マッチング理論:再考
新しい金融論―信用と情報の経済学 スティグリッツ他、Towards a New Paradigm in Monetary Economics -Stiglitz
http://nam-students.blogspot.jp/2016/02/towards-new-paradigm-in-monetary.html
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NAMs出版プロジェクト: ブランチャード&フィッシャー 『マクロ経済学講義』1989,邦訳1999:目次 #9
http://nam-students.blogspot.jp/2015/09/blog-post_34.html
ローマー『上級マクロ経済学』(Advanced Macroeconomics,David Romer)1996~:目次
http://nam-students.blogspot.jp/2015/04/advanced-macroeconomicsdavid-romer.html
http://nam-students.blogspot.jp/2015/09/blog-post_34.html
ローマー『上級マクロ経済学』(Advanced Macroeconomics,David Romer)1996~:目次
http://nam-students.blogspot.jp/2015/04/advanced-macroeconomicsdavid-romer.html
NAMs出版プロジェクト: 齊藤誠 他『マクロ経済学 New Liberal Arts Selection 』(2010年):目次
サーチ理論:メモ http://nam-students.blogspot.jp/2016/03/blog-post_34.html
なぜ日本の会社は生産性が低いのか? 熊野英生/&ひたすら読むエコノミクス 伊藤秀史
http://nam-students.blogspot.com/2019/03/kindle-2019.html
マッチング理論:再考
https://nam-students.blogspot.com/2019/01/blog-post_4.html@
ロイド・ストウェル・シャープレー(Lloyd Stowell Shapley、1923年6月2日 - 2016年3月12日)
- シャープレーのゲーム理論への貢献は、マッチングの分野にまで及んでいる。彼はデイヴィッド・ゲールと共に安定マッチングを導くためのゲール=シャープレー・アルゴリズムを定式化した。このアルゴリズムは社会的な要請を解決するメカニズムとして様々な問題に応用されている。例えば学校選択制において学校を割り振るのにニューヨーク市やボストン市などの自治体で用いられている。また医師の臨床研修制度においても研修医と病院をマッチングするためにアメリカなどで用いられており、日本でも2004年から新しい臨床研修制度を導入する際にゲール=シャープレー・アルゴリズムが取り入れられた。
アルビン・ロス Alvin Roth 2012
https://nam-students.blogspot.com/2019/02/alvin-roth-2012.html
マーケット・デザイン- アルヴィン・ロスの専門は、ゲーム理論、実験経済学、マッチング理論、マーケットデザインである。特に実験経済学が専門で、具体的には医学生と病院のマッチング、公立学校選択システム、腎臓交換などが有名である。
- 理論だけでなく、経済制度自体の設計を目指しているのが特徴である。彼は、何が可能かを示すだけでなく、「これは大半のケースでうまくいくか?」、「これが、いったい最善なのか?」という問いをたている。
- 医学生の研修先病院を割り振る際の問題を指摘し、解消した。例えば、結婚している医学生がいて同じ都市で暮らしたがっているといった場合の問題を解決してきた。
- ロスが1984年に書いた全国医学実習生マッチングプログラム(NRMP)の論文は、1952年にJohn StalknakerとF. J. Mullenによって設計されたシステムを際だたせたものであり、1962年のデイビッド・ゲールとロイド・シャープレーによる独立理論の基礎の上に導入されたものである。ロスは、全国医学実習生マッチングプログラムは未婚の医学実習生にとっては安定的で戦略保証つきであるかもしれないが、既婚カップルの場合はいかにすれば有効なマッチングが可能かといった問題に取り組み、将来にわたって拡張した。1999年、ロスは既婚医学生のカップルに安定したマッチングを確実にするマッチングプログラムを設計し直した。
- これは日本の研修医マッチングでも導入されている。
https://nam-students.blogspot.com/2019/01/blog-post_14.html
モーリス・アレ:世代重複モデル(OLG:overlapping generations model,Modèle à générations imbriquées)再考
http://nam-students.blogspot.jp/2016/03/qlgoverlapping-generations-model.html世代重複モデル:再考
