火曜日, 10月 06, 2015

ミハウ・カレツキ (Michal Kalecki):マクロ経済学の知られざる英雄

                      ( 経済学リンク::::::::::

カレツキ:「投資と資本家消費が利潤と国民所得を決定する」という命題
http://nam-students.blogspot.jp/2012/01/blog-post_17.html
ミハウ・カレツキ (Michal Kalecki):マクロ経済学の知られざる英雄
http://nam-students.blogspot.jp/2015/10/michal-kalecki.html(本頁)

ヒックスが『価値と資本』#17(邦訳文庫下67,73頁参照)で用例を借りたという以下のカレツキの論文は未邦訳のようだ。

なお、鍋島直樹『ケインズとカレツキ』第7章155~6,198頁でこの借り手のリスクについて触れた「危険逓増の原理」1937が図解付きで解説されている(同159頁)。
中小企業ほど投資のリスクが大きいから規模の格差は決して解消されないのだ。
(ヒックスは計画期間と利率の関係を考察しただけだったが)


:156頁

:180,278頁(カレツキ別論文より)

「新しい投資準備の形成は、未拘束預金からの転換I1と銀行信用の拡大I2によって賄われる…。粗蓄積Aから未拘束預金に還流する部分をA1,同じく粗蓄積からの銀行への返済に用いられる部分をA2と表すならば、投資財に対して支出される額はA=A1+A2と表される。これより、投資準備の増加分I-Aは次のように表現することができる。
 I-A=(I1-A1)+(2-A2
I1-A1が未拘束預金の減少分を、I2-A2が銀行による信用膨張による部分をそれぞれ表している…。このようにして、産出水準の上昇には銀行組織による信用膨張が不可避的に随伴する…。」(180~1頁)

  投資リスクにおいてカレツキとケインズは意見がくい違ったという。このあたりも鍋島論文に詳しい。

《1937年の4月12日付の(注:ケインズからカレツキへの)手紙
では,投資誘因に関するカレツキの議論について,「あなたの議論は,アキレ
スと亀の寓話の改作版であるように私には思われます。あなたは私に,……た
とえアキレスが亀に追いつくとしても,それは多くの期間が経過したのちにお
いてだけであろうと語っているのです」(ibid☆,p.798)と述べて,カレツキの
見解に反論を加えている。いうまでもなく,ここで「アキレス」とは投資額
を,「亀」とは一般物価水準のことを指している。カレツキの説明において投
資の増加が物価の上昇を引き起こすという過程が繰り返されるのは,寓話のな
かでアキレスが永遠に亀に追いつくことができないのと同じようなものだとい
うわけである。ともあれケインズは、カレツキが自らに向けた批判は当たらな
いものであるとし,投資の増加にともなう危険の逓増は、すでに『一般理論』
における資本の限界効率の定式化において考慮されていると主張した(ibid,
p.793)。
 しかしながら,実際のところ,ケインズが『一般理論』において危険逓増の
問題を考慮していたという主張をそのまま受け取ることは難しい。…》
 (鍋島論考158頁)


ケインズのカレツキへの手紙は以下に所収されているという。
The Collected Writings of John Maynard Keynes; Volume XII: Economic Articles And Correspondence; Investment and Editorial (Volume 12)
関連論考:
Formal modelling vs. insight in Kalecki's theory of the ... D Besomi 
http://www.unil.ch/files/live//sites/cwp/files/users/neyguesi/public/Besomi.pdf 

52 Kalecki to Keynes, 4 April 1937, in Kalecki 1990, p. 525 (the point is also made in Kalecki 1939, p. 140: “It is true that […] the system always moves towards the point B, but it may, of course, take several τ periods to come close to it. Thus the time of adjustment is considerable (τ is more than half a year)”. Keynes did not think much of this approach: “your argument seems to me a version of Achilles and the tortoise, and you are telling me […] that even thought Achilles does catch the tortoise up, it will only be after many periods have passed by. […] I feel that you are making too much of a discontinuity between your periods” (letter to Kalecki, 22 April 1937, in Kalecki 1990, pp. 525– 26).

