土曜日, 9月 24, 2016

マンデビル『蜂の寓話』1714:メモ

経済学リンク::::::::::
NAMs出版プロジェクト: マンデビル『蜂の寓話』1714:転載
http://nam-students.blogspot.jp/2016/09/1714.html@
ブンブンうなる蜂の巣:別訳
http://nam-students.blogspot.com/2020/04/blog-post_13.html


HUME Of Refinement in the Arts. ヒューム 技芸における洗練について 1758(1752)

贅沢について

https://iitomo2010.blogspot.com/2021/10/hume-of-refinement-in-arts-17521758.html?zx=e673eb860c87293e

https://love-and-theft-2014.blogspot.com/2021/10/httpsdavidhume.html


参考:
八代将軍吉宗 総集編3より 倹約か積極財政か 徳川吉宗VS.徳川宗春
https://nam-students.blogspot.com/2019/05/blog-post_28.html
アダム・スミス Smith, Adam『国富論』1776,『道徳感情論』1759
http://nam-students.blogspot.jp/2014/06/smith-adam.html
ケインジアンの交差図
http://nam-students.blogspot.jp/2015/03/blog-post_12.html
「合成の誤謬」&ビル・ミッチェル「バランスシート不況と民主主義」(2009年7月3日)
https://nam-students.blogspot.com/2019/05/200973.html
バスタブの比喩
http://nam-students.blogspot.com/2020/04/blog-post_12.html
負債フラクタル
https://nam-students.blogspot.com/2019/12/blog-post_17.html


バーナード・デ・マンデヴィル(Bernard de Mandeville、1670年11月20日(洗礼日) - 1733年1月21日)は、オランダ生まれのイギリスの精神科医で思想家風刺散文)である。
主著『蜂の寓話――私悪すなわち公益』(原題 The Fables of the Bees: or, Private Vices, Public Benefits )は、多くの思想家に影響を与え、思想史経済史などで重要な位置を占める。
最初の邦訳者、上田辰之助はマンドヴィルと表記。
文学作品としては、デフォーやスウィフトとも比較され得るらしい。

スミス国富論4:1:2
「あらゆる私人の家族の運営において、慎慮であるものが、一大王国の運営において愚行だということは、めったにありえない。もしある外国がわれわれにある商品を、われわれが自分でそれをつくることができるよりもやすく…」
ケインズ1936,#23で引用



アダム・スミスの誤謬
「家を斉えるさいの思慮分別が、一大王国を治める場面では愚行となる。まさかこんなこと、ありうるわけもなかろう」


訳語によってニュアンスが違う


スミスがマンデビルに反論したのは『道徳感情論』(1759)


権丈論考参照

http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php/AN00234698-20130200-0045.pdf?file_id=74551
スミス道徳感情論では感情を肯定的概念とすべきとしたうえで、批判的に継承されている
資本論1:23:1の引用ではマルクスはマンデヴィルの労働価値説を読み取っているようだ

バーナード・ドゥ・マンドゥヴィルも一八世紀の初めに言っている、「所有権が充分に保護されているところでは、貧民なしに生活するよりも、貨幣なしに生活する方が容易であろう、なぜならば貧民がなければ、いったい誰が労働をするのだろうか?…」…正直もので頭のよいマンドゥヴィルにも理解されていないことは、蓄積過程の機構そのものが、資本とともに「勤勉な貧民」すなわち賃金労働者の群を増加させるのであって、彼らは、その労働力を、増大する資本の増大する資本の増大する価値増殖力に転化し、まさにかくすることによって、資本家において人格化される彼ら自身の生産物にたいする彼らの従属関係を、永久化せねばならない、ということである。》資本論1:23:1岩波文庫3

ケインズ1936#23では有効需要の概念の発露としてマルサスとともに再評価される

『蜂の寓話――私悪すなわち公益』(原題 The Fables of the Bees: or, Private Vices, Public Benefits )1714
バーナード・デ・マンデヴィル(Bernard de Mandeville)(1670‐1733)の著作

『ブンブン不平を鳴らす蜂の巣』またの名「悪漢化して正直者となる」
(訳者紹介)

The grumbling hive: or, knaves turn'd honest.

結語:

The MORAL.

THEN leave Complaints: Fools only strive
To make a Great an honest Hive.
T'enjoy the World's Conveniencies,
Be famed in War, yet live in Ease
Without great Vices, is a vain
Eutopia seated in the Brain.
Fraud, Luxury, and Pride must live;
We [illeg.] we the Benefits receive.
Hunger's a dreadful Plague no doubt,
Yet who digests or thrives without?
Do we not owe the Growth of Wine
To the dry, crooked, shabby Vine?
Which, whist its [illeg.] neglected flood,
Choak'd other Plants, and ran to Wood;
But blest us with his Noble Fruit;
As soon as it was tied, and cut:
So Vice is beneficial found,
When it's by Justice [illeg.], and bound;
Nay, where the People would be great,
As necessary to the State,
At Hunger is to make 'em eat.
Bare Vertue can't make Nations live
In Splendour;they, that would revive
A Golden Age, must be as free,
For Acorns, as for Honesty.

教訓
それゆえ不平はやめよ。馬鹿者だけが
偉大な蜂の巣を正直な巣にしようとする。
世の中の便益を享受し
戦争で名をあげながら、
ひどい悪徳もなく安楽に暮らそうなどは
頭脳にのみ巣くうむなしいユートピアだ。
欺瞞や奢侈や自負はなければならず
そうしてこそ恩恵がうけられるのだ。
たしかに空腹は恐ろしい災いではあるが
そのほかにどう消化し盛んになれようか。
ぶどう酒ができるのは干からびて
みすぼらしく曲がった蔓からではないか。
若芽のころかえりみないでいると
やがてほかの草木を枯らせて木にはったが、
束ねられ刈りこまれるとすぐ
みごとな果実をみのらせたではないか。
正義で裁断され縛られると
悪徳にも同じく利益がある。
いや国民が偉大になりたいばあい      )
ものを食べるには空腹が必要なように    )
悪徳は国家にとり不可欠のものだ。     )
美徳だけで国民の生活を壮大にできない。
黄金時代をよみがえらせたい者は
正直と同じようにドングリにたいしても
自由にふるまわなければならない

おわり

『蜂の寓話』泉谷治訳 法政大学出版 1985










cruel.hatenablog.com/entry/2015/08/14/145930
マンデヴィル『の寓話』というのは、知っている人の半分はケインズ『一般理論』23章で 言及されているから知っているんだと思う。 そこでケインズは、この詩と説明が有効需要 創造の重要性を訴えたものであり、バカみたいな倹約とか節制とか ...

