木曜日, 5月 05, 2016

レオンチェフ、産業連関表:再考

                      ( 経済学リンク::::::::::) 

NAMs出版プロジェクト: レオンチェフ、産業連関表:再考

http://nam-students.blogspot.jp/2016/05/blog-post_6.html(本頁)

NAMs出版プロジェクト: 産業連関表(レオンチェフ)

http://nam-students.blogspot.jp/2014/06/wikipedia.html
均斉成長経路(1937): ジョン・フォン=ノイマン (John von Neumann), 1903-1957
http://nam-students.blogspot.com/2016/06/john-von-neumann-1903-1957.html

齊藤他マクロ#2で詳述されているレオンチェフ産業連関表は、マルクス再生産表式を元にしている。マルクスは行列式を使っていないが同じことをしている(シンプルだから動学化しやすい)

                ケネー経済表(幾何学)   
                   ↓ 
                マルクス経済表
ワルラス一般均衡理論      マルクス再生産表式
 (微積分)   ↓       ↓       ↓
       レオンチェフ産業連関表(行列式) カレツキ再生産表式


レオンチェフの産業連関表は、マルクス経済学の枠組みで考えられる。森嶋通夫の『マルクスの経済学』なども読みようによってはほとんどレオンチェフの産業連関表への賛辞に読める。
カレツキはマルクス再生産表式の生産手段(生産)部門、生産財生産部門を二つにわけることで有効需要の概念をケインズに先駆けて定式化した。)

「投入産出表は、ある国民経済について各部門間の財・サービスの流れを記録したものである。経済を何部門に分割するかは、その表を利用して伝達しようとする情報の詳しさに依存している。」
レオンチェフ「経済計画と経済予測の方法」(邦訳『経済学の世界』181頁より)
Wassily Leontief "Tecniche moderne per la pianificazione e la previsione economica". La Scuola in Azione, Ente Nazionale Idrocarburi, Scuola Enrico Mattei di Studi Superiori Sugli Idrocarburi, Anno di Studi 1963—64, No. 23, pp. 5—16. English Version: "Modern Techniques for Economic Planning and Projection." In Essays in Economics (*).
*Essays in Economics: Theories and Theorizing. Oxford University Press, Inc., 1966, pp. xii + 252. 

「…現代経済理論に対してマルクスの経済学のもつ重要性は、問題の最終的解決について成否の定かで
ないこのような試み(注:景気循環理論をめぐる錯綜)などにではなく、主として『資本論』第二巻、そして
一部は第三巻で行われた準備作業にこそある。ここでわたくしは、マルクスの有名な資本の再生産表式
のことを思い浮かべているのだ。」
レオンチェフ「マルクス経済学の現代的意義」(邦訳『経済学の世界』101頁より)
"The significance of Marxian economics for present-day economic theory". The American Economic 
Review, Vol. 28, No. 1, March 1938.

ちなみに宇野経済学(その原理論はヘーゲル論理学の構成を元とするのでマルクス=ヘーゲル経済学と呼んでもいい)は国家を段階論に組み入れ別枠にすることで意識化したので、国策に無意識的に迎合する危険を回避し得る。今日の経済学者によるレオンチェフ産業連関表の出自の隠蔽は新自由主義的な国策への迎合と軌を一にする。

経済学理論連関表:

      販路の構成→

費用の構成
   ↓ 
      マルクス再生産表式→レオンチェフ産業連関表→有効需要の理論(現実化)
                               ↑
         ↑            ↑      カレツキ再生産表式
                ワルラス一般均衡理論
      マルクス経済表
         ↑     
      ケネー経済表 

なお、資金循環表になるとフローだけでなくストックを見ることになるのでピケティの問題意識に近づく。マルクスも本源的蓄積を含めストックを含め意識化しているが不変資本関連に分析が集中している。

邦訳『産業連関分析』(1966原著=1969邦訳)がある。所謂レオンチェフのパラドックス**は第五章「国内生産と外国貿易」*の69頁(及び第六章「要素比率とアメリカ貿易の構造」)。大概の歴史的発見は多かれ少なかれ発見されるが、レオンチェフがいなければこのパラドクスは発見されてないのではないか?

*
  1. ^ Leontief, Wassily (1953). "Domestic Production and Foreign Trade; The American Capital Position Re-Examined"Proceedings of the American Philosophical Society 97 (4): 332–349. Retrieved 27 April 2016 – via JSTOR(registration required (help)).