http://nam-students.blogspot.com/2018/10/overlappinggenerationsmodel.html
ゲーム理論で解明されたユダヤの知恵
http://nam-students.blogspot.jp/2012/11/blog-post_28.html
森嶋通夫 Michio Morshima
http://nam-students.blogspot.com/2018/09/michio-morshima.html
(森嶋はサーチ理論を開発した経済学者のひとりであるピサリデスを指導した)
スティグリッツが近著でサーチ理論を絶賛している(「過去数十年で経済理論に生じた重要な進歩のひとつは..."サーチ理論"だ」『新しい教科書』2016邦訳245頁)。シャピロ=スティグリッツ・モデルでも表されていたが、不完全な労働市場(さらに離散的なそれ)はスティグリッツのいう情報の非対称性を前提にしたものだ。
サーチ理論
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%81%E7%90%86%E8%AB%96
ミクロ経済学において、サーチ理論(さーちりろん、英語:search theory)は即座に取引相手を見つけることができず、そのために商取引の前にパートナーを捜し求めなければならないような売り手や買い手についての研究である。探索理論とも呼ばれる。
サーチ理論は経済学の多くの領域で利用されている。労働経済学においては、労働者の就職活動において起こる摩擦的失業を説明するために用いられてきた。消費者行動分析で は、購買決定を分析するために用いられてきた。労働者の観点から考えて引き受けられやすい仕事というのは、賃金が高く、望ましい利益を提供してくれ、快適 で安全な労働環境の下で働けるものであり、 消費者の観点から考えて購入されやすい商品というのは、価格が安く、高い品質を持っているものだろう。いずれの場合にしろ、仕事や商品が受け入れられるか どうかは、市場にある代替品について探索する人が持っている考えに依存している。
より厳密な意味で言うと、サーチ理論は、選択の遅れによって損失を被る状況下で価値がそれぞれ異なる複数の選択肢がある時、個人の最適な選択を行う ことを目的としている。 探索モデルは再選択を行った時の価値と、選択の遅れによる損失のバランスを釣り合わせる最も良い均衡点を示すものである。 数学的には、optimal stopping(最適な妥協点)を見つけだすために使われる。
マクロ経済学者はこのサーチ理論を一般均衡モデルにまで拡大し、マッチング理論*またはサーチ・マッチング理論と呼ばれている。
*
2012年 | ![]() | アルヴィン・ロス | ![]() | 安定配分理論と市場設計の 実践に関する功績[143] |
![]() | ロイド・シャープレー | ![]() |
Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット) ―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学 Kindle版
https://www.amazon.co.jp/dp/B01D1D3XTC
以外も原図にいない
2010年代
年 | 受賞者名 | 国籍(出身国) | 受賞理由 | |
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2010年 | ![]() | ピーター・ダイアモンド | ![]() | 労働経済における サーチ理論に 関する功績 |
![]() | デール・モーテンセン | ![]() | ||
![]() | クリストファー・ピサリデス | ![]() ( ![]() |
ゲーム理論で解明されたユダヤの知恵
http://nam-students.blogspot.jp/2012/11/blog-post_28.html
参考:
NAMs出版プロジェクト: パレート最適:メモ
http://nam-students.blogspot.jp/2015/04/blog-post_82.html
ディープラーニング
http://nam-students.blogspot.jp/2016/03/blog-post_5.html
ゲーム理論トーマス・シェリング(Thomas Crombie Schelling)
http://nam-students.blogspot.jp/2016/12/thomas-crombie-schelling.html
ノーベル経済学賞:
ノーベル経済学賞:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssst/25/4/25_4_4_20/_pdf
メカニズムデザイン(遂行理論、制度設計理論)は,逆ゲーム理論(înversed game theory)と考えることもできる。すなわち、ゲーム理論ではルールが与えられた上で結果を分析するが, メカニズムデザインではある望ましい結果を得ることができるようなルールを設計する。
メカニズムデザイン(遂行理論、制度設計理論)は,逆ゲーム理論(înversed game theory)と考えることもできる。すなわち、ゲーム理論ではルールが与えられた上で結果を分析するが, メカニズムデザインではある望ましい結果を得ることができるようなルールを設計する。
