日曜日, 10月 04, 2015

トービンのq:メモ

                 経済学リンク::::::::::
NAMs出版プロジェクト: トービンのq
http://nam-students.blogspot.jp/2015/10/q.html(本頁)
トービン「国際為替取引税」(『人間開発報告書1994』より)
http://nam-students.blogspot.jp/2016/02/1994.html

James Tobin (March 5, 1918 – March 11, 2002)
 トービンのq(1963,1968)、トービン税(1974,1978)で知られる。

q=企業の市場価値/現存資本を買い換える費用総額
qが1より大きいときには、現在の資本設備は過小設備だということ
中谷マクロed.4,380頁

q>1ならば,純投資>0、
q=1ならば,純投資=0、
q<1ならば,純投資<0、とすべき。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%B3%E3%81%AEq%E7%90%86%E8%AB%96#.E5.8F.82.E8.80.83.E6.96.87.E7.8C.AE
トービンのq理論 (Tobin's q theory) とは、アメリカの経済学者ジェームズ・トービンが提唱した投資理論であり、トービンのq株式市場で評価された企業の価値を資本の再取得価格で割った値として定義される。
企業の価値とは、株式市場が評価する企業の株価総額と、債務の総額との和である。これは、いまこの企業が解散して所有者がすべて入れ替わると仮定したとき、そのときの株主と債権者が受け取ることのできる金額を表している。他方、資本の再取得価格とは、現存する資本をすべて買い換えるために必要となる費用の総額のことである。
qが1より小さい場合、市場が評価している企業の価値は現存の資本ストックの価値よりも小さい。すなわち、現在の資本ストックの価値は過大であり、企業は資本ストックを使ってを再生産するよりも、資本ストックを市場で売却したほうが利益が上がることを意味している。市場はこの企業の価値が既存設備の価値よりも低いと評価しているため、企業は投資を控えるべきであり、場合によっては既存設備の縮小(マイナスの投資)を求められる。
一方、qが1より大きい場合、市場が評価している企業の価値は現存の資本ストックの価値よりも大きい。すなわち、企業は資本ストックを使って財を再生産するほうが大きな価値を生み出すので、資本ストックを増やして財を増産したほうが有利となることを意味している。市場はこの企業の価値が既存設備の価値よりも高いと評価しているため、企業の将来の収益力は現在の企業規模から算出される収益力よりも大きくなることが期待され、場合によっては投資の拡大を求められる。
つまり、トービンのqが上昇すると投資が増加し、トービンのqが下落すると投資が減少すると考えればよい。
参考文献:
Tobin, J. : Fiscal and Debt Management, An Essay on the Principles of Debt Management, 1963年 

Tobin, J. : Journal of Money, Credit and Banking, A General Approach to Monetary Theory, 1968年


→国債 →        →資産市場
             → ↑  ↑  資産価格、利子率
 金融政策→         ↑     ↙︎  ↓
              収入
 資本ストック←       ↑  ↑
       ↘︎ ←資本蓄積↙︎ 価格、労賃
 人口、労働供給→    ↑    ↑
          →日常品、労働市場←
↑ 財政政策→   →

ーーーーー

→国債 →        →資産市場
 金融政策→      ↗︎  ↑  ↑  資産価格、利子率
              収入  ↙︎     ↓ 
               ↑↙︎ ↑
 資本ストック← ←資本蓄積  ←価格、労賃
        ↘︎     ↓↑   ↑  ↑
 人口、労働供給→ →日常品、労働市場←    ←
↑  財政政策→    ↗︎



Wealth definition:
W=qK+(M+S)/P






金融論 - ジェームズ・トービン -
http://books.rakuten.co.jp/rb/1597607/
【内容情報】
鋭い洞察力と豊かな経験にもとづいた本格的テキストブック。資産の一般均衡理論を基礎に貨幣金融理論を展開。ノーベル経済学賞受賞者トービン教授最後の著作。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 国の富と個人の富  
第2章 資産の特性  
第3章 資産選択と貨幣需要  
第4章 資産選択と不確実性
第5章 ポートフォリオ均衡:貨幣、資本、および貸付
第6章 金融市場と資産価格
第7章 銀行の理論
第8章 アメリカの金融制度と歴史
第9章 アメリカ金融市場の分析
第10章 金融市場の一般均衡分析

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
トービン,ジェームス(Tobin,James)
1918年イリノイ州シャンペン市に生まれる。1939年ハーバード大学卒業。1949年ハーバード大学Ph.D。1950年イェール大学準教授、1955年教授、1957年同大学スターリング・プロフェッサー、1988年同名誉教授。1961-62年、ケネディ政権下で大統領経済諮問委員会委員を務める。1981年ノーベル経済学賞を受賞。研究範囲は、マクロ経済学、ミクロ経済学、貨幣金融論、財政、国際金融など幅広く、数多くの論文・著作を公刊している。2002年3月急逝。

 注記    Money,credit,and capital.1997/の翻訳 
1.National Wealth and Individual Wealth
2.Properties of Assets 
4.Portfolio Selection with Predictable Assets with 

Moneycredit, and capital. James Tobin ; with the collaboration of Stephen S. Golub; 本文言語: 英語; 説明: xxv, 316 p.: ill.; 25 cm; 出版情報: Boston, Mass., United States. c1998. Irwin/McGraw-Hill ...

