての経済が利益を上げているように見える場合でも、成長の減速につながる。
https://books.google.co.jp/books?isbn...
Table 1.4 Holism: some post-Keynesian macro-paradoxes Paradox of thrift (Keynes, 1936) Higher saving rates lead to reduced output Paradox of costs (Kalecki, ... end up transforming liquid assets into illiquid ones Paradox of risk (Wojnilower, 1980) The availability of individual risk cover leads to more risk overall Paradox of ...
Dow, S.C. (1987a): Money and Regional Development. In: Studies in Political Economy, Vol. 23,.
Dow, S. C. (1993). Money and the Economic Process. Aldershot: Elgar.
関連 :
Fisher "The Debt-Deflation Theory of Great Depressions", 1933, Econometrica.
[「大恐慌の負債デフレーション理論」未邦訳]
Nesvetailova A., 2007, Fragile Finance. Debt, speculation and crisis in the age of global credit, Palgrave Macmillan.
Wojnilower , paradox of liquidity
econpapers.repec.org/RePEc:bin:bpeajo:v:11:y:1980:i:1...
2018年1月23日 ... By Albert M. Wojnilower; The Central Role of Credit Crunches in Recent Financial ... Date: 1980
Blecker, R. 1989. International Competition, Income Distribution and Economic Growth, Cambridge Journal of Economics, 13(3), 395-412.
Dow, A. C. and Dow, S. C. (1989) "Endogenous Money Creation and Idle Balances", in J. Pheby (ed.) New Directions in Post-Keynesian Economics, ("New Directions in Modern Economics"), Aldershot and Brookfield: Edward Elgar, Chapter 7.
Dow, S. C. (1996a) "Horizontalism: A Critique", Cambridge Journal of Economics, vol. 20, no. 4, July, pp. 497-508.
_____ (1996b) "Keynes's Philosophy and Post Keynesian Monetary Theory", in P. Arestis (ed.) Keynes, Money and the Open Economy: Essays in Honour of Paul Davidson, Cheltenham and Brookfield: Edward Elgar, vol. 1, Chapter 4.
_____ (1997) "Endogenous Money", in G. C. Harcourt and P. A. Riach (eds) A ‘Second Edition’ of The General Theory, London and New York: Routledge, vol. 2, Chapter 28.
https://books.google.co.jp/books?isbn...
Drawing on the work of Hyman Minsky, the book discusses the global financial system over the past decade, suggesting that financial fragility stems from an explosive combination of financial innovation, over-borrowing, and progressive ...
www.shiozawa.net/hihyo/Review_Gintis2011.html
大いなる平穏(The Grand Moderation)なることばまで生まれた。 ..... ウイルソンの『 社会生物学』(原著1975)は、経済学と社会学と生物的思想を統合しようとする ...... これは、ミンスキーとパパート(1993)による単純パーセプトロンが線型分離不可能なパタンを ...
repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/.../K_Uni_Hiroyuki_134...
研究代表者: 宇仁 宏幸 (京都大学大学院経済学研究科・教授). 研究分担 ...... paradox)と名づけている。彼らは、 ..... Minsky, H. P. [1975], John Maynard Keynes, New York: Columbia University Press(堀内昭.
econ101.jp/ポール・クルーグマン-「債務、デレバレッ...
現在先進国経済でたたかわされている政策論議の中で大きな注目 ... クルーグマンモデルは「貯蓄のパラドックス」を無理なく説明する ... からここにきて再び注目されているミンスキー(Hyman Minsky) ... モデルのコアとなる経済学的なロジック.
ミンスキー・モーメント(ミンスキーの瞬間)とは、信用循環または景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュフロー問題を抱えるポイントである。このポイントにおいて、どのカウンターパーティー(金融取引参加者)も事前につけられた高い提示額に対して値をつけることができず、大きな株の投げ売りが始まる。その結果、市場決済資産価格の突然かつ急激な崩壊、市場流動性における急激な落ち込みが発生する[1]。
- (2013) Ending Poverty: Jobs, Not Welfare. Levy Economic Institute, New York. ISBN 978-1936192311
- (2008) [1st. Pub. 1975]. John Maynard Keynes. McGraw-Hill Professional, New York. ISBN 978-0-07-159301-4
- (2008) [1st. Pub. 1986]. Stabilizing an Unstable Economy. McGraw-Hill Professional, New York. ISBN 978-0-07-159299-4
- (1982) Can "It" Happen Again?. M.E. Sharpe, Armonk. ISBN 978-0-87332-213-3
- (Winter 1981–82)The breakdown of the 1960s policy synthesis. New York: Telos Press.[13]
- 金融には、(1)ヘッジ金融、(2)投機的金融、(3)ポンツィ金融の3つがある。ポンツィとは、1920年代にボストンでねずみ講を組織した詐欺師の名前である。投機的金融やポンツィ金融の比重が高まると、経済は不安定な状態になる、と述べている。
ケインズ理論とは何か 市場経済の金融的不安定性 |
著者名等 | H.P.ミンスキー/著 ≪再検索≫ |
著者名等 | 堀内昭義/訳 ≪再検索≫ |
出版者 | 岩波書店 |
出版年 | 1988.5 |
大きさ等 | 19cm 279,11p |
注記 | John Maynard Keynes./の翻訳 |
NDC分類 | 331.74 |
件名 | ケインズ ジョン・メイナード |
