水曜日, 2月 17, 2016

新しい金融論―信用と情報の経済学 スティグリッ他、Towards a NewParadigmin Monetary Economics -Stiglitz

                 ( 経済学リンク::::::::::

スティグリッツ 公共経済学 Economics of the Public Sector by Joseph E. Stiglitz
http://nam-students.blogspot.jp/2016/02/economics-of-public-sector-by-joseph-e_65.html
地域再投資法(CRA= Community Reinvestment Act)
http://nam-students.blogspot.jp/2016/02/cra.html
新しい金融論―信用と情報の経済学 スティグリッツ他、Towards a New Paradigm in Monetary Economics -Stiglitz
http://nam-students.blogspot.jp/2016/02/towards-new-paradigm-in-monetary.html(本頁)
NAMs出版プロジェクト: 情報の非対称性 スティグリッツ
http://nam-students.blogspot.jp/2016/04/blog-post_0.html
Monetary Policy, Inflation, and the Business Cycle: Jordi Gali/Monetary Theory and Policy: Carl E. Walsh: 洋書
http://nam-students.blogspot.jp/2016/02/monetary-theory-and-policy-carl-e-walsh.html
サーチ理論:メモ
http://nam-students.blogspot.jp/2016/03/blog-post_34.html













新しい金融論 信用と情報の経済学 / 原書名:Towards a new paradigm ...


www.neowing.co.jp/product/NEOBK-255364
本/雑誌. 新しい金融論 信用と情報の経済学 / 原書名:Towards a new paradigm in monetary economics. J.E.スティグリッツ B.グリーンワルド 内藤純一 家森信善. 3456 円. ポイント, 1% (34p). 発売日, 2003/10/28 発売. ノーベル賞受賞後の話題に乗って日米同時刊行。

ロールズに言及していたり、貨幣を媒介にしないコーン経済(-(貨幣のない経済),106頁)を論じていて興味深い。
スティグリッツはケインズ以前の「貸付可能資金(loanable funds)」の概念に戻ろうとしている(iii,152頁)。第一部の理論を第二部で現実化させようとしている点が野心的だ。スティグリッツは2016年2月に邦訳が出た近著ではピケティに言及していたが、ケインズが一目置いていたゲゼルをどう評価するのだろうか?

信用関係の一般均衡モデル(#7,139頁~)には、リーマンショック以降に見ると新たなリアリティがある。

 7.1 General equilibrium credit relations model 一般均衡信用関係モデル 140頁

7.2  Model of credit interlinkages with thee firms 3つの企業での信用の連鎖モデル 143頁



Towards a New Paradigm in Monetary Economics | Macroeconomics and Monetary Economics | Cambridge University Press
http://www.cambridge.org/fk/academic/subjects/economics/macroeconomics-and-monetary-economics/towards-new-paradigm-monetary-economics

Towards a New Paradigm in Monetary Economics







Table of Contents

Introduction
Part I. Theory:
1. Reflections on the current state of monetary economics
2. How finance differs
3. The ideal banking system
4. Restricted banking
5. Market equilibrium
6. From the corn economy to the monetary economy
7. Towards a general equilibrium theory of credit
Part II. Applications:
8. Monetary policy
9. Regulatory policy and the new paradigm
10. Financial market liberalization
11. Restructuring the banking sector
12. Regional downturns and development of monetary policy
13. The East Asia Crisis
14. The 1991 US recession and the recovery
15. The new paradigm and the new economy
16. Concluding remarks.


Look Inside




J.E.スティグリッツ, B.C.グリーンワルド, 内藤 純一 他訳
ISBN978-4-13-040209-5, 発売日:2003年10月下旬, 判型:菊, 376頁
〈現実〉を突き動かす革新的経済理論――2001年ノーベル経済学賞に輝いたスティグリッツの「情報の経済学」における先駆的業績を核とし,「信用」(credit)をキーワードに構築される金融理論の新パラダイム.その理論は,豊富な実務経験と現実問題への批判的精神から導きだされ,金融危機などの困難に直面したとき,より一層鋭さを増す.原著は,Towards a New Paradigm in Monetary Economics,Cambridge University Press, 2003.