トービンの議論はピケティにつながる。   

Amazon.co.jpMoney, Credit and Capital (Mcgraw-Hill Advanced Series in Economics): James Tobin, Stephen S Golub: 洋書
http://www.amazon.co.jp/Credit-Capital-Mcgraw-Hill-Advanced-Economics/dp/0070653364
投稿者 h.hayakawa 投稿日 2012/2/9
現実の経済は複雑である。
その複雑な経済を理解するひとつのアプローチとして、極端に単純化された"代表的主体"モデルを用いるものがある。
それは明確さと単純さを持つが、捨象されている重要な要素も多く、十分な分析はされ得ない。
本書は、そのような問題意識に基づき著された。

"代表的主体"モデルにおいて捨象される重要な要素として、とくに二点が指摘される。
一つは、貨幣の不完全な代替資産の多様性であり、いま一つは、それら資産所有者の多様性である。
それら多様性は第2章において概観され、後章において個別の分析が行われる。
第2章で提示される概念のうち、とくに"可逆性"、"可分性"の概念を用いた分析はいまだ十全に展開されておらず、可能性を秘めると考える。

原著のタイトルは、"Money, Credit, and Capital"であり、貨幣の不完全な代替資産の多様性に着目するとの著者の姿勢を端的に表現しているだけに、"金融論"との邦訳は多少の無念が残る。

マクロ経済学の再検討 : 国債累積と合理的期待 / ジェイムス・トービン著 ; 浜田宏一, 薮下史郎訳  日本経済新聞社 出版年 1981.11 大きさ xi, 176p ; 20cm 
別書名 原タイトル:Asset accumulation and economic activity : reflections on contemporary macroeconomic theory  1980

Preface 
Introduction 
I. Real Balance Effects Reconsidered 
II. Policies, Expectations, and Stabilization 
III. Government Deficits and Capital Accumulation 
IV. Portfolio Choice and Asset Accumulation 
Index
http://press.uchicago.edu/ucp/books/book/chicago/A/bo3630765.html

1.実質残高効果の再検討
2.政策・期待および景気安定化
3.財政赤字と資本蓄積
4.ポートフォリオ選択と資産蓄積
「ポートフォリオ」とは - 大辞泉より 紙挟み。折りかばん。 金融機関・機関投資家などが 所有する各種の金融資産の一覧表。 安全性や収益性を考えた、有利な分散投資の 組み合わせ。

ポートフォリオとは|金融経済用語集 - iFinance
www.ifinance.ne.jp/glossary/investment/inv005.html

ポートフォリオは、運用資産の構成状況(組み合わせ)のことをいう。




国民のための経済政策 (1967年)
ジェームズ・トービン、 間野 英雄 
別書名 原タイトル:National economic policy 1966

インフレと失業の選択―ニュー・エコノミストの反証と提言 (1976年) (ダイヤモンド現代選書)
 ジェームス・トービン、 矢島 鈞次
別書名 原タイトル:The new economics one decade older 1974
https://doors.doshisha.ac.jp/opac/opac_details/?lang=0&amode=11&opkey=&bibid=BB00611634&start=

国際マクロ経済学 : 国際的不均衡下の経済政策 / ジェームス・トービン著 ; 高中公男編訳東京 : 勁草出版サービスセンター , 1990.12 

 マクロ経済学はどこまで進んだか トップエコノミスト12人へのインタビュー 文化書房  
B.スノードン、H.R.ヴェイン 岡地勝二訳、東洋経済新報社、2001、1 トービン、フリードマン、マンキュー、ルーカス、ソロー他へのインタビュー

別冊環7 税とは何か 2003.1 藤原書店
●あの「トービン税」を初めて具体的に紹介した論文を初邦訳!
国際通貨改革のための提案 
ジェームズ・トービン(訳・解題=岡野裕介)
 変動相場制における「ホットマネー」の害を、どのように回避できるか?九〇年代末の通貨危機で注目されたトービン税」の原点!

J. Tobin, “A Proposal for International Monetary Reform,” Eastern Economic Journal, 4(3-4), 1978.7, pp.153-159. < http://college.holycross.edu/eej/Volume4/V4N3_4P153_159.pdf > (邦訳:岡野祐介「国際通貨改革のための提案」『別冊 環7 税とは何か』藤原書店, 2003, pp.168-179.); 小原英隆「投機的国際資本移動へのケインジアンの取り組み―トービン税とデビッドソンの改革案―」『明治大学社会科学研究所紀要』39(2), 2001.3, pp.305-338.