件名 | Keynes John Maynard. |
要旨 | ケインズ革命の核心とは何か。「新古典派総合」の解釈への徹底した批判的考察を通して 、本書は、ケインズの金融市場にかかわる独自の分析枠組にこそ『一般理論』の本質があ ることを明らかにし、その理論の再定式化・展開を企てる。このミンスキーの試みは、国 際貿易や金融の不安定性などで混迷する現在の資本主義経済への、積極的対応策に繁がる 視点を提示しているといえよう。 |
目次 | 第1章 『一般理論』とその解釈;第2章 通説―標準的ケインズ解釈;第3章 基本的 な視点;第4章 企業金融と資産価格の決定;第5章 投資理論;第6章 金融機関、金 融不安、投資;第7章 新しい解釈の含意;第8章 社会哲学と経済政策;第9章 新し い解釈の政治的含意 |
内容 | 巻末:文献 |
投資と金融 資本主義経済の不安定性 |
叢書名 | ポスト・ケインジアン叢書 ≪再検索≫ |
著者名等 | H.P.ミンスキー/著 ≪再検索≫ |
著者名等 | 岩佐代市/訳 ≪再検索≫ |
出版者 | 日本経済評論社 |
出版年 | 1988.2 |
大きさ等 | 22cm 462p |
注記 | Can “it” happen again?/の翻訳 著者の肖像あり |
NDC分類 | 338.253 |
件名 | 金融-アメリカ合衆国 ≪再検索≫ |
件名 | 景気変動 ≪再検索≫ |
要旨 | 「金融的不安定性仮説」を提起した初期の代表的論文を中心に構成。企業投資活動・資産 所有者のポートフォリオ選択行動、そしてこれら諸活動のための金融活動を中心に貨幣経 済を分析する枠組みを構築。不確実性の存在、経済成果に依存して内生的に変化する主体 のリスク選好態度、金融革新を通じ内生的に変化する金融制度等を前提に、資産ストック と資金フローの交錯およびさまざまのキャッシュフローを媒介とする経済主体間の取引の 重層化から、金融システム不安定化の蓋然性を説き明かす。金融自由化で不確実性が高ま りつつある今日、市場経済における金融過程の本質を深く考察するのに格好の書物である 。 |
目次 | 第1章 大恐慌の再来はあるか;第2章 金融と利潤―変質する合衆国の景気循環;第3 章 金融的不安定性の仮説―「標準理論」に代わるケインズ解釈;第4章 資本主義的金 融過程と資本主義経済の不安定性;第5章 金融的不安定性仮説の再述;第6章 金融的 不安定性仮説の再考―「惨事の経済学」;第7章 中央銀行業務と貨幣市場の変容;第8 章 金融政策権限行動の新しい様式;第9章 ディレンマのなかの連邦準備制度;第10 章 ケインズ投資理論の解明;第11章 代替的な金融方式と加速度原理モデル;第12 章 単純な成長モデルと循環モデルの統合;第13章 民間部門の資産管理と金融政策の 有効性―理論と実際 |
内容 | 参考文献:p411~421 原著者の主要著作目録:p441~446 |
パラドックス集
11,12,13,14,23,24が経済関連
96/1/13011労働の一括固定論の誤謬●世の中には限られた数量の職しかなく、生産性が上がると職の数は減少するという誤った考え方・・・経済学の用語
ーポール・クルーグマン著、「グローバル経済を動かす愚かな人々」
99/1/28012貯蓄のパラドックス、倹約のパラドックス●貯蓄率が上がると景気停滞をもたらし、所得を減らし、そして投資需要をも減らす。・・ケインズの初期モデルから導かれる。-「合成 の誤謬」ともよばれる
●このパラドックスからのがれるには金利を操作してケインズの初期モデルからのがれることである
ーポール・クルーグマン著、「グローバル経済を動かす愚かな人々」
●ポール・クルーグマン著、「End This Depression Now」(さっさと不況を終わらせろ)では更に展開されて「負債圧縮のパラドックス」と「柔軟性のパラドック ス」が導かれている。99/1/28013寡婦のつぼ理論●賃金を上げれば労働需要を減らすことになるとおもわれるが、実は雇用と生産を増やす。・・ケインズの初期モデルから導かれる。
ーポール・クルーグマン著、 「グローバル経済を動かす愚かな人々」
99/1/28014合成の誤謬●論理学の合成の誤謬とは
一部分について真であることが、そうであることだけの理由ゆえに全体についても真であるとみなされる誤謬
-ポール・A・サミュエルソン「経済学」
●ケインズが発見した合成の誤謬とは「個人を富ます貯蓄は経済全体を貧しくする」
●アローの不合理(ジレンマ)=個人は合理的であっても(推移律を満たしても)全体は合理的でない(循環律になる)
●3人の人間と3つの政党が互いに投票すると循環律が成立し、デモクラシーは機能しない
ー小室直樹著「数学嫌いな 人のための数学」
●最近の例では中曽根政権下の1985年のプラザ合意後の円高局面で、当時の大蔵省が財政再建に固執し、日銀に低金利政策を強いてバブ ルを生じさせたこと、不良債権の情報を共有できず、統一した政策を打ち出せなかったのも、縦割りの行政のそそれぞれがその仕切りのなかで合理性を求めた結 果、全体ではマイナスに働く「合成の誤謬」。
ー朝日「経済漂流」2002/5/26
●価格の粘着性や情報の非対称性があると「合成の誤謬」が発生し、自由市場は実現できない。価格の粘着性とはニューケインジアンが言い 出したことで価格の 改定が遅れがちになること。
ー朝日、小林慶一郎のディベート経済2007/2/26
99/2/13015イノベーションのジレンマ「成功した人はその成功が原因となって失敗する」または「優良企業が全てを正しく行うが故に失敗をする」
ークレイトン・クリステンセン著翔泳社刊「イノベーションのジレンマ」
「カスティーリアはスペインを創った。だが同時に、カスティーリアはスペインを滅ぼした」というオルテガ・イ・ガセットのオーストリア 王家のスペインの墓碑銘も同じ文脈
「国家の興隆と衰退の要因は同じ」という地史 学の大原則と同じ発想だがより詳しく分析している。
盛者必衰の思想のような荒っぽいものではない
2001/4/17016ゼノンのパラドックスランナーはゴールに到達できない。
ランナーがゴールにつくためには、一定の距離を通過しなければならないが、しかし、この距離を通過するためには、まずその半分の距離を 通過しなければならず、この半分の距離を通過するためには、そのまた半分の距離を通過しなければならない。
この空間的距離の2等分は無限につづくから、距離がどれほど短くても、そして速度がどれほど速くても、ランナーは有限な時間で一定の距 離を通過できないことになる。この論証は、運動というものが論理的に不可能であることを証明しようとしたものである。
ランナーが一定の速度dx/dtで走るとしよう。x が1/2であればt も1/2となる。したがって距離がゼロに向かって収斂しても時間もゼロに向かって収斂するので有限の時間で一定の距離を通過できないとは証明できない。
ゼノンのパラドックスは「のそのそ這うカメをアキレスは決して追い越せない」とも表現される。現代では無限級数列の和は有限値になるの でアキレスもカメに追いつけることを知っている。
ゼノン(エレアの)は前5世紀(BC494-435) 古代ギリシアのエレア学派の哲学者。南イタリアのエレアで生まれ、エレア学派の 創設者パルメニデスの高弟となった。40歳ごろ 、師にしたがってアテネに移り住み、エレア学派の形而上学体系をつくりながら、アテネで数年間哲学を教えた。前5世紀に活躍したアテネの政治家ペリクレス とカリアスは彼のもとでまなんでいる。弁証法の創始者はゼノンだとアリストテレスは言っているという。
2001/6/21017ギャンブラーの誤謬偶然には記憶が無いという事実を評価し損なうこと
ーダニエル・C・デネット著「ダーウィンの危険な思想」
2002/03/07018使い捨ての誤謬使い捨て文化は日本に根付いている。産業界でも構造調整といえば設備廃棄すると同義語となっている」。しかし個人生活では倹約は美徳 とされている。環境問題からもリサイクルは美徳である。経済学では消費喚起のため使い捨てが好ましいのではと考えられている。
しかし使い捨てが消費を萎縮させるメカニズムも存在する。これを「使い捨ての誤謬」という。
企業資産の二次市場が小さく、非効率なために、資産の市場価格が速く減価する。その結果、国民経済計算における(家計が所有する)正味 資産の減価が速くなる。消費者は資産の目減りが速いために、将来に備えようと、消費を抑制し 、貯蓄をふやす。こうして経済全体で消費が萎縮する。
ー日経、経済教室2002/7/18 小林慶一郎 経済産業研究所研究員
2002/04/07019教会のジレンマ教会に近づけば近づくほど、神からは遠ざかる (The nearer to church, the father from God.)