ケインズ『一般理論』第23章:7
https://genpaku.org/keynes/generaltheory/html/general23.html
 しかしバルボンの意見が主に普及したのは、バーナード・マンデヴィルの『蜂の寓話』によるところが大きいのでした。この本は1723年にミドルセックスの大陪審によって社会に有害として有罪宣告され、道徳科学の歴史の中で、その悪名高さのために傑出しています。これを誉めた人物として記録されているのはたった一人、ジョンソン博士で、この詩に困惑するどころか「現実の生活で目から大いにウロコが落ちた」と宣言しています。本書の邪悪さ加減は、『全英伝記事典』におけるレズリー・スティーブンのまとめを読むといちばんよくわかります。
 マンデヴィルはこの本で大いに不興を買った。そこでは道徳のシニカルな体系が、巧妙なパラドックスにより魅力的なものとされている。(中略)そのドクトリンは、繁栄は貯蓄よりはむしろ支出により増すというものだが、これは当時の多くの経済学的誤謬と親和性を持ち、それは未だに絶滅していない20。人間の欲望は本質的に邪悪であり、したがって「私的な悪徳」を作り出すという禁欲主義者の教えを取り入れ、さらに富が「公共の便益だ」という一般の見方を取り入れたことで、彼は文明が悪辣な性向の発達を意味するとあっさり示して見せた(後略)
 『蜂の寓話』の文は、寓意的な詩です——「不満タラタラの巣、あるいは正直者になったジャックたち」は、繁栄していた社会で市民たちが突然に豪奢な生活を捨て、国が武器を減らして、貯蓄を励行しようとしたために生じる悲惨な運命を描いたものとなっています。
 暮らして消費したものを借金でまかなうなど
 いまやそれでは名誉が保てず
 仲買人のお仕着せ給仕たちは絞首刑;
 彼らは馬車をあっさり手放し;
 名馬を揃いで売りに出す;
 田舎別荘を売って負債を返済。
 豪奢な支出は道徳的詐欺として糾弾され
 外国にも軍を駐留させず
 外国人たちの虚栄を嘲笑し
 戦争で得られる空しい栄光をあざ笑う。
 戦うのは自国のためだけで
 権利や自由が掛かっているときのみ。
 傲慢なクロエは
 高価な美女の勘定書を節約
 丈夫な外衣を一年は着る。
 そして結果はいかに?——
 さて偉大なる巣を思い、ごろうじろ
 正直さと商売がいかに相容れるものか:
 見栄張りは消え、次第に先細り;
 まったくちがった相貌を見せる
 というのも消えたのは毎年大金を使った
 彼らだけに非ず
 それを糧に暮らしていた無数の者たちも
 同じく日々消え去ることを強制された。
 他の職に鞍替えしようとしても無駄
 どの稼業もすでに在庫が余った状態.
 土地と家屋の値段は下がり;
 テーバイのように遊びによって建てられた
 見事な壁の奇跡の宮殿は
 いまや賃貸にだされ(中略)
 建設業は完全破壊
 装飾業者は雇われず;
 肖像画家の世評も最早なく
 石切、石工も声はかからず。
 したがって「教訓」は:
 美徳では国々を豪奢に
 活かすことなどできはせぬ。黄金時代
 を復活させる者は、
 正直さなどドングリほども
 意に介してはならぬ。
 寓話に続くコメントからの抜粋2本を見ると上の詩には理論的な根拠がなかったわけではないことがわかります。
 この堅実なる経済、一部の人が貯蓄と呼ぶものは、民間の世帯においては資産を増やす最も確実な手段であり、したがって一部の者は国が痩せ衰えるのも豊かになるのも、同じ手法を追求すれば(彼らはそれが可能だと思っている)国全体にも同じ効果をもたらし、したがって例えばイギリスは、近隣国の一部のように倹約を旨とすればずっと豊かになると考えるのである。これは、私が思うに、誤りである。21
 それどころかマンデヴィルは次のように結論します。
 国を幸福に保ち、繁栄と呼ぶ状態にするには、万人に雇用される機会を与えることである。すると向かうべきなのは、政府の第一の任を、できる限り多種多様な製造業、工芸、手工芸など人間の思いつく限りのものを奨励することとすべきである。そして第二の任は、農業と漁業をあらゆる方面で奨励し、人類だけでなく地球全体が頑張るよう強制することである。国の偉大さと幸福は、豪奢を規制し倹約を進めるようなつまらぬ規制からくるのではなく、この方針から期待されるものである。というのも黄金や銀の価値が上がろうと下がろうと、あらゆる社会の喜びは大地の果実と人々の労働の成果に常にかかっているのであるから。この両者が結びつけば、それはブラジルの黄金やポトシの銀にもまさる、もっと確実でもっと尽きせぬ、もっと現実の本物の宝なのである。
 かくも邪悪な思想が二世紀にもわたり、道徳家たちや経済学者たちの非難を集めたのも不思議ではありません。その批判者たちは、個人と国家ともに最大限の倹約と経済性を発揮する以外にはまともな療法はないという謹厳なるドクトリンを抱え、自分がきわめて高徳であるように感じたことでしょう。ペティの「娯楽、すばらしいショー、凱旋門等々」はグラッドストン的財務の小銭勘定に道を譲り、病院も公開空地も見事な建物も、さらには古代モニュメント保存すら「お金がなくてできない」国家システムとなりました。ましてや見事な音楽や舞台などあり得ません。これはすべて民間の慈善や、先の考えのない個人の寛大さに委ねられることとなったのです。



バーナード・デ・マンデヴィル - Wikipedia

ja.wikipedia.org/wiki/バーナード・デ・マンデヴィル
バーナード・デ・マンデヴィル(Bernard de Mandeville、1670年11月20日(洗礼日) - 1733年1月21日)は、オランダ生まれのイギリスの精神科医で思想家(風刺、散文)で ある。主著『の寓話――私悪すなわち公益』(原題 The Fables of the Bees: or...



の寓話(はちのぐうわ)とは - コトバンク

kotobank.jp/word/の寓話-1195719
世界大百科事典 第2版 - の寓話の用語解説 - イギリスの政治風刺家マンデビル Bernard de Mandeville(1670‐1733)の著作(1714)。マンデビルはオランダに生まれ, ライデン大学で医学と哲学を学び,後にイギリスに帰化した。彼の初期のいくつかの詩作 の ...



の寓話」 マンデヴィル ( その他人文科学 ) - くぼちゃん日記 - Yahoo ...

blogs.yahoo.co.jp>芸術と人文>人文科学>その他人文科学
その中に1705年にマンデヴィルが著した 「の寓話」からの引用があったので... ... 大勢のがその巣に群がり、繁栄していた。 たちは己の渇望と虚栄を ... 満足と正直 という恵みを受けて、「不平はやめよ」という教訓を得た。 馬鹿者だけが ...



B・ マンデヴィルの消費論 - 早稲田大学リポジトリ(DSpace@Waseda ...

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dspace.wul.waseda.ac.jp/.../SyagakukenRonsyu_05_00_007_S...
B〟マンデヴィルの主著でぁる 『の寓話』. には, 「私人の悪徳, 公共の利益」 という ... 実際, マンデヴィルは 『の寓話』 ー724年. 版以降の 「緒言」 で, 本書は 「これを一語も .... ま り にも激しく, どんな法律や教訓によっ. て も抑制できないのである。 そこでいか ...