(14) J. Tobin, “Special Contribution: A tax on international currency transactions,” United Nations Development Programme (UNDP), Human Development Report 1994: New dimensions of human security, p.70. <http://hdr. undp.org/en/media/hdr_1994_en_chap4.pdf> (邦訳:国連開発計画『人間開発報告書1994―「人間の安全保障」の新しい側面』国際協力出版会, 1994, p.70. <http://hdr. undp.org/en/media/hdr_1994_en_chap4.pdf (リンク切れ)> (邦訳:国連開発計画『人間開発報告書1994―「人間の安全保障」の新しい側面』国際協力出版会, 1994, p.70. <http://www.undp.or.jp/HDR_J/HDR_light_1994_Japanese_Version.pdf>)(15) 以下の記述は次の資料による。

以上、トービン税をめぐる内外の動向より
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_7800399_po_074502.pdf?contentNo=1
 「国際為替取引税」(トービン 1981 『人間開発報告書1994』70頁より)



  • 『国民のための経済政策』、間野英雄・海老沢道進・小林桂吉訳、東洋経済新報社, 1967年
  • 『インフレと失業の選択――ニュー・エコノミストの反証と提言』(ダイヤモンド現代選書)、矢島釣次・篠塚慎吾訳、ダイヤモンド社, 1976年
  • 『マクロ経済学の再検討――国債累積と合理的期待』、浜田宏一藪下史郎訳、日本経済新聞出版社、1981年
  • 『国際マクロ経済学――国際的不均衡下の経済政策』、高中公男編訳、勁草出版サービスセンター、1990年
  • 『トービン 金融論』、藪下史郎・蟻川靖浩・大阿久博訳、東洋経済新報社, 2003年

http://www.econlib.org/library/Enc/bios/Tobin.html
Selected Works
1958. “Liquidity Preference as Behavior Towards Risk.” Review of Economic Studies 25, no. 67: 124–131.
1965. “On Improving the Economic Status of the Negro.” Daedalus 94, no. 4: 878–897.
1966. National Economic Policy. New Haven: Yale University Press.
1974. The New Economics One Decade Older. Princeton: Princeton University Press.
1988 (edited with Murray Weidenbaum). Two Revolutions in Economic Theory: The First Economic Reports of Presidents Kennedy and Reagan. Cambridge: MIT Press.
1990. “One or Two Cheers for ‘The Invisible Hand.’” Dissent (Spring): 229–236.
 トービン「国際為替取引税」(『人間開発報告書1994』より)

J. Tobin, “Special Contribution: A tax on international currency transactions,” United Nations Development Programme (UNDP), Human Development Report 1994: New dimensions of human security, p.70.

http://hdr.undp.org/sites/default/files/reports/255/hdr_1994_en_complete_nostats.pdf
http://hdr.undp.org/en/content/human-development-report-1994
(邦訳:国連開発計画『人間開発報告書1994―「人間の安全保障」の新しい側面』国際協力出版会, 1994, p.70. )

 「国際為替取引税」(トービン 『人間開発報告書1994』70頁より)