2007年 | ![]() | レオニード・ハーヴィッツ | ![]() ( ![]() | メカニズムデザインの 理論の基礎を確立した功績[138] |
![]() | エリック・マスキン | ![]() | ||
![]() | ロジャー・マイヤーソン | ![]() |
2012年 | ![]() | アルヴィン・ロス | ![]() | 安定配分理論と市場設計の 実践に関する功績[143] |
![]() | ロイド・シャープレー | ![]() |
破産問題
http://bin.t.u-tokyo.ac.jp/game08/cg16.html
アルヴィン・ロス(Alvin Elliot Roth、1951年12月18日 - )は、アメリカの経済学者。ハーバード・ビジネス・スクールのジョージ・ガンド経済学・経営学講座教授(George GundProfessor of Economics and Business Administration)であった。この間、スタンフォード大学客員教授を兼ねていたが、2013年より専任のスタンフォード大学教授となる[1]。
アルヴィン・ロス | |
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![]()
Al Roth, Sydney Ideas lecture 2012
| |
生誕 | アルヴィン・エリオット・ロス 1951年12月18日(66歳) |
国籍 | ![]() |
研究分野 | ゲーム理論 マーケットデザイン 実験経済学 マッチング理論 |
出身校 | コロンビア大学 スタンフォード大学 |
主な受賞歴 | ノーベル経済学賞(2012年) |
プロジェクト:人物伝 |
|
2012年、ロスはロイド・シャープレーとともに、「安定配分理論と市場設計の実践」の功績についてノーベル経済学賞を受けた[4]。
目次
略歴
- 1951年 学校教師の夫婦の間に生まれる。
- 1960年代後期 ニューヨーク市クイーンズの中学のとき中退する。
- 後にコロンビア大学の週末クラスの学生となり、その後、フルタイムの学生となる。
- 1971年 コロンビア大学からオペレーションズ・リサーチの学位をえて卒業する。
- 1973年 スタンフォード大学よりオペレーションズ・リサーチのM.S.(修士号)をえる。
- 1974年 スタンフォード大学よりオペレーションズ・リサーチのPh.D.をえる。
- 1974年~1977年 イリノイ大学の助教となる。
- 1977年~1979年 イリノイ大学の准教授となる。
- 1979年~1982年 イリノイ大学の教授となる。
- 1982年~1998年 ピッツバーグ大学の教授(the Andrew W. Mellon Professor of Economics)となる。
- 1998年~2013年 ハーバード大学経済学部の教授(the George Gund Professor of Economics and Business Administration)となる。
- 2012年 ノーベル経済学賞を受ける。
- 2013年~ スタンフォード大学の教授。
参加・栄誉
- 1983年~現在 計量経済学会のメンバー
- 1983年~1984年 グッゲンハイム財団のフェロー(助成金)
- 1984年~1986年 アルフレッド・P・スローン財団のフェロー(助成金)
- 1998年~現在 アメリカ芸術科学アカデミーのフェロー
- 1998年~現在 全米経済研究所(NBER)のリサーチ・アソシエイト
- 2012年 NKR Terasaki Medical Innovation Award(shared with Itai Ashlagi), American Transplant Congress, Boston
ノーベル経済学賞
- アルヴィン・ロスは、2012年に(ロイド・シャープレーとともに)ノーベル経済学賞を受けた(「安定配分理論と市場設計の実践に関する功績を称えて」)。
- ロイド・シャープレーは、とくに結婚の組み合わせの相関的安定性を研究し、ゲール=シャープレー・アルゴリズムを明らかにした。
業績
主要業績
- アルヴィン・ロスの専門は、ゲーム理論、実験経済学、マッチング理論、マーケットデザインである。特に実験経済学が専門で、具体的には医学生と病院のマッチング、公立学校選択システム、腎臓交換などが有名である。
- 理論だけでなく、経済制度自体の設計を目指しているのが特徴である。彼は、何が可能かを示すだけでなく、「これは大半のケースでうまくいくか?」、「これが、いったい最善なのか?」という問いをたている。
研修医の問題
- 医学生の研修先病院を割り振る際の問題を指摘し、解消した。例えば、結婚している医学生がいて同じ都市で暮らしたがっているといった場合の問題を解決してきた。
- ロスが1984年に書いた全国医学実習生マッチングプログラム(NRMP)の論文は、1952年にJohn StalknakerとF. J. Mullenによって設計されたシステムを際だたせたものであり、1962年のデイビッド・ゲールとロイド・シャープレーによる独立理論の基礎の上に導入されたものである。ロスは、全国医学実習生マッチングプログラムは未婚の医学実習生にとっては安定的で戦略保証つきであるかもしれないが、既婚カップルの場合はいかにすれば有効なマッチングが可能かといった問題に取り組み、将来にわたって拡張した。1999年、ロスは既婚医学生のカップルに安定したマッチングを確実にするマッチングプログラムを設計し直した。
