http://www.freeassociations.org/
以下の脇田成『マクロ経済学のパースペクティブ』#3☆が上のダンロップ=ターシス(によるケインズ)批判に触れている。ただしケインズ批判ではなくRBC批判の文脈においてというところが興味深い。
この問題は雇用に関係するが全体として転形問題に似ている。
ケインズを批判している人は紙幣が紙切れ同然になるインフレを想定していない。実際のところハイパーインフレは先進国では滅多に起きないが戦前のドイツでは起きた。
(貨幣の中立性を疑うトービンは批判されがちだが、トービンは現実の恐慌を見て知っていた。)
脇田の書はラムゼイやRBCに関する2,3章が分かりやすい。ゲーム理論、日本社会論、サーチ理論、計量経済学に触れているので大部になった。DSGEは言及されていない。
マクロ経済学のパースペクティブ
著者名等 脇田成/著
出版者 日本経済新聞社
出版年 1998.05
大きさ等 22cm 384p
要旨 1970年代の「新しいマクロ経済学」の抬頭から四半世紀。その間に登場したさまざま
な分析枠組みをサーベイし、それらの理論的成果が現実の経済の動きとどう関係するかを
考察した意欲作。
目次
第1章 動学的マクロ経済学の発展と日本経済
第2章 最適成長モデルと時間を通じた決定
第3章 RBCモデルの基本構造―新しい景気循環の理論 ☆
第4章 世代重複モデルと社会保障
第5章 消費と資産価格―高すぎる株価収益率のパズル
第6章 企業と投資関係―タイミングを決める理論
第7章 新ケインジアン経済学と協調の失敗―透明な市場は創出できるか
第8章 契約とサーチの理論―実質賃金硬直性と労働市場のモデル
第9章 貨幣と信用の理論―日本のバブルの物語
第10章 内生的成長理論―「貧しいままの国」と「ますます富める国」
脇田の扱い方と違い、通常ダンロップ=ターシス批判はマネタリズムを強化することに使われているようだ。
今は完全雇用なのか? 総需要の効果、労働需給曲線、UV分析…… - Togetterまとめ
https://togetter.com/li/1078720視点争点:アベノミクスで実質賃金は緩く上昇(参考文献紹介) - ハリ・セルダンになりたくて
http://d.hatena.ne.jp/koiti_yano/20130805/p1本日発売の「週刊エコノミスト」の連載「視点争点」に矢野の記事「アベノミクスで実質賃金は緩く上昇」(文字数に制限があり、このタイトルになりました)が掲載されています。紙数の関係上、参考文献を載せられなかったので、このエントリーで補足します。
ケインズが「雇用・利子および貨幣の一般理論」で「実質賃金は景気に反循環的半循環的である」と述べたがの1936年。それに対する実証的批判はダンロップとターシスによってそれぞれ1938年、1939年に行われました。当時ダンロップは24歳で、アメリカからケインズの所に留学中。その後、89歳まで生きたダンロップは1998年にJournal of Economic Perspectivesにこの論争(実質賃金は反循環的半循環的か順循環的か)についてサーベイ論文(というか回顧論文?)を書いています。
http://pubs.aeaweb.org/doi/pdfplus/10.1257/jep.12.2.223
日本で実質賃金が順循環的か反循環的半循環的かについては以下の実証が有名です。有賀他(1992)
http://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list2/r22/r_22_130_161.pdf
矢野の今回の記事で1997年以降のデータに限ってグラフを作ったのは以下の研究に基づきます。
黒田祥子・山本勲、(2006)、『デフレ下の賃金変動―名目賃金の下方硬直性と金融政策』、東京大学出版会
全般的な議論としては以下の教科書の第5章(特に第6節)にまとまっています。
ローマー(2010)、『上級マクロ経済学[第3版]』(日本評論社、堀雅博・岩成博夫・南
條隆訳)
労働需給曲線で考えるアベノミクス|批判的頭脳
http://ameblo.jp/nakedcds/entry-12134814210.htmlラベル: rbc
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