講義テキスト(PDF)

 
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park.saitama-u.ac.jp/~yanagisawa/het10/2010note.pdf
このことは大土地所有者にとってはなかなか理解しにくい教訓であろうが、しかし、一国. 全体としては守るべき真の教訓であると私は確信している。 ...... ヴィルは主著『の寓話 -私悪すなわち公益』(1714) によって擁護し、既存の倫理に公然と挑戦した。




ミクロ経済学入門

 
(Adobe PDF)
 
www.ner.takushoku-u.ac.jp/ttanno/mik0402.pdf
現代の主要な産業は完全競争を満たしていません. けれども,完全競争から導き出さ れる多くの教訓は完全競争ではない経済に ... 私人の悪徳は公共の利益」(マンデヴィル 『の寓話』1714 年). 市場経済では企業が私欲に徹すればするほど ...



Title 社会保障と係わる経済学の系譜(1) - 慶應義塾大学学術情報 ...

 
(Adobe PDF)
koara.lib.keio.ac.jp/.../AN00234698-20130200-0045.pdf?...
マンデヴィルの『の寓話』の紹介は,上田辰之助氏の味わい深い文章からはじめよう。 ゆえあってか名を秘めた一作者 ..... 最後の「教訓」の斜字の箇所は,ケインズも『一般 理論』で引用している。そして,ケインズ ...... Hayek, F. A. (1966), Dr. Bernard Mandeville /田中真晴・田中秀夫訳(1986) 『市場・知識・自由』に所収,ミ ..



株式日記と経済展望

2013tora.jp/kabu48.htm
マンデヴィルのたちは「暴政の奴隷でないばかりか、野放しの民主主義の統治下にも なく、法律で権力を制限されている国王の下にあり、繁栄していた」(括弧内は泉谷訳より 要約・以下同じ)の ...... 歴史的な教訓のあるヨーロッパは冷ややかな姿勢で見ている。
経済学者Bernard de Mandevilleの「The Fable of the Bees(の寓話)」にある詩の原文と上田辰之助の訳の比較。Wikipediaにはこの詩についての解説文もある。原文は”The Grumbling Hive”の1705年版を用い編集を行ったサイトから転載*1。上田辰之助の訳は『の寓話 自由主義経済の根底にあるもの (上田辰之助著作集)』に収録されているものを利用した。
原文上田辰之助の訳
A SPACIOUS Hive well stock'd with Bees,
That lived in Luxury and Ease;
And yet as fam'd for Laws and Arms,
As yielding large and early Swarms;
Was counted the great Nursery 
Of Sciences and Industry.
No Bees had better Government,
More Fickleness, or less Content.
They were not Slaves to Tyranny,
Nor ruled by wild Democracy; 
But Kings, that could not wrong, because
Their Power was circumscrib'd by Laws.


These Insects lived like Men, and all
Our Actions they perform'd in small:
They did whatever's done in Town, 
And what belongs to Sword, or Gown:
Tho' th'Artful Works, by nible Slight;
Of minute Limbs, 'scaped Human Sight
Yet we've no Engines; Labourers,
Ships, Castles, Arms, Artificers, 
Craft, Science, Shop, or Instrument,
But they had an Equivalent:
Which, since their Language is unknown,
Must be call'd, as we do our own.
As grant, that among other Things 
They wanted Dice, yet they had Kings;
And those had Guards; from whence we may
Justly conclude, they had some Play;
Unless a Regiment be shewn
Of Soldiers, that make use of none.


Vast Numbers thronged the fruitful Hive;
Yet those vast Numbers made 'em thrive;
Millions endeavouring to supply
Each other's Lust and Vanity;
Whilst other Millions were employ'd,
To see their Handy-works destroy'd;
They furnish'd half the Universe;
Yet had more Work than Labourers.
Some with vast Stocks, and little Pains
Jump'd into Business of great Gains;
And some were damn'd to Sythes and Spades,
And all those hard laborious Trades;
Where willing Wretches daily sweat,
And wear out Strength and Limbs to eat:
Whilst others follow'd Mysteries,
To which few Folks bind Prentices;
That want no Stock, but that of Brass,
And may set up without a Cross;
As Sharpers, Parasites, Pimps, Players,
Pick-Pockets, Coiners, Quacks, Sooth-Sayers,
And all those, that, in Enmity
With down-right Working, cunningly
Convert to their own Use the Labour
Of their good-natur'd heedless Neighbour:
These were called Knaves; but, bar the Name,
The grave Industrious were the Same.
All Trades and Places knew some Cheat,
No Calling was without Deceit.


The Lawyers, of whose Art the Basis
Was raising Feuds and splitting Cases,
Opposed all Registers, that Cheats
Might make more Work with dipt Estates;
As were't unlawful, that one's own,
Without a Law-Suit, should be known.
They kept off Hearings wilfully,
To finger the retaining Fee;
And to defend a wicked Cause,
Examin'd and survey'd the Laws;
As Burglars Shops and Houses do;
To find out where they'd best break through.


Physicians valued Fame and Wealth
Above the drooping Patient's Health,
Or their own Skill: The greatest Part
Study'd, instead of Rules of Art,
Grave pensive Looks, and dull Behaviour;
To gain th'Apothecary's Favour,
The Praise of Mid wives, Priests and all,
That served at Birth, or Funeral;
To bear with th'ever-talking Tribe,
And hear my Lady's Aunt prescribe;
With formal Smile, and kind How d'ye,
To fawn on all the Family;
And, which of all the greatest Curse is,
T'endure th'Impertinence of Nurses.


Among the many Priests of Jove,
Hir'd to draw Blessings from Above,
Some few were learn'd and eloquent,
But Thousands hot and ignorant:
Yet all past Muster, that could hide
Their Sloth, Lust, Avarice and Pride;
For which, they were as famed, as Taylors
For Cabbage; or for Brandy, Sailors:
Some meagre look'd, and meanly clad
Would mystically pray for Bread,
Meaning by that an ample Store,
Yet lit'rally receiv'd no more;
And, whilst these holy Drudges starv'd,
Some lazy Ones, for which they serv'd,
Indulg'd their Ease, with all the Graces
Of Health and Plenty in their Faces.


The Soldiers, that were forced to fight,
If they survived, got Honour by't;
Tho' some, that shunn'd the bloody Fray,
Had Limbs shot off, that ran away:
Some valiant Gen'rals fought the Foe;
Others took Bribes to let them go:
Some ventur'd always, where 'twas warm;
Lost now a Leg, and then an Arm;
Till quite disabled, and put by,
They lived on half their Salary;
Whilst others never came in Play,
And staid at Home for Double Pay.


Their Kings were serv'd; but Knavishly
Cheated by their own Ministry;
Many, that for their Welfare slaved,
Robbing the very Crown they saved:
Pensions were small, and they lived high,
Yet boasted of their Honesty.
Calling, whene'er they strain'd their Right,
The slipp'ry Trick a Perquisite; 
And, when Folks understood their Cant,
They chang'd that for Emolument;
Unwilling to be short, or plain,
In any thing concerning Gain:
For there was not a Bee, but would
Get more, I won't say, than he should;
But than he dared to let them know,
That pay'd for't; as your Gamesters do,
That, tho' at fair Play, ne'er will own
Before the Losers what they've won.