- これは日本の研修医マッチングでも導入されている。
公立学校選択システム
ニューヨークシティ公立学校システム
- ロスはニューヨーク市立学校の生徒とハイスクールとをマッチングする市場設計を支援した。従来は、学校地区ごとに生徒に5つの志望校のリストを出させていた。しかし、生徒は5校というより1校を選ぶことが多いという傾向があった。そこで、ロスとその同僚は、インセンティブと両立できるメカニズムを設計した。2003年、学校局は志望校の選択方法としてニューヨーク市ハイスクール・アプリケーション・システムを採用した。
ボストン公立学校システム
- 2004年、Tayfun Sonmezと共同で作業した。
腎臓交換
- Tayfun SonmezとUtku Unverとともに、'ニューイングランド腎臓提供プログラム'の創設者である。
- 腎不全患者に対して臓器供与の意思があるドナーがいても、臓器が適合しない場合がある。この場合、同様な状況にある他の組み合わせを探すことによって、患者とドナーの適切な組み合わせを探しだすことが出来るかもしれない。患者全員に適合する必要な臓器を提供できるドナーを探すことも不可能ではない。
著書
- Axiomatic Models of Bargaining, Lecture Notes in Economics and Mathematical Systems, Springer Verlag, 1979.
- Game-Theoretic Models of Bargaining, (editor), Cambridge University Press, 1985.
- Laboratory Experimentation in Economics: Six Points of View, (editor) Cambridge University Press, 1997 (Chinese translation, 2008).
- The Shapley Value: Essays in Honor of Lloyd S. Shapley, (editor), Cambridge University Press, 1988.
- Two-Sided Matching: A Study in Game-Theoretic Modeling and Analysis, With Marilda Sotomayor, Cambridge University Press, 1990.
- Handbook of Experimental Economics, Edited with J.H. Kagel, Princeton University Press, 1995.
- Game Theory in the Tradition of Bob Wilson, Edited with Bengt Holmstrom and Paul Milgrom, 2001.
- アルビン・ロス著『Who Gets What(フー・ゲッツ・ホワット)---- マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学』(日本経済新聞出版社、2016年;原著は2014年)ISBN: 978-4-532-35688-0
出典・脚注
- ^ “Curriculum vitae, and consulting services Alvin E. Roth”. Alvin E. Roth. 2012年10月15日閲覧。
- ^ Adams, Susan (2010年8月9日). “Un-Freakonomics: A Harvard professor uses economics to save lives, assign doctors and get kids into the right high school”. Forbes2012年10月26日閲覧。
- ^ Neyfakh, Leon (2011年4月3日). “The Matchmaker: The Harvard economist who stopped just studying the world and began trying to fix it”. Boston Globe 2012年10月26日閲覧。
- ^ “The Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel 2012”. Nobel Media AB (2012年10月26日). 2012年10月15日閲覧。
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ロイド・ストウェル・シャープレー(Lloyd Stowell Shapley、1923年6月2日 - 2016年3月12日[1])は、アメリカ合衆国の経済学者、数学者。カリフォルニア大学ロスアンジェルス校(UCLA)名誉教授。UCLAでは数学部と経済学部の双方に所属している。数理経済学、とりわけゲーム理論への貢献で広く知られており、ゲーム理論の分野における権威と見なされている。