 国際的な資本移動に、直接的な商業投資や金融資産の売買という形で、これまでになく活発になっている。資本の移動は、生産性の高い事業に世界の貯蓄を投入することによって、場所がどこであっても、直接の当事国ばかりでなく世界経済全体を潤すことができる。資本集約的な国の預金者にとって、投資は資本が乏しい地域のほうが高収益が期待できるからである。
 だが、世界の貯蓄配分を効率的に進めるために必要な資本の移動は、推定で1日1兆ドルといわれる全世界の為替市場での取引のなかでは、わずかな割合を占めるに過ぎない。通信手段の発達とコンピューターとしいう文明の利器のおかげで、外国為替取引は簡単なうえに安価になった,そして金融市場に夜はない。香港、フランクフルト、ロンドン、ニューヨーク、東京とつねにどこかの市場が開いている。また先進国は、とうの昔に為替管理制度を断念し、開発途上国の多くも規制をゆるめつつある。
 地球上の人間生活のほかの分野でもほぼ同じだが、この分野でも科学技術の発達に政治・社会制度の発達が追いつけずにいる。何兆ドルという為替取引の大部分は、為替レートの変動や国家間の金利差を利用して、手っとり早い金儲けを狙う投機や利ぎや稼ぎである。この種の取引は、合理的な長期的投資配分にはほとんど寄与しない。為替レートは莫大な資金を動かす民間投機家の思感に翻弄され、為替市場が発信する長期投資や貿易向けの情報信号は歪められる。金利差を利用した利ざや稼ぎのため、各国の中央銀行は単独で金融政策をおこなえなくなり、ほかの主要国の中央銀行との政策協調を余儀なくされる。
 金融資本の国際移動性が高い状態は、為替レートが市場の趨勢によって自由に変動する場合も、政府間の協定によって固定されている場合でも等しく問題になる。1973年以後の世界経済の経験した困苦により、ブレトン・ウッズ体制ヘの回帰、さらに昔の金本位制ヘの復帰を求める声さえ出ている。だが、どのようなシステムでも、投機的の機会や国家の会融政策を排除した
り禁じたりはできない。しかし最近ヨーロッパの為替レート市場を襲った危機では、各国の中央銀行が単独ではもちろん、たとえ連携しても、弱い通貸の値下がりを見込んで猛攻を仕掛ける投機家に対抗できるだけの準備金を持っていないことがはっきりした。
 アメリカの50州のように、不変の単一通貨を用いていれば、この種の大混乱は避けられるかもしれない。アメリカの例は、中央通貨当局だけでなく他の共通機構により通貨が支えられていれば、大きな効果が期待できることを示している。このような機構がなければ、不可逆的な単一世界通貨が出現するのは何十年も先のこととなるだろう。
 1978年に、私は現実的な次善の策を提案した。スポット的な外国為替取引(先物契約やオプション取引を含む)に世界一律の国際税を課す案である。この提案の基本的な目的は二つあった。一つは市場参加者が目先の、投機的な取引に比較して、長期的で基本的な取引を重視するように仕向けること。もうーつは各通貨の短期金利の差が多少開いても意に介さないことで、各国の通貨政策の独立性を高めることである。
 外国為替取引に対して0.5%の税を課せば、3か月ものの為替手形の年利が4%変動したのと同じである。短期の為替往復売買をもくろむ者はこれで二の足を踏むはずである。この税の狙いは投機的な資本移動を抑制することであり、この程度の税率なら商品貿易や真剣な国際資本参加ヘの影響はほとんどないと思われる。この税を導入すれば莫大な収入が見込める。税率0.5%として、税収は年間1兆5,000億ドルを超えるはずである。
 J.M.ケインズは1936年に、株式市場取引税を導入すれば、目先の動きを読んだ投機家の思惑売買による株価の歪みを抑制し、長期的で基本的な取引による株価の比重を高めることになると指摘した。同じことが、外国為替市場にも当てはまる。
 外国為替取引税は、全世界のすべての市場で同一税率で課税する必要がある。非課税または低税率の地域で取引するという抜け穴を防ぐためである。きちんと課税されるかどうかは、為替の大部分の取引を扱う銀行と市場組織にかかっている。この取引税は国際為替市場のあり方を是正し、各国が適切な範囲で独立した金融政策、マクロ経済政策を取れるようにすることを目的としている、しかし、だからといって、各国政府や中央銀行が国際的な影響を無視した政策決定ができるわけではない。G7は今後ら政策強調が必要だし、G7の政策はその他の国の経済に対しても強い影響力と拘束力を持ち続けるに違いない。
 国際税である以上、収益は国際的な目的に当てることとし、国際機関に処理をゆだねるのが妥当である。以上が、1978年の私の提案だった。税収を得ることは当初の主な狙いではなかったが、莫大な税収が見込めるという点が、この提案に対する最近の関心の高まりに大きく作用していることは事実である。
                  
ジェームズ・トービン 1981年ノーベル経済学賞受賞者
______
以下にトービン税に関する記述あり、

諸富徹「私たちはなぜ税金を納めるのか―租税の経済思想史―」201305
https://itun.es/jp/cW9eY.l



一般理論#12

《合衆国における投機の企業活動に対する優勢を緩和しようとするなら、政府がすべての取引に対して相当額の移転税を導入するのがさしあたり考えられる最善の策ということになるかもしれない。》

トービン税の元アイデア



6 Comments:

Blogger yoji said...

J. Tobin, “Special Contribution: A tax on international currency transactions,” United Nations Development Programme (UNDP), Human Development Report 1994: New dimensions of human security, p.70.
(邦訳:国連開発計画『人間開発報告書1994―「人間の安全保障」の新しい側面』国際協力出版会, 1994, p.70. )

 「国際為替取引税」(トービン 1981 『人間開発報告書1994』70頁より)