主要目次

第I部 新しいパラダイムの原理
 1 現在の金融論についての考察
 2 金融はどこが違うのか
 3 完全競争の下での銀行業システム
 4 競争が制限された銀行業(つまり,今日の銀行システム)
 5 市場均衡
 6 コーン経済から貨幣経済へ
 7 信用の一般均衡理論に向けて
第II部 新しいパラダイムの適用
 8 金融政策
 9 規制政策と新しいパラダイム
 10 金融市場の自由化
 11 銀行業部門の再構築
 12 地域の景気下降と発展,そして金融政策
 13 東アジア危機
 14 1991年のアメリカの景気後退とその後の回復
 15 ニュー・パラダイムとニュー・エコノミー
 16 結び
文献/索引

Towards a New Paradigm in Monetary Economics (Raffaele Mattioli Lectures)[Kindle版]

Joseph Stiglitz Bruce Greenwald 
  • フォーマット: Kindle版
  • ファイルサイズ: 5626 KB
  • 紙の本の長さ: 344 ページ
  • 同時に利用できる端末数: 出版社からの制限により、この本を同時に読める端末数は最大4台までとなります
  • 出版社: Cambridge University Press (2003/9/4)
  • 販売: Amazon Services International, Inc.
  • 言語: 英語

新しい金融論―信用と情報の経済学 | J・E・スティグリッツ, ブルース グリーンウォルド, ジョセフ・E. スティグリッツ, Joseph E. Stiglitz | 本 | Amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/dp/4130402099?_encoding=UTF8&isInIframe=0&n=465392&ref_=dp_proddesc_0&s=books&showDetailProductDesc=1#product-description_feature_div


商品の説明

内容紹介

【「新しい金融論」について】 本書『新しい金融論』は,今までにはない,まったく革新的な金融理論を示すものであって,この理論は,筆者の一人が2001年にノーベル賞を受賞することになった情報の経済学における先駆的業績から導かれたものである.本書は.通常の金融理論とは異なり,取引促進のための貨幣(money)ではなく,より広義の,経済活動を活発化させる信用(credit)の役割に注目する.また,本書は貸出可能資金(loanable funds)の需要と供給を強調するが,そのためには,銀行やその他の機関が経済活動において,信用度をいかにして評価するかを理解しなければならない.本書は銀行が信用を供給する意欲と能力を決定する要因を説明するとともに,経済のなかに張り巡らされた信用の連鎖がどういう結果をもたらすか,政策を遂行する上で新パラダイムの理論がどういう意義を有するかを論じる.さらに,たとえば,ニュー・エコノミーと呼ばれるような経済の構造変化が金融政策の有効性や経済の安定性にどのような形で影響を及ぼすかについても分析する.そして,本書は,経済を完全雇用水準に回復させる上で金融政策が有効でないのはどういう状況にある時かを示すとともに,そうした状況は将来,ますます拡大していく可能性があることを論じる.
(原著出版社 Cambridge University Press からの説明より)

推薦文 
榊原英資(慶應義塾大学教授)
マクロ経済学・金融論の枠組みを大幅に変える画期的著作.J.M.ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』以来,貨幣を中心に展開されてきた理論を「信用の一般理論」を提示することによって書き直そうとする意欲的試みでもある.情報の非対称性を理論の基礎に据えることによって,従来の新古典派的分析の弱点を浮き彫りにしている点も興味深い.
筆者達は,従来までのマクロとミクロの二分法が多くの政策的困難を引き起こしていると論じている.周知のように,経済の安定化を図るマクロ金融政策はマクロ経済学の応用分野であり,金融監督・銀行規制を基礎づけるのはミクロ経済学だと従来から考えられてきたが,このことが景気の振幅や経済の乱高下を不必要に激しくしているとスティグリッツ・グリーンワルドは論じているのである.マクロ金融政策と監督・規制行政を一体的に運用すれば政策のパフォーマンスは大きく改善されると彼等は主張し,そのための理論モデルを本書で提示しているのだ.

