そのために私は、何カ月も準備に費やしました。そうして過去に取られた政策を振り返ってみると、低インフレ時代の金融政策の限界を、FTPLから説明できるのではないかと考えました。
こうした取り組みが、インパクトをもたらす結果につながったのだと思います。
【日本でシムズ教授がにわかに有名になったのは、「アベノミクス」の経済ブレインである浜田宏一・米イェール大学名誉教授(内閣官房参与)が金融緩和の限界を認め、「今後は財政の拡大が必要」とジャクソンホール会議での同教授の論文を紹介したため。浜田名誉教授は、“シムズ理論”を引用し、「金融緩和をしても財政を引き締めれば効果はなくなるため、消費増税は延期すべきだ」と提言している。】
──自身の考えが政治的に利用されることをどう感じますか。
政策が実行される際に、私の考えが政治家の目的に沿って使われるのであって、それぞれの政治家にとって役立つかどうかは気にすることではありません。
危険は常に、財政による刺激策が政治的なアピールに使われることにあります。私が主張しているのは、将来的な物価動向の行方がどうなるかを考えながら政策プランを策定することです。当局者は私が単純に支出を今すぐ増やせ、と言っているのだと誤解すべきではありません。
──ドナルド・トランプ米大統領は、減税やインフラ投資など財政拡大を掲げています。
彼の政策では、何が実際に起きるのか、不透明です。(FTPLにのっとったものではなく)ただ、財政赤字を膨らませる政策のように見えます。
しかし、共和党内には、健全財政派の勢力もあり、トランプ氏の政策が全て実行されることにはならないでしょう。
──シムズ教授は、財政拡大はインフレターゲットを達成するまでのものであり、放漫財政を容認しているわけではないと言っているのですね。
“適度”な財政悪化がインフレを起こすのに必要と言っているだけで、健全財政を放棄してもいいわけではありません。プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化も重要だとは思いますが、デフレ脱却にはインフレターゲットを実現するまでは、財政拡大が有効だと言いたいのです。税収が増加すれば、プライマリーバランスも改善します。
【記者の目】
財政拡大により消費が増えるか疑問
貨幣数量説に基づくマネタリーベース拡大、物価目標明示によるインフレ期待への働き掛けで物価上昇を狙った量的緩和の効果が表れない現状において、シムズ教授のFTPLは、財政政策でインフレを起こせる可能性を示し、デフレ脱却への処方箋として注目を集めている。
ただし、日本における実効性については議論が分かれている。FTPLでは、「政府が財政赤字を増やすが、将来、一定程度の物価上昇が起きるまで増税されることはない」ということを国民が信じて、消費や投資を拡大することが前提になっている。
しかし、少子高齢社会の進展で将来の社会保障に不安があれば、インフレ目標達成まで増税しないと政府が宣言しても、消費者の財布のひもはなかなか緩まず、家計の消費拡大にはつながらない公算が大きい。
日本の現状では、財政拡大によってインフレを引き起こすことができるかというと、疑問が残る。参考にすべき理論だが、処方箋になるかどうかについてはさらなる検証が必要だろう。
5 Comments:
シムズインタビューは2017/2/18週刊ダイヤモンドと同内容
御恩と奉公(ごおんとほうこう)とは、中世の日本において、主に武士の主従関係を構成した要素・概念。中世の武士間の主従関係は、決して片務的なものではなく、主人・従者が相互に利益を与え合う互恵的な関係で成り立っていた。ここで、主人が従者へ与えた利益を御恩といい、従者が主人へ与えた利益を奉公といった。平安時代中期~後期から武士層に「御恩と奉公」の関係が徐々に形成されていたが、本格的に「御恩と奉公」が成立したのは、源頼朝が関東武士の盟主=鎌倉殿となってからである。以降、御恩と奉公の関係性は、鎌倉幕府の成立基盤として機能し続け、その後の室町幕府や江戸幕府にも引き継がれた。
目次
御恩
編集
御恩の具体的な内容は、主人が従者の所領支配を保障すること、または新たな土地給与を行うことである。前者は本領安堵(ほんりょうあんど)と呼ばれ、後者は新恩給与(しんおんきゅうよ)と呼ばれた。鎌倉幕府が成立すると、鎌倉殿が御家人を地頭に任命するという形で本領安堵・新恩給与、すなわち御恩がほどこされるようになった。
奉公
編集
奉公の具体的な内容は、従者が主人に対して負担した軍役・経済負担などである。鎌倉幕府が成立すると、御家人は鎌倉殿に対して、緊急時の軍役、内裏や幕府を警護する大番役、その他異国警固番役や長門警固番役などの軍役奉仕のほか、関東御公事と言われる武家役を果たした。
沿革
編集
