木曜日, 12月 15, 2016

カレツキの分配論(支出→生産→分配)



                 ( 経済学リンク::::::::::
ケインズ=カレツキ往復書簡 Keynes ,Kalecki Correspondence 1937 
http://nam-students.blogspot.jp/2015/12/keynes-kalecki-correspondence-1937.html 

NAMs出版プロジェクト: カレツキの分配論(支出→生産→分配)1939(本頁)

http://nam-students.blogspot.jp/2016/12/blog-post_5.html

NAMs出版プロジェクト: 経済計算論争 ランゲ、そしてカレツキ

http://nam-students.blogspot.jp/2017/05/blog-post_76.html

カレツキ:「投資と資本家消費が利潤と国民所得を決定する」という命題
http://nam-students.blogspot.jp/2012/01/blog-post_17.html

Amazon | Essays in the Theory of Economic Fluctuations [Kindle edition] by M. Kalecki | Economics | Kindleストア

https://www.amazon.co.jp/Essays-Theory-Economic-Fluctuations-Kalecki-ebook/dp/B00FQDGFM8/
CONTENTS 
Part One 
1. The Distribution of the National Income
2. Investment and Income 
3. Money and Real Wages 
Part Two 
4. The Principle of Increasing Risk ☆☆☆☆
5. The Long-Term Rate of Interest 
6. A Theory of the Business Cycle (1937)
Index

“The Distribution of the National Income,” from Econometrica, April 1938, “The Principle of Increasing Risk,” from Economica, November 1937, and “A Theory of the Business Cycle,” from the Review of Economic Studies, February 1937.

太字は邦訳あり

ちなみにカレツキ前出書籍冒頭論文の初出掲載版をケインズが(条件付きで)絶賛している。

《The only solution was offered by Dr. Kalecki in the brilliant article which has been published in Econometrica.  Dr. Kalecki here employs a highly original technique of analysis into the distributional problem between the factors of production in conditions of imperfect competition, which may prove to be an important piece of pioneer work.》

Relative Movements of Real Wages and Output. J. M. Keynes. The Economic Journal, Vol. 49, No. 193. (Mar., 1939), pp. 34-51. p.49

http://piketty.pse.ens.fr/files/Keynes1939.pdf


《唯ーの解答は,『エコノメトリカ』に公表された優れた論文*の中で,カレツキ博士によって与えられた.カレツキ博士はここで,不完全競争状態における生産要素間の分配聞題に高度に独創的な分析手法を採用しており,これは重要な先駆的研究の1つになるであろう.(Keynes 1939,p.49)》

(「実質賃金と産出量の相対的変動」『ケインズ全集 第7巻 一般理論』付録二、413頁別訳より)


ケインズはカレツキとピグーを同一視する。


*「国民所得の分配の決定要因」(Kalecki 1938) 。題名が変えられている(後述)。

 
____

Part One 
1. The Distribution of the National Income、国民所得の分配より

w=___1___
  1+(k-1)(j+1)

wまたはα、
w賃金の相対的分け前(新評論26頁)、あるいはα限界賃金係数(渡辺83頁)
 kは主要費用総額比率、j は原料費総額対賃金総額比率(新評論26頁)

渡辺弘『ケインズ…』86頁より
第3章、主に Kalecki,Essays in the Theory of Economic Fluctuations(1939)の解説

 P
 ↑
A|_____D____G____ P
 |/////|    |    
 |/ ① /|    |    
 |/   /|    |    
B|////E|___H|____ U
 |     |    |    
 |  ②  |    |    
C|____F|___I|____ M
 |     |    |    
 |  ③  |    |    
 |_____|____|_____→Q
 0     Q1    Q2

①利潤と一般費用
②賃金
③原料費

生産がQ2まで拡大しても賃金の相対的分け前は変わらない。
カレツキは安定した所得分配論を展開し得た。

 Y=R+W
 R=I+Cr
Cr=cr・R+A
 W=α・Y+B
Y=粗国民所得  I=粗投資  R=粗利潤(資本家所得)
Cr=資本家消費 W=賃金+俸給(労働所得)
cr=資本家の限界消費性向
α=1より小さい正の係数  A=資本家の基礎消費を示す正の変常数
B=短期固定的労働者所得(主として俸給)を示す正の変常数

支出  I
    ↓
生産 Y1
    ↓ ↘︎
分配 W1  R1
    ↓   ↓  ↘︎
支出 Cw1 Cr1 Sr1
    ↓  ↙︎
   C1
    ↓
生産 Y2
    ↓ ↘︎
分配 W2  R2
    ↓   ↓  ↘︎
支出 Cw2 Cr2 Sr2
    ↓  ↙︎
   C2
    ↓
生産 Y3

I=粗投資
Y=粗国民所得
W=賃金+俸給(労働所得)
R=粗利潤(資本家所得)
Cr=資本家消費
Cw=賃金所得Wからの消費支出
Sr=利潤Rからの貯蓄

渡辺弘『ケインズ…』86頁より
第3章、主に Kalecki,Essays in the Theory of Economic Fluctuations, 1939.の解説
(邦訳クライスラー『カレツキと現代経済』☆☆☆より分かりやすい。クライスラーの書はラーナーの分配論から知るにはいいが…。最後に同義反復性というカレツキへの批判が紹介されるが、1937年にこれは資本主義自体の問題点だとカレツキは看破している。解決策はゲゼルにしかないが…。