内容(「BOOK」データベースより)

2001年ノーベル経済学賞に輝いたスティグリッツの「情報の経済学」における先駆的業績を核とし、「信用」(credit)をキーワードに構築される金融理論の新パラダイム。その理論は、豊富な実務経験と現実問題への批判的精神から導きだされ、金融危機などの困難に直面したとき、よりいっそう鋭さを増す。“現実”を突き動かす革新的経済理論を解説。

内容(「MARC」データベースより)

現実の経済状況とそれを読み解く理論とのキャップを埋めるべく、ノーベル経済学賞を受賞した「情報の経済学」研究を核とし、「信用」をキーワードに金融理論の新たなパラダイムを展開する。現実を突き動かす革新的経済理論。

レビュー

'… recommended reading for all monetary economists and practitioners alike.' International Affairs

'Overall this is an excellent contribution to our understanding of the functioning of modern financial markets. It will become essential reading for students, researchers, practitioners and policy-makers with an interest in the behaviour of monetary and financial systems.' Journal of International Development --このテキストは、ペーパーバック版に関連付けられています。

著者について

【著者プロフィール】
ジョセフ・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz)
現在,コロンビア大学経済金融論担当教授として,同大学ビジネス・スクール,国際公共問題研究科,および経済学部を兼務している.クリントン政権下では,大統領の経済諮問委員会の委員長も務め,また世界銀行の上席副総裁および主任エコノミストの地位にあった.2001年に,「情報の経済学」における業績によってノーベル経済学賞を授与された.

ブルース・グリーワルド(Bruce Greenwald)
現在,コロンビア大学ビジネス・スクールにおける,金融および資産運用に関するロバート・ヘイブラン(Robert Heibrunn)講座の担当教授である.スティグリッツとの共同論文も含め,企業金融や情報の経済学の分野で数多くの業績がある.


【訳者プロフィール】
内藤純一(ないとう じゅんいち)
財務省大臣官房審議官(経済政策・経済分析担当)
1951年生まれ.東京大学経済学部卒.大蔵省(現在の財務省)入省.銀行局調査課長,銀行課長,金融企画局企画課長,大臣官房会計課長等を歴任,2001年8月より03年6月まで名古屋大学大学院経済学研究科教授(国際経済動態研究センター).03年7月より現職.
『EMS(欧州通貨制度)-欧州統合に向けた壮大な実験』(教育社、1980年),『経済失政――エコノミストたちの大罪』(榊原英資・内藤純一共著、中央公論新社、2002年),「金融の1930年代モデルの終焉と21世紀型システムへの展望」(財務省・財務総合政策研究所ディスカッション・ペーパー,2003年),「韓国の金融・通貨危機と日本の平成金融デフレの比較論」(名古屋大学『経済科学』2003年)等,他にも経済誌などに論文を多数発表.

家森信善(やもり のぶよし)
名古屋大学大学院経済学研究科・高等研究院助教授
1963年生まれ.神戸大学大学院経済学研究科博士前期課程修了.姫路独協大学経済学部助教授等を経て,96年より現職.経済学博士.この間、コロンビア大学客員研究員、サンフランシスコ連邦準備銀行客員研究員などを務める.
『生命保険金融の経済分析』(千倉書房,1995年),『日本の金融機関と金融市場の国際化』(千倉書房,1999年),『教養としての金融知識』(中央経済社,1999年),『基礎からわかるマクロ経済学』(中央経済社,2001年),『信頼できる銀行ってこんなに簡単にわかるんだ』(中央経済社,2003年),"Financial Turbulence and the Japanese Main Bank," Journal of Financial Services Research (forthcoming)など,海外の学術雑誌に論文多数.