ロイド・シャープレー | |
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ロイド・シャープレー(1980年)
| |
生誕 | 1923年6月2日 マサチューセッツ州ケンブリッジ |
死没 | 2016年3月12日(92歳) アリゾナ州ツーソン |
居住 | ![]() |
国籍 | ![]() |
研究分野 | 数学、経済学 |
研究機関 | カリフォルニア大学ロサンゼルス校、1981年- ランド研究所、1948年-1949年、1954年-1981年 プリンストン大学、1953年-1954年 アメリカ陸軍、1943年-1945年 |
出身校 | プリンストン大学 ハーバード大学 |
博士課程 指導教員 | アルバート・タッカー |
主な業績 | シャープレー値 シャープレイ=シュービック投票力指数 確率ゲーム ボンダレーヴァ=シャープレー定理 シャープレー=フォークマンの補題と定理 安定マッチングにおけるゲール=シャープレー・アルゴリズム 潜在的ゲーム コアマーケット・ゲーム ノンアトミック・ゲーム |
主な受賞歴 | ジョン・フォン・ノイマン理論賞(1981年) ノーベル経済学賞(2012年) |
プロジェクト:人物伝 |
|
目次
経歴
- 1923年6月2日 シャープレーは、マサチューセッツ州ケンブリッジで生まれた(父親は高名な天文学者であるハーロー・シャープレーである)。
- ハーヴァード大学に入学する。
- 1943年~1945年 アメリカ陸軍航空隊の軍曹として中国の成都に赴く。
- 戦後はハーヴァード大学に戻る。
- 1948年 数学の学士号(A.B.)を取得してハーヴァード大学を卒業する。
- 1948年~1949年 1年間ランド研究所で働く。
- 1949年 プリンストン大学大学院に入学する。
- 1952年~1954年 プリンストン大学のFine Instructorを務める。
- 1953年 プリンストン大学からPh.Dを取得する(卒業論文'Additive and Nonadditive Set Functions'。卒業論文及び卒業後の研究テーマはエッジワースの交換を基にした市場の理論を協力ゲーム理論の枠組みで再定式化することであった)。
- 1954年~1981年 ランド研究所に勤める。
- 1955年 マリアン・ルドルフと結婚する(夫妻はピーターとクリストファーの2人の子供をもうけた)。
- 1981年以降、UCLAで教授を務めていた。
- 2012年 ノーベル経済学賞を受賞する。
業績
初期の研究
- シャープレーの初期の研究は、エッジワースのアイディアをゲーム理論により定式化するプログラムと密接に関連していた。この一連の研究の中で、シャープレーはシャープレー値を定式化し、協力ゲームの解の1つとしてのコアの概念を導入、精緻化する作業を行ってきた。
- また彼はコアが非空集合となる必要十分条件を求め、これはボンダレーヴァ=シャープレー定理としても知られる。この条件においては、エッジワースの理論を定式化したマーケット・ゲームなどの凸ゲームのコアは必ず非空となることが示唆されている。
- さらに票に重み付けのある場合など投票に協力ゲームを適用し定式化する研究をマーティン・シュービックと共に行い、その際にそのゲームのシャープレー値が投票者の影響力、もしくはパワーを表すことを発見した。投票ゲームにおけるシャープレー値は彼自身と共同研究者であるシュービックの名を冠し、シャープレイ=シュービック投票力指数と呼ばれる。
- 1980年代にはシャープレイ=シュービック投票力指数を一般化し、権威の配分に関する研究も行なった。
確率ゲーム
- 非協力ゲーム、とりわけ動学ゲームの分野では確率過程ゲームを確立した。確率過程ゲームとは、繰り返しゲームが各ステージにおいて同じゲームを繰り返すのに対し、各ステージのゲームが状態変数により決定され各ステージの状態変数は前期の状態変数と前期の戦略にのみ依存し状態変数間の遷移が確率的なゲームである。従って各ステージで状態変数に依存してゲームが変化しうる。
マッチング
- シャープレーのゲーム理論への貢献は、マッチングの分野にまで及んでいる。彼はデイヴィッド・ゲールと共に安定マッチングを導くためのゲール=シャープレー・アルゴリズムを定式化した。このアルゴリズムは社会的な要請を解決するメカニズムとして様々な問題に応用されている。例えば学校選択制において学校を割り振るのにニューヨーク市やボストン市などの自治体で用いられている。また医師の臨床研修制度においても研修医と病院をマッチングするためにアメリカなどで用いられており、日本でも2004年から新しい臨床研修制度を導入する際にゲール=シャープレー・アルゴリズムが取り入れられた。
その他の研究
- その他にもゲーム理論の様々な分野に大きな貢献を残している。潜在的ゲームの概念を定式化し新たな分野を開拓したほか、オーマン=シャープレー・プライシング、ハーサニ=シャープレー解などはシャープレーの名にちなんでいる。
- またR・N・スノーやサミュエル・カーリンと取り組んだ行列ゲームに関する研究はこの分野をほぼ完成させ、効用理論の発展に役立った。さらに、効用の理論に関しても鋭い洞察を行っており、それを基礎に協力ゲームにおけるフォン・ノイマン=モルゲンシュテルンの安定集合の存在問題に関する解決を提案した。その他協力ゲームに関してはカーネルや仁といった解概念に関しても研究を行なっている。