ケインズ経済学と失業・所得分配 マクロ理論とミクロ理論の相互基礎づけ
渡辺弘/著 晃洋書房 2001.02 193p
要旨
本書は主にJ.M.ケインズの短期理論に関する有効需要の理論、非自発的失業、所得配分や新古典派理論批判などに関連する5編の論文を取り挙げた。
目次
第1章 ケインズの総供給関数のミクロ的基礎づけ―D.ヨンクの所説の検討(簡単なケ
インズ派モデル;パティンキンの供給関数 ほか)
第2章 オイラーの定理と利潤―ミクロ需給関数のマクロ的基礎づけ(オイラーの定理妥当の条件;利潤の分類 ほか)
第3章 ケインズ派マクロ分配論―特にカレツキ、カルドアとシュナイダーについて(カレツキの分配論;カルドアの分配論 ほか)
第4章 有効需要の原理と所得分配―ミクロ・マクロ両分配論の総合の一試論(ミクロ需給関数とマクロ需給関数との関係の定式化;ミクロ分配論に基礎づけられたマクロ分配論 ほか)
第5章 労働の需要曲線と非自発的失業と効率賃金仮説―ミクロ経済理論のマクロ的基礎づけ(労働の限界生産物曲線と労働の需要曲線;仮定とモデル ほか)
索引あり

____

オイラーの定理(経済学)について - 経済 解決済 | 教えて!goo
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6547937.html

質問者:
Y=MPL×L+MLK×K
の導出方法がわかりません。
また、両辺の単位は左辺は生産額ですが、右辺は実質の賃金であったり資本コストですよね?単位ずれてません?

No.1ベストアンサー
回答者:
生産関数をfとします。
つまり変数の間の関係はY=f(L, K)。
fが微分可能で1次同次なら、任意のt>0、L、Kについて
f(tL, tK)=tf(L, K)。
この両辺をtについて微分してt=1を代入すれば分かります。
Yは生産額ではなく生産量でしょう。

__

オイラーの定理
生産関数のある三つの条件が整うと
利潤はゼロ

マンキュー入門篇71頁


____

CONTENTS 
Part One 
1. The Distribution of the National Income 
2. Investment and Income 
3. Money and Real Wages 
Part Two 
4. The Principle of Increasing Risk 
5. The Long-Term Rate of Interest 
6. A Theory of the Business Cycle 
Index

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「The Determinants of Profits 」『Theory of Economic Dynamics』kalecki 

Amazon.co.jp: Theory of Economic Dynamics: An Essay on Cyclical and Long-run Changes in Capitalist Economy (Monthly Review Press Classics): M. Kalecki: 洋書 2011

https://www.amazon.co.jp/dp/0853450811/ref=rdr_ext_tmb 

Part1

DEGREE OF MONOPOLY AND DISTRIBUTION OF INCOME

1 Costs and  Prices                     11

2 Distribution or National Income 28


Part 2

DETERMINATION OF PROFITS AND NATIONAL INCOME

3 The Determinants of Profit 45

4 Profits and Investment 53

5 Determimtion of National Income and Consumption 59


Par 3

TIIE RATE OF INTEREST

6 The Short-Term Rate of Interest 73

7 Thc Long-Term Rate of Interest 80


Part 4

DETERMINATION OF INVESTMENT

8 Entrepreneurial Capital and Investment 91

9 Determinents of Investment 96

10 Statistical Illustration 109


Part 5

THE BUSINESS CYCLE

11 The Mechanism of the Business Cycle 119

12 Statistical Illustration 132

13 The Business We and Shocks 137

Part 6

LONG-RUN ECONOMIC DEVELOPMENT

14 The Process of Economic Development  145

15 The Development Factors      157

Statstical Appndix           163

Subject index             177

○1958年の新評論版邦訳『経済変動の理論』(原著1954年,Theory of Economic Dynamics ) 

宮崎義一、伊東光晴訳

(x資本主義経済の動態理論 (ポスト・ケインジアン叢書 (6)) 単行本 – 1984/12ではない)

第1部 独占度と所得の分配
費用と価格@☆
国民所得の分配@

第2部 利潤の決定と国民所得の決定
利潤の決定要因@
利潤と投資
国民所得の決定と消費の決定

第3部 利子率
短期利子率
長期利子率

第4部 投資の決定
企業者資本と投資@
投資の決定要因@
統計的説明

第5部 景気循環
景気循環(のメカニズム)@
統計的説明
景気循環と衝撃

第6部 長期経済発展
経済発展の過程
発展要因

@が日本経済評論社版に新訳で再録。

☆「費用と価格」で45°線分析が使われているがカレツキの使用は1937年からで、英語圏では最初期。


A Theory of Profits Author(s): M. Kalecki Source: The Economic Journal, Vol. 52, No. 206/207, (Jun. - Sep., 1942), pp. 258-267 P)

『資本主義経済の動態理論』M・カレツキ 日本経済新聞評論社 1984年
M.カレツキ (著), 浅田統一郎 間宮 陽介

第I部冒頭の「景気循環理論概説」(1933年)がケインズに先駆けて有効需要の理論を打ち立てたとされる画期的論文。

目次
序文
第 I 部
第1章 景気循環理論概説 3
第2章 外国貿易と「国内輸出」について 16
第3章 景気上昇のメカニズム  26
第4章 商品税,所得税および資本税の理論  34

第II部
第5章 費用と価恪  45
第6章 国民所得の分配 64
第7章 利潤の决定要因  79
第8章 国民所得の決定と消費の決定 94
第9章 企業者資本と投資 106
第10章 投資の決定要因 111
第11章 景気循環  125

第lll部
第12章 完全雇用の政治的側面  141
第13章 ツガン-パラノフスキーとローザ・ルクセンブルグにおける有効需要の問題 148
第14章 階級闘争と国民所得の分配 158
第15章 趨勢と景気循環 167
統計付録 186
訳註 195
カレツキからポスト・ケインジアンへのマクロ分配理論の系譜
--訳者解説に代えて-- 209
索引 227


有効需要の発見はマルクス経済学側から行わなければならなかったが、マルクスの反国家意識がそれを遅らせた。カレツキはその点でマルクスに批判的だ☆☆。ケインズに先立つカレツキの発見は人々に知られるのが遅かった。


____

Kalecki, Michal, "A Theory of the BusinessCycle." Review of Economic Studies, Vol. 4, No.2, February 1937, pp. 77-97, revised and reprintedin [14], pp. 116-49.