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

スティグリッツ,ジョゼフ・E.
コロンビア大学。2001年ノーベル経済学賞受賞 

グリーンワルド,ブルース
コロンビア大学 

内藤/純一
財務省大臣官房審議官(経済政策・経済分析担当)。1951年兵庫県生まれ。75年東京大学経済学部卒業。同年大蔵省(現在の財務省)入省。銀行局調査課長、銀行課長、金融企画局企画課長、大臣官房会計課長等を歴任。2001年8月より03年6月まで名古屋大学大学院経済学研究科教授(国際経済動態研究センター)。03年7月より現職 

家森/信善
名古屋大学大学院経済学研究科・高等研究院助教授。1963年滋賀県生まれ。86年滋賀大学経済学部卒業。88年神戸大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。姫路独協大学経済情報学部助教授等を経て、96年より現職。経済学博士。この間、コロンビア大学客員研究員、サンフランシスコ連邦準備銀行客員研究員などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報




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情報の経済学でノーベル経済学賞を受賞した大物、スティグリッツの傑作。

最近のノーベル経済学賞は質の低下が叫ばれるが、この方は別格の存在である。

本作を分かり易く言うと、修正経済学である。

経済学は「国民が理論的に行動」、「全ての人が、同時に同じニュースを見る」等の、現実的には有りえない仮定の下で、単純化したモデルで経済を分析する学問であるが、単純化のために、現実に即さない箇所も多々ある。

そこで、本作は情報の経済学(全ての人が同じ情報を持っているのではない、売り手の方が、商品の専門家なので、買い手よりも詳しい)の観点から、経済学を見直し、現実に即した内容に修正している。

やや複雑にはなるが、現実に大きく近づいており、机上の空論を現実に使える理論にした功績は余りにも、大きい。

既存の経済学に物足りなさを感じていた方にお奨め致します。

尚、計算式が色々と出てきますが、解説さえちゃんと読めば、計算式は飛ばしても、十分に理解出来ます。

一ページに一論文の内容が凝縮されていると言っても、過言ではない、濃密な大傑作ですが、意外に分かりやすいので、計算式は無視して、気軽に手に取ってみて下さい。
コメント  30人中25人のお客様がこれが役に立ったと考えています。. このレビューは参考になりましたか? 

参考: 
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000006360.html

消費税は消費を冷やす“悪い税金”ノーベル賞学者(2013/05/31 20:41)

    ノーベル賞を受賞したアメリカの経済学者、ジョセフ・スティグリッツ氏が講演で、来年4月からの消費増税に慎重姿勢を示しました。  米・コロンビア大学、ジョセフ・スティグリッツ教授:「消費税のみ単独で増税するには時期尚早です。増税するのであれば、ほかの政策も同時に実施しなければなりません。消費税よりも効果があるのが環境税です。環境対策にもなり、次世代を守ることにもつながります」  スティグリッツ氏は、東京都内での国際会議で、消費税は消費を冷やす「悪い税金だ」と指摘しました。また、テレビ朝日などの取材に対し、政府が目指している来年4月の消費増税は時期尚早だと述べたうえで、消費税よりも、二酸化炭素の排出量に応じて課税する「環境税」のほうが税収につながるという見方を示しました。環境税は企業に新たな設備投資を促すため、経済活性化にもつながるとしています。  一方、株価の乱高下が続き、アベノミクスの副作用が懸念されていることについて「実施しないほうが将来的なリスクになる」と述べ、安倍政権が進めている経済政策の成果を評価しました。 クルーグマンも同じ意見: ノーベル賞経済学者クルーグマン 「日本経済は消費税10%で完全に終わります」 2014年09月16日(火) 週刊現代http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40411