- ロバート・オーマンとの共同研究では、ノン・アトミック・ゲーム(プレイヤーを分割可能な主体とみなしたゲーム)や長期の競争に関して扱っている。
受賞及び栄誉
- アメリカ陸軍航空隊 ブロンズ・スター (1944年)
- プリンストン大学 プロクター・フェロー (1951年 - 1952年)
- 計量経済学会 フェロー (終身フェロー 1967年 - )
- アメリカ芸術科学アカデミー フェロー (1974年 - )
- 全米科学アカデミー会員 (1979年 - )
- ジョン・フォン・ノイマン理論賞 (1981年)
- ヘブライ大学名誉博士号 (1986年)
- Institute for Operation Research and the Management Sciences(INFORMS) フェロー (2002年 - )
- アメリカ経済学会 Distinguished Fellow (2007年)
- ノーベル経済学賞(2012年)
学会
- American Mathematical Society, 1954-
- Econometric Society, 1955-
- Mathematical Programming Society, 1978-
- Operations Research Society of America, 1981-
主要論文
- A Value for n-person Games 1953, In Contributions to the Theory of Games volume II, H.W. Kuhn and A.W. Tucker (eds.).
- Stochastic Games 1953, Proceedings of National Academy of Science Vol. 39, pp. 1095-1100.
- A Method for Evaluating the Distribution of Power in a Committee System 1954 (with Martin Shubik), American Political Science Review Vol. 48, pp.787-792.
- College Admissions and the Stability of Marriage 1962 (with David Gale), The American Mathematical Monthly Vol. 69, pp. 9-15.
- Simple Games : An Outline of the Descriptive Theory 1962, Behavioral Science Vol. 7, pp. 59-66.
- On Balanced Sets and Cores 1967, Naval Research Logistics Quarterly Vol. 14, pp. 453-460.
- On Market Games 1969 (with Martin Shubik), Journal of Economic Theory Vol. 1, pp. 9-25.
- Utility Comparison and the Theory of Games 1969, La Decision, pp. 251-263.
- Cores of Convex Games 1971 International Journal of Game Theory Vol. 1, pp. 11-26.
- The Assignment Game I: The Core 1971 (with Martin Shubik), International Journal of Game Theory Vol. 1, pp. 111-130.
- Values of Non-Atomic Games 1974 (with Robert Aumann), Princeton University Press.
- Mathematical Properties of the Banzhaf Power Index 1979 (with Pradeep Dubey), Mathematics of Operations Research Vol. 4, pp. 99-132.
- Long-Term Competition – A Game-Theoretic Analysis 1994 (with Robert Aumann), In Essays in Game Theory: In Honor of Michael Maschler Nimrod Megiddo (ed.), Springer-Verlag.
- Potential Games 1996 (with Dov Monderer), Games and Economic Behavior Vol. 14, pp. 124–143.
- On Authority Distributions in Organizations 2003 (with X.Hu), Games and Economic Behavior Vol. 45, pp. 132-152, 153-170.