ーシビル・マーシャルという人の編んだUnder the Hawthorn (J.M. Dent & Sons, 1981)という箴言集にある。
2002/07/23020ポポ族のジレンマアフリカにあるダオメー(現在のベナン)のポポ族に伝わる昔話
男が妻と母親をともなって、川を渡っている。対岸にキリンが姿を現す。男が銃をとってキリンに狙いをつけると、キリンは「お前が撃てば 母親が死ぬ。撃たなければ妻が死ぬ」という。どうすればよい。
答えはないのだ。
ーウィリアム・パウンドストーン著「囚人のジレンマ」
2002/10/24021万能脳のパラドックス脳がチューリング・マシン並みに万能であるならば、言語の処理もやすやすとできてしまうのだろうか。もしできるならば、サルの脳は基 本的な構造が人間の脳と同じなので、言語処理能力があるはずである。しかしサルは言語を使えない。発声器官の構造に原因があるとの説もある。しかしもしそ うなら、なぜサルは人のように手話をつかわないのだろうか?
答え:「多芸は無芸」と同じ原理で人間の脳の言語野では大脳皮質一般の機能が制限されて言語しか処理できないように特殊化している。抑制性の遺伝子(他の 遺伝子の発現を制御する遺伝子)が進化の過程で新たに付け加わったためと考えられる。チューリング・マシン並みの能力を持っていた大脳皮質の機 能の一部が突然変異で抑制されて、文脈依存文法能力が発現したと考えられる。
ー酒井邦嘉著「言語の脳 科学」
関連:(Paradox Serial No.6)
2002/10/26022情報社会のパラドックスノルバルト・ボルツ(Norbert Bolz)がその著書「世界コミュニケーション」で提唱した情報社会のパラドックスは「私の知識は増えるが、私の無知の増え方はもっと早い」というもの。
対処法は「一番重要な知識は、何が知らないでいいかを、知ること」すなわち無知社会の迷路から抜け出す鍵は情報よりも批判的思考力にあ る。
ー朝日、書評
2003/02/23023thriftのパラドックスA Paradox of Thrift or Keynes's Misrepresentation of Saving in the Classical Theory of Growth
ー貯蓄のパラドックスと同じものか?クルーグマンが引用
2003/03/03024戦後金融のパラドックス最も安全と思われた不動産担保融資が最大の不良資産となり、最も危険と考えられた消費者金融が高収益をあげた。
ポートフォリオ理論によるリスク分散とリスク/リターン分析からみれば不動産担保融資の失敗はたった一つの金融商品にリスクを集中させ た失敗であり、消費者金融の成功は分散によるリスク軽減効果があったためである。
消費者金融はいまや10兆円の規模。
ー朝日 経済気象台
2003/03/14025ダランベールのパラドックス静止している完全流体(粘性のない流体)の中を等速直線運動する物体には抵抗が働かないという定理。実在流体には必ず粘性があるた め、物体表面には境界層が生じて抵抗があらわれる。
なお完全流体中でも加速度運動すれば仮想質量に相当する抵抗が生じる。
2003/04/08026暗い太陽のパラドックス太陽の光度は時と共に単調増加している。ということは過去に遡ると太陽は暗くなる。ところが地球の地表温度はほぼ一定にたもたれてい る。これは炭酸ガスの大気とマントルでの循環量が地表温度を一定にするように自然バランスするからである。太陽光度が 増すと大気中の炭酸ガスが岩石に取り込まれる。 (光合成で?)
ー松井孝典監修者「地球 生命35億年物語」あとがき
2003/07/12027投票のパラドックス(Paradox of Voting)
または
コンドルセのパラドックス「(政 治過程を通じて)集団的に為される意思決定は決して合理的ではありえない」または「投票者主権の原則は集団的合理性の原則と両 立しない」このパラドックスは18世紀の哲学者マルキーズ・ド・コンドルセMarie Jean Antoine Nicolas de Caritat, marquis de Condorcet)が発見し、コンドルセのパラドックスとよばれた。19世紀の数学者チャールズ・ドジソン(ペンネームはルイス・キャロ ル)が研究し 、新古典派経済学を批判したケネス・アローは「不可能性定理(impossibility theorem)」と呼んだ。
投票のパラドックスを回避する方法は2つしかない。
(1)独裁者に任せる
(2)二者択一で投票する、ただ投票順で結果は異なる
ーマリル・ハート・マッカーティー著「現代経済思想」
相対多数投票では二大政党になる。そしてゴアがネーダーと共倒れになったように多数派が少数派に負ける。
比例代表制では多数政党の林立となる。
民主主義は投票に還元できないのだ。
2003/07/27028双子のパラドックスアインシュタインの相対性原理に基き、光速に近い速度での時間遅れにより未来への片道旅行のこと。
運動の相対性によれば、旅をしている人と同じ場所に留まる人に差はないはずなのに、旅をしている人がゆっくり年をとる、すなわち対象性 がないのがパラドックスとされた。
しかし旅をする人は加速度を感じるので対象性が崩れるため実際にはパラドックスではない。
ーロバート・アーリック著「ト ンデモ科学の見破りかた」
2004/05/31029祖父殺しのパラドックスアインシュタインの相対性原理に基き、未来と現在の双方向旅行、あるいは過去への時間旅行などが可能とすると、過去に行って祖母と出 会う前の祖父を殺害するというパラドックスが生じる。
このパラドックスは成立しない。なぜなら現在のあたたは過去に遡って祖父をころすことはできない。もしそのようなことが可能ならばあな たは存在しないはずであるから。
ただ量子論による多世界解釈によればこのパラドックスは成立する。宇宙は時間とともに絶えず枝分かれを繰り返していて、分裂し続けるい くつもの平行宇宙は起こりうるさまざまな物時のそれぞれに対応している。ただ枝分かれした別の宇宙にゆくことはできない。
ーロバート・アーリック著「ト ンデモ科学の見破りかた」
2004/05/31030自然主義の誤謬自然のやることは一番よいのだと決めてかかる態度
より具体的にいうと感染症にかかったとき空調することも、抗生物質を飲むのは良くないと考えること。
ージェームス・D・ワトソン、アンドリュー・ベリュー著「DNA」
2004/07/19031青砥藤綱のパラドックス鎌倉幕府の引付衆だった青砥藤綱の十二所(じゅうにそ)近くの滑川(なめりがわ)の青砥橋の故事。
太平記ニ拠レバ 藤綱ハ北條時宗 貞時ノ二代ニ仕ヘテ引付衆ニ列リシ人ナルガ 嘗テ夜ニ入リ出仕ノ際誤ッテ銭十文ヲ滑川ニ堕シ 五十文ノ續松ヲ購ヒ 水中ヲ照ラシテ銭ヲ捜シ竟ニ之ヲ得タリ 時ニ人々 小利大損哉ト之ヲ嘲ル 藤綱ハ「十文ハ小ナリト雖 之ヲ失ヘバ天下ノ貨ヲ損ゼン 五十文ハ我ニ損ナリト雖 亦人ニ益ス」旨ヲ訓セシトイフ
司馬遼太郎著「三浦半島記」 が太平記、大日本史より引用
青砥藤綱はマクロ経済を正しく理解していたことになる。