「投資は, 支 出 としてみると,繁栄の源泉であり,投資の増加は景気を好転させ,投資を刺激して,さらにそれを増大せしめる.しかし投資は同時に,資 本 設 備 の 増 加 であり,したがって,生れたときから,この設備の旧式のものと競争する.投資の悲劇はそれが有用であるという理由から恐慌を生ぜしめる点にある.多くの人たちは,この理論をたしかにパラドクシカルと考えるであろう.しかしパラドタシカルなのは,理論ではない,その主題一資本主義経済一そのものである.」(Essays in the Theory of Economic Fluctuations pp189-9,1939)1937版と同じ最終部。新評論版(『経済変動の理論1958年』)訳者あとがきより孫引き

We see that the question, " What causes the periodical crisis ? " could be answered shortly: the fact that the investment is not only produced but also producing. Investment considered as capitalists' spending is the source of prosperity, and every increase of it improves business and stimulates a further rise of spending for investment. But at the same time investment is 

an addition to the capital equipment and right from birth it competes with the older generation of this equipment. The tragedy of investment is that it calls forth the crisis because it is useful. I do not wonder that many people consider this theory paradoxical. But it is not the theory which is paradoxical but its subject-the capitalist economy. 

London. MICHAL KALECKI. 

☆☆

Michal Kalecki
The Marxian equations of reproduction and modern economics

Version of Record - Dec 1, 1968

    <カレツキは、以上みた論文Kalecki[1968]☆☆の最後の部分において、マルクスの『資本論』第3巻、第15章のい
    わゆる「剰余価値の実現」の問題を論じた一節「直接的搾取の諸条件と剰余価値の実現の諸条件とは同一で
    はない。‥‥‥‥」を引用して、「マルクスは、明らかに、資本主義の動態に対する有効需要の影響を深く認
    識していた」としつつも、「彼は、彼の再生産表式によって叙述されている過程を、有効需要の問題の帰結
    として資本主義に内在する矛盾という観点から体系的に吟味することをしなかった」と、マルクスにおける
    『資本論』第3巻の「剰余価値の実現」の問題=「有効需要の問題」と第2巻の再生産表式論との関連の未
    展開を批判する。>
    http://www.unotheory.org/news_II_8
     栗田康之 :カレツキの資本主義経済論―マルクスおよび宇野理論との関連で―(PDF形式:563KB)

    <直接的搾取の条件とその実現の条件とは同一ではない。それらは、時間的および場所的にばかりでなく、
    概念的にも別のものである。前者は社会の生産力によってのみ制限され、後者は、相異なる生産部門間の比
    率性により、また社会の消費力によって制限されている。だが、社会の消費力は、絶対的生産力によっても
    絶対的消費力によっても規定されないで、敵対的な分配諸関係──これは社会の大衆の消費を、多かれ少な
    かれ狭い限界内でのみ変動する最小限に縮小する──の基礎上での消費力によって規定されている。>


☆☆☆

クライスラーはケインズがカレツキを絶賛した記述を著書の冒頭で紹介している。

《唯ーの解答は,『エコノメトリカ』に公表された優れた論文*の中で,カレツキ博

士によって与えられた.カレツキ博士はここで,不完全競争状態における生産要

素間の分配聞題に高度に独創的な分析手法を採用しており,これは重要な先駆的

研究の1つになるであろう.(Keynes 1939,p.49)》


*「国民所得の分配の決定要因」(Kalecki 1938)


参考:

時政・大槻論考
https://shudo-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=2205&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1

5) Keynes, J.M.(1939). “Relative movement of real wages and output”, Economic Journal, 193, pp. 34–51. 今日では『ケインズ全集 第7巻』の『一般理論』と同じ巻に収録されており,付録二「実質賃金と産出量の相対的変動」がそれである。

Relative Movements of Real Wages and Output. J. M. Keynes. The Economic Journal, Vol. 49, No. 193. (Mar., 1939), pp. 34-51. 

http://piketty.pse.ens.fr/files/Keynes1939.pdf


ケインズが絶賛したのが冒頭で紹介した渡辺の論じているDist…と同一かは不明。少し加筆があるかも知れない。(改訂版らしいがどの程度改定されているかは不明。)



松谷論考
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN00234610-20040701-0059.pdf?file_id=100524 
(松谷はカレツキ「景気循環理論概説」(1933年)がケインズに先駆けて有効需要の理論を打ち立てたとは認めない。)


Title DETERMINANTS OF MACRODISTRIBUTION ... - Keio University

(Adobe PDF)

koara.lib.keio.ac.jp/.../AA00260492-19740001-0077.pdf?...

Kalecki originally formulated his argument in "The Determinants of Distribution of the. National Income", Econometrica, April, 1938, pp. 97-112. An amended version appeared in. Essays in the Theory of Economic Fluctuations (London: Allen ...


____


The Principle of Increasing Risk 1937年11月
http://www.redeco.economia.unam.mx/home/Pdf/bibliografia/Kalecki_The_principle_of_increasing_risk.pdf

____


                      ( 経済学リンク::::::::::) 

カレツキ:「投資と資本家消費が利潤と国民所得を決定する」という命題
http://nam-students.blogspot.jp/2012/01/blog-post_17.html
ミハウ・カレツキ (Michal Kalecki):マクロ経済学の知られざる英雄
http://nam-students.blogspot.jp/2015/10/michal-kalecki.html(下頁)

ヒックスが『価値と資本』#17(邦訳文庫下67,73頁参照)で用例を借りたという以下のカレツキの論文は未邦訳×のようだ。 

邦訳は一応ある。

国立国会図書館デジタルコレクション - ケインズ雇傭と賃銀理論の研究

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2386038

著者カレッキ 著 増田操 訳

出版者戦争文化研究所
出版年月日1944

ケインズ雇傭と賃銀理論の研究 [82]