トリビア
- 1950年、シャープレーはメル・ハウズナー、ジョン・ナッシュ、マーティン・シュービックと共にソー・ロング・サッカーという名のボードゲームを開発した。
関連項目
脚注
- ^ “【訃報】ロイド・シャプリー氏=米カリフォルニア大ロサンゼルス校名誉教授”. 読売新聞. (2016年3月15日) 2016年3月20日閲覧。
外部リンク
- ロバート・オーマンのノーベル・レクチャー, こちらも参照のこと。 シャープレーの業績に関して言及している
4 Comments:
マーケット・デザイン オークションとマッチングの経済学 (講談社選書メチエ) 単行本(ソフトカバー) – 2015/2/11
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5つ星のうち5.0医療従事者だけではなく、患者になりうる人(=つまりすべての人)に対しておススメできる、よみやすくて面白い本。
2018年8月23日
形式: 単行本
行動経済学というと、数式やグラフが沢山出てくるんかなと勘繰っていたら、
とても読みやすい名著だった。
※NHKの番組『オイコノミア』にて大竹文雄先生がわかりやすい解説をしていたが、
やはりこの本もわかりやすかった。
この本の良いところは、
・まず、行動経済学の枠組みを説明し、
・医療現場での具体的な問題に対して、行動経済学的アプローチを提示する
ということである。
※枠組みの説明部分が若干速足なのはしょうがないことであろう。
基本的に通常の人より頭がいい(と思われる)医師は、
おそらくすべてを合理的に、簡潔に考えてしまう「癖」みたいなものが
あるからこそ、患者とのずれが生じてしまう。
この点に対しての行動経済学的アプローチが的確に提示されている点が
読んでいてすがすがしい。
また、医療現場での問題点ではあるが、おそらく医療とは程遠い
仕事の人でも、大変参考になる内容であろう。
人々の意思決定におけるバイアスを明らかにして、
それを認識することで、多くの人が間違った選択をせずに済むのではないかと思われる。
なお、個人的にわからない点として(経済学に明るくない私からすると)
本に書いてある枠組みは「どういった点が経済学なのか?どちらかというと心理学の分野ではないのか?」と
勘違いしてしまう。
ただ、その思いに対して、これを入門編としてもう少し他の本も読んでみよう、
とも思えるような「最初の本」としても有能であろうと感じた。
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Brown Mouse Lemur
5つ星のうち5.0行動経済学の医療現場への応用の良書
2018年7月29日
形式: 単行本
著名な行動経済学者による本書は、多くの書店で経済学コーナーよりむしろ、医学書のコーナーに置かれていると聞く。
ヒトの意思決定に関する新しい学問体系である行動経済学。臨床現場に応用できる知見がたくさんあるのに、多くの臨床家には、まだ馴染みが浅い。臨床心理の観点から医療従事者と患者の違いについて既出の書籍はあるが、行動経済学の分かりやすい図表を用いた本書は比類ない。
以前の経済学では、その前提である”合理的経済人"が現実的でない。そのため、モデル(経済学)と実態(実際の経済動向)が乖離していた。ところがリアルな人間の選択、意思決定を対象とする行動経済学、さらにその大脳生理的な背景に挑む神経経済学が登場して、「経済学」の地平が広がった。事実、行動経済学/神経経済学者がノーベル賞を獲得する時代となっている。
「おわりに」の章で、著書のひとり、大竹文雄先生が "医療は合理性を前提としているんですね" と喝破されたことが記されている。これが本書の発端であるとのことだ。臨床医である評者が、これまで考えていた昔の経済学の問題点 = ”合理的経済人”、これが実は臨床現場の現在の問題であることを見抜かれている ... ”胸を射抜かれた” 読後感である。
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くまじ
ベスト500レビュアー
5つ星のうち4.0決断を説明可能とすること
2018年11月4日
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本書に述べてあるような内容を個人技として身体化してきた医療スタッフはたくさんいたのだろうけれど、そういうのは一握りの「天才」の個人技にとどまっていたことになる。それが伝達可能な技術として広く共有・実践されるのであればとても意義ある。いわゆる「ガイドライン」が治療者の治療法選択にまつわる不安を軽減するのと同様に、本書で取り上げられた「行動経済学」的な手法は患者・家族との対面場面での治療者の態度決定への不安を軽減することになるだろう。
しかし、実際の治療の場面においてはガイドラインから逸脱する事態というもことも避けがたくある。そのようなガイドラインに背馳しないまでも逸脱的な方策を取る場合にも、あるいはそういう場合にこそ、「行動経済学」的な視点からの自己省察というものが有効なのかもしれない。正直言って筆者は本書はあまり面白いと思わなかったのだが、本書のコンセプトを理解し、その適用を考えれば結構役に立ちそう。
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popon
5つ星のうち5.0おもしろすぎる
2019年1月10日
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一気に読んでしまいました。おすすめです。読みやすい。ほとんどの説明はしっくりとくる。びんとこない章もあるが、それは個人差かもしれない。
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上記はマッチング理論ではなく行動経済学だった
後半は終末医療
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