2004/09/16032セキュリティ・ジレンマ国際社会は常に戦争の危機を孕んでいるので、対立する二国の間では、一方が自国の安全を増大させようとすると、他方は不安を増大さ せ、悪循環を生みやすい 状況が生じる。この状況を説明する国際政治学用語。横手慎二「日露戦争史」2005/06/26033抽象を具体とおき違える錯誤the fallacy of mis-placed concretenessの訳
ホワイトヘッドは近代ヨーロッパにおいて生まれた機械論的自然観の問題性を浮き彫りにし、それが「抽象を具体とおき違える錯誤」にもとづくことを指摘して いる。彼は17世紀の哲学から現代哲学が引き継いだ機械論的自然観を分析し、それに代わるものとして、有機体論的自然観を提唱した。この着想は『過程と実 在』の「有機体の哲学」として体系的な形で示されることとなる。有機体の哲学は、近代の自然科学の勃興によって廃れてしまった形而上学の構図を現代の先端 的な科学の領域を媒介することによって復活させようとする試みであった。2005/06/30034フクヤマのパラドックスフランシス・フクヤマが「歴史の終わり」で提出した仮説。
マイケル・ドイルの法則を 適用して「もし民主主義が至るところで勝利するのなら、軍事大国としてのアメリカ合衆国は世界にとって無用なものとなり、他の民主主義国家にすぎないとい う事態に甘んじなければならなくなる」というもの。
ーエマニュエル・トッド「帝 国以降」
2006/12/02035ジェボンズのパラドックスエネルギー消費効率の高い車なり冷蔵庫が開発されても、人々は消費を拡大させるだけという社会現象を「ジェボンズのパラドックス」と いう。ソニア・シャ
ー「「石油の呪縛」と人類」
2007/03/12036シュレーディンガーの猫「シュレディンガーの猫」は粒子のようなミクロな系の重ね合わせが、猫のようなマクロの系の重ね合わせを導きうる事を指摘したパラ ドックスである。蓋のあ る箱を用意し、この中に猫を一匹入れる。箱の中には猫の他に、放射性物質のラジウム、粒子検出器、青酸ガスの発生装置を入れておく。もし箱の中にあるラジ ウムがアルファ粒子を出すと、これを検出器が感知し、その先についた青酸ガスの発生装置が作動し、猫は死ぬ。しかし、アルファ粒子が出なければ検出器は作 動せず、猫は生き残る。
この実験において、ある時間内にラジウムがアルファ粒子を出すかどうかは完全に確率の問題であり、量子力学により、人間が観測するまではアルファ粒子が出 ている状態と出ていない状態の重ね合わせ状態で存在する。 仮に1時間でアルファ粒子が出る確率が50%だとすれば、人間が観測するまではアルファ粒子が出ている状態と出ていない状態が丁度1:1で重なりあってい る。 猫の生死はアルファ粒子が出たかどうかによって決まるのだから、この箱の蓋を閉めて1時間放置したら、人間が観測するまでは猫が生きている状態と死んでい る状態が1:1で重なりあっているはずである。 これは明らかにおかしい。
アインシュタイン=ポドルスキー=ローゼンのパラドックス(EPRパラドックス)がまずあった。2008/10/23037メノンのパラドックスプラトンがメノンで提起したパラドックスで「人が何かを新たに発見するとは、どういうことか。それは端的に矛盾しているのではない か。というのも、その何 たるかをあらかじめ知らないなら、知らないもの(こと)をどうして知り得るだろうか。あるいは『これが探していたものだ』とどうしてわかるのか。また逆に あらかじめ知っているならば、今さら再発見する必要があろうか。それは『新』発見ではないのではないか」
ー下條信輔の「サブリミナル・インパクト」2009/02/20038ブライスのパラドックス当サイトの読者の一人、横井さんから教わったパラドックス。
独ルール大学の数学者ブライス(Dietrich Braess)が1960年代に提唱した考えで「ネットワーク中ですべての移動体が最も効率的なルートを合理的に探し求めている場合,ネットワークの容量 を増やすと実際には全体的な効率が低下しうる」というもの。
そのもとになったのは1920年代の経済理論。自動車向けの空間を制限することで,人々の移動効率が上がるかもしれない。直観に反するこのアプローチのカ ギは,すべての運転者が本来持っている利己主義を利他主義に変えることにある。
サンタフェ研究所のコンピューター科学者ガストナー(Michael Gastner)がPhysical Review Letters誌に発表した「輸送ネットワークにおける無秩序の代価」という論文で,ドライバーたちが指定の目的地への最短ルートを探し求めると最終的に 「ナッシュ均衡」に行き着くことを,仮想と現実の道路網を用いた実験によって示した。ナッシュ均衡はこの場合,どのドライバーも自分の戦略を一方的に変え るだけでは,それ以上によいルートを得られなくなることを意味する。運転者が利他的に行動した場合に到達する均衡に比べ,このナッシュ均衡が効率の悪いも のになる。ドライバーがグループ全体の利益を考えて行動するほうが効率がよくなる。
「道が混んでいるからと言って追加の道を造ると、なおさら混むことがある」、「道路を減らし信号機を除去すると都市交通がスムーズになる」とも言われる。
ところが無秩序にするとスループットが増えることもあるのでややこしい。「シェアド・ストリート(共有道路)」という直観に反する交通設計だ。信号機や道 路標識,車道と歩道の境を取り払うことで,運転者の“勝手”が利くようにする。シェアド・ストリートが一般的な北欧での研究から,安全性と交通の流れが高 まることが示された。
http://supernet.som.umass.edu/visuals/meshforum.pdf
2009/05/14039民主主義のパラドックス「民主主義に依存すればするほど、愚かな政策が選択され、ますます満足が低下していく」
ーブライアン・カプラン「選挙の経済学ー投票者はなぜ愚策を選ぶのか」
2010/06/29040ミルの誤りジェームズ・ミルは立憲君主制は明らかに最高の政治形態であると結論つけた。人はいつも、自分がよく知っているものの中から最適なも のを選び出そうとする 危険性を持っている。これをミルの誤りという。
ースチュアート・カウフマン「自己組織化と進 化の論理」b4422010/06/29041アレのパラドックス
モーリス・アレが1953年にニューヨークで行われた会議に連続する2回のくじに関する質問を、たくさんの参加者に問いかけた。
1回めのくじ
オプションA:確実に1000ドルがもらえる。
オプションB:10%の確率で2500ドルがもらえて、89%で1000ドル、そして1%は賞金なし。
2回目のくじ
オプションA:11%の確率で1000ドルがもらえて、89%は賞金なし。
オプションB:10%で2500ドルもらえて、90%は賞金なし。
ほとんどの場合、参加者は1回目のくじではAを選択し、2回目のくじではBを選択する。1回目のくじにおいては、個人は期待利得の低い 方を選択し、2回目 のくじにおいては、期待利得が大きい方を選択した。この実験は何度も繰り返されたが、全て同じ結果になった。