**
貿易論では一般的に、資本が相対的に沢山ある国は資本集約的な工業製品を沢山生産して輸出し、労働集約的な農業製品を輸入しているはずであるが、アメリカはこの逆で、農業製品を輸出して、工業製品を輸入していた。また金融業、コンサルティング業、ソフトウェア業などの労働集約型の産業が大きな利益を得ていた。このパラドックス(逆説)を発見したのがハーバード大学教授のレオンチェフ



        
産業連関表 (さんぎょうれんかんひょう)
英語 : interindustry-relations table (インターインダストリ・リレーションズ・テイブル)
産業連関表とは、国民経済計算(SNA)の統計の1つで、「ある一定期間に、財やサービスがどのように産業間を循環していくか」を集約した表をいいます。
産業連関表は米国の経済学者レオンチェフにより考案されたもので、投入・産出表IO表レオンチェフ表ともいいます。
国民経済計算(SNA)では、国民所得勘定、産業連関表、資金循環表、国民貸借対照表、国際収支表という5つの体系から、一国の経済におけるフローやストックを捉えます。
国民経済計算
(SNA)
国民所得勘定
フロー(生産や所得)を捉える
産業連関表
モノの流れを捉える
資金循環表
お金の流れを捉える
国民貸借対照表
ストック (資産や負債)を捉える
国際収支表
外国との取引を捉える
≪産業連関表の捉え方≫
産業連関表では、生産物の流れを企業の「販売」と「仕入」という2面から表形式で捉えます。
◆販売(行方向)
表を横の行方向にみると、「生産物をどこへどれだけ販売したか」、また「その生産物がどのように使われているか」という商品の販路(販売先)の構成がわかります。
行方向は、アウトプット(output)を表します。アウトプットとは、生産要素を投入して生産された財・サービスのことで、産出物、産出量ともいいます。
◆仕入(列方向)
表を縦の列方向にみると、「生産のために原材料をどの部門からどれだけ購入したか」という費用の構成がわかります。ここでは、付加価値がいくらかわかるようになっています。付加価値の内訳は、賃金と利潤です。
列方向は、インプット(input)を表します。インプットとは、生産に必要な生産要素のことで、投入物、投入量ともいいます。
販売(行方向)
販路の構成
アウトプット(産出物、産出量)
仕入(列方向)
費用の構成
インプット(投入物、投入量)
≪産出額の合計(行方向)=投入額の合計(列方向)≫
産業連関表の横の行方向からみた産出額の合計と、縦の列方向からみた投入額の合計はすべて一致します。
たとえば、農業と工業の2産業からなる産業連関表があるとします。
行方向にみると、農業部門でつくりだした製品は、農業部門自身に30販売され、工業部門に60販売されて、最終需要として10が需要されています。 行方向の生産額には、「中間生産物(農業30、工業60)+最終需要10=生産額100」という関係があります。ここでは、最終需要の合計(農業部門10+工業部門50)が国内所得60となります。
一方、列方向にみると、農業部門の生産物の費用の内訳として、農業部門自身から30を仕入れ、工業部門から50を仕入れ、付加価値として20を上乗せしたことが示されています。列方向の生産額には、「農業30+工業50+付加価値20=生産額100」という関係があります。ここでは、付加価値の合計(農業部門の付加価値20+工業部門の付加価値40)が国内総生産60となります。
このように、最終需要の合計額(60)と付加価値の合計額(60)は必ず一致し、国内総生産(60)を表します。

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ヴァシリー ・ レオンチェフ産業連関表は重要な 實駄をなす が, 最初の ...

(Adobe PDF)

ヴァシリー ・ レオンチェフ産業連関表は重要な. 實駄をなす が, 最初の 「経済表ー ー すなわち) 経. 済生活の反復循環的な流れーを考えだした重豪主. 義経済学者フランソワ ・ ケネーの世紀の夢を, 今日. の時代に再現させたものにほかならない〟.
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宮川彰先生 名古屋資本論講座(11,12,1月度)のまとめ  第3篇 社会的総資本の再生産と流通    (第18章~第21章) 

2、生産物の価値はその不変資本部分(C)と、可変資本部分(v)と剰余価値部分(m)とから成り立っている、剰余価値部分は資本家の個人的消費に、不変資本は資本家の生産的消費にまわる。産業全体では、生活手段生産部門と生産手段生産部門がある。資本家は商品流通の媒介の為に流通に前貸しする貨幣は、取引完了後、資本家自身の手元に還流する。とすれば、消費手段生産部門での不変資本は、生産手段生産部門の可変部門と剰余価値に等しくなければ、ならない。


3、マルクスは、ケネーの経済表によって、自らの再生産論を、社会的総資本の運動全体を表現するところにまで、仕上げた。しかし、自分には、このケネーの経済表がきちんと理解できていないので、マルクスが何故突然ケネーの経済表を活用しはじめるのか、判らない。ここで、自分の、第三篇理解は行き詰ってしまっている。しかし、ケネーの経済表は、社会的再生産過程の第1段階において活用された(1863年)が、その後、マルクスは、経済表から脱化していく(1865年)。第8稿において、単純拡大再生産表式として、表式なるものを発明、1941年にはレオンチェフは産業連関表による表式を發表している。

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再生産表式について - 式の構成がわかりません・・wikiで調べ... - Yahoo!知恵袋

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1028375035

再生産表式について

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wctcx258さん

再生産表式について式の構成がわかりません・・
wikiで調べてみても、理解できませんでしたorz

わかりやすく噛み砕いて教えてもらえれば幸いです。
補足
いや、再生産表式であってると思います。
マルクスのやつです

ベストアンサー

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tengu_tou2000さん

以下は私が以前書いてBAをいただいたものですので、ご参考に。なお、レオンチェフの産業連関表は、マルクスの再生産表式にヒントをえたもので、再生産表式はもっとも簡潔な産業連関表です。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1222911252