目次

訳者序

原著者序

第一章 国民所得の分配/1

第二章 投資と所得/28

第三章 貨幣と実質賃銀/60

第四章 逓増危険の原理/79

第五章 長期利子率/89

第六章 景気変動の理論/100

附論 物品税、所得税及び資本税に関する一理論/130

索引/141


なお、鍋島直樹『ケインズとカレツキ』第7章155~6,198頁でこの借り手のリスクについて触れた「危険逓増の原理」1937が図解付きで解説されている(同159頁)。
中小企業ほど投資のリスクが大きいから規模の格差は決して解消されないのだ。
(ヒックスは計画期間と利率の関係を考察しただけだったが) 


:156頁


:180,278頁(カレツキ別論文より)

「新しい投資準備の形成は、未拘束預金からの転換I1と銀行信用の拡大I2によって賄われる…。粗蓄積Aから未拘束預金に還流する部分をA1,同じく粗蓄積からの銀行への返済に用いられる部分をA2と表すならば、投資財に対して支出される額はA=A1+A2と表される。これより、投資準備の増加分I-Aは次のように表現することができる。

 I-A=(I1-A1)+(I2-A2)
I1-A1が未拘束預金の減少分を、I2-A2が銀行による信用膨張による部分をそれぞれ表している…。このようにして、産出水準の上昇には銀行組織による信用膨張が不可避的に随伴する…。」(180~1頁)

  投資リスクにおいてカレツキとケインズは意見がくい違ったという。このあたりも鍋島論文に詳しい。

《1937年の4月12日付の(注:ケインズからカレツキへの)手紙
では,投資誘因に関するカレツキの議論について,「あなたの議論は,アキレ
スと亀の寓話の改作版であるように私には思われます。あなたは私に,……た
とえアキレスが亀に追いつくとしても,それは多くの期間が経過したのちにお
いてだけであろうと語っているのです」(ibid☆,p.798)と述べて,カレツキの
見解に反論を加えている。いうまでもなく,ここで「アキレス」とは投資額
を,「亀」とは一般物価水準のことを指している。カレツキの説明において投
資の増加が物価の上昇を引き起こすという過程が繰り返されるのは,寓話のな
かでアキレスが永遠に亀に追いつくことができないのと同じようなものだとい
うわけである。ともあれケインズは、カレツキが自らに向けた批判は当たらな
いものであるとし,投資の増加にともなう危険の逓増は、すでに『一般理論』
における資本の限界効率の定式化において考慮されていると主張した(ibid,
p.793)。
 しかしながら,実際のところ,ケインズが『一般理論』において危険逓増の
問題を考慮していたという主張をそのまま受け取ることは難しい。…》
 (鍋島論考158頁)


ケインズのカレツキへの手紙は以下に所収されているという。 
The Collected Writings of John Maynard Keynes; Volume XII: Economic Articles And Correspondence; Investment and Editorial (Volume 12)
関連論考:
Formal modelling vs. insight in Kalecki's theory of the ... D Besomi  
http://www.unil.ch/files/live//sites/cwp/files/users/neyguesi/public/Besomi.pdf 

52 Kalecki to Keynes, 4 April 1937, in Kalecki 1990, p. 525 (the point is also made in Kalecki 1939, p. 140: “It is true that […] the system always moves towards the point B, but it may, of course, take several τ periods to come close to it. Thus the time of adjustment is considerable (τ is more than half a year)”. Keynes did not think much of this approach: “your argument seems to me a version of Achilles and the tortoise, and you are telling me […] that even thought Achilles does catch the tortoise up, it will only be after many periods have passed by. […] I feel that you are making too much of a discontinuity between your periods” (letter to Kalecki, 22 April 1937, in Kalecki 1990, pp. 525– 26).

1990 Collected Works of Michal Kalecki. Volume 1. Capitalism: Business Cycles and Full Employment, ed. by Jerzy Osiatynski, Oxford: Oxford University Press.



以下の論考でも同カレツキ論文が言及されている。
栗田康之 :カレツキの資本主義経済論 - 宇野理論を現代にどう活かすか (Adobe PDF) 
www.unotheory.org/files/No8/newsletter_2-8-2.pdf カレツキの経済理論は、そのような学説史的関係も含めて、独占度、有効需要理論、景 ...... し手のリスク」および「借りてのリスク」)を緩和することによっても、投資を拡大させ ..... Kalecki,M.[1937]“The Principle of Increasing Risk”,Economica,vol.4,no.16.



___

ミハウ・カレツキ (Michal Kalecki)
http://cruel.org/econthought/profiles/kalecki.html

ミハウ・カレツキ (Michal Kalecki), 1899-1970.

 その生涯を通じて、カレツキはマクロ経済学の知られざる英雄だった――そして、経済学ではなぜ英語で論文や著作を刊行すべきかという見事な証拠となっている。カレツキは、ケインズの『一般理論』で述べられる原理の相当部分をそれ以前に予見していたとされるけれど、でもかれの論文 (1933, 1935) はポーランド語とフランス語でしか刊行されず、したがってほとんど気がつかれなかった。これをなんとかしようと、カレツキは 1936 年の論文で、自分のほうが先だったという主張を刊行することにしたが……これまたポーランド語でしか発表しなかった!