-ウイリアム・パウンドストーン「プライスレス 必ず得する行動経済学の法則」ノーベル経済学賞を受賞 したダニエル・カーネマンのプロスペクト理論
2010/09/03042竜馬の妥協誤謬NHKの坂本竜馬が終わったとき鳥木晃氏が「竜馬の妥協誤謬」ということを言い出した「徳川ががんばれば薩長が内乱を起こし被害が大 きくなるが、竜馬が体 制奉還などという妥協をしなければ革命が起こってかえってすっきりするはずでした」という意味のようだ。
そこで調べてみると
慶応3年5月に越前福井藩の前藩主で幕府顧問の松平春嶽に赤松小三郎が提出した「御改正之一二端奉申上候口上書(以下、御改正口上書)」が、坂本龍馬の 「船中八策」よりも早い、日本で最初の、選挙による民主的議会政治の建白書であり、もっと評価されるべきであることを論じている上田出身の関良基(せきよしき)氏のブログを見つける。
赤松直筆の原本は失われているが、全文が松平春嶽の政治記録書である『続再夢紀事』に転載されているので、この文書の存在は確かのものである。
関良基氏の推測では、この「御改正口上書」が、おそらくは福井藩士の手を経由して京都に潜伏中の坂本龍馬に見せられ、「船中八策」および「新政府綱領八 策」となった。また、「五箇条の御誓文」の起草した由利公正も、福井藩士であるから、当然、赤松の「口上書」を読んでいたものと思われる。由利公正が御誓 文の原案を考える際にも、赤松の文書が影響を与えたのであろう。
しかし、「御改正口上書」に比べると、「船中八策」、「五箇条の御誓文」とも、はるかに内容的に曖昧で、後退したものとなっている。
坂本龍馬の構想は、内容的に赤松小三郎の「御改正口上書」と重複するが、その子細は赤松案よりも後退してしまっている。おそらく龍馬の意見は、もっと小三 郎に近かったのかも知れないが、薩長や土佐の勤皇派の人々でも受け入れ可能なように、天皇の権限を強化し、新政権の民主的性格を損なう方向に、内容的に妥 協させてしまっているのだ。
龍馬は、赤松の論を継承して実現のために奔走することは自分の生命を危険にさらすことも当然承知していただろう。「船中八策」の段階では小三郎はまだ存命 であったが、龍馬が慶応3年11月、福井藩で由利公正らと議論した後にまとめた「新政府綱領八策」の段階では、既に小三郎は薩摩藩によって暗殺されてい た。
龍馬は当然、内容的に薩長でも納得可能なように妥協させることはやむを得ないと判断したのだろう。しかし薩摩にとっては、小三郎に比べて内容的に後退し ている龍馬の「船中八策」であっても、同様に許せる内容のものではなかったのである。
赤松小三郎は、天皇家と幕府と諸藩の融合を説いている。もっとも、「天朝の権を増し」と主張しているのを見ても明らかなように、公武合体の末に天皇の権力 を増し、幕府に関しては自然消滅を考えていた。この点で、「天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ」という坂本龍馬の大政奉還論と同様の内容である。
しかし、小三郎らしいのは、勤皇派の志士たちの考えとは違い、天皇に対して神聖な絶対的権威を認めていない点である。天皇に「権の帰する」は、天皇が「徳 を備え」「道理にかない」「公平の命令を下す」という三条件を満たさねばならない。そして、誰が見ても道理にかない、「公平に国事を議す」ために、天皇は 「少しも背く事能はざるの局」を新たに設置せねばならない。この「局」とは、後に述べられるような二院制議会なのである。これをして「国中の人民は承服」 するのであって、それなしに無条件に天皇の絶対的権威を認めているわけではないのである。
龍馬の「船中八策」では、天皇の権威が何に由来するのかに関しては何も論じられていない。朝廷の権威は、無条件に与えられることになっていた。小三郎に あっては、あくまでも天皇の権威は、人民の信託に基づいて発生するものであった。この点、龍馬の論が小三郎に比べ後退している。 2010/12/03043越前松平家のパラドック042で紹介したように開明的であった松平春嶽の子孫の松平永芳氏は靖国神社の宮司と なり、A級戦犯を合祀してしまった。これは天皇家を困惑させ、歴代首相が参拝できない事態 を作り出した張本人となった。これは「越前松平家のパラドック」とでもいえるものであろうか?2010/12/03044戦争のパラドックス日露戦争に始まったとされる政府が軍に吸収されたような形の当時の日本政府最高意思決定機関である大本営政府連絡会議 (Imperial General Headquarters)のメンバー全員は日米戦争に勝ち目はないと判断していた。にもかかわらず陸軍も海軍も縦割りの思考により、会議で戦争回避への 正式提言を行わず、首相の近衛は指導力を発揮せず、妥協の産物としてどうとでも読める曖昧で抽象的な方針を発令した。陸、海の下部機構はこれを自分の都合 の良いように読み、陸は北に海は南に勝手に侵攻を始めた。これを見て態度を硬化させた米国は最終的にハル・ノートを出すことになる。それでも全面撤退とい う判断もありえたが、すでに発生している20万人という犠牲から撤退という選択は出来ないと判断し、真珠湾へと向かい、結局300万人という犠牲者を出す ハメになった。「日本だけが例外ではなく、どの国の指導者も『死者への負債は政府指導者に重くのしかかり、引き返す勇気ある決断を躊躇させ、更に深い傷を 負わせる』。ベトナム、アフガニスタン、イラクなどがこれに相当する。戦争にいたる道は権力者の個の強さではなく、弱さ、男性的なマチョ性ではなく、個を 隠す女性的な仲良しクラブ的なメンタリティーだと気がつく。これはまさに戦争は男がなせるワザとする常識に反する「戦争のパラドックス」とでも言ってよ い。別の表現の仕方をすればジンギスカンのような遊牧民のリーダーのもつ個としての判断を失い、定着農耕民の和を重んずる文化こそ、戦争の原因とする「和 のパラドックス」とも言える。 戦争ではないが、すでに使ってしまった国費の負い目で先の見通しもないのにダラダラ続けていた原子力船ムツ開発、そして現在進行中の使用済み核燃料再処 理、高速増殖炉開発、核融合炉開発 、不知火埋め立て、ダム建設、地方空港建設などは同じシンドロームといえよう。2011/03/07045
博物館のパラドックス資料を収集している段階では何を残すべきか分からない。重要でないからと記録されなかったような些 細なこ とが後日輝くこともある。
全て記録できるデジタル技術の発達でこのパラドックスは解消された。
2012/01/04
鍋島論考
カレツキの貨幣経済論 :ケインズとの対比において
鍋島直樹
鍋島直樹『ケインズとカレツキ』に再録されている。第七章159頁に対応。多少の変更はある。
鍋島論考
一橋論叢 第104巻 第6号
Ⅳ 投資制約要因としての「信用の利用可能性」
さて, カレツキは「危険逓増の原理」によって投資量の決定を説明したのだ
が, これに対してケインズはどのような態度を示したのか, そして両者の貨幣
および経済メカニズムの理解にはどのような相違が存在するのか, とりあ
えず1つの手がかりとしてカレツキの主張に対するケインズの見解をみてゆく
ことにしよう.