1990 Collected Works of Michal Kalecki. Volume 1. Capitalism: Business Cycles and Full Employment, ed. by Jerzy Osiatynski, Oxford: Oxford University Press.



以下の論考でも同カレツキ論文が言及されている。
栗田康之 :カレツキの資本主義経済論 - 宇野理論を現代にどう活かすか (Adobe PDF) 
www.unotheory.org/files/No8/newsletter_2-8-2.pdf カレツキの経済理論は、そのような学説史的関係も含めて、独占度、有効需要理論、景 ...... し手のリスク」および「借りてのリスク」)を緩和することによっても、投資を拡大させ ..... Kalecki,M.[1937]“The Principle of Increasing Risk”,Economica,vol.4,no.16.



___

ミハウ・カレツキ (Michal Kalecki)
http://cruel.org/econthought/profiles/kalecki.html

ミハウ・カレツキ (Michal Kalecki), 1899-1970.

 その生涯を通じて、カレツキはマクロ経済学の知られざる英雄だった――そして、経済学ではなぜ英語で論文や著作を刊行すべきかという見事な証拠となっている。カレツキは、ケインズの『一般理論』で述べられる原理の相当部分をそれ以前に予見していたとされるけれど、でもかれの論文 (1933, 1935) はポーランド語とフランス語でしか刊行されず、したがってほとんど気がつかれなかった。これをなんとかしようと、カレツキは 1936 年の論文で、自分のほうが先だったという主張を刊行することにしたが……これまたポーランド語でしか発表しなかった!

 でも、かれの英語の論文、特に ビジネスサイクル論 (1935, 1937, 1939, 1943, 1954) は、かれに独自の地位をもたらして、数学的動学を経済学に使う方法を進歩させた点で画期的だった。かれの研究はまた、いくつか 古典派 と マルクス派 の概念を導入していて、かなりの部分を「階級闘争」、所得分配と不完全競争に負っていた――これらの項目は、ケンブリッジのケインズ派たちに大きく影響を与える――時にロビンソン、カルドア、グッドウィンへの影響が大きい。また現代アメリカのポストケインズ派 経済学にも大きく影響している。

カレツキはほぼ一生にわたって、ワルシャワのビジネスサイクル&価格研究所で過ごした。

ミハウ・カレツキの主要著作

"Mr Keynes's Predictions", 1932, Przeglad Socjialistyczny.
An Essay on the Theory of the Business Cycle, 1933.
"Essai d'une theorie du mouvement cyclique des affaires", 1935, Revue d'economie politique.
"A Macrodynamic Theory of Business Cycles", 1935, Econometrica.
"The Mechanism of Business Upswing", 1935, Polska Gospodarcza.
"Some Remarks on Keynes's Theory", 1936, Ekonomista.
"A Theory of the Business Cycle", 1937, RES.
"A Theory of Commodity, Income and Capital Taxation", 1937, EJ.
"The Principle of Increasing Risk", 1937, Economica.
"The Determinants of Distribution of the National Income", 1938, Econometrica.
Essays in the Theory of Economic Fluctuations, 1939.
"A Theory of Profits", 1942, EJ.
Studies in Economic Dynamics, 1943.
"Political Aspects of Full Employment", 1943, Political Quarterly.
"Professor Pigou on the Classical Stationary State", 1944, EJ.
"Three Ways to Full Employment", 1944 in Economics of Full Employment.
"A Note on Long Run Unemployment", 1950, RES.
Theory of Economic Dynamics: An essay on cyclical and long- run changes in capitalist economy, 1954.
"Observations on the Theory of Growth", 1962, EJ.
Studies in the Theory of Business Cycles, 1933-1939, 1966.
"The Problem of Effective Demand with Tugan-Baranovski and Rosa Luxemburg", 1967, Ekonomista.
"The Marxian Equations of Reproduction and Modern Economics", 1968, Social Science Information.
"Trend and the Business Cycle", 1968, EJ.
"Class Struggle and the Distribution of National Income", 1971, Kyklos.
Selected Essays on the Dynamics of the Capitalist Economy, 1933-1970, 1971.
Selected Essays on the Economic Growth of the Socialist and the Mixed Economy, 1972.
The Last Phase in the Transformation of Capitalism, 1972.
Essays on Developing Economies, 1976.
ミハウ・カレツキに関するリソース