 でも、かれの英語の論文、特に ビジネスサイクル論 (1935, 1937, 1939, 1943, 1954) は、かれに独自の地位をもたらして、数学的動学を経済学に使う方法を進歩させた点で画期的だった。かれの研究はまた、いくつか 古典派 と マルクス派 の概念を導入していて、かなりの部分を「階級闘争」、所得分配と不完全競争に負っていた――これらの項目は、ケンブリッジのケインズ派たちに大きく影響を与える――時にロビンソン、カルドア、グッドウィンへの影響が大きい。また現代アメリカのポストケインズ派 経済学にも大きく影響している。

カレツキはほぼ一生にわたって、ワルシャワのビジネスサイクル&価格研究所で過ごした。

ミハウ・カレツキの主要著作

"Mr Keynes's Predictions", 1932, Przeglad Socjialistyczny.
An Essay on the Theory of the Business Cycle, 1933.
"Essai d'une theorie du mouvement cyclique des affaires", 1935, Revue d'economie politique.
"A Macrodynamic Theory of Business Cycles", 1935, Econometrica.
"The Mechanism of Business Upswing", 1935, Polska Gospodarcza.
"Some Remarks on Keynes's Theory", 1936, Ekonomista.
"A Theory of the Business Cycle", 1937, RES.
"A Theory of Commodity, Income and Capital Taxation", 1937, EJ.
"The Principle of Increasing Risk", 1937, Economica.
"The Determinants of Distribution of the National Income", 1938, Econometrica.
Essays in the Theory of Economic Fluctuations, 1939.
"A Theory of Profits", 1942, EJ.
Studies in Economic Dynamics, 1943.
"Political Aspects of Full Employment", 1943, Political Quarterly.
"Professor Pigou on the Classical Stationary State", 1944, EJ.
"Three Ways to Full Employment", 1944 in Economics of Full Employment.
"A Note on Long Run Unemployment", 1950, RES.
Theory of Economic Dynamics: An essay on cyclical and long- run changes in capitalist economy, 1954.
"Observations on the Theory of Growth", 1962, EJ.
Studies in the Theory of Business Cycles, 1933-1939, 1966.
"The Problem of Effective Demand with Tugan-Baranovski and Rosa Luxemburg", 1967, Ekonomista.
"The Marxian Equations of Reproduction and Modern Economics", 1968, Social Science Information.
"Trend and the Business Cycle", 1968, EJ.
"Class Struggle and the Distribution of National Income", 1971, Kyklos.
Selected Essays on the Dynamics of the Capitalist Economy, 1933-1970, 1971.
Selected Essays on the Economic Growth of the Socialist and the Mixed Economy, 1972.
The Last Phase in the Transformation of Capitalism, 1972.
Essays on Developing Economies, 1976.
ミハウ・カレツキに関するリソース

HET ページ:カレツキ分配サイクル
Peter Kriesler's Keynes, Kalecki and the General Theory"
Peter Kriesler's "Microfoundations: A Kaleckian perspective"
Malcolm Sawyer's "The Kaleckian Analysis and the New Mellium" working paper.
Review (by Gary Dymski) of Sebastiani's book, Kalecki and Unemployment Equilibrium in JEL


カレツキ『資本主義経済の動態理論』(邦訳1984)*は、ゲゼル『自然的経済秩序
(邦訳2007)とならんで必読。文庫化されるべき。マルクス、ケインズより重要。
(*あるいは、http://www.amazon.co.jp/Collected-Works-Michal-Kalecki-Capitalism/dp/0198285388/ )

*212頁
「労働者は得るものを支出し、資本家は支出するものを得る」
(Workers spend what they get Capitalists get what they spend)Kalecki

r(利潤率)=g(資本蓄積率)/Sc(貯蓄性向)
ケンブリッジ方程式

「計量経済学モデルと史的唯物論とは,社会の発展にたいするふたつめ相異なるアプローチをなす。前者は,考察される期間における計量経済学的変数相互の,およびこれらの変数と過去の諸期間における同一変数のあいだの関数関係を基礎としている。この関係は所与であり,また変化しないものと仮定される。かくして,特定の動態過程が措定されるが,それは.ヒ記の関数関係の不変性という基本的な仮定が満足される場合にのみ現実の発展に対応する。史的唯物論は,社会の発展過程をすべての他の社会現象,たとえぼ政府,文化,.科学,技術など(上部構造)をかたちづくる生産力と生産関係(土台)のそれとして考える。ここには上部構造もま.た土台に影響をおよぼすというフィードバック効果が包含されている」(Kalecki[1965],邦訳154ページ)。
経済評論1968/10 [17(11)]
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1429421?tocOpened=1
計量経済学モデルと史的唯物論〔"Econometric Model and Historical Materialism"(
On Political Economy and Econometrics--Essays on Honour of Oskar Lange,1964所収)〕 / KaleckiM. ; 森重泰 訳/154~159

(カレツキにおける史的唯物論)山本英司

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/45393/1/10167104.pdf

「計量経済学モデルと史的唯物論とは,社会の発展にたいするふたつの相異なるアプローチをなす。

前者は,考察される期間における計量経済学的変数相互の,およびこれらの変数と過去の諸期間にお

ける同一変数のあいだの関数関係を基礎としている。この関係は所与であり,また変化しないものと

仮定される。かくして,特定の動態過程が措定されるが,それは,上記の関数関係の不変性という基本

的な仮定が満足される場合にのみ現実の発展に対応する。

 史的唯物論は,社会の発展過程をすべての他の社会現象,たとえば政府,文化,科学,技術など(上部

構造)をかたちづくる生産力と生産関係(土台)それとして考える。ここには上部構造もまた土台

に影響をおよぼすというフィードバック効果が包合されている」(Kalecki[1965],邦訳*154ページ)。


*経済評論1968/10 [17(11)]

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1429421?tocOpened=1

計量経済学モデルと史的唯物論〔"Econometric Model and Historical Materialism"

(On Political Economy and Econometrics--Essays on Honour of Oskar Lange,1964所収)〕

 / KaleckiM. ; 森重泰 訳/154~159


(ランゲ記念文集のために書かれたランゲに関する文章。)


カレツキは自らの立場を史的唯物論とする。




9 Comments:

Blogger yoji said...