ケインズは1937年3月30日のカレツキあての手紙において, Kalecki[1937
a]に対するコメントというかたちで,「予想収益に関する危険は,資本の限界
効率についての私の定式化においてすでに考慮されています」(Keynes [1983]
p. 793) と語っている. そして,投資の限界効率の概念によっては投資量を決
定することができないというカレツキの批判に対しては,「現在の価格上昇が
将来価格についての期待に不相応な(disproportionate)影響を及ぼすであろ
うというだけでなく,将来価格が〔現在と〕同じ割合で上昇するであろうと予
想される, とあなたは想定しているように思われます. まさに, これは長期期
待に対する即時的状態の影響の法外な過度の強調ではないでしょ うか」(同上,
p. 793, 〔 〕内は引用者のもの) と答えている. さらに同年4月12日の手紙
では,「あなたの議論は, アキレスと亀の説明のように私には思われます. あ
なたは私に, たとえアキレスが亀に追いつくとしても, それは多くの期間
が経過した後にのみであろうと語っているのです」(同上, p.798)としてカレ
ツキの見解に反論を加えているもちろん, ここで「アキレス」とは投資量を,
「亀」とは一般物価水準のことを指している. ともかく も, ケインズはカレッ
キの自らに対する批判は当たらないとし, 自らはすでに資本の限界効率概念の
なかで,投資量の増大に伴なう危険逓増を考慮していると述べたのである
以上のケインズの主張についてであるが,実際のところ,彼が『一般理論』
において「危険逓増」の問題を考慮していたとみなすのは難かしい.周知のよ
うに, ケインズは『一般理論』第11章において,投資量の決定について, (1)
資本の限界効率と利子率の均等, (2)投資財の需要価格と供給価格の均等, と
いう 2通りの解決を提示した(1)では資本の限界効率の低下を生産物供給量
の増加による企業間競争の発生と生産設備価格の上昇によって説明し,資本の
限界効率が利子率に等しくなる点まで投資が進められるとされている一方,
(2)では「借手のリスク」と「貸手のリスク」に言及し, この2種類のリスク
の逓増が投資財の需要価格·供給価格に影響を及ぽすことにより投資を制約す
るとされている. そしてケインズ自身はこれら2通りの解決を事実上同じもの
であるとみなして,主に(1)の方法に基づきながら『一般理論』の叙述を展開
した.だがミンスキーは(1)を「標準的モデル」,(2)を「資本化モデル」と名づけて,2つは内容の異なるものであると考える.彼は,「選択をしたときには何等差異がないように見える選択が,具合の悪い結果をもたらす揚合がある
のと同様,〔標準的モデル〕の選択も振り返ってみれぱ不幸な結果をもたらし
てしまった」(Minsky[1975]邦訳153頁,〔〕内は引用者のもの)とし,
「ケインズがこのようなモデルを選んだために,彼にとっては資金貸付の一属
性にすぎない利子率が,モデルの中枢として不当に強調されることになってし
まった」(同上,157頁)と論じている15).ミンスキーの説明からも明らかなよ
うに,もしケインズがカレツキあての手紙において語ったように,資本の限界
効率概念において投資増カロに伴なう危険逓増を考慮していたのであれぱ,ミン
スキーのいう「資本化モデル」を選択するべきであった.ところが実際にはそ
うしなかったのである.すなわち,ケインズは投資の大きさにかかわらず企業
に対する貸付利子率は一定であり,またそれは金融の源泉から独立であるとみ
なした.このようにケインズはカレッキとは異なり,モディリアーニ=ミラー
の世界にとどまることになるのである、少なくとも『一般理論』においては,
ケインズは投資の金融的側面を捨象することになってしまったと言ってよいだ
ろう.たとえぱカーンも「ケインズは,投資の決定要因として危険のない利子
率の一他の諸要因に比しての一重要性を誇張した点で,当然に批判されて
よい」(Kahn[1984]邦訳228頁)と指摘している.
これに対して,カレツキは投資・生産過程において信用の利用可能性の演じ
る役割の重要性を強調する.投資の増加に伴う危険逓増が作用するとされてい
るカレッキの世界では,投資の増加にしたがって資金調達費用が上昇すること
により,同時に,投資に対する予想収益も低下してゆくことになる.ここでは
借手のリスクと貸手のリスクが投資決定に対して大きな影響力をもつ.この視
点がミンスキーのtwo-price-level model 16〕において中心的な役割を果たして
いることはよく知られているところである.ミンスキー自身,借手のリスク
およぴ貸手のリスクという用語は,ケインズの『一般理論』にもみられるが,
通常は,カレツキに帰せられている」(Minsky[1986]邦訳234頁)と述べて
いるように,ミンスキーの投資決定理論はカレッキ理論の発展線上にあるもの
と言っても間違いではないだろう.彼は自らのモデルの想源を主としてケイン
ズの「資本化モデル」に求めているけれども,それはカレッキの「危険逓増の
原理」とも密接な関係をもつのである(17).
(136)
(17) ミンスキーは,「借手のリスクおよぴ貸手のリスクという用語は,カレツキの造語である」(Minsky[1986〕邦訳262員)としているが,管見の限りではカレツキの文献にそのような用語は見当たらない一ただしいくつかの文猷においてそのような概念が用いられていることは確かである.たとえばKalecki[1937a]では「貸り手の確信」(lender’s confidence)という周語が使用されており,事業の状態に対 する銀行の判断を指している一これは貸手のリスクに対応するものと考えてよい.この論文では,2種類のリスクのうち主に貸手のリスクに注目している.またKalecki[1937b]では,第III節において見たように,危険逓増を(1)事業の失敗の場合の富の状態の危険性,およぴ(2)「非流動性」の危険性,によって説明したが,(1)は明らかに事業者の側にかかるもので,借手のリスクとみなされうるし,(2)についても主に借手のリスクに関係するものと恩われるが,カレツキ自身は,「もし企業者が投資活動において注意深くなけれぱ,自らの計算に基づき,利子率を引き上げることによって一定量を超える信用の継続部分に危険逓増の負担を課するのは債権者である」(同上,p.442)として貸手のリスクにも注意を払っている.このように,カレツキは「借手のリスク」「貸手のリスク」という用語こそ使っていないものの,実質的にそれと同じ概念を用いることによって投資決定理論を展開している。しかしながら,これら2種類のリスクが明確に分類されていないことも事実であり,そのどちらを重視しているのかも文猷によってまちまちである.この点において,カレツキの「危険逓増の原理」はケインズの「資本化モデル」あるいはミンスキーのtwo-price-leve modelに比べると,やや未発達の感がある.
鍋島は以下のミンスキーを参照している。
Minsky, H. P.
[1975], John Maynard Keynes, New York: Columbia University
Press (堀内昭義訳『ケインズ理論とは何か』岩波書店,1988年)
[1982], Can "It" Happen Again?_Essays on Instability and Finance
Armork, New York : M. E. Sherpe (岩佐代市訳『投资と金融-資本主義経済
の不安定性』日本経済評論社, 1988年)
[1986], Stabilızing an Unstable Economy, New Haven, Connecticut: Yale
Universiy Press (吉野·浅田·内田訳『金融不安定性の経済学-歴史·理論
政策』, 多賀出版, 1989年).