HET ページ:カレツキ分配サイクル
Peter Kriesler's Keynes, Kalecki and the General Theory"
Peter Kriesler's "Microfoundations: A Kaleckian perspective"
Malcolm Sawyer's "The Kaleckian Analysis and the New Mellium" working paper.
Review (by Gary Dymski) of Sebastiani's book, Kalecki and Unemployment Equilibrium in JEL


カレツキ『資本主義経済の動態理論』(邦訳1984)*は、ゲゼル『自然的経済秩序
(邦訳2007)とならんで必読。文庫化されるべき。マルクス、ケインズより重要。
(*あるいは、http://www.amazon.co.jp/Collected-Works-Michal-Kalecki-Capitalism/dp/0198285388/

*212頁
「労働者は得るものを支出し、資本家は支出するものを得る」
(Workers spend what they get Capitalists get what they spend)Kalecki

r(利潤率)=g(資本蓄積率)/Sc(貯蓄性向)
ケンブリッジ方程式

3 Comments:

Blogger yoji said...

経済計算論争(けいざいけいさんろんそう)とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/経済計算論争-1308740
経済計算論争
けいざいけいさんろんそう


社会主義経済には資源配分を合理的に行うための計算的基礎が存在するかという問題をめぐって、両大戦間期に欧米の経済学者の間で展開された論争をいう。この論争は1920年にオーストリアの経済学者ミーゼスの論文「社会主義共同体における経済計算」によって開始されたが、その論旨は、社会主義のもとでは生産手段が公有であるため、少なくとも生産財については市場および市場価格が成立せず、価格のないところに経済計算はありえないから、そこでは資源配分が恣意(しい)的に行われ、つまるところ社会主義経済は運営不可能に陥る、というものであった。
 ところがミーゼスのこの問題提起は、理論的にはすでに1908年にイタリアの経済学者バローネの論文「集産主義国家における生産省」によって解決済みであることが、その後明らかにされた。バローネは、生産手段の公有制のもとでも中央計画当局(生産省)が各種の財や用役に一種の計算価格を設定し、これに市場価格と原理的に同一の機能を果たさせることが可能であり、したがって社会主義のもとでも資源の合理的配分が可能であることを数学的に証明していたのである。そこで、ミーゼスと同じ立場にたつイギリスの経済学者ロビンズとハイエクはこの点を考慮に入れて、1930年代なかばに、社会主義経済においてそのような計算価格が設定可能であることが理論的に証明されたとしても、現実問題としてそうするためには中央計画当局は膨大な量の統計資料を収集・加工し、それに基づいて数十万(ハイエク)ないし数百万(ロビンズ)の連立方程式を解かねばならないから、それは実行不可能であると主張した。
 これらの議論に反論しつつ社会主義のもとでの経済計算可能論を主張したのは、アメリカの経済学者F・M・テーラー、A・P・ラーナー、およびポーランドの経済学者で当時滞米中のO・R・ランゲらで、うちもっとも有名なのがランゲの論文「社会主義の経済理論」(1936~37)であった。ランゲはこの論文において、第一に、社会主義のもとでも合理的な資源配分を実現するためには、価格をシグナルとして個々の経済主体の意思決定が行われるという意味での「価格のパラメータ機能」が保持されなければならないが、その際の価格はかならずしも市場価格である必要はなく、技術的代替率に基づく計算価格であれば十分であること、第二に、その実際的解決の仕方として、企業に自律性(生産上、販売上の自由)を与え、中央計画当局は任意の計算価格をこれらの企業に伝達し、その結果生ずる需給の不均衡に応じて計算価格を逐次修正してゆけば、価格のパラメータ機能が果たされうることを明らかにした。このランゲの見解は、「競争的解決」とか「市場社会主義」とかよばれたが、要するに、ソ連で集権的計画経済システムが成立した1930年代に早くも、計画経済と市場メカニズム(価格メカニズム)のフィードバック機能との結合を内容とする分権的社会主義経済モデルを提唱したものであり、ランゲの見解は60年代以降の東欧やソ連における市場メカニズム導入論(それは結局、失敗に終わったが)に大きな影響を与えた。[宮鍋 幟]
『A・F・V・ハイエク編、迫間真治郎訳『集産主義計画経済の理論』(1950・実業之日本社) ▽O・ランゲ、F・M・テーラー著、B・E・リピンコット編、土屋清訳『計画経済理論』(1951・社会思想研究会出版部) ▽W・ブルス著、鶴岡重成訳『社会主義経済の機能モデル』(1971・合同出版)』
出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例