 P
 ↑
A|_____D____G____ P
 |/////|    |    
 |/ ① /|    |    
 |/   /|    |    
B|////E|___H|____ U
 |     |    |    
 |  ②  |    |    
C|____F|___I|____ M
 |     |    |    
 |  ③  |    |    
 |_____|____|_____→Q
 0     Q1    Q2

①利潤と一般費用
②賃金
③原料費

生産がQ2まで拡大しても賃金の相対的分け前は変わらない。
カレツキは安定した所得分配論を展開し得た。

 Y=R+W
 R=I+Cr
Cr=cr・R+A
 W=α・Y+B
Y=粗国民所得  I=粗投資  R=粗利潤(資本家所得)
Cr=資本家消費 W=賃金+俸給(労働所得)
cr=資本家の限界消費性向
α=1より小さい正の係数  A=資本家の基礎消費を示す正の変常数
B=短期固定的労働者所得(主として俸給)を示す正の変常数

支出  I
    ↓
生産 Y1
    ↓ ↘︎
分配 W1  R1
    ↓   ↓  ↘︎
支出 Cw1 Cr1 Sr1
    ↓  ↙︎
   C1
    ↓
生産 Y2
    ↓ ↘︎
分配 W2  R2
    ↓   ↓  ↘︎
支出 Cw2 Cr2 Sr2
    ↓  ↙︎
   C2
    ↓
生産 Y3

I=粗投資
Y=粗国民所得
W=賃金+俸給(労働所得)
R=粗利潤(資本家所得)
Cr=資本家消費
Cw=賃金所得Wからの消費支出
Sr=利潤Rからの貯蓄

渡辺弘『ケインズ…』86頁より
第2章、主に Kalecki,Essays in the Theory of Economic Fluctuations, 1939.の解説より

ケインズ経済学と失業・所得分配 マクロ理論とミクロ理論の相互基礎づけ
渡辺弘/著 晃洋書房 2001.02 193p
要旨
本書は主にJ.M.ケインズの短期理論に関する有効需要の理論、非自発的失業、所得配分や新古典派理論批判などに関連する5編の論文を取り挙げた。
目次
第1章 ケインズの総供給関数のミクロ的基礎づけ―D.ヨンクの所説の検討(簡単なケ
インズ派モデル;パティンキンの供給関数 ほか)
第2章 オイラーの定理と利潤―ミクロ需給関数のマクロ的基礎づけ(オイラーの定理妥当の条件;利潤の分類 ほか)
第3章 ケインズ派マクロ分配論―特にカレツキ、カルドアとシュナイダーについて(カレツキの分配論;カルドアの分配論 ほか)
第4章 有効需要の原理と所得分配―ミクロ・マクロ両分配論の総合の一試論(ミクロ需給関数とマクロ需給関数との関係の定式化;ミクロ分配論に基礎づけられたマクロ分配論 ほか)
第5章 労働の需要曲線と非自発的失業と効率賃金仮説―ミクロ経済理論のマクロ的基礎づけ(労働の限界生産物曲線と労働の需要曲線;仮定とモデル ほか)
索引あり

2:14 午前  
Blogger yoji said...

オイラーの定理(経済学)について - 経済 解決済 | 教えて!goo
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6547937.html
オイラーの定理(経済学)について

解決済
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質問者:missyel質問日時:2011/02/24 21:27回答数:1件
Y=MPL×L+MLK×K
の導出方法がわかりません。
また、両辺の単位は左辺は生産額ですが、右辺は実質の賃金であったり資本コストですよね?単位ずれてません?

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No.1ベストアンサー
回答者: noname#130496 回答日時:2011/02/25 21:35
生産関数をfとします。
つまり変数の間の関係はY=f(L, K)。
fが微分可能で1次同次なら、任意のt>0、L、Kについて
f(tL, tK)=tf(L, K)。
この両辺をtについて微分してt=1を代入すれば分かります。
Yは生産額ではなく生産量でしょう。
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2:49 午前  
Blogger yoji said...



根井雅弘『現代イギリス経済学の群像』にはじまるカレツキ紹介は重要だが、
上記書籍でもカレツキ原論文は参照されておらず、孫引きである。
カレツキを紹介している大学生用経済学入門書はほとんど見当たらない。
つまりマルクスを学ぶ人間は近代経済学への橋が既に架かっていることを知らず、
近代経済学を学ぶ人間はマルクスの意義を知らないで学生時代を終わる訳だ。
そして気付いたときには学ぶ時間が残っていないということになりかねない。

さて、カレツキはマルクス再生産表式を3部門に分け直し(転形問題論争にヒントが
あったと思う)、実物経済を省略したことでケインズよりはやく有効需要の概念を定式化した。
ここで3部門は労働者、資本家、投資家と分けられる。
部門が例えば代表的個人一人だと実は経済学の意味は無い。
代表的個人一人が時間差で動学化されてもケインズではないが長期的には死んでいるのである。
ここで残念なのはカレツキの論文も訳されていないし、動学化の基盤となるラムゼーの論文も
訳されていないということだ。
ラムゼーは齊藤他マクロで取り上げられたソローに類似したモデルの論文1928ではなく、最適
間接税率を検討したラムゼールール論文1927がより重要だ。これは2つの商品を離散的に捉えている。

参考:
Michal Kalecki"The Marxian equations of reproduction and modern economics"
(「マルクスの再生産の方程式と近代経済学」1968,1991未邦訳)
 http://ssi.sagepub.com/content/7/6/73.full.pdf 有料?
根井雅弘『「ケインズ革命」の群像』145頁〜
栗田康之『資本主義経済の動態』105頁〜
カレツキ『資本主義の動態理論』79頁〜
鍋島直樹 『ケインズとカレツキ―ポスト・ケインズ派経済学の源泉』
Ramsey F.P. (1927), "A Contribution to the Theory of Taxation,"
(「課税理論への一寄与」) http://eml.berkeley.edu//~saez/course131/Ramsey27.pdf 無料

5:40 午前  
Blogger yoji said...