 国際的な賣本移動に、直接的な商業投資や金融資産の売買という形で、これまでになく活発になっている。資本の移動は、
生産性の高い事業に世界の貯蓄を投入することによって、場所がどこであっても、直接の当事国ばかりでなく世界経済全体を
潤すことができる。資本集約的な国の預金者にとって、投資は資本が乏しい地域のほうが高收益が期待できるからである。
 だが、世界の貯蓄配分を効率的に進めるために必要な資本の移動は、推定で1日1兆ドルといわれる全世界の為替市場での
取引のなかでは、わずかな割合を占めるに過ぎない。通信手段の発達とコンピューターとしいう文明の利器のおかげで、外国為
替取引は簡単なうえに安価になった,そして金融市場に夜はない。香港、フランクフルト、ロンドン、ニューヨーク、東京と
つねにどこかの市場が開いている。また先進国は、とうの昔に為替管理制度を断念し、開発地上国の多くも規制をゆるめつつ
ある。
 地球上の人間生活のほかの分野でもほぼ同じだが、この分野でも科学技術の発達に政治·社会制度の発達が追いつけずにい
る。何兆ドルという為替取引の大部分は、為替レートの変動や国家間の金利差を利用して、手っとり早い金儲けを狙う投機や
利ぎや稼ぎである。この種の取引は、合理的な長期的投資配分にはほとんど寄与しない。為替レートは莫大な資金を動かす民
間投機家の思感に翻弄され、為替市場が路信する長期投資や貿易向けの情報信号は歪められる。金利差を利用した利ざや稼ぎ
のため、各国の中央銀行は単独で金融政策をおこなえなくなり、ほかの主要国の中央銀行との政策協調を余儀なくされる。
 金融資本の国際移動性が高い状態は、為替レートが市場の趨勢によって自由に変動する場合も、政府間の協定によって固定
されている場合でも等しく問題になる。1973年以後の世界経済の経験した困苦により、ブレトン・ウッズ体制ヘの回帰、さら
に昔の金本位制ヘの復帰を求める声さえ出ている。だが、どのようなシステムでも、投機的の機会や国家の会融政策を排除した
り禁じたりはできない。しかし最近ヨーロッパの為替レート市場を襲った危機では、各国の中央銀行が単独ではもちろん、た
とえ連携しても、弱い通貸の値下がりを見込んで猛攻を仕掛ける投機家に対抗できるだけの準備金を持っていないことがはっ
きりした。
 アメリカの50州のように、不変の単一通貨を用いていれば、この種の大混乱は避けられるかもしれない。アメリカの例は、
中央通貨当局だけでなく他の共通機構により通貨が支えられていれば、大きな効果が期待できることを示している。このよう
な機構がなければ、不可逆的な単一世界通貨が出現するのは何十年も先のこととなるだろう。
 1978年に、私は現実的な次善の策を提案した。スポット的な外国為替取引(先物契約やオプション取引を含む)に世界一律
の国際税を課す案である。この提案の基本的な目的は二つあった。一つは市場参加者が目先の、投機的な取引に比較して、長期
的で基本的な取引を重視するように仕向けること。もうーつは各通貨の短期金利の差が多少開いても意に介さないことで、各
国の通貨政策の独立性を高めることである。
 外国為替取引に対して0.5%の税を課せば、3か月ものの為替手形の年利が4%変動したのと同じである。短期の為替往復売
買をもくろむ者はこれで二の足を踏むはずである。この税の狙いは投目的な資本移動を抑制することであり、この程度の税率
なら商品貿易や真剣な国際資本参加ヘの影響はほとんどないと思われる。この税を導入すれば莫大な収入が見込める。税率0.5
%として、税収は年間1兆5,000億ドルを超えるはずである。
 J.M.ケインズは1936年に、株式市場取引税を導入すれば、目先の動きを読んだ投機家の思惑売買による株価の歪みを抑制
し、長期的で基本的な取引による株価の比重を高めることになると指摘した。同じことが、外国為替市場にも当てはまる。
外国為替取引税は、全世界のすべての市場で同一税率で課税する必要がある。非課税または低税率の地域で取引するという
抜け穴を防ぐためである。きちんと課税されるかどうかは、為替の大部分の取引を扱う銀行と市場組織にかかっている。この
取引税は国際為替市場のあり方を是正し、各国が適切な範囲で独立した金融政策、マクロ経済政策を取れるようにすることを
目的としている、しかし、だからといって、各国政府や中央銀行が国際的な影響を無視した政策決定ができるわけではない。
G7は今後ら政策強調が必要だし、G7の政策はその他の国の経済に対しても強い影響力と拘束力を持ち続けるに違いない。
 国際税である以上、収益は国際的な目的に当てることとし、国際機関に処理をゆだねるのが妥当である。以上が、1978年の
私の提案だった。税収を得ることは当初の主な狙いではなかったが、莫大な税収が見込めるという点が、この提案に対する最
近の関心の高まりに大きく作用していることは事実である。
                  
ジェームズ・トービン 1981年ノーベル経済学賞受賞者

3:56 午前  
Blogger yoji said...

J. Tobin, “Special Contribution: A tax on international currency transactions,” United Nations Development Programme (UNDP), Human Development Report 1994: New dimensions of human security, p.70.
(邦訳:国連開発計画『人間開発報告書1994―「人間の安全保障」の新しい側面』国際協力出版会, 1994, p.70. )

 「国際為替取引税」(トービン 『人間開発報告書1994』70頁より)