計画経済理論―社会主義の経済学説 (1951年)- – 古書, 1951
テーラー (著), ランゲ (著), 土屋 清 (翻訳)
-: 198ページ
出版社: 社会思想研究会出版部 (1951)
ASIN: B000JBFYPG
発売日: 1951


カレツキとランゲは親しかった…

Title カレツキの政治経済学( Abstract_要旨 ) Author(s) 山本, 英司 ...
(Adobe PDF)
repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/.../1/ykeik00174.pdf
本論文は,多岐の分野にわたるミハウ・カレツキの業績を,資本主義経済論,社会主義 経済論,開発経済論の3分野に整 ..... オスカー・ランゲの存在があったと思われるが, 権力機構に属していたと思われるランゲとカレツキとの関係が本論文 ...
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/148515/1/ykeik00174.pdf

「マルクス主義者」としてのカレツキ
山本栄司 2005
https://naragakuen.repo.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=2024&item_no=1&attribute_id
=21&file_no=1&page_id=13&block_id=21










5:35 午前  
Blogger yoji said...

カレツキの政治経済学 (奈良産業大学経済・経営研究叢書) 単行本 – 2009/4/10
山本 英司 (著)

5:43 午前  
Blogger yoji said...


カレツキの政治経済学 (奈良産業大学経済・経営研究叢書) 単行本 – 2009/4/10
山本 英司 (著)
カレツキの政治経済学 - 千倉書房
http://www.chikura.co.jp/ISBN978-4-8051-0923-6.html
山本英司 著
 マルクスから批判的視点を受け継ぎ、ケインズに先駆けて「有効需要の理論」にたどり着いたミハウ・カレツキ。
イスラエル、メキシコ、インド、母国ポーランドで自らの経済理論の実践に携わった彼は、いま話題の「低開発国
問題」や「持続可能社会の構築」に最も早い時期から取り組んだ経済学者でもあった。その理論と生涯を丹念に追った労作。
2009年3月18日 定価4,104円(税込) A5判 232頁
目次
第1章 カレツキ入門
第2章 カレツキの資本主義経済研究における『景気循環理論』の位置
第3章 カレツキ資本主義経済論体系の形成と展開
第4章 カレツキの開発経済学
第5章 カレツキ開発経済学の実践
第6章 カレツキの比較経済体制論
第7章 「マルクス主義者」としてのカレツキ https://goo.gl/C8gqYY
第8章 「根本的な改革」から「決定的な改革」へ

鍋島直樹による書評がある。

5:49 午前  

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