ケインズに先立ち有効需要の概念を定式化した、
カレツキ『資本主義経済の動態理論』(日本経済評論社)

未来の社会を予見した、
ゲゼル『自然的経済秩序』(ぱる出版)

ケインズ『一般理論』もいいがどうしてもこの2冊になる。
(ケインズによる超国家通貨案=バンコールの元ネタはゲゼルのIVAだ。)

西村和雄『まんがDE入門経済学』(日本評論社)もなかなかいい。
超初心者かつ野球ファンには薦める。稚拙な漫画から欲望が現代経済学の基本だということがわかる。

ここら辺↓を読んでも経済学者が合理的な代表的個人を信じている限り、
大したことは出来ないし、やっていないことがわかる。
Recursive Macroeconomic Theory
Lars Ljungqvist , Thomas J. Sargent
http://pages.stern.nyu.edu/~dbackus/Identification/LS%20RMT2ed%2004.pdf
様々なショックは時間が経てば吸収される(長期的には死んでいる)…
ノイマンによる均斉成長の幻想…に惑わされ、
現代経済学はラムゼー成長理論と最適課税論文の周辺をまわり続けている。
(むしろラムゼーによるケインズ確率論批判がより重要になるだろう。)

5:41 午前  
Blogger yoji said...

0584 名無しさん@お腹いっぱい。 2016/11/14 01:38:35
(カレツキはマルクス再生産表式の生産手段(生産財)部門を二つにわけることで有効需要の概念を
ケインズに先駆けて定式化した。)

参考:
カレツキ「利潤の決定要因」1935年初稿、邦訳『資本主義の動態理論』79頁〜
根井雅弘『「ケインズ革命」の群像』145頁〜
栗田康之『資本主義経済の動態』105頁〜

カレツキに関しては過去に幾つか翻訳があるし、栗田康之『資本主義経済の動態』、
根井雅弘『「ケインズ革命」の群像』がいい。後者は読みやすく安価でオススメ。
わかる現代経済学 (朝日新書) 2007/12/13根井 雅弘 (編集)でも数頁だがカレツキに
触れられている(第三章「ポスト・ケインズ派経済学」服部茂幸)。
こちらの方が初心者向け。他の一般参考書にカレツキの名がないのが残念…

ちなみに、カレツキはマルクスを礼賛しているわけではない…
《…カレツキは、以上みた論文Kalecki[1968]*の最後の部分において、マルクスの『資本論』第3巻、第15章のい
わゆる「剰余価値の実現」の問題を論じた一節「直接的搾取の諸条件と剰余価値の実現の諸条件とは同一で
はない。‥‥‥‥」を引用して、「マルクスは、明らかに、資本主義の動態に対する有効需要の影響を深く認
識していた」としつつも、「彼は、彼の再生産表式によって叙述されている過程を、有効需要の問題の帰結
として資本主義に内在する矛盾という観点から体系的に吟味することをしなかった」と、マルクスにおける
『資本論』第3巻の「剰余価値の実現」の問題=「有効需要の問題」と第2巻の再生産表式論との関連の未
展開を批判する。》
http://www.unotheory.org/news_II_8
 栗田康之 :カレツキの資本主義経済論―マルクスおよび宇野理論との関連で―(PDF形式:563KB)

*("The Marxian equations of reproduction and modern economics"1968
「マルクスの再生産の方程式と近代経済学」1968,1991未邦訳)
以下、同未邦訳論文より
カレツキ「国民所得の経済表」(tableau economique of the national income)1968
 ___________
| 1  2  3|  |
|________|__|
|P1 P2 P3| P|
|W1 W2 W3| W|
|________|__|
|I  Ck Cw| Y|
|________|__|
ID:u5kQk2u7(2/5)
0585 名無しさん@お腹いっぱい。 2016/11/14 01:41:15
以下、『現代イギリス経済学の群像―正統から異端へ』1989/4/27 根井雅弘
224-5頁より

* カレツキが、マルクスの再生産表式に関心を持って、マルクス研究に没頭し
た一時期があったことは、すでに本文でも述べたとおりである。では、彼はマルク
スの再生産表式をどのように自らの理論に取り入れたのだろうか。ここでは それ
を簡単に説明しておきたいと思う。
 まず、経済をカレツキ的に、投資財を生産する第I部門、資本家の消費財
を生産する第II部門、そして賃金財を生産する第III部門の三つに分割しよう。 
  各部門の産出の価値Vは、利潤Pと賃金Wの和に等しいから、
  Vi=Pi+Wi (i =1,2,3)                     (1)
 第III部門の資本家は、産出の価値のうちのW3にあたるものをその部門内
の労働者へ、残りのP3にあたるものを第I・II部門の労働者へ販売すると考えら
れるから、
  P3=W1+W2                            (2)
 ここで、第I部門と第II部門の産出の価値を合計すると、
  V1+V2=P1+P2+W1+W2                     (3)
を得るのだが、(2)式を(3)式に代入すると、次式が得られるのだが
ただちにわかるだろう。
  V1+V2=P1+P2+P3                        (4)
 (4)式は、経済全体の利潤が、投資財の価値と資本家の消費財の価値
の和に等しいことを示している。こうして、本文で述べたような、P=I十CCと
いうカレツキの命題が得られるわけである。
Cf.,Josef Poschl and Gareth Locksley, Michal Kalecki : A Comprehensive Challenge to orthodoxy,
in J. R.Shackleton and Gareth Locksley eds.,Twelve Contemporary Economists,1981,p.157.

   所得           支出
資本家の所得(P)      投資(I)
              資本家の消費(CC)
労働者の所得(W)     労働者の消費(CW)
労働者はその所得をすべて消費する(すなわち、W=CW)
と仮定されているから、
    P=I十CC
資本家は、利潤を決定することは出来ないがゆえに、この式は、I十CCがPを
決定することを示している。
両辺からCCを減じると、
    S=I

I(投資)がS(貯蓄)を決定する。しかも、S=Iは利子率から独立している。
(同188-9頁より、一部改変)

http://www.abebooks....ailsPL?bi=8370052739
Image Not Available View Larger Image Twelve Contemporary Economists
J. R. Shackleton, Gareth Locksley Published by Palgrave Macmillan, 1981

http://byoubyou.coco...06/09/post_b710.html
カレツキの再生産表式は、マルクスの再生産表式の価値部分のみを表現しているもので、
現物部分の存在を無視している。

5:48 午前  
Blogger yoji said...