[1989], Financial Structures: Indebtness and Credit', in Barrère, A
(ed.), Money, Credit and Prıces in Keynesian Perspective, London: Macmillan
宮崎義一·伊東光晴[1961],『コンメンタール·ケインズ一般理論』日本評論社.
得田論考
…
金融不安定性仮説
本論文で扱う金融システムを想定していくに際し、有用なのはミンスキーの金融不安定性仮説を主張する際に示した有名なダイアグラム(Minsky’stwopricediagram)であろう。ミンスキーのダイアグラムはMinsky(1986)[58]p.191、Rochon(1999)[78]p.188,p196、ミンスキー (1988)[137]p.126,p.322 等様々なバリエーションをもつが、以下ではその概略を図3.1に沿って述べたうえで、日本の場合での適応可能性について考察していく。
まず変数を定義する。PKは資本資産の貨幣価格=投資財の需要価格であり、将来にわたる長期的利潤に関する現在の予想をEπ、資本資産ポジションをファイナンスする諸条件をrとする。rの上昇がその諸条件の悪化を表し、下落がその改善を示す。PIは粗投資の供給価格であり、投資財生産者の短期利潤期待に依存する。すなわち、投資財の引渡しが済み生産過程で稼動し始めると、それが資本資産となるのである。このPIの動きに関し、通常は企業、銀行とも同質の期待を共有していると仮定すると、それは企業が想定する投資財供給価格と言い換えることが可能である。IF 曲線は期待される内部資金フロー量を示す直角双曲線である。IF曲線とPI曲線との交点は、内部資金で賄いうると予想される投資量水準を示し、ˆIで表示されている。
投資がˆIの水準を上回れば、企業は銀行借入による外部金融を必要とする。すなわちPK >PIならば、企業は投資財を取得するために外部金融資金への需要が生じることになる。外部金融に頼るとすると、投資財供給価格は負債金融に伴う費用部分だけ修正されなければならない。負債金融に伴う費用のうちには一定の利子率に対するプレミアムとして表出する貸し手リスク(lender’srisk)が含まれる。貸し手リスクには借り手企業に対する信用リスクおよび市中銀行自身の流動性リスクが含まれ、I/ˆIがこれらリスクの関数であると考える。よって( PI =PI I/ˆI) I > ˆI, PI >0, PI >0と表せる。一方、投資財需要曲線も借り手企業のリスク(borrower’srisk)を反映して、その分だけ資本資産価格曲線から下方へ乖離することになる。借し手リスクは期待収益Eπが実現する確信の程度やファイナンスの技術的条件r、それとレバレッジの程度I/ˆIに依存すると考えられる。投資財需要価格は資本資産ストックをKとすると、∞ ∑ PK = { t=0 (Eπt) ( K·ということになる。1 +r I/ˆI)}t ∂PK I > ˆI, ( ∂ I/ˆI) < 0, ∂2PK ( ∂ I/ˆI)2 < 0 (3.1)投資は借り手企業のリスク分を修正した資本資産価格と貸し手である市中銀行のリスクを調整した投資財供給価格とが均衡する水準Iまで実施されることになるであろう。ここで、ˆIが内部金融で、(I−ˆI)が外部金融ということになる。このように考えると図3.1から投資のファイナンスにおけるレバレッジの程度I/ˆIは、投資財の需給価格の乖離(PK−PI)と貸し手である市中銀行、借り手企業双方のリスク評価に依存することがわかる。例えば、過去の金融の結果を反映する債務契約が順調に履行されると、投資財価格需要曲線がPKの位置に上方シフトしたり、さらに市中銀行・企業双方のリスク調整が緩慢化し、外部金融の依存度は高まっていく3(図では投資水準はIで示される)。図では投資財需要曲線の曲率の低下で示すことができる。そしてレバレッジ比率はI/ˆIへと上昇する。これは粗利潤に占める債務割合の上昇をもたらし、キャッシュフローについて配慮された安全性の余地4は縮小することになる。また内部資金フローが増加してIF'にシフトした際にも同様にいえることである。このようなことが実際に生じレバレッジ比率の拡大が進むと、金融システムは潜在的に脆弱な体質に転化する。ミンスキー・ダイアグラムを援用すると、日本のいわゆるバブル期は先行きの楽観視と市中銀行・企業双方のリスク過小評価によりレバレッジ比率が拡張されていったIからI'の投資拡張過程であり、バブル崩壊期はその逆の急速な収縮過程であった。一方1997年にはコール市場の戦後初のデフォルトや大型金融機関連続破綻といっ
3ミンスキーはこのレバレッジ比率上昇過程をヘッジ金融 (hedge finance)、投機的金融 (speculative finance)、ポンツィ金融 (Ponzi f inance) の有名な用語を用い解説している。
4何らかのショックにより急に流動性が必要となった場合、当該企業は資金繰りに窮するという意味においての安全性である。
たいわゆる金融機関不倒産神話の崩壊、さらには不良債権問題が悪化したことにより借り手企業の意図しない市中銀行の信用リスクおよび流動性リスクの急上昇がバンキングセクター全体を通して起こったのであろう。この急激な変動を本論文では「金融システムショック」として捉えるのである。図で説明すると、投資財供給曲線はバブル崩壊時よりさらに急な傾き、あるいはほぼ垂直になったと考えられる(投資水準はIになる)。これは企業が想定する貸出プレミアムを反映したものであるが、この曲率の変化は企業が瞬時に把握でき得るものではなく、DI(Diffusion Index) の安定的関係の変動に繋がると考えられる。こうした考えから本論文では第4章にてDIの変動から金融不安度を抽出していく。さらにはPK <PIという逆転現象が生じ、ほとんど投資需要がないような状況であったと推察される。
Minsky's Two Price Diagram
価格
I。 。 貸し手のリスク→
需要-I 。 。 ←借り手のリスク
供給-l 。 。 。IF'
l 。 。IF
l______________________
ˆI I I' 投資
IF 曲線は期待される内部資金フロー量を示す直角双曲線である。IF曲線とPI曲線との交点は、内部資金で賄いうると予想される投資量水準を示し、ˆIで表示されている。
…例えば、過去の金融の結果を反映する債務契約が順調に履行されると、投資財価格需要曲線がPKの位置に上方シフトしたり、さらに市中銀行・企業双方のリスク調整が緩慢化し、外部金融の依存度は高まっていく(図では投資水準はIで示される)。図では投資財需要曲線の曲率の低下で示すことができる。そしてレバレッジ比率はI'/ˆIへと上昇する。これは粗利潤に占める債務割合の上昇をもたらし、キャッシュフローについて配慮された安全性の余地は縮小することになる。また内部資金フローが増加してIF'にシフトした際にも同様にいえることである。
ˆIが内部金融で、(I−ˆI)が外部金融
Rochon, L. (1999), Credit, Money and Production, Edward Elgar.
Ono Yoshiyasu (1994), Money, Interest, and Stagnation, Oxford University Press.