But who can all their Frauds repeat!
The very Stuff, which in the Street
They sold for Dirt t'enrich the Ground,
Was often by the Buyers sound
Sophisticated with a Quarter
Of Good-for-nothing, Stones and Mortar;
Tho' Flail had little Cause to mutter,
Who sold the other Salt for Butter.


Justice her self, famed for fair Dealing,
By Blindness had not lost her Feeling;
Her Left Hand, which the Scales should hold,
Had often dropt 'em, bribed with Gold;
And, tho' she seem'd impartial,
Where Punishment was corporal,
Pretended to a reg'lar Course,
In Murther, and all Crimes of Force;
Tho' some, first Pillory'd for Cheating,
Were hang'd in Hemp of their own beating;
Yet, it was thought, the Sword the bore
Check'd but the Desp'rate and the Poor;
That, urg'd by mere Necessity,
Were tied up to the wretched Tree
For Crimes, which not deserv'd that Fate,
But to secure the Rich, and Great.


Thus every Part was full of Vice,
Yet the whole Mass a Paradice;
Flatter'd in Peace, and fear'd in Wars
They were th'Esteem of Foreigners,
And lavish of their Wealth and Lives,
The Ballance of all other Hives.
Such were the Blessings of that State;
Their Crimes conspired to make 'em Great;
And Vertue, who from Politicks
Had learn'd a Thousand cunning Tricks,
Was, by their happy Influence,
Made Friends with Vice: And ever since
The worst of all the Multitude
Did something for the common Good.


This was the State's Craft, that maintain'd
The Whole, of which each Part complain'd:
This, as in Musick Harmony,
Made Jarrings in the Main agree;
Parties directly opposite
Assist each oth'r, as 'twere for Spight;
And Temp'rance with Sobriety
Serve Drunkenness and Gluttonny.


The Root of evil Avarice,
That damn'd ill-natur'd baneful Vice,
Was Slave to Prodigality,
That Noble Sin; whilst Luxury.
Employ'd a Million of the Poor,
And odious Pride a Million more
Envy it self, and Vanity
Were Ministers of Industry;
Their darling Folly, Fickleness
In Diet, Furniture, and Dress,
That strange, ridic'lous Vice, was made
The very Wheel, that turn'd the Trade.
Their Laws and Cloaths were equally
Objects of Mutability;
For, what was well done for a Time,
In half a Year became a Crime;
Yet whilst they alter'd thus their Laws,
Still finding and correcting Flaws,
They mended by Inconstancy 
Faults, which no Prudence could foresee.


Thus Vice nursed Ingenuity,
Which join'd with Time; and Industry
Had carry'd Life's Conveniencies,
It's real Pleasures, Comforts, Ease,
To such a Height, the very Poor
Lived better than the Rich before;
And nothing could be added more:


How vain is Mortals Happiness!
Had they but known the Bounds of Bliss;
And, that Perfection here below
Is more, than Gods can well bestow,
The grumbling Brutes had been content
With Ministers and Government.
But they, at every ill Success,
Like Creatures lost without Redress,
Cursed Politicians, Armies, Fleets;
Whilst every one cry'd, Damn the Cheats,
And would, tho' Conscious of his own,
In Others barb'rously bear none.


One, that had got a Princely Store,
By cheating Master, King, and Poor,
Dared cry aloud; The Land must sink
For all its Fraud; And whom d'ye think
The Sermonizing Rascal chid?
A Glover that sold Lamb for Kid.


The last Thing was not done amiss,
Or cross'd the Publick Business;
But all the Rogues cry'd brazenly,
Good Gods, had we but Honesty!
Merc'ry smiled at th'Impudence;
And Others call'd it want of Sence,
Always to rail at what they loved:
But Jove, with Indignation moved,
At last in Anger swore, he'd rid
The bawling Hive of Fraud, and did.
The very Moment it departs,
And Honsty fills all their Hearts;
There shews 'em, like the Instructive Tree,
Those Crimes, which they're ashamed to see?
Which now in Silence they confess,
By Blushing at their Uglyness;
Like Children, that would hide their Faults,
And by their Colour own their Thoughts;
Imag'ning, when they're look'd upon,
That others see, what they have done.


But, Oh ye Gods! What Consternation,
[illeg.] vast and sudden was the Alteration!
In half an Hour, the Nation round,
Meat fell a Penny in the Pound.
The Mask Hypocrisie's [illeg.] down,
From the great [illeg.]
And some, in [illeg.] known,
Appear'd like Strangers in their own.
The Bar was silent from that Day;
For now the willing Debtors pay,
Even what's by Creditors forgot;
Who quitted them, who had it not.
Those, that were in the Wrong, stood mute,
And dropt the patch'd vexatious Suit.
On which, since nothing less can thrive,
Than Lawyers in an honest Hive,
All, except those, that got enough,
With Ink-horns by their Sides trooped off.


Justice hang'd some, set others free;
And, after Goal-delivery,
Her Presence be'ng no more requier'd,
With all her Train, and Pomp retir'd.
First marched 'some Smiths, with Locks and Grates,
Fetters, and Doors with Iron-Plates;
Next Goalers, Turnkeys, and Assistants:
Before the Goddess, at some distance,
Her cheif and faithful Minister
Squire Catch, the Laws great Finisher,
Bore not th'imaginary Sword,
But his own Tools, an Ax and Cord;
Then on a Cloud the Hood-wink'd fair
Justice her self was push'd by Air:
About her Chariot, and behind,
Were Sergeants, 'Bums of every kind,
Tip-Staffs, and all those Officers,
That squeese a Living out of Tears.


Tho' Physick liv'd, whilst Folks were ill,
None would prescribe, but Bees of Skill;
Which, through the Hive dispers'd so wide,
That none of 'em had need to ride,
Waved vain Disputes; and strove to free
The Patients of their Misery;
Left Drugs in cheating Countries grown,
And used the Product of their own,
Knowing the Gods sent no Disease
To Nations without remedies.


Their Clergy rouz'd from Laziness,
Laid not their Charge on Journey-Bees;
But serv'd themselves, exempt from Vice,
The Gods with Pray'r and Sacrifice;
All those, that were unfit, or knew,
Their Service might be spared, withdrew;
Nor was their Business for so many,
(If th'Honest stand in need of any.) 
Few only with the High-Priest staid,
To whom the rest Obedience paid:
Himself, employ'd in holy Cares;
Resign'd to others State Affairs:
He chased no Starv'ling from his Door,
Nor pinch'd the Wages of the Poor:
But at his House the Hungry's fed,
The Hireling finds unmeasur'd Bread,
The needy Trav'ler Board and Bed.
Among the King's great Ministers, 
And all th'inferiour Officers
The Change was great; for frugally
They now lived on their Salary.
That a poor Bee should Ten times.
To ask his Due, a [illeg.] Sun
And by some well [illeg.]
To give a Crown, or ne'er be [illeg.]
Would now be called a down-right [illeg.]
Tho' formerly a Perquisite.
All Places; managed first by Three,
Who watch'd each other's Knavery,
And often for a Fellow-feeling,
Promoted, one anothers Stealing,
Are happily supply'd by one;
By which some Thousands more are gone.


