ラインハートとロゴフは共著『国家は破綻する─金融危機の800年』(原題:This Time Is Different)で、国家債務の対GDP比率が少なくとも90%に達すれば、GDP伸び率が減速し始めるとの研究を発表している[2]。この研究内容は、緊縮策をめぐる議論で影響力を発揮しており、成長減速と債務拡大に見舞われた政府の中には歳出削減と増税で対応し、この内いくつかのケースではイギリスのように需要に打撃を受けた国もある[2]。イギリスはロゴフ=ラインハート論文の主張に沿って財政再建のために消費税を増税した結果、景気が低迷している[3]。
共著「国家は破綻する─金融危機の800年」(原題はThis Time Is Different)で知られるラインハート氏とロゴフ氏は2010年、近代史を通じ、政府債務が対国内総生産(GDP)比で90%を超えると、経済成長率が劇的に減速するとの研究成果を公表。緊縮策への取り組みを正当化するため、世界中の政策当局者らがしばしば研究内容に言及していた。
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「国家は破綻する」著者らが誤り認める、米研究者らの指摘受け | Article [AMP] | Reuters
2013年 4月 18日 3:39 PM JST
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「国家は破綻する」著者らが誤り認める、米研究者らの指摘受け
[ワシントン 17日 ロイター] 米ハーバード大学の経済学者、カーメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏の公的債務をめぐる研究に誤りがあると米研究者らが指摘していた問題で、両氏は17日、研究内容に誤りがあったと認めた。ただ、研究の「中心的なメッセージ」は依然として有効だとしている。
共著「国家は破綻する─金融危機の800年」(原題はThis Time Is Different)で知られるラインハート氏とロゴフ氏は2010年、近代史を通じ、政府債務が対国内総生産(GDP)比で90%を超えると、経済成長率が劇的に減速するとの研究成果を公表。緊縮策への取り組みを正当化するため、世界中の政策当局者らがしばしば研究内容に言及していた。
こうした中、米マサチューセッツ大学アマースト校の研究者らは今週、2人の研究に集計表におけるコーディングの誤りがあったとの研究結果を発表していた。
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ラインハート氏とロゴフ氏は、誤りは偶発的なものだったと釈明。声明で「常に気を付けて最善を尽くしていたにもかかわらず、こうした誤りがわれわれの論文の1つに紛れ込んだことには、目を覚まされる思い」と述べた。
両氏の研究内容に誤りがあったことにより、景気後退期に膨らんだ財政赤字への各政府の対応、もしくは多くの先進国で2010年以来に定着した緊縮ムードにどのような影響を及ぼすかは不明だ。米国や英国、欧州連合(EU)の中で、緊縮策を志向する政治家はしばしばこの研究を持ち出していた。
両氏は2010年の研究「Growth in a time of Debt」の中で、政府債務が対GDP比で90%を超えていた国の平均成長率はマイナス0.1%になったと主張していた。
ただ、マサチューセッツ大学アマースト校の研究者らの研究も、重い債務を抱えている国の成長は一段と減速するとの両氏の研究内容を裏付けているようにみえる。研究者らは、債務水準が例外的に高い国の平均成長率は2.2%で、債務水準が低い国の成長率を下回っている、と指摘している。
また、多くのエコノミストや政策当局者らは、ラインハート氏とロゴフ氏の研究内容に込められたメッセージを軽視していない。
国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、オリビエ・ブランチャード氏は、両氏の研究は「大いに有益」だと指摘。ただ、重債務が本当に低成長をもたらすのかについては疑問が残るとし、低成長が債務拡大につながっているケースもあるのではな いかと述べた。
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