『ポストケインズ派経済学入門』の著書ラヴォアがマクロ経済学における
政策上のパラドックスをうまくまとめて表にしている。
2014年には8個だったが2017年には12個に増えている
https://www.concertedaction.com/2017/04/16/the-paradox-of-costs-and-other-macro-paradoxes/ 2014
Here’s a table from Marc Lavoie’s fantastic book, Post-Keynesian Economics: New Foundations.
https://www.concertedaction.com/wp-content/uploads/2017/04/Marc-Lavoie-Post-Keynesian-Economics-New-Foundations-Macro-Paradoxes.png
https://www.boeckler.de/pdf/v_2017_07_30_lavoie.pdf 2017
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiWp33y9V_vmYt_LoRldJ_IP19vAu2kaOUB1tzkJO2-VV_3uglnOiLeaby3Mfnx3OtKt3Vwl3CsBSe3Bf5MEGdPl7URq55oA4R_MI1HX-b67wtH775yDM5sCSORx43MH4C-cRwK/s1600/blogger-image-554184272.jpg
参考文献としてはてクルーグマンの『さっさと不況を終わらせろ』
https://www.amazon.co.jp/dp/B009DEMPT8/
の第3章「ミンスキーの瞬間」がいい
ミンスキー関連を含め、倹約のパラドックス、負債圧縮[デレバレッジ]のパラドックス、柔軟性のパラドックス、
この3つのパラドックスを説明している
《確かに個々の労働者は、低い賃金を受け容れれば、職にありつく可能性を改善できる。
他の労働者に比べて魅力的になるからだ。でも、だれもが賃金カットに応じるのであれば、
みんなの立場はまったく変わらず、単に全員の所得が下がるが、負債水準は前のままだ。
だから賃金(と物価)の柔軟性は、単に事態を悪化させるだけだ。》
クルーグマン2014[2012]#3
ケインズ一般理論#11
四 投資量に影響を及ぼす危険には二種類のものがある。これらはふつう、あまり区別されることがないが、是が非でも区別しておかなければならないものである。第一のものは企業者あるいは借り手の危険であって、それは自分の望む期待収益が実際に得られるかどうか、その見込について彼に疑念があるところから生じる。自分自身の貨幣をけているときには、この種の危険が関連のある唯一の危険である。
しかし貸借が組織化されている場合、つまり貸借が物的もしくは*人的担保を要件とする信用供与という形をとっている場合には、貸し手の危険とでもいうべき第二種の危険が関連性をもって来る。貸し手の危険はモラル・ハザード、すなわち意図的な債務不履行ないし他のおそらくは合法的な手段による債務不履行か、または〔担保価値の下落による〕*担保余力の不足、すなわち期待がはずれることによる意図せざる債務不履行かのいずれかに起因するといってよい。危険の第三の源泉をこれに付け加えてもいいだろう。貨幣標準に不利な価値変化の起こる可能性がそれであって、このような可能性が存在する場合には、貨幣貸付はそれだけ実物資産よりも安全性を乏しくする。もっともこの危険のほとんどすべてはすでに耐久実物資産の価格に反映され、耐久実物資産価格に織り込まれているであろうが。
…
この〔借り手の〕危険は投資を誘発する〔目安となる〕最低期待収益を与えるさいに、純粋利子率〔危険が存在しない場合の利子率〕に*加算されることになる。
…
好況期には、借り手と貸し手双方の危険の大きさについての世間の評価は、通常と違って、ばかに低くなりがちである。
Minsky Moment
https://youtu.be/2ZgQ-7uNmSU
映画マージンコールより
リーマンショックをモデルに(マネーショートとは違い)危機を内側から描く
Minsky's Two Price Diagram
価格
I。 。 ・ ・ 。
I。 。 ・。
需要-I 。 。 貸し手のリスク→。 ・←借り手のリスク
供給-l 。 。 。IF'
l 。 。IF (内部金融資金,キャッシュフロー)
l______________________
ˆI I I' 投資
(内部的) (外部的)
投資が増えるほど危険も増えるというミンスキー貸し手のリスクの曲線には
カレツキの影響がある。
鍋島直樹『ケインズとカレツキ』第7章155~6,198頁で借り手のリスクについて触れた「危険逓増の原理」1937が図解付きで解説されている(図は159頁)。
中小企業ほど投資のリスクが大きいから規模の格差は決して解消されないのだ。
投資量の決定:
(a)伝統的理論(ケインズ):
投 資 の
|。 。 限 界
| 。 効
|__________。____
| | 。率
|b |
| | 。
|__________|____
|p |
|__________|_____
k0 k
(b)カレツキ:
| 。
| 投資の限界効率 。
|__________。____
| 。 |
| 。 。 |
| b |
|__________|____
| p |
|__________|_____
k0 k
危険逓増の原理 カレツキ The Principle of Increasing Risk ,Kalecki ,1937
《まず投資規模kは,投資の限界効率MEIが利子率ρと投資に伴なうリスク率σの総和に等しくなる水準に決定されるとカレツキは想定する。そうすると図(a)から容易に理解されるように,伝統的理論においてはkの増大とともにMEIが低下する場合にのみ,一定の最適投資量k0が決定されることになる。一般にこのような下落は(1)大規模化の不経済,(2)不完全競争,によって発生するとされている.しかしカレツキは(1)の理由は非現実的であるとし,(2)についても,より現実的ではあるが,これによっては同時に異なる規模の企業が存在することが説明されないと言う.したがって企業規模の相違を説明する他の要因が存在するはずである.》
+
《カレツキによるとリスク率σは投資量とともに増大するという(図(b)).そしてその理由として次の2つが挙げられている.第1は,投資量が大きくなるほど事業の失敗における富の状態が危険になるといることであり,第2は,「非流動性」の危険性の存在, すなわち投資量の増大にしたがい,その主体の資産ポートフォリオに占める実物資産の割合が高まるということである.》
《…投資量の増大にしたがってその危険が逓増する場合には, 投資量はMEI[投資の限界効率]が一定のρおよび投資量とともに増大するσの総和に等しくなる点k0に決まる。そして企業の内部蓄積の増加(減少)は限界リスク曲線を右(左)にシフトさせるので、単一企業の投資決意率は,その資本蓄積と限界収益性の変化の速度に依存する」(Kalecki[1937b]p.447)ということになる。また以上から、同一産業における企業規模の相違の存在を説明することも可能となる。企業者はそれぞれ異なる量の自己資本を保有し,異なる規模で生産活動を開始する。だが自己資本の小さい企業者ほど投資の増加に伴う危険逓増にさらされやすい。彼らにとって生産規模の拡張は大企業者に比べると困難であり、よって企業規模の格差は温存されることになる.すなわち、「〈ビジネス・デモクラシー〉〔という仮定〕は誤りである.自己資本は〈投資の一要因〉となる」」(同上,p.443,〔〕内は引用者のもの)。》鍋島
ただしカレツキの真髄は以下、危機への対処法にある、
ある水準の投資の資金を支払うことを可能にする,内部的なキャッシュ·フロー
あるいは準地代QNは,投資財の価格PIおよび産出量I1と,P1I1 = QNという公式
によって結びついているので,ひとたび内部的な期待キャッシュ·フロー(Q)に
見積もられると, それらと投資の間の関係は,直角双曲線(図8.3のQNQN)
よって表わされる。この直角双曲線と投資用の産出物の供給価格P1の交点は、
予想内部資金によって金融できる投資量I1 (内部的)をもたらす(図8.30のA点
参照)。》