 国際的な資本移動に、直接的な商業投資や金融資産の売買という形で、これまでになく活発になっている。資本の移動は、生産性の高い事業に世界の貯蓄を投入することによって、場所がどこであっても、直接の当事国ばかりでなく世界経済全体を潤すことができる。資本集約的な国の預金者にとって、投資は資本が乏しい地域のほうが高收益が期待できるからである。
 だが、世界の貯蓄配分を効率的に進めるために必要な資本の移動は、推定で1日1兆ドルといわれる全世界の為替市場での取引のなかでは、わずかな割合を占めるに過ぎない。通信手段の発達とコンピューターとしいう文明の利器のおかげで、外国為替取引は簡単なうえに安価になった,そして金融市場に夜はない。香港、フランクフルト、ロンドン、ニューヨーク、東京とつねにどこかの市場が開いている。また先進国は、とうの昔に為替管理制度を断念し、開発地上国の多くも規制をゆるめつつある。
 地球上の人間生活のほかの分野でもほぼ同じだが、この分野でも科学技術の発達に政治·社会制度の発達が追いつけずにいる。何兆ドルという為替取引の大部分は、為替レートの変動や国家間の金利差を利用して、手っとり早い金儲けを狙う投機や利ぎや稼ぎである。この種の取引は、合理的な長期的投資配分にはほとんど寄与しない。為替レートは莫大な資金を動かす民間投機家の思感に翻弄され、為替市場が路信する長期投資や貿易向けの情報信号は歪められる。金利差を利用した利ざや稼ぎのため、各国の中央銀行は単独で金融政策をおこなえなくなり、ほかの主要国の中央銀行との政策協調を余儀なくされる。
 金融資本の国際移動性が高い状態は、為替レートが市場の趨勢によって自由に変動する場合も、政府間の協定によって固定されている場合でも等しく問題になる。1973年以後の世界経済の経験した困苦により、ブレトン・ウッズ体制ヘの回帰、さらに昔の金本位制ヘの復帰を求める声さえ出ている。だが、どのようなシステムでも、投機的の機会や国家の会融政策を排除した
り禁じたりはできない。しかし最近ヨーロッパの為替レート市場を襲った危機では、各国の中央銀行が単独ではもちろん、たとえ連携しても、弱い通貸の値下がりを見込んで猛攻を仕掛ける投機家に対抗できるだけの準備金を持っていないことがはっきりした。
 アメリカの50州のように、不変の単一通貨を用いていれば、この種の大混乱は避けられるかもしれない。アメリカの例は、中央通貨当局だけでなく他の共通機構により通貨が支えられていれば、大きな効果が期待できることを示している。このような機構がなければ、不可逆的な単一世界通貨が出現するのは何十年も先のこととなるだろう。
 1978年に、私は現実的な次善の策を提案した。スポット的な外国為替取引(先物契約やオプション取引を含む)に世界一律の国際税を課す案である。この提案の基本的な目的は二つあった。一つは市場参加者が目先の、投機的な取引に比較して、長期的で基本的な取引を重視するように仕向けること。もうーつは各通貨の短期金利の差が多少開いても意に介さないことで、各国の通貨政策の独立性を高めることである。
 外国為替取引に対して0.5%の税を課せば、3か月ものの為替手形の年利が4%変動したのと同じである。短期の為替往復売買をもくろむ者はこれで二の足を踏むはずである。この税の狙いは投目的な資本移動を抑制することであり、この程度の税率なら商品貿易や真剣な国際資本参加ヘの影響はほとんどないと思われる。この税を導入すれば莫大な収入が見込める。税率0.5%として、税収は年間1兆5,000億ドルを超えるはずである。
 J.M.ケインズは1936年に、株式市場取引税を導入すれば、目先の動きを読んだ投機家の思惑売買による株価の歪みを抑制し、長期的で基本的な取引による株価の比重を高めることになると指摘した。同じことが、外国為替市場にも当てはまる。
 外国為替取引税は、全世界のすべての市場で同一税率で課税する必要がある。非課税または低税率の地域で取引するという抜け穴を防ぐためである。きちんと課税されるかどうかは、為替の大部分の取引を扱う銀行と市場組織にかかっている。この取引税は国際為替市場のあり方を是正し、各国が適切な範囲で独立した金融政策、マクロ経済政策を取れるようにすることを目的としている、しかし、だからといって、各国政府や中央銀行が国際的な影響を無視した政策決定ができるわけではない。G7は今後ら政策強調が必要だし、G7の政策はその他の国の経済に対しても強い影響力と拘束力を持ち続けるに違いない。
 国際税である以上、収益は国際的な目的に当てることとし、国際機関に処理をゆだねるのが妥当である。以上が、1978年の私の提案だった。税収を得ることは当初の主な狙いではなかったが、莫大な税収が見込めるという点が、この提案に対する最近の関心の高まりに大きく作用していることは事実である。
                  
ジェームズ・トービン 1981年ノーベル経済学賞受賞者

4:04 午前  
Blogger yoji said...

J. Tobin, “Special Contribution: A tax on international currency transactions,” United Nations Development Programme (UNDP), Human Development Report 1994: New dimensions of human security, p.70.
(邦訳:国連開発計画『人間開発報告書1994―「人間の安全保障」の新しい側面』国際協力出版会, 1994, p.70. )

 「国際為替取引税」(トービン 『人間開発報告書1994』70頁より)


