木曜日, 5月 12, 2016

ラッセル:メモ



《現在の体制がもつ諸弊害は、消費者、生産者、資本家、といういくつかの立場の利害が、分断されていることから派生している。これら三つの立場のいずれの一つをとってみても、その利害は共同社会全体の利害、あるいは他のどの立場の利害とも同じではない。生活協同組合(コオパラティヴ)の組織は、消費者と資本家の利害を融合させており、産業協同組合主義(サンディカリズム)は、生産者と資本家の利害を融合させようとする。いずれも、さきの三つの利害をすべて融合させるものではなく、また産業を牛耳る人々の利害を、共同社会の利害にまったく同一化させようともしていない。したがってこの二者はいずれも、産業界の闘争をまったく防止しうるわけではなく、調停者としての国国家の必要性を、なくしてしまうわけでもない。しかしそのいずれにしても、現在の体制よりはましであって、おそらく両者のある折衷形態が、現存するままの工業生産体制がもつ諸弊害を、大部分、癒やすことになるであろう。》


ラッセル「社会改造の諸原理」第四章 財 産



◆原著まえがき 

第一章 成長原理 

第二章 国 家 

第三章 制度としての戦争 

第四章 財 産 

第五章 教 育 

第六章 結婚と人口問題 

第七章 宗教と教会 

第八章 われわれは何をなしうるか