0583 名無しさん@お腹いっぱい。 2016/11/14 01:35:43
以下、根井雅弘『経済学の教養』(20-1頁,2006年より)

【コラム3】利潤決定の命題
 単純化のために、政府の経済活動と外国貿易が存在しない「封鎖経済」を考えてみまし
ょう。カレツキは、表の左側に国民所得勘定を、右側に国民生産物(支出)勘定を置いて
対照させます。すなわち、左側には、利潤(資本家の所得)十賃金(労働者の所得)=国民
所得を、右側には、投資十資本家の消費十労働者の消費=国民生産物、を書き込みます。
ここで、労働者はその所得をすべて消費する(賃金=労働者の消費)という仮定を置くと、
あとに残されたものの関係から、利潤P=投資I十資本家の消費Cという式が出てきます。
これがカレツキの利潤決定の命題ですが、彼は、この式を右辺が左辺を決定する(資本家
の投資および消費に関する決意が利潤を決定する)というように解釈します。ところが、資本
家の消費は利潤の関数(C=B0+λP, Bは基礎的消費部分で常数、0<λ<1)なので、これを
前の式に代人すると、P=(B0+I)/(1−λ )という式が得られます。さらに、賃金分配率
W−Y(Wは賃金所得、Yは国民所得を表わす)をα(0<α<1)とおくと、利潤分配率は(1−α)
なので、これをさらに代入すると、次の式が得られます。

  (B0+I)
Y=______
  (1−λ )(1−α)

 ここで、1/(1−λ )(1−α)がカレツキの「乗数」に当たります。
 カレツキは、利潤決定の命題を、マルクスの再生産表式をヒントに次のように導き出し
ました。まず、経済を三つの部門(投資財を生産する第1部門、資本家の消費財を生産する第
II部門、労働者の消費財を生産する第III部門)に分けて考えましょう。各部門の生産物の価
値が、不変資本c、可変資本v、および剰余価値mの和に等しいことはマルクス経済学の
ABCですが(以下では、各部門のc、v、mを表わすために下に数字を添えます)、カレツキ
は労働者はその所得(v1+v2+v3)をすべて消費する(c3+v3+m3)仮定しているので、
v1+v2=c3+m3という関係が得られます。この関係を利用すると、粗利潤c+mの総計
(m1+m2+m3+c1+c2+c3)は、第I部門と第II部門の生産物の価値の合計
(c1+v1+m1+c2+v2+m2)に等しくなります。すなわち、P=I+Cと同じ命題が得られるのです。
返信 ID:u5kQk2u7(1/5)

5:49 午前  
Blogger yoji said...

『資本論』の新しい読み方―21世紀のマルクス入門
ミヒャエル・ハインリッヒ 明石英人 (翻訳), 佐々木隆治 (翻訳)他

資本論全三巻プラス国家論を一冊306頁(#1-12)にまとめている。特に第二巻は#6一章だけ
で済ませている。横書きなので表式の説明☆などは読みやすい。


《...
 部門I cI+vI+mI
 部門 II cII+c II+m II

 部門1の生産物は素材的には生産手段からなっている。単純再生産が可能であるためには、
この生産物は両部門で用いられる生産手段を補填しなくてはならない。したがって以下のような
価値比率となる。

 (1)cI+vI+mI=cI+c II

 また、部門IIの生産物は消費手段からなっている。それは両部門の労働者と資本家の使用
をカバーしなければならない。そのためには、次の式になる。

 (2)c II+v II+m II=vI+v II+mI+m II

 両等式はどちらも以下のようになる(等式の両辺の同じ項を引くことによって)。

 (3)c II=vI+mI

 つまり、部門IIで用いられる不変資本の価値は、部門Iの可変資本の価値と剰余価値に等し
くなくてはならない。》

5:51 午前  
Blogger yoji said...



有効需要の原理の発見はマルクス経済学側から行わなければならなかったが、
マルクスの反国家意識がそれを遅らせた。カレツキを待たなければならなかった。

>マルクス経済学 第2章
>https://mint.2ch.net/test/read.cgi/economics/1407899652/582-

6:52 午後  
Blogger yoji said...

http://www.nytimes.com/2013/08/09/opinion/krugman-phony-fear-factor.html
"Phony Fear Factor"
クルーグマンの2013年8月8日のコラムの翻訳です。

… ポーランド人のミハウ・カレツキ (Mchal Kalecki) は、70年前に「完全雇用の政治的考察」と
題する文章を発表した。当時はケインズ的な考えが浸透しつつあった時代で、経済学者の多く
は、完全雇用は政府が支出することで達成できると考えるようになっていた。しかし、カレツキ
は、それにもかかわらず、そのような政府支出は、たとえ不況期であっても、産業界と富裕層か
らの猛烈な反対に会うだろうと予測していた。なぜか?

 カレツキは、その答えは脅迫の手段として「信頼」が幅をきかすからだ、と考えた。政府が直
接、雇用を拡大できないなら、政府は代わりに民間に支出してもらわなければならなくなる。
そうなると、高い税率や金融規制のような特権的な人々を失望させる政策は、(訳注 その
民間の)信頼と、次いでは投資を損なうので、雇用を減らすものとして否定することができる
だろう。ところが、政府が雇用をつくりだすことができるとなると、信頼は重要でなくなる。
そして、それまで利益を得ていた産業界は拒否権を失うことになる。

 カレツキは、産業界のリーダーはこの点をよく理解していると論じている。だから、産業界は、
政府による雇用拡大政策がまさに彼らの政治的影響を損なうことにつながるために、それに
反対するのだ、と論じている。「したがって、政府による市場への介入を可能にする財政赤字
は、危険なものとして認識されなければならないのだ。」

2:26 午前  

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