 国際的な資本移動に、直接的な商業投資や金融資産の売買という形で、これまでになく活発になっている。資本の移動は、生産性の高い事業に世界の貯蓄を投入することによって、場所がどこであっても、直接の当事国ばかりでなく世界経済全体を潤すことができる。資本集約的な国の預金者にとって、投資は資本が乏しい地域のほうが高收益が期待できるからである。
 だが、世界の貯蓄配分を効率的に進めるために必要な資本の移動は、推定で1日1兆ドルといわれる全世界の為替市場での取引のなかでは、わずかな割合を占めるに過ぎない。通信手段の発達とコンピューターとしいう文明の利器のおかげで、外国為替取引は簡単なうえに安価になった,そして金融市場に夜はない。香港、フランクフルト、ロンドン、ニューヨーク、東京とつねにどこかの市場が開いている。また先進国は、とうの昔に為替管理制度を断念し、開発途上国の多くも規制をゆるめつつある。
 地球上の人間生活のほかの分野でもほぼ同じだが、この分野でも科学技術の発達に政治·社会制度の発達が追いつけずにいる。何兆ドルという為替取引の大部分は、為替レートの変動や国家間の金利差を利用して、手っとり早い金儲けを狙う投機や利ぎや稼ぎである。この種の取引は、合理的な長期的投資配分にはほとんど寄与しない。為替レートは莫大な資金を動かす民間投機家の思感に翻弄され、為替市場が路信する長期投資や貿易向けの情報信号は歪められる。金利差を利用した利ざや稼ぎのため、各国の中央銀行は単独で金融政策をおこなえなくなり、ほかの主要国の中央銀行との政策協調を余儀なくされる。
 金融資本の国際移動性が高い状態は、為替レートが市場の趨勢によって自由に変動する場合も、政府間の協定によって固定されている場合でも等しく問題になる。1973年以後の世界経済の経験した困苦により、ブレトン・ウッズ体制ヘの回帰、さらに昔の金本位制ヘの復帰を求める声さえ出ている。だが、どのようなシステムでも、投機的の機会や国家の会融政策を排除した
り禁じたりはできない。しかし最近ヨーロッパの為替レート市場を襲った危機では、各国の中央銀行が単独ではもちろん、たとえ連携しても、弱い通貸の値下がりを見込んで猛攻を仕掛ける投機家に対抗できるだけの準備金を持っていないことがはっきりした。
 アメリカの50州のように、不変の単一通貨を用いていれば、この種の大混乱は避けられるかもしれない。アメリカの例は、中央通貨当局だけでなく他の共通機構により通貨が支えられていれば、大きな効果が期待できることを示している。このような機構がなければ、不可逆的な単一世界通貨が出現するのは何十年も先のこととなるだろう。
 1978年に、私は現実的な次善の策を提案した。スポット的な外国為替取引(先物契約やオプション取引を含む)に世界一律の国際税を課す案である。この提案の基本的な目的は二つあった。一つは市場参加者が目先の、投機的な取引に比較して、長期的で基本的な取引を重視するように仕向けること。もうーつは各通貨の短期金利の差が多少開いても意に介さないことで、各国の通貨政策の独立性を高めることである。
 外国為替取引に対して0.5%の税を課せば、3か月ものの為替手形の年利が4%変動したのと同じである。短期の為替往復売買をもくろむ者はこれで二の足を踏むはずである。この税の狙いは投機的な資本移動を抑制することであり、この程度の税率なら商品貿易や真剣な国際資本参加ヘの影響はほとんどないと思われる。この税を導入すれば莫大な収入が見込める。税率0.5%として、税収は年間1兆5,000億ドルを超えるはずである。
 J.M.ケインズは1936年に、株式市場取引税を導入すれば、目先の動きを読んだ投機家の思惑売買による株価の歪みを抑制し、長期的で基本的な取引による株価の比重を高めることになると指摘した。同じことが、外国為替市場にも当てはまる。
 外国為替取引税は、全世界のすべての市場で同一税率で課税する必要がある。非課税または低税率の地域で取引するという抜け穴を防ぐためである。きちんと課税されるかどうかは、為替の大部分の取引を扱う銀行と市場組織にかかっている。この取引税は国際為替市場のあり方を是正し、各国が適切な範囲で独立した金融政策、マクロ経済政策を取れるようにすることを目的としている、しかし、だからといって、各国政府や中央銀行が国際的な影響を無視した政策決定ができるわけではない。G7は今後ら政策強調が必要だし、G7の政策はその他の国の経済に対しても強い影響力と拘束力を持ち続けるに違いない。
 国際税である以上、収益は国際的な目的に当てることとし、国際機関に処理をゆだねるのが妥当である。以上が、1978年の私の提案だった。税収を得ることは当初の主な狙いではなかったが、莫大な税収が見込めるという点が、この提案に対する最近の関心の高まりに大きく作用していることは事実である。
                  
ジェームズ・トービン 1981年ノーベル経済学賞受賞者


------

4:07 午前  
Blogger yoji said...

トービン「国際為替取引税」(『人間開発報告書1994』より)

J. Tobin, “Special Contribution: A tax on international currency transactions,” United Nations Development Programme (UNDP), Human Development Report 1994: New dimensions of human security, p.70.

http://hdr.undp.org/sites/default/files/reports/255/hdr_1994_en_complete_nostats.pdf
http://hdr.undp.org/en/content/human-development-report-1994
(邦訳:国連開発計画『人間開発報告書1994―「人間の安全保障」の新しい側面』国際協力出版会, 1994, p.70. )

 「国際為替取引税」(トービン 『人間開発報告書1994』70頁より)