ジョセフ・E・スティグリッツ : 公共政策大学院留学@英国古都ヨーク
http://oldyorker.exblog.jp/4691771/
ジョセフ・E・スティグリッツ アメリカ人の経済学者で、2001年にノーベル経済学賞を受賞。クリントン政権では、米国大統領経済諮問委員会委員長(1995年〜97年)を務め、その後は世界銀行で上級副総裁、主席経済学者(1997年〜00年)を務めた。(Wikipediaより引用) 今週のGovernanceのゼミのトピックは、IMF・世界銀行の役割について。 スティグリッツは、アジア金融危機当時、世銀をリードしていた立場にありながら、現在はIMFの政策を表立って批判しています。 IMFが米国財務省に(事実上)支配され、米国財務省はウォールストリートに支配されていることはよく知られています。(現ヘンリー・ポールソン米財務長官は元ゴールドマンサックスCEO) 実際、アジア金融危機の際にIMFが行った、タイバーツなどの現地通貨を買い支えるための融資資金は最終的にその国に投資していたヘッジファンドを潤しただけで、結局現地通貨の暴落を食い止めることができなかったのです。 逆に、IMFの言うことを聞かなかったマレーシアや韓国、中国は短期間で危機を乗り越えています。 グローバリゼーションは、米国(などの西側先進国)の利潤追求の手段だと言われることがよくありますが、実際には、米国民の利益で(さえ)なく、米国に本部を置いている多国籍企業やヘッジファンドに代表されるウォールストリートの利益にしかなっていない、という場面も多いです。 例えば米国からの圧力で(日本市場を開放したことにより、)トイザラスは日本に進出することができましたが、トイザラスはほとんどの製品を中国で生産している多国籍企業なので、ほとんど米国民は利益を受けていないのです。 大体、IMFが途上国に対して説いている、「財政赤字の削減と増税」などは、最大の皮肉です。双子の赤字で有名な米国が世界最大の赤字国なんですから。 週末からこの本をずっと読んでいますが、難しい数式などは一切用いずに平易な文章で淡々と解説しているので、とてもわかりやすいです。Globalization and Its Discontents(邦題:世界を不幸にしたグローバリズムの正体)
ジョセフ・E・スティグリッツ『(TPPの様な)貿易協定のそれぞれの条項の背後には、その条項をプッシュしている企業がある。USTR(米国通商代表部)が代表しているのは特定企業の利益であって、米国民の利益では無く、ましてや日本人の利益は全く念頭に無い。』
 
___________

これから始まる「新しい世界経済」の教科書: スティグリッツ教授の
ジョセフ・E・スティグリッツ著  エディション: 単行本
価格: ¥ 1,728
5つ星のうち 4.0 Rewriting the Rules of the American Economy(2015)の邦訳, 2016/2/19
レビュー対象商品: これから始まる「新しい世界経済」の教科書: スティグリッツ教授の (単行本)

Rewriting the Rules of the American Economy(2015)の邦訳。 アメリカの事例が中心だが、参考になる。 アメリカでは、80年代以降株主への配当が二倍近くになっているが(四割から一割へ)、投資は増えていない。 94頁参照 CEO報酬制度などはまだ日本では一般的ではないが、株主優遇は同じだし、「短期主義的」傾向に近づきつつある。
ピケティへの言及も興味深い。「中間層を成長させる」(第5章章題)のがとりあえずの策である。

Rewriting the Rules of the American Economy: An Agenda for Growth and Shared Prosperity November 2, 2015 by Joseph E. Stiglitz (Author)

https://www.researchgate.net/file.PostFileLoader.html?id=5660ee735cd9e3d9fe8b4576&assetKey=AS%3A302751853023232%401449193074997
原著はレイアウトが優れている。

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http://matsuo-tadasu.ptu.jp/essay__160219.html
松尾匡のページ

 最近、日銀が、民間銀行から預かっているおカネに利子をつけていたのをやめて、逆に手数料を取るという、いわゆる「マイナス金利」政策を始めて、世の中大騒ぎになっています。

  日銀が、民間銀行の預けているおカネにプラスの利子をつけたのは、2008年のリーマンショックのあと、一時やめていた量的緩和(金融緩和のすごいやつ)を復活してからです。私はなんでこんなことするのかわかりませんでしたけどね。当時は白川さんの時代でしたけど。

  実は、アメリカの中央銀行(フェッド)も、ほぼ同じ時期に、民間銀行の預けているおカネに利子をあげることを始めています。

  この政策について、去年の末、サンダースさんがニューヨークタイムズに書いた論評の中でこんなふうに言っています。

 The New York Times
Bernie Sanders: To Rein In Wall Street, Fix the Fed
By BERNIE SANDERS, DEC. 23, 2015
より

Second, the Fed must stop providing incentives for banks to keep money out of the economy. Since 2008, the Fed has been paying financial institutions interest on excess reserves parked at the central bank ― reserves that have grown to an unprecedented $2.4 trillion. That is insane. Instead of paying banks interest on these reserves, the Fed should charge them a fee that would be used to provide direct loans to small businesses.