再生産論は、来年も社会がうまく回るために、必要な物資を資本主義はそろえることができるのか? という検討をするコーナーです。マルクスはそれを、生産に使うためのもの=「機械」(生産手段)と、生活に使うためのもの=「食べ物」(消費手段)という二つの部門だけに分けて考えているんですね。


ここでは単純再生産について考えてみます。

世の中に、機械を生産する工場(第1部門)と、食べ物を生産する工場(第2部門)しかないと思って下さい。
機械を生産する工場で機械を生産し、来年はその機械を使って生産をすることにします。これが1部門のcですが、これは自社工場で生産した機械をそのまま使えばいいので、問題ありません。問題は、機械工場で働く労働者の給料(v)として、機械を渡しても機械は食えませんから困ります。同じく1部門の資本家の食べていく分(m)も機械で渡しても食えませんから困ります。

つまり第1部門のvとmの分は今「機械」として手元にあるのですが、それを「食べ物」と交換しないといけません。

他方で、第2部門の食品工場での資本家と労働者の食う分は、工場で生産した食べ物をそのまま食えばいいので、問題ありません。しかし第2部門の工場を来年も動かすための機械にあてる分(c)は、いま手元には食品工場でつくった食べ物の形でしかありません。

だから、第2部門のcの分は今「食べ物」として手元にあるのですが、それを「機械」と交換しないといけません。

それゆえに、「第1部門のvとm」=「第2部門のc」という式が成り立つかどうかが問題となるのです。この両部門間の交換がうまくなされるように生産がおこなわれていないと、社会が成り立たないのです。


拡大再生産はこの応用です。まず単純再生産のことが理解できないと次へすすめないので、もし上記の説明でわからなければ補足するか、新しい質問をたててください。

質問した人からのコメント

回答ありがとうございます^^
なぜイコールの形になるのかわかりませんでしたが、丁寧にご説明してくださって理解できることができました。



経済学理論連関表:

      販路の構成→

費用の構成
   ↓ 
      マルクス再生産表式→レオンチェフ産業連関表→有効需要の理論
         ↑           ↑     
      マルクス経済表   ワルラス一般均衡理論     ↑
         ↑                   カレツキ再生産表式
      ケネー経済表



西洋経済古書収集ーレオンチェフ,『アメリカ経済の構造』

http://www.eonet.ne.jp/~bookman/kikouhonn/leontief.htm
LEOBTIEF, W. W., THE STRUCTURE OF AMERICAN ECONOMY, 1919-1929 -- AN EMPIRICAL APPLICATION OF EQUIBRIUM ANALYSES ,Cambridge Massachusetts, Harvard University Press, 1941, 8VO, pp 181, 

 レオンチェフ『アメリカ経済の構造』、初版。
 「このこじんまりした書物は、経済的な一般均衡――いっそう適切には、一般的相互依存――の理論を、1つの国民経済の異なった部分の間の相互関係についての経験的な研究に適用し、価格、産出量、投資および所得の共変運動を通じてその関係を明らかにする1つの試みを述べている。」 
 「全体の研究は3つの明確な、しかし密接に関係した、仕事に細分される。すなわち必要な統計資料の収集や整理、適当な理論図式の形成、まえに展開した理論的な工夫を経験資料に適用する仕事がこれである。」(山田勇・家本秀太郎邦訳序文)
 H.ムーワが1929年に『総合経済学』で試みた先例はあるが、「基礎統計が若干改善され、計算技術もいくぶん進歩したとはいえ、1930年代なかばでの一般均衡体系の定量化というレオンティエフの課題は野心的なものであったいわなければならない。」(黒田昌裕「W.レオンティエフ」『現代経済学の思潮』所収 P.220)
 「ハーヴァードでは、・・・34,35年のころであったか、わざわざ課外の研究会を開いて、「レオンチェフの新発明」を披露したほどである。しかし、なかなか共鳴者も得られないまま、レオンチェフは長い間ひとりで、こつこつとこの仕事を続けた。戦後にかれが述懐して、「私は当時、司令官から二等卒にいたるまでのすべての役を、ひとりでやった。時間のふりわけからいえば、二等卒としての仕事が99パーセントを占めた」と語ったことがある」(都留重人『近代経済学の群像』日本経済新聞社版P.238)

 作表に必要な計算をレオンチェフは、手回し計算機でやったようだ。私が会社に入社した時は、ちょうど「個人用」の電卓が発売されかけた頃で、ボーナスの半分くらいをつぎ込んで買った覚えがある。タイガーの手回し計算機はまだ、捨てられずに倉庫に眠っていた。電卓でも大変な労力がいるが、まして手回し計算機となると、体力も相当いっただろう。

 アメリカの古書店よりの購入。Ex-libraryだが、印やラベルは、ほとんど残っていない。紙カバーはおそまつだが、付表の「産業連関表」は完備している。訳書を買ったとき苦労した経験から推してわかるのだが、この手の本は、付表が失われている場合が多い。