鉄の檻はパーソンズーによる殻の誤訳説。
ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の最後の部分には、次のようなことが書かれていた。
この秩序界は現在、圧倒的な力をもって、その機構の中に入りこんでくる一切の諸個人 ―直接経済的営利にたずさわる人々だけではなく―の生活のスタイルを決定しているし、おそらく将来も、化石化した燃料の最後の一片が燃えつきるまで決定しつづけるだろう。バックスター6 の見解によると、外物についての配慮は、ただ「いつでも脱ぐことのできる薄い外衣」のように聖徒の肩にかけられていなければならなかった。それなのに、運命は不幸にもこの外衣を鋼鉄のように堅い檻としてしまった。(中略) 今日では、禁欲の精神は―最終的にか否か、誰が知ろう―この鉄の檻から抜け出してしまった (Weber, 1920, pp. 203–204, 邦訳, p. 365)。
大部分の読者にとっては、日本語で書かれているとは思えないほどに???だろう。解説すると、次のようなエッセンスが詰め込まれているらしい。7
ワイド版河出書房神社大塚久雄訳
高橋伸夫論考
http://www.gbrc.jp/journal/amr/free/dlranklog.cgi?dl=AMR10-4-1.pdf
253頁
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(1904-1905)岩波文庫:目次
(Die protestantische Ethik und der 'Geist' des Kapitalismus,1904-1905)
著者序言
第1章 問題
1 信仰と社会層分化
2 資本主義の「精神」
3 ルターの天職観念ーー研究の課題
第2章 禁欲的プロテスタンティズムの天職倫理
1 世俗内的禁欲の宗教的諸基盤
2 禁欲と資本主義精神
*「パリサイ的な正しさ」や「鉄の檻」が最終章で言及されている。
参考:
英語版目次の方がわかりやすい。
Table of contents (from the 1958 Scribner's edition, translated by Talcott Parsons)
Part 1. The Problem
I. Religious Affiliation and Social Stratification
II. The Spirit of Capitalism
III. Luther's Conception of the Calling. Task of the Investigation.
Part 2. The Practical Ethics of the Ascetic Branches of Protestantism.
IV. The Religious Foundations of Worldly Asceticism
A. Calvinism
Predestination; Elimination of Magic; Rationalization of the World; Certainty of Salvation; Lutheranism vs. Calvinism;
Catholicism vs. Calvinism; Monasticism vs. Puritanism; Methodical Ethic; Idea of Proof.
B. Pietism
Emotionalism; Spener; Francke; Zinzendorf; German Pietism.
C. Methodism
D. The Baptism Sects
Baptist and Quaker; Sect Principle; Inner Worldly Asceticism; Transformation of the World.
V. Asceticism and the Spirit of Capitalism
Richard Baxter; Meaning of Work; Justification of Profit; Jewish vs. Puritan Capitalism; Puritanism and Culture; Saving and Capital; Paradox of Asceticism and Rich; Serving Both Worlds; Citizenry Capitalistic Ethic; Iron Cage of Capitalism.
続編『プロテスタンティズムの教派と資本主義の精神』(1906)の邦訳は『世界の大思想』Ⅱ-7(河出書房新社、1963) に所収。
「序言」と「序論」と「中間考察」の邦訳は『宗教社会学論選』(みすず書房、1972)に所収。
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