 [拙 訳]第二に、フェッド(アメリカの中央銀行)は、銀行が経済の外におカネを置いておくことへのご褒美を与えるのをやめなければならない。2008年以来、 フェッドは、中央銀行に預けてある超過準備(民間の銀行が決められた額以上に中央銀行に預けてあるおカネ)への利子を、金融機関に対して支払ってきた。お かげで、超過準備は史上空前の2兆4千億ドルにまで膨れ上がっている。全く正気のさたではない。こんな超過準備への利子を銀行に払う代わりに、フェッド は、銀行から手数料を取るべきである。本来そのおカネは、中小企業のための直接の貸付として使われるべきもののはずだからである。

  いやあ、いいですねえ。そのとおり。まさに最左翼候補の言うべき主張でしょう!

 あるいは、スティグリッツさん。やはり私の本でも取り上げましたけど、アメリカの代表的なリベラル派のノーベル賞経済学者ですね。

   このスティグリッツさんが、つい先日、ラシドさんってバングラデシュの人らしいのですが、その人と連名でエッセーを書いています。その中で、やっぱり、中 央銀行が、民間の銀行が預けているおカネに利子をつけていることを批判しています。こんなことをしたせいで、量的緩和でジャブジャブおカネを出しても、そ のまま民間の銀行が中央銀行の口座に預けたままにしてしまって効果が殺がれてしまったと言っているのです。
 そしてそれに続いてこんなことを言っています。

 What's Holding Back the World Economy
Joseph E. Stiglitz, Hamid Rashid; 8.Feb.16
より

This amounts to a generous - and largely hidden - subsidy from the Fed to the financial sector. And, as a consequence of the Fed's interest-rate hike last month, the subsidy will increase by $13 billion this year.

 [拙訳] (フェッドが超過準備に利子を払ったために、量的緩和の力が殺がれてしまったという議論のあとで)
これは結局のところ、気前のいい──そして大方には隠された──フェッドから金融業界への補助金だったと言ってよい。そして、フェッドの先月の利上げの結果として、その補助金は今年130億ドルにものぼるだろうというわけだ。

 To have the desired effect, QE should have been accompanied not only by official efforts to restore impaired lending channels (especially those directed at small- and medium-size enterprises), but also by specific lending targets for banks. Instead of effectively encouraging banks not to lend, the Fed should have been penalizing banks for holding excess reserves.

 [拙訳]望ましい効果を発揮するためには、量的緩和にともなって次のことがなければならなかった。ひとつは、損なわ れた貸付チャンネルを修復するための公的な取組み(特に、中小企業への直接の貸付について)である。そしてそれだけではなく、銀行に対して一定の貸付目標 を課すべきであった。銀行に対して貸付させないように効果的に煽るやり方ではなくて、フェッドは超過準備を保持することへのペナルティを銀行に課すべき だった。

 いやあ、もう「左派の世界標準」って言葉は言い飽きたのですけど、なんべん言えばいいのでしょうねえ。

  スティグリッツさんみたいなリベラル派はヌルすぎて駄目ですかそうですか。サンダースさんは社会主義者を自称していますけどやっぱりヌルいですか。
 ではガチ左翼のマルクス経済学では、「利子」ってそもそも何ですか。労働者から労働を搾取した剰余価値からきているんですよね。みなさんちゃんと『資本論』読んでますか。
_________

スティグリッツの提案は地域再投資法(CRA)そのものだ。

2 Comments:

Blogger yoji said...

http://www.hamacho.net/column/archives/28622
スティグリッツ:量的緩和が失敗した原因

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ノーベル経済学賞学者ジョゼフ・スティグリッツ教授が量的緩和政策の失敗を分析した。1)
貸出・投資を喚起できなかったと指摘し、格差や経済減速をもたらす独占を排除すべきと説く。