 国際的な資本移動に、直接的な商業投資や金融資産の売買という形で、これまでになく活発になっている。資本の移動は、生産性の高い事業に世界の貯蓄を投入することによって、場所がどこであっても、直接の当事国ばかりでなく世界経済全体を潤すことができる。資本集約的な国の預金者にとって、投資は資本が乏しい地域のほうが高収益が期待できるからである。
 だが、世界の貯蓄配分を効率的に進めるために必要な資本の移動は、推定で1日1兆ドルといわれる全世界の為替市場での取引のなかでは、わずかな割合を占めるに過ぎない。通信手段の発達とコンピューターとしいう文明の利器のおかげで、外国為替取引は簡単なうえに安価になった,そして金融市場に夜はない。香港、フランクフルト、ロンドン、ニューヨーク、東京とつねにどこかの市場が開いている。また先進国は、とうの昔に為替管理制度を断念し、開発途上国の多くも規制をゆるめつつある。
 地球上の人間生活のほかの分野でもほぼ同じだが、この分野でも科学技術の発達に政治・社会制度の発達が追いつけずにいる。何兆ドルという為替取引の大部分は、為替レートの変動や国家間の金利差を利用して、手っとり早い金儲けを狙う投機や利ぎや稼ぎである。この種の取引は、合理的な長期的投資配分にはほとんど寄与しない。為替レートは莫大な資金を動かす民間投機家の思感に翻弄され、為替市場が路信する長期投資や貿易向けの情報信号は歪められる。金利差を利用した利ざや稼ぎのため、各国の中央銀行は単独で金融政策をおこなえなくなり、ほかの主要国の中央銀行との政策協調を余儀なくされる。
 金融資本の国際移動性が高い状態は、為替レートが市場の趨勢によって自由に変動する場合も、政府間の協定によって固定されている場合でも等しく問題になる。1973年以後の世界経済の経験した困苦により、ブレトン・ウッズ体制ヘの回帰、さらに昔の金本位制ヘの復帰を求める声さえ出ている。だが、どのようなシステムでも、投機的の機会や国家の会融政策を排除した
り禁じたりはできない。しかし最近ヨーロッパの為替レート市場を襲った危機では、各国の中央銀行が単独ではもちろん、たとえ連携しても、弱い通貸の値下がりを見込んで猛攻を仕掛ける投機家に対抗できるだけの準備金を持っていないことがはっきりした。
 アメリカの50州のように、不変の単一通貨を用いていれば、この種の大混乱は避けられるかもしれない。アメリカの例は、中央通貨当局だけでなく他の共通機構により通貨が支えられていれば、大きな効果が期待できることを示している。このような機構がなければ、不可逆的な単一世界通貨が出現するのは何十年も先のこととなるだろう。
 1978年に、私は現実的な次善の策を提案した。スポット的な外国為替取引(先物契約やオプション取引を含む)に世界一律の国際税を課す案である。この提案の基本的な目的は二つあった。一つは市場参加者が目先の、投機的な取引に比較して、長期的で基本的な取引を重視するように仕向けること。もうーつは各通貨の短期金利の差が多少開いても意に介さないことで、各国の通貨政策の独立性を高めることである。
 外国為替取引に対して0.5%の税を課せば、3か月ものの為替手形の年利が4%変動したのと同じである。短期の為替往復売買をもくろむ者はこれで二の足を踏むはずである。この税の狙いは投機的な資本移動を抑制することであり、この程度の税率なら商品貿易や真剣な国際資本参加ヘの影響はほとんどないと思われる。この税を導入すれば莫大な収入が見込める。税率0.5%として、税収は年間1兆5,000億ドルを超えるはずである。
 J.M.ケインズは1936年に、株式市場取引税を導入すれば、目先の動きを読んだ投機家の思惑売買による株価の歪みを抑制し、長期的で基本的な取引による株価の比重を高めることになると指摘した。同じことが、外国為替市場にも当てはまる。
 外国為替取引税は、全世界のすべての市場で同一税率で課税する必要がある。非課税または低税率の地域で取引するという抜け穴を防ぐためである。きちんと課税されるかどうかは、為替の大部分の取引を扱う銀行と市場組織にかかっている。この取引税は国際為替市場のあり方を是正し、各国が適切な範囲で独立した金融政策、マクロ経済政策を取れるようにすることを目的としている、しかし、だからといって、各国政府や中央銀行が国際的な影響を無視した政策決定ができるわけではない。G7は今後ら政策強調が必要だし、G7の政策はその他の国の経済に対しても強い影響力と拘束力を持ち続けるに違いない。
 国際税である以上、収益は国際的な目的に当てることとし、国際機関に処理をゆだねるのが妥当である。以上が、1978年の私の提案だった。税収を得ることは当初の主な狙いではなかったが、莫大な税収が見込めるという点が、この提案に対する最近の関心の高まりに大きく作用していることは事実である。
                  
ジェームズ・トービン 1981年ノーベル経済学賞受賞者

4:18 午前  
Blogger yoji said...

一般理論8:2

《所得税、なかんずく「不労」所得を冷遇するような所得税、資本利得税、相続税などの税金は、利子率と同じくらい、貯蓄性向にかかわりをもっている。》

10:26 午前  
Blogger yoji said...

一般理論#12

《合衆国における投機の企業活動に対する優勢を緩和しようとするなら、政府がすべての取引に対して相当額の移転税を導入するのがさしあたり考えられる最善の策ということになるかもしれない。》

トービン税の元アイデア

10:30 午前  

コメントを投稿

Links to this post:

リンクを作成

<< Home