No Honour now could be content,
To live, and owe for what was spent.
Liveries in Brokers Shops are hung,
They part with Coaches for a Song;
Sell Stately Horses by whole Sets;
And Country Houses to pay Debts.


Vain Cost is shunn'd as much as Fraud;
They have no forces kept Abroad;
Laugh at the Esteem of Foreigners,
And empty Glory got by Wars;
They fight but for their Country's Sake,
When Right or Liberty's at Stake.


Now mind the glorious Hive, and see,
How Honesty and Trade agree:
The Shew is gone, it thins apace;
And looks with quite another Face,
For 'twas not only that they went,
By whom vast Sums were Yearly spent;
But Multitudes, that lived on them,
Were daily forc'd to do the same.
In vain to other Trades they'd fly;
All were o're-stocked accordingly.


The Price of Land, and Houses falls
Mirac'lous Palaces, whose Walls,
Like those of Thebes, were raised by Play,
Are to be let; whilst the once gay,
Well-seated Houshould Gods would be
More pleased t'expire in Flames, than see;
The mean Inscription on the Door
Smile at the lofty Ones they bore.
The Building Trace is quite destroy'd,
Artificers are not employ'd;
No Limner for his Art is famed;
Stone-cutters, Garvers are not named.


Those, that remain'd, grown temp'rate, strive,
So how to spend; but how to live;
And, when they paid the Tavern Score,
Resolv'd to enter it no more:
No Vintners Jilt in all the Hive
Could wear now Cloth of Gold and thrive;
Nor [illeg.]; such vast sums advance,
For Burgundy and [illeg.];
The Courtier's gone, that with his Miss
Supp'd at his House on Christmass Peas;
Spending as much in two Hours stay,
As keeps a Troop of Horse a Day.


The Haughty Chloe; to live Great,
Had made her Husband rob the State:
But now she sells her Furniture,
Which the Indies had been ransack'd for;
Contracts the expensive Bill of Fare,
And wears her strong Suit a whole Year:
The slight and fickle Age is past;
And Cloaths, as wel as Fashions last.
Weavers that ioyn'd rich Silk with [illeg.],
And all the Trades subordinate,
Are gone. Still Peace and Plenty reign,
And every thing is cheap, tho' plain;
Kind Nature, free from Gard'ners Force,
Allows all Fruits in her own Course;
But Rarities cannot be had,
Where Pains to get 'em are not paid.


As Pride and Luxury decrease,
So by degrees they leave the Seas,
Not Merchants now; but Companies 
Remove whole Manufacturies.
All Arts and Crafts neglected lie;
Content the Bane of Industry,
Makes 'em admire their homely Store,
And neither seek, nor covet more.


So few in the vast Hive remain;
The Hundredth part they can't maintain
Against th'Insults of numerous Foes;
Whom yet they valiantly oppose;
Till some well-fenced Retreat is found;
And here they die, or stand their Ground,
No Hireling in their Armies known;
But bravely fighting for their own;
Their Courage and Integrity
At last were crown'd with Victory.
They triumph'd not without their Cost,
For many Thousand Bees were lost.
Hard'ned with Toils, and Exercise
They counted Ease it self a Vice;
Which so improv'd their Temperance,
That to avoid Extravagance,
They flew into a hollow tree,
Blest with content and Honesty.


The MORAL.



THEN leave Complaints: Fools only strive
To make a Great an honest Hive.
T'enjoy the World's Conveniencies,
Be famed in War, yet live in Ease
Without great Vices, is a vain
Eutopia seated in the Brain.
Fraud, Luxury, and Pride must live;
We [illeg.] we the Benefits receive.
Hunger's a dreadful Plague no doubt,
Yet who digests or thrives without?
Do we not owe the Growth of Wine
To the dry, crooked, shabby Vine
Which, whist its [illeg.] neglected flood,
Choak'd other Plants, and ran to Wood;
But blest us with his Noble Fruit;
As soon as it was tied, and cut:
So Vice is beneficial found,
When it's by Justice [illeg.], and bound;
Nay, where the People would be great,
As necessary to the State,
At Hunger is to make 'em eat.
Bare Vertue can't make Nations live
In Splendour;they, that would revive
A Golden Age, must be as free,
For Acorns, as for Honesty.

贅沢で安楽に暮らすどもが
ぎっしり詰まった広やかなの巣 -
でも法律と軍備では、巣立ちの早い
巣の群れ大勢生むのと並んで評判。
そのの巣は科学の産業の
偉大な育成所としてもてはやされる。
仲間でもかれらほど善政をもち、
しかもむら気で足るを知らぬ者はない。
かれらは虐政の奴隷ではない。
さればとて野放しの民主主義でもない。
国王はいるが、もともと無害な存在 -
王権が法律で骨抜きにされているからだ。


これらの虫の生活さながら人間のよう、
人事万端、小仕掛けながら、何でもする -
町の行事の一切から
武家や学者仕事まで。
ただ手足がきゃしゃで敏捷こく、
巧みな仕業は人目に止まらない。
器械、労働者、船舶、城砦、武器
また技芸、科学、仕事場、道具でも、
およそ人間のもつほどのもの、
何一つ対応物をもたぬものはない。
ただ、言葉は知れていないから、
人間の物名で呼ばねばならぬ。
ついでにお断りしておくが、ないものの
うち骰子はその一つ、それでもキングはある。
そしてキングに衛兵がついているところから、
どもも偶には遊び事するとみるのが正しい。
それが嘘だというのなら、博奕などまるきりやらぬ
連隊の兵隊さんみせて賜われ。


多産のの巣の人口は稠密
だが人口の稠密はかえって巣の繁栄の困、
幾百万が一生懸命お互いの
欲と見栄とを満たし合うからだ。
その半面、自分の手業の打ち壊し
見るため幾百万が雇われる。
かれらは世界の半分に供給する。
だが仕事が多くて手が足りない。
あるいは元本たんまりもって懐手、
ぼろい儲け事業に飛び込む連中、
あるいはまた大鎌や鍬の呪い
その他のひどい苦業の運命
唯々諾々、日ごと汗水たらし、ただ
食うだけに精根つくす憐れな者ども。
そうかと思うと、またある者は、
徒弟奉公に出し手のない諸業に向かう。
元手不用で心臓の強さが唯一の要件、
クロッスかけずにはじめられる商売、
詐欺師、たかり、妓夫、遊び人
掏摸、偽金作り、藪医者占い、など。
そのほか地道な働き忌み嫌い
悪知恵しぼって人の好い
うかつな隣人の労働
己が喰いものとする輩の一党。
この手合い悪漢と呼ばれるが、名こそ違え、
堅気の人々も、その実やはり同じこと。
欺きは仕事や地位につきものだ。
嘘偽りのない職業あるものじゃない。


弁護士は不和を醸し、事面倒にするのが手。
そしてあらゆる登記に反対するその理は、
抵当の屋敷をイカサマで
事件を殖したいからなのだ。
まるで訴訟沙汰なしで自分の財産
わがものと呼ぶは不法行為のよう。
わざと審理を延期するのは、
旨い謝礼にありつくため。
そして悪質事件の弁護には
法令をくまなく吟味し捜査する、
さながら強盗が店や邸を窺うよう、
忍び込む穴をさがすため。


