大学受験や就職活動、婚活にいたるまで、人生の大切な局面では、決まって「マッチング」がモノを言います。
現実には、間違ったマッチングや、そもそも出会えないという悲劇が続出するのが人生で、これらを何としかしたいと、誰もが思っているに違いありません。
本日ご紹介する一冊は、その「マッチング」理論の応用分野である「マーケットデザイン」の研究で先進的な成果を挙げ、2012年のノーベル経済学賞を受賞した、アルビン・E・ロス氏による話題の一冊です。
世の中の仕組みを大きく変えるマッチングの理論を、一般読者向けにわかりやすくまとめており、どうすれば市場が機能するか、興味深い主張が展開されています。
最近はインターネットの活用により、就活も婚活も、勝ち組と負け組の差が極端に出るようになりました。
人気学生への内定の集中や、企業の抜けがけを防ぐため、あらゆる策が講じられていますが、うまく機能しているとは言えない状態です。
本書は、どうしたら最適・効率的な「組み合わせ」を実現できるか、ノーベル経済学者がその最新の知見を紹介しています。
どんなことが書かれているのか、さっそくチェックしてみましょう。
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マーケットプレイスがうまく機能するためにまず何より必要なのは、取引を希望する参加者を大勢集めて、彼らが最高の取引を探しあてられるようにすることだ。参加者が多く集まる市場には厚みがある
NYSEが毎日同じ時刻に取引を開始し、きっかり定刻に閉会するのにも、市場の厚みを維持する狙いがある
金銭が絡むと、それまで許容範囲だった取引が不快と見なされることがよくある。腎臓売買を禁じる法があるのに腎臓交換を禁じる法がないのも、合意のうえでの性行為が一般に受け入れられているのに売春がそうではないのも、この理由による
サルビアの花に指を深く差しこんでみた。指を引き抜くと、その背に一筋の花粉がついていた。この花は、ハチが奥深くまで入らなくては蜜を集められないような形状に進化したため、長い舌をもつ大型のハチだけがその蜜を得られるのだという
CBOTは小麦を品質等級(一等が最高級)と種類(硬質か軟質か、赤色か白色か、冬小麦か春小麦か)で分類することによって、小麦をコモディティに変えた(中略)市場をコモディティ市場に変えることによって、十分な厚みを実現できる場合がある
時限つきオファーのせいで市場は早期化するうえに厚みを失い、そのせいで参加者は市場によって与えられるマッチングの質に関する情報と、市場がほかにどんなマッチングを提供し得るのかという情報の両方を得られなくなる
価値があるのに埋もれている資源があり、それを探し当てて譲り渡すのが大変なとき、適切なマーケットプレイスを構築できれば成功できるチャンスがある
◆起業家が市場構築で考慮すべきこと
1.大勢の買い手と売り手を集め-て市場の厚みを増す方法
2.その結果起こり得る混雑を解消する方法
3.安全で信頼性の高い市場にする方法
最終的に私たちは「ロス=ペランソン・アルゴリズム」と呼ばれるようになった、混合型のアルゴリズムを開発した。この方式では、まず受け入れ保留アルゴリズムによって、医学生と研修プログラムをあらかじめマッチングさせる。このマッチングにはブロッキングペアがいくつか含まれているため、続いてそれらを一つひとつ修正していく。エリオットと私はいくつかの理由から、前に説明した受け入れ保留アルゴリズムを逆にして、雇用主が第一希望から順に応募者にオファーを出していく代わりに、応募者が第一志望から順に仕事に応募していく方式をとった
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アマゾンにしろ、Uberにしろ、Airbnbにしろ、インターネットビジネスのほとんどは、「マッチング」のためのサービス。
そう考えると、このマッチングの理論を学ぶことは、インターネットビジネスで成功するための原理原則を知ることにほかなりません。
多少記述が回りくどいところがありますが、読んでみて損はないと思います。
ぜひチェックしてみてください。
◆目次◆
第I部 市場はどこにでもある
第II部 挫かれた欲求──市場はいかにして失敗するか
第III部 市場をよりスマートにし、より厚みをもたせ、より速くするためのデザインの発明
第IV部 禁じられた市場と自由市場
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