リーマン危機後いち早く米国は量的緩和に踏み切った。
マネタリー・ベースの拡大を図り、市中銀行がFRBに保有する超過準備への付利を維持した。
スティグリッツ教授は市中銀行へのこの利払いを「寛大でほとんど知られていない補助金」と批判している。
皮肉にもこの補助金の率(付利の利率)は、12月の利上げとともに引き上げられた。

この付利はFRBが政策目標を達成するためのインセンティブだった。
結果、マネタリー・ベースは積み上がった。
しかし、それが貸出や事業投資に向かうことはなかった。
市中銀行はリスクのある貸出より確実に稼げる超過準備を好んだ。
企業はリスクのある事業投資より自社株買いを好んだ。
結果はどうだったか。

金融政策も金融セクターも期待された結果を上げなかった。
洪水のような流動性がいびつな形で金融財産を作り、資産バブルを生んだ。
実体経済を強化することにはならなかった。

もっとも、このことは量的緩和を始めたベン・バーナンキFRB議長(当時)自身が覚悟していた。
バーナンキのジョークとして知られる発言がそれを示している。
ただし、本人は効果があったと今も信じているのだろう。

量的緩和は実体経済と金融経済のダイバージェンスを生んだ。
実体経済も改善したが、金融経済ほどの拡大はなかった。
実体経済をともなわない金融経済の拡大は、かえって実体経済の脆弱性を拡大することとなった。
どこでボタンを掛け違ったのか。

期待された効果を発揮するためには、不全をきたした貸出経路(特に中小企業向け)を回復させるだけでなく、個々の銀行に貸出ノルマを課すべきだったのだ。
銀行に貸さないよう促すのではなく、超過準備にペナルティを課すべきだったのだ。

なんと示唆に富む指摘だろう。
筆者はこれを読んで2つの事例を思い出した。
1つ目は2010年の日銀による「成長基盤強化を支援するための資金供給」だ。
まさに、貸出経路を確保し、ノルマではないがスイートナーをつけようという施策だった。
白川総裁(当時)が悩みぬいて打ち出した施策であり、質という面で画期的なものだった。
ただし、日本はこれをもってしても流動性の罠から抜け出せていない。

もう1つは日欧が取り組むマイナス金利であり、超過準備に対するペナルティである。
これも、少なくともユーロ圏を見る限りはかばかしくない。
量的緩和よりは気が利いているような気がするが、効果を判断するのはまだまだ先になろう。

スティグリッツは進むべき道を示す。
・インフラ投資
・教育
・技術
・環境税
・格差/経済減速を生む独占の排除
理想は高く、道は長い。

(出典)
1) ジョセフ・スティグリッツ他, Project Sysndicate(2016),「What’s Holding Back the World Economy?」, https://www.project-syndicate.org/commentary/whats-holding-back-the-global-economy-by-joseph-e–stiglitz-and-hamid-rashid-2016-02 (参照2016/2/10)

7:14 午後  
Blogger yoji said...

質問失礼します。外国部学部2年です。現在独学でミクロ(神取2014→ヴァリアン入門)、マクロ(齊藤他→マンキューマクロ経済学)と勉強しました。
この先のテキストを調べたところ、次のテキストがよさそうだと分かり、この矢印の流れで学習していきたいのですが、いかがでしょうか?
ミクロ:ヴァリアン分析→Silberberg&Suen→MWG、マクロ:Romer→Adda&Cooper→DaronAcemoglu→LS
ちなみにミクロは全範囲を広く浅く、マクロは経済成長論をやりたいです。また、そのあと余裕があれば、ファイナンス・計量・金融論もやりたいのですが、いいテキストあれば教えて下さい。


金融といっても広いからな…

銀行論ならFreixas(やや不親切。輪読に使うと良い)、monetary theoryなら加藤、Walsh、Galiか。
Asset pricingならCochrane、Daffie、Campbell(最近出た。指導教員曰く難しいとのこと)。Time series なら沖本、Hamiltonとか。

8:37 午前  

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