医者の貴ぶは第一に評判と資産
萎れた患者健康や己が腕前二の次だ。
大概の医者は医術の勉強よりも
愁い顔や物懶げな物腰に
気を配っては薬屋のご機嫌とり、
産婆、僧侶、その他すべて
お産や葬いに立ち会う人々の
好評博すが大切のこと。
幕なし弁士諸媛堪えては
奥様の伯母上様の処方拝聴。
型通りの微笑と慇懃挨拶
家族の皆々様に愛想をふりまく。
だが一番イヤなのは
看護婦どもの厚顔無恥を忍ぶこと。


天から祝福引出しに雇われる数多い
ジュピターの奉仕者、そのなかに
博学雄弁の士少しはいるが
幾千は乱暴で無学の徒、それでも
懶情、肉欲、物欲、誇り、をば
隠しおうせる連中はみな及第。
だが坊主のなま臭は仕立屋の
小布のホマチ、船頭の焼酎、同様とおりもの
なかにはやつれた顔のひどい装い、頻りなし
パン賜えと神秘のお祈りする坊さんもいる。
十分の貯えが欲しい丁簡ではあるが、
事実はもう一物も手に入らない窮状。
そしてこれら聖なる苦役者餓死する一方、
かれらを使う怠け者どもは
安楽を貪り、その面てには
健康と豊富の恩寵光り輝く。


軍人たちは戦さに引っ張られ、
生き残れば、名声赫々たるもの、
ある者は血戦を避け、逃げだして
手足をば打ち落とされる。
敵と戦う勇将がいるかとおもえば、
敵を逃がして賄賂を貰うのもいる。
ある者はいつも奮って熱戦の方面へと出動し、
朝に一脚、夕に一腕、失って
戦闘不能になっては、後方廻し、
俸給半減で細々暮らす。
その反対に、実戦には一度も臨まずに、
国内勤務で倍額支給の人もある。


君側に侍る大臣の腹黒さ、
獅子身中の虫さながら、
主君大事と御奉公、
せっかく護った王冠みずから蝕む。
お手当ては減少、暮らしは豪勢、
その癖、清廉を売りものにしている。そして、
職権濫用の度ごとに紙一重の
その芸当「役得でござる」と仰せらる。
やがて役人言葉が知れ渡る。
すると「役得」やめて「手当」と改称。
損得に関することは何事も
不足と公明とを嫌うから、
取り前より多く寄越せといわないまでも
先方に知らせていいと思うより
余計に欲しくないは一疋もいない。
あたかも博奕うちのやり口そっくり、
たとい堂々儲けてもいくら勝ったとは
相手に決っして天機洩らさぬものぞかし。


だが彼らの欺瞞誰がいちいち算えたてられよう。
街頭で土地を肥やす塵芥と
売り捌く品物にさえ
買ってみれば時折は、役にも立たぬ
石ころや泥んこの混ぜもの、
驚くなかれ四分の一を占む。
それでも文句はいえぬ連伽の君
バターと称して塩混ぜ売った報い。


公平の裁きで聞こえる「正義」さえ
目隠ししても感情はそのまま、
秤もつべき左の手
時折は黄金に買収れて秤をおとす。
そして処罰が体刑ともなれば
一応は公平無私には見える。
なおまた殺人その他暴犯には
いずれも正規の手続きというのが既定の方針。
ある者は詐欺で最初は頸手架、
あげくの果ては己が手打ちの麻縄で絞殺。
でもつらつらと想うに女神のもつその剣、
打つはただ絶望と困窮の者ども。
極貧ゆえの所為なのに
憐れ絞首台へのくくりつけ -
そんな悲運にあたらぬ罪ではあるが、
ひたすら富者と豪者を守るが魂胆。


このように部分はすべて悪徳に満ち、
しかも全部が揃えば一つの天国
平時は媚びられ、戦争では恐れらる。
かれらは外国人畏敬の的、
そして金と命に糸目をつけぬから、
の巣」界の重鎮だ。
その国の功徳無量、己が罪まで手伝って、
かれらを偉大にするという有難さ。
そして徳操は政治から
幾千もの手練手菅を教えられ、
薫陶その宜しきを得て、
悪徳と親交を結ぶ。それからは
全体のうち最悪のものでさえ
公益のため何かお役に立つようになった。


治国の道とはいったいこうしたもの、
部分は不平不満をならべても
全体は立派に治まってゆく。
ちょうど音楽にも全曲の調和あり、
雑音を基調に合わすよう、それでまた
正反対の敵味方、ヤケにお互い助け合う。
節欲と禁酒とつれ立って、
飲み食いの道楽に御奉公。


悪の根という貪欲こそは
かの呪われた邪曲有害の悪徳。
それが貴い罪悪「濫費」に仕え、
奢侈は百万の貧者に仕事を与え、
忌わしき鼻持ちならぬ傲慢が
もう百万人を雇うとき、
羨望さえも、そして虚栄心もまた、
みな産業の奉仕者である。
かれらご寵愛の人間愚、それは移り気、
食物、家具、着物の移り気、
本当に不思議馬鹿気た悪徳だ。
それでも商売動かす肝腎の車輪となる。
かれらの法律と着物とはいずれも
変転常なき代物。
一時いいとされてきたものでさえ、
半歳のうちには犯罪となる。
だがこうして法律を改めては、
さらに穴さがして直していれば、
遠謀深慮で見越せぬ欠点
むら気のおかげでよく正す。


かくて悪徳は巧血を育み
時と働きに結びつき、
結構な生活の事々物々、
そのまこと快楽、愉悦、安易など
いよいよ高く引き上げる -
貧者どもさえ昔の金持及ばぬ生活、
これ以上何不足ないというほどだ。


生ある者の幸福何とはかなきことよ、
仕合せにおのずから限りあり、
この世では完全などということは
神々にも無理な注文と知るならば、
つぶやく虫ども不平なく
大臣や政府をも我慢しよう。
どころが失敗ある毎に、
救いの道なく捨てられたもののよう、
かれらは呪う政治家と陸海軍。
そして「ペテンを葬れ」と異口同音に叫ぶ
手前のペテンは百も承知して、
他人のペテン断然ご免蒙るという仕儀。


主人や王様や貧民やみんな瞞して
王候の産をなした一人の男
そらぞらしくも大声疾呼 -
「積る不正で国家は滅ぶ!」と。
説教悪漢の叱りつけた相手誰だと思し召す、
仔羊の代わりに仔山売った手袋商。


毛ほど行き違い生じても、また
公けのこと少しでも巧くいかないと、
悪党ども口を揃えて叫ぶ厚かましさ、
「おお神様、私ども正直だにあらば!」
これにはさすがのマーキュリーも微笑する。
「それは無分別というもの」と傍の人いう、
「自分のすき好む道、やたらに攻めるとは。」
だがジュピターの憤怒恐ろしや、
ジュピターは遂に怒ってご託宣 -
「喚くの巣潔めてくれん嘘偽りの一切から。」
霊験あらたか、嘘偽りは即時消滅。
正しき心万人の胸にみなぎる。
終身絵本の樹のように、
眼に映ずるは恥ずかしや罪の数々、
今はその醜さにただ顔赤らめて、
沈黙のうち罪を告白する。
あたかも自分のいたずら隠しては
顔色で心中明かす子供のよう、
他人にひと眼顔みられると、
現場みられた感じする。