平安期の10世紀頃、大きな社会変化を背景として、朝廷は、徴税・軍事をもはや官司機構で担うのではなく、国司や富豪などへ請け負わせる官司請負制への転換を進めていた。特に争乱の多かった関東では、在地の富豪や豪族が公的な軍事力を担うようになっていた。こうした状況下で、関東を中心に武士団が形成されていったが、武士団では主人がトップに立ち、家子・郎党と呼ばれる従者たちを率いていた。こうした主従関係を結びつける契機となったのが、御恩と奉公の関係性である。主人・従者の両者は、御恩と奉公という互恵関係を結ぶことで、一定の共同体(武士団)を作っていったのである。ただし、当時の主従関係は割とルーズなもので、複数の主人に仕える、一時的にだけ主従関係を結ぶ、といったことも多く見られた。
平安最末期に関東武士全体を代表する鎌倉殿という地位が登場すると、御恩と奉公に基づく主従関係は、次第に排他的(鎌倉殿以外の主人を持たない)かつ永続的なものとなり、一層強固になっていった。その後、御恩と奉公は明治維新まで続く武家社会の基本的な成立要素として機能した。
なお、御恩と奉公による主従関係について、中世ヨーロッパに見られた封建制(feudalism)との共通点に着目して、封建的主従関係と理解する見解がある。その一方、ヨーロッパ封建制と本質的に異なる、日本独自の主従関係であるとする見解も出されている。
85 a[] 2019/04/23(火) 17:31:50.11 ID:POu3QZwQ
《ある君主が、かれの税の一定部分は一定の種類の紙幣で支はらわれなければならないという、
法令をだすとすれば、かれはそうすることによって、この紙幣に一定の価値をあたえうるであろう。》
アダム・スミス『国富論』2:2最終部 世界の大思想上
参考:
新フィッシャー主義とFTPL - himaginaryの日記
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20170109/EconReporter_Cochrane_interview
…
実際のところ、FTPLはもっとずっと以前に遡ります。アダム・スミスは次のような素晴らしい言葉を残しています:
税のうち一定割合はある種の紙幣で支払わなければならない、と布告した王子は、それによってその紙幣に一定の価値を
与えているのである。(国富論、第2冊)
“A prince who should enact that a certain proportion of his taxes should be paid in a paper
money of a certain kind might thereby give a certain value to this paper money.” (Wealth of Nations, Book II)
ということで、基本的な考えはアダム・スミスにあったのです。
すべての貨幣経済学における謎は、「この紙切れのためになぜ我々はこれほど一生懸命に働くのか?」というものです。
考えてみれば、それは本当に謎です。あなたも私も一日中額に汗して働き、家に何を持ち帰るのでしょうか?
死んだ大統領の絵が印刷された幾枚かの紙切れです。この小さな紙切れのためになぜ我々はこれほど一生懸命に
働くのでしょうか? 誰かがそれを受け取ると知っているからです。しかしなぜその誰かはそれを受け取るのでしょうか?
これが経済学の謎です。
FTPLはこの謎に根本的な回答を与えます。その理由というのは、米国では毎年4月15日に税金を払わなければならない
からです。そして納税は、まさにその政府貨幣によって行わねばなりません。かつては羊や山羊で納税していた時代も
ありましたが、今は受け取ってもらえません。彼らは紙幣を取り戻したがっています。ということで、根本的には、
貨幣の価値は、政府がそれを税金として受け取ることから生じているのです。
サージェントの研究はそのことを示す上で極めて素晴らしいものでした。しかしミルトン・フリードマンも、金融政策
と財政政策の協調について有名な論文を書いています。ということで、ある意味においては、この理論は昔から存在し
ていたのです。問題は、どの程度重きを置くか、ということに過ぎなかったわけです。
87 名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 2019/04/23(火) 18:10:55.03 ID:5+EFyjHw
>>86
納税の際にその貨幣を支払えない者は、財産を差し押さえられたり、
代わりに労役させられたり、最悪罪人として処罰されたりする。
これはつまりその貨幣が「物納や労役や刑罰を免れる権利」を政府から買う券として作用することを意味する。
90 名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 2019/04/23(火) 19:31:14.73 ID:5+EFyjHw
あ、刑罰を逃れる→免罪符、って流れなのかな?
まあ徴税をつつがなく遂行できるだけの武力なり圧倒的な権威だったりがあるなら発行する免罪符が価値を持ちうるだろうけど、
そこらの個人はそんなもの持ち得ないんで無理だな。
アメリカのドルが圧倒的に強いのは、その圧倒的な軍事力でドルに関するルールを世界中に強制できるからだよ。
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