しかしおお神々よ、何たる驚愕、
何という変わり方、それに何と急激!
半時間のうち、国の隅々までも
肉は一ポンド一ペニーの下落。
偽善仮面は脱ぎすてられた、
大政治家から道化役者へと。
そして借りものの風(貌)で顔馴みの人々も
素顔はまるで未知の人のよう。
居酒屋はその日から沈黙した。
今度は借り主喜んで借金払い、
貸し主忘れた分までわざわざ返す。
貸し主は無銭の相手に借金棒引き。
間違った立場当事者発言しない。
無理無体な訴え事は悉く願い下げ。
訴訟で栄えるのはただひとり、
正直なの巣の弁護士だけ。
そこですでに十分貯めた者の外、
矢立てを腰にぞろぞろ引き揚げた。


正義はある者を絞殺、ある者を釈放した。
そして獄舎送りを済ませれば、
そしてこれで御用済み、
家来一統従えて華々しく退場した。
先頭立つのが数人の鍛冶屋、
持物は錠前と炉格、足枷と鉄の扉。
お次は典獄、看守、その下僚と助手衆。
正義の女神の前、やや距離おいて、
随一の忠臣、キャッチ殿、
法の偉大なとどめさし、
象徴の破邪の剣は捧持せず、
手廻りの道具、斧と縄をもつ、
それから雲に乗って目隠しの美女、
正義の女神、威風堂々静々と、
お召し車のまわり、また後ろには、
巡邏長、執達吏の面々さてはまた
警察官というような
涙から生活搾りだす役者がつづく。


人々が病気の間、医療は存続した。
処方するのは腕の確かなだけだ。
しかも巣を通じて普く行き渡り、
抱え車で往診の必要なくなった。
無用の議論やめにして
患者の苦しみ癒すに懸命。
薬品はインチキ諸国の製品つかわずに、
国産愛用ということにする。
神々が国々に病気送るというからは、
ついでに治療も一緒と信じたから。


僧侶も奮起一番し、
働きお勧め任せずに
六根清浄、みずから奉仕
神々のお抱えは祈りといけにえ。
仕事に不向きな者、あるいはまた
除役と知った者いずれもみんな身を引いた。
実際、仕事には限りあり、
(正直者に仕事なくてならぬとすれば)
僧正の下に少しばかりが居残って、
みな恭順の意を表した。
大僧正は親しく聖務を司り、
国事は他人に移管した。
飢える人々門前払い、
貧者の賃金頭はね、
それはもうみな昔の話。
雇人のパンには制限なし。
窮する旅人には宿と粥の振舞い。
王様の偉い大臣方、
また下々の役人たち、
同大いに変化した。なぜならば、
今では質素な俸給生活。
その昔貧乏十度足を運んでも、
ホンの鼻糞勘定貰うに、先ず
お抱えの書記に奉納一クラウン
さもなくば永久に埒があかぬなど、
今となっては不義不正、
以前は立派な「役得」だったが -
昔はすべての地位に三人の管理者。
お互いの邪行を監視が目的、だが実際は、
しばしば同僚の誼みにほだされて、
かえってともども盗みに励む。ところが、
有難いかな、今度は管理者ただ一人、
また幾千が姿かき消す。


もうどんな偉い名士でも
借金生活では満足できない。
仕着せの紋服質屋店頭につるされる。
馬車は二束三文で売り飛ばし、
馬の逸物一山いくら、
田舎の別荘も借金の穴うずめ。


冗費を避けるは詐欺でも避けるよう。
もはや国外の駐屯軍お廃死だ。
諸国外の畏敬、
戦争で護られる空ろな国威、そんなもの、もう可笑しくて仕方がない。
かれらの戈とるは祖国の急、
国権と自由が脅かされるとき。


さて輝かしいの巣に注意あれ、そして
正直と商売の一致するさま御覧じろ。
芝居はおしまい、まるで火の消えたよう。
そして様子はがらりと変わる。
年々歳々莫大な金を落とした
客の足絶えただけではない。
それで衣食した多くの民衆もまた
仕方がないから同一行動。
商売がえしたくもままにはならぬ、
何商も動きがとれない超満員。


土地や家屋の値段はさがる。
壮麗眼を奪う宮殿、その壁は、
テーベの劇場同様に、遊び事で建ったのだ。
それが貸家という始末、いままでは
華やかに鎮座ましますお家の神々、
安っぽい戸口の表札が
由緒ある館の刻銘わらうのを
見るよりいっそ果てたい?の中で。
建築業はまったく廃業した。
職人は仕事がない。
名技を謳われる意匠画きはいない。
石切り、彫刻師は名さえ聞かれない。


後に残った者どもおさけは飲まない。
金使いやめ、工夫を凝らす質実の生活。
酒場の勘定すませたあとは、
もう二度と再び来まいと心に誓う。
の巣の何処にも金ぴか衣裳で景気よく
やれる酒商のオキャン娘一人もいない。
トコールだってその莫大な融通は
バーガンディ酒オルトラン島じゃできかねる。
愛妾おつれの大宮びともうお越しがない。
召し上がるクリスマス・ピーズの夕御飯、
たった二時間いる間に支払う勘定は、
何と騎兵一個大隊一日の賄い。


気位高いクローの方、派手な暮らししたいため、
夫つついて国帑をくすねた。
だが今は家具を売り払う -
鐘や太鼓で全インドさがしたその家具を。
食卓の巨費は縮減、
丈夫なお召は年中着どおし、
軽佻浮華の時代はすぎた。
そして着物も流行もともに長つづきする。
贅沢な絹地にプレイト加工する職人と
それにつらなるすべての下職、
悉く廃業、だが地には平和と豊饒の栄え。
諸式は飾らず、値段は安い。
庭師の暴力はなれた自然の恵み、
諸果の成長自由に任せる。
珍奇なものは手に入らない、
取り寄せる手間賃支払われないため。


誇りと奢りが減るにつれ、
次第に海洋から遠ざかる。
今では個々の商人だけでなく、
商人仲間工場たたんで内地へ引き揚げる。
工芸技術はいっさい顧みられない。
産業のわざわい「満足」は
人々に有り合わせの品を賞美させ、
それ以上かれらは求めずまた欲しもしない。


巣は広く、居残る同勢ははなはだ少ない。
そこで敵大勢の侮りを受けても
敵方の百分の一の備えも保てない。
それでも勇敢に抵抗し、
よく囲まれた逃げ場所見つかるまで
頑張りとおし、そこで背水の陣を布く。
かれらの軍隊に雇兵一人もいない。
挙って祖国のために善戦、
かれらの勇気と知謀とは
遂に勝利の栄冠に輝く。
でも勝利には犠牲がなかったわけではない。
いく千疋が死んだから。
労苦と鍛錬で磨かれたかれらには
安易こそ悪徳そのものだ。そこで
節制の美徳積んで、しまいには
濫費を避ける目的で
うつろの樹木に飛び込んだ。
満足と正直とに恵まれて -


教訓



されば不平はやめよ、馬鹿者だけが
偉大なの巣を正直にせんとする。
世界に佳きもの楽しみながら、
武威は輝き、生活は安泰、
そのうえさしたる悪徳なしということは
脳裡に宿る空しいユートピア
詐り、奢り、誇りはやなりなくてはならぬもの、
そしてその恩沢をばわれらが受ける。
空腹は恐ろしい悪疫だ、ほんとうに、
だが空腹なくして誰が消化し身を養う。
酒のもの葡萄のよくできるのは干乾びた、
見窄らしい曲り歪った蔓のおかげではないか。
若芽のときは誰も顧みない。だがしかし
やがて他の木を窒息させ、幹に匍い上がる。
それでもこれを束ね切り込めば、
あの結構な果物をわれらに恵む。
かように悪徳にも恩沢がある。
正義によって裁断し、束縛すれば、
いな、国民が偉大を望むなら、
悪徳の国家に必要なること
空腹の食事におけるがごとし。
徳が高いというだけで国々の暮らしをば
豪勢にするは無理な話。黄金時代の復活を
冀う人々は楽園の「正直」のみならず、楽園の
「樫実」にも自由の襟度あらま欲し。

3 Comments:

Blogger yoji said...

岩波文庫
ケインズ一般理論#23:7

 これまで見てきた諸理論は、大体において、有効需要の構成要素のうち、投資誘因の不足に関心を寄せていた。しかし、他の構成要素すなわち消費性向の不足に失業の害悪が淵源しているという見方も決して目新しいものではない。けれども現代の経済的害悪を説明しようとするこちらの要因は一六世紀と一七世紀の〔経済〕思潮においてはごく小さな役割しか演じておらず、古典派経済学者にも不評であったが、比較的最近になってようやく勢力を増すに至ったものである。
 過少消費の問題は重商主義思想にとっては派生的な問題にすぎなかったにもかかわらず、ヘクシャー教授は彼のいわゆる「贅沢の効用と節倹の害悪に対する不抜の信念」の事例を数多く引用している。「節倹は実際、失業の原因だと見なされた。理由は二つ。第一に、貨幣が交換に入って来ないと、実質所得はその貨幣のぶん減少する。第二に、貯蓄は貨幣を流通から引き揚げる」。一五九八年にラフマ(『国家を繁栄させるための財宝と富』)は、フランスの奢侈品を買う人はみな貧民の生計を立ててやっているのに、締まり屋ときたら彼らを野垂れ死にさせているだけではないか、と述べて、フランス絹の使用に反対する人たちをこきおろした。ペティ〔『租税貢納論』〕は一六六二年、「宴会、華美な外観、凱旋門、云々」を、その費用は醸造家、パン屋、仕立屋、靴屋などのポケットに環流する、と正当化して見せた。フォートレーが正当正当化したのは「華美な服装」。フォン・シュレッター(一六八六年)は奢侈規制を批判し、服装などの見てくれはもっと派手にやってくれればいいのにとうそぶいた。バーボン(一六九〇年)は「浪費は人間にとっては有害な悪徳だが、商工業にとってはさにあらず。強欲は人間、商工業の双方にとって有害な悪徳である」と書いた。一六九五年にケアリーは、人々がこぞって支出を増やすならば、彼らの所得はますます増大し、「生活は一段と豊かになるであろう」と論じた。

(1) ヘクシャー、前掲書[『重商主義』]、第二巻、二〇八ページ。 (2) 前掲書、第二巻、二九〇ページ。 (3) 前掲書、第二巻、二〇九ページ。

   だがバーボンの見解が広く世に知られるようになったのは、*バーナード・マンデヴィルの『蜂の寓話』のおかげである。

5:35 午後  
Blogger yoji said...

山形訳

セクションVII

 これまで検討した理論は、有効需要を構成するもののうち、十分な投資の誘因に依存するものに向けられていました。でも失業の悪を他の構成要素のせいにするのも、目新しいことではありません。これはつまり、消費性向の不足ということです。でも今日の経済的悪に関するこの別の説明——これまた古典派経済学者には同じくらい評判が悪いものです——は十六世紀と十七世紀の思想ではずっと小さな役割しか果たさず、それが勢力を拡大したのは比較的最近になってからです。

 過少消費への文句は、重商主義的な思考のごくおまけ的な側面でしかありませんでしたが、ヘクシャー教授は「豪奢の効用と倹約の悪についての根深い信念」を示す数多くの例を引用しています。「倹約は実は、失業の原因とされ、その理由は二つあった。第一に、実質所得は交換にまわらなかったお金のぶんだけ減ると信じられていたこと、そして第二に、貯蓄はお金を流通から引き上げてしまうと思われていたこと」[ヘクシャー前掲書 ii巻 p.208]。1598年にラファマス(国をすばらしくする宝や富)はフランス産の絹を使うのに反対する人々を糾弾して、フランスの豪奢品購入はすべて貧困者の生活を支えるのであり、ケチは貧困者を疲弊させて殺してしまうのだと述べました。[同書 ii巻 p.290] 1662年にペティは「娯楽、すばらしいショー、凱旋門等々」を、その費用は醸造者やパン屋、仕立屋、靴職人などのポケットに還流するのだという根拠で正当化しました。フォートレーは「衣服の過剰」を正当化しました。フォン・シュレッター (1686) はぜいたく取り締まり規制を批判し、自分は衣服などにおける誇示がもっと派手だったりいと思う、と述べました。バルボン (1690) はこう書いています。「ぜいたくさは個人にとってはよろしくないものだが、商売にとってはちがう。(中略)ねたみは悪徳であり、その人間にも商売にもよろしくない」[同書 ii巻 p.209] と書きました。1695年にケーリーは、みんながもっとたくさんお金を使えば、みんなもっと大きな所得を得て「もっと豊かに生きられるかもしれない」と書いています。 [同書 ii巻 p.291]

6:15 午前  
Blogger yoji said...


ダニエル・デフォー(Daniel Defoe [ˈdænjəl dɨˈfoʊ], 1660年 - 1731年4月21日)は、イギリスの著作家、ジャーナリスト。『ロビンソン・クルーソー』1719を書いたことで有名。


ジョナサン・スウィフト(Jonathan Swift、1667年11月30日 - 1745年10月19日)は、イングランド系アイルランド人の諷刺作家、随筆家、政治パンフレット作者、詩人、および司祭。著名な作品に『ガリヴァー旅行記』1726『穏健なる提案』『ステラへの消息』『ドレイピア書簡』『書物合戦』『桶物語』などがある。スウィフトは英語の散文で諷刺作品を書いた古今の作家のなかでも第一級といってよいだろうが、詩作のほうはそれほど知られていない。彼は当初すべての著作を、レミュエル・ガリヴァー、アイザック・ビッカースタッフ、M・B・ドレイピアなどの筆名で、もしくは匿名で発表した。



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