火曜日, 6月 11, 2019

フィリップ・グリアソンPhilip Grierson(1910 – 2006)


Origins of Money 1977,フィリップ・グリアソンPhilip Grierson(1910 –  2006)
https://nam-students.blogspot.com/2019/06/philip-grierson1910-2006.html@

以下の沈黙交易のH・グリアーソンとは別人
The Silent Trade(1903) 『沈黙交易―異文化接触の原初的メカニズム序説』グリアスン
http://nam-students.blogspot.jp/2017/04/the-silent-trade1903-1997.html
20世紀のP.グリアーソンは人類学よりも法学の慣習を重視することで貨幣の起源を負債論(グレーバー91頁参照)として明確にした。ただし19世紀生まれのH.グリアーソンもイェーリング法学の影響を受けることで沈黙交易を考察し得た。

以下は2019年4月9日京都大学レジリエンスユニットMMT勉強会中野剛志氏発表資料を改変、

             ~社会科学の系譜とMMT

1900年 世界恐慌            2000年 世界金融危機
 人類学 ┏イネス  ポランニー               グレーバー
  法学 ┃H・グリアソン         P・グリアソン 
 社会学 ┃ジンメル                 インガム 
リスト  ⬇︎ ウェーバー               
 ドイツ ┃ ⬆︎                     [☆=MMT
┏歴史学派┃クナップ(➡︎ケインズ、ラーナー)       
⬇︎    ┗┓  ⬇︎                             
┗旧制度学派┃コモンズ (ジョン・ガルブレイス)➡︎ ジェームス・ガルブレイス☆  
      ┃  ┃           (ケインズ➡︎┛)
 マルクス ┃  ┃   カレツキ━━━━┓      ラヴォア         
      ┃  ┗━━➡︎┓       ⬇︎    ゴドリー フルワイラー
 ケインズ ┗━━━━━➡︎ケインズ ➡︎ ミンスキー  ➡︎  レイ☆、ケルトン☆ 
 ポスト・ケインズ派┏━━┛┗➡︎ラーナー⬆︎         ミッチェル☆、キーン
        ┏━┛         ┃(カルドア)    フォーステイター
        ┃           ┃         グッドハート
 実務家    ⬆︎ エクルズ      ┃         オカシオ=コルテス
        ┗ホートリー(ケインズ)┃  (リスト)  モズラー
 日本                 ┃     ┗➡︎中野剛志☆、三橋貴明
                    ┃ 西田昌司☆、藤井聡☆ 
                    ┃
 シュンペーター シュンペーター━━━━┛ カルドア ムーア          

MMT is a relatively new approach that builds on the insights of John Maynard Keynes, Karl Marx, A. Mitchell Innes, Georg F. Knapp, Abba Lerner, Hyman Minsky, Wynne Godley, and many others. It “stands on the shoulders of giants”, so to speak. (Wray2012)

以下をグレーバーが参照。
https://elaineou.com/wp-content/uploads/2017/01/Grierson-The-Origins-of-Money.pdf

https://www.amazon.co.jp/Origins-Creighton-Lecture-Philip-Grierson/dp/0485141159/

Origins of Money (Creighton Lecture)(英語) ペーパーバック – 1977/2

  • ペーパーバック: 44ページ
  • 出版社: Athlone Press (1977/02)
  • 言語: 英語
  • ISBN-10: 0485141159
  • ISBN-13: 978-0485141153
  • 発売日: 1977/02

https://en.wikipedia.org/wiki/Philip_Grierson
Philip GriersonFBA (15 November 1910 – 15 January 2006) was a British historian and numismatist, emeritus professor of numismatics at Cambridge University and a fellow of Gonville and Caius Collegefor over seventy years. During his long and extremely prolific academic career, he built the world's foremost representative collection of medieval coins, wrote very extensively on the subject, brought it to much wider attention in the historical community and filled important curatorial and teaching posts in Cambridge, Brussels and Washington DC.


The Fitzwilliam Museum : Events

A Celebration of the Life of Philip Grierson 

Philip Grierson, 2002

Philip Grierson

© Eaden Lilley
Philip Grierson (1910-2006), a well-known Cambridge historian who specialised in medieval monetary history, became the most celebrated numismatist of the twentieth century. As a Fellow of Gonville and Caius College for seventy years, he taught successive generations of history undergraduates and was affectionately known as one of the most sociable dons. Yet his reputation was formidable as an international scholar with an enviable command of languages, who held posts concurrently at Cambridge, Brussels and Washington. 
For fifty-six years he was Honorary Keeper of Coins in the Fitzwilliam Museum. His own collection of medieval European coins, the finest that exists, has been housed in the Museum for the last thirty years and has recently been bequeathed to it, together with his magnificent library. 
Professor Grierson died at the age of 95 on 15 January 2006, and a Celebration of his Life, held two months later in the Fitzwilliam Museum, was attended by 200 colleagues, friends and family members. Reminiscences of aspects of his life – his early days in Caius, his love of coin collecting, his activities in America, his ‘pizza and movie’ evenings with students – were accompanied by chamber and choral music performed by students of Gonville and Caius College. A highlight of the event was excerpts an interview with Professor Grierson made in June 2005.
The full texts of the addresses given at this Celebration are posted on this website: 

Links

DVD


A professionally filmed DVD of highlights of the evening is available from the Fitzwilliam Museum’s Department of Coins & Medals, price £8.95, plus postage and packing.
A short preview of some of the video footage from the DVD is available:



古川論考 原始貨幣と貨幣の起源

49:
グリアソンもポラニーと同様に貨幣の機能に着目してそれを2つの種類に分類する。 彼は次のように指摘する。 「[ローマ帝国のような古代の] 大帝国の貨幣は, われわれが一般に原始的民族の貨幣に特有であるとみなす鋳造されていない金属, 衣, 穀物あるいは他の類似のタイプの商品の形態をとるにもかかわらず, われわれ自身の貨幣と同様に,“一般的目的貨幣”(generalpurpose money) であった。 しかし後者の文脈では, そうした商品は通常,ある種の貨幣的取引に受容されるが, 他の物には受容されず, そうした限定目的貨幣 (limited-purpose money) は, 本当に貨幣と見なされ得るものかどうか, 人類学者の間で多くの議論を引き起こした」 (Grierson [1977] p. 15)。

Grierson, Philip [1977] The Origins of Money, London, The Athlone Press.

 クィギン (A. Hingston Quiggin) は, おそらく世界で最初に 「原始貨幣」についての体系的な著作『原始貨幣概説』(ASurvey of Primitive Money)を・・・・・・・記している。 彼女はこの著作の冒頭でこう述べている。 「経済学者を除く誰・・・でも,‘貨幣’は何を意味するかを知っているし, 経済学者でさえ一つの章ぐらいでそれを説明することはできるが, しかし厳密にそれを定義することは不可能である」 (Quiggin [[1874] 1974] p. 1, 傍点は引用者)。 「われわれの現在の目的にとっては, 貨幣という言葉は, 社会に認められた交換の手段,価値の標準および富のシンボルという3種類の機能を満たすような形態に限定される」 (Ibid., p. 4)。 「証拠は, 物々交換 商品の交換という通常の意味において は, 貨幣の進化における主要な要因ではなかったことを示している。 物々交換においで一般に交換される事物は自然に貨幣には発展せず,貨幣として用いられるもっと重要な通常の日常の物々交換には現れない。……素材の多様性と貨幣に対する野蛮な態度の複雑性は一般化を不可能にするけれども, 証拠は次のような議論の輪郭を支持しているように思われる」・・(Ibid., p. 321)。 そしてこう続ける。 「一般的に受容される貨幣はもっと便利な素材であることが必要であり, 貝殻, ビーズあるいは金属におけるような4つの不可欠の特質 (持ち運びの便宜, 分割の容易性, 耐久性, 認識の容易性) を見出す。 ……貨幣として用いられるようになる事物は, 主としてある特定の地域に限られないか, もし特定の地域であるなら, 特殊な地域あるいは特殊な階層の産物である。 そしてそれらは威厳があるか本質的, 宗教的ないし神秘的な長所を持っている。 すべての原始貨幣の形態の中で, 最も普遍的な子安貝 (宝貝貨) およびビーズは, 貨幣的価値はもちろん神秘的な価値を持ち, ……世界の大部分の地域においてなおそれ自身の価値を持っている。金属は完全な貨幣(‘full-bodied’ money) から代用貨幣 (‘token’ money)への変遷を最もよく示している」 (Ibid., p. 322, 傍点は原文ではイタリック)。


Quiggin, A. H. [1949 (1874)], A Survey of Primitive Money, New York, AMS Press (reprint, Methuen, London, 1949).
 
 
 

ランダル・レイ「現代貨幣理論への“カンザス・シティ”アプローチ:成立史から辿るMMT入門」(2020年7月) — 経済学101
https://love-and-theft-2014.blogspot.com/2021/03/2020-101.html
The "Kansas City" Approach to Modern Money Theory

by L. Randall Wray

2020/07
http://www.levyinstitute.org/publications/the-kansas-city-approach-to-modern-money-theory


https://econ101.jp/%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%80%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%83%ac%e3%82%a4%e3%80%8c%e7%8f%be%e4%bb%a3%e8%b2%a8%e5%b9%a3%e7%90%86%e8%ab%96%e3%81%b8%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%b3%e3%82%b6%e3%82%b9%e3%83%bb/

ランダル・レイ「現代貨幣理論への"カンザス・シティ"アプローチ:成立史から辿るMMT入門」(2020年7月)
WARE_bluefield
The "Kansas City" Approach to Modern Money Theory
by L. Randall Wray
Levy Economics Institute of Bard College
Working Paper No. 961
July 2020



目次

表券主義ー貨幣国定説
信用貨幣:貨幣サーキットと内生的貨幣
貨幣の性質
バランスシートの統合および整合: あるいは、政府支出の実態
部門別収支
金融不安定性
機能的財政、需要管理、完全雇用
MMTと雇用保障
結論: MMTと政策
要旨

#3貨幣の性質

貨幣は私有財産の台頭から発生している、というヘインソーンとシュタイガ―の意見について上述した。これは最初私の興味を引いたが、ケインズの推測とハドソンの研究と対立する。1998年に本を執筆している途中、私たちはフィリップ・グリアソンの研究を発見した。グリアソンは抜きん出た貨幣学者であり、貨幣の起源を短い本(Grierson 1977)で考察し、説得力のある代替案を提供している。彼は、計算単位で負債を測定するという概念は、古代の部族の贖罪金の慣行から出てきた可能性があると論じた。贖罪金の「罰金」は現物で測定されていたが、文明社会の進化に伴い、罰金を課す公の集会において、負債を測定するために計算単位(大麦の穀物単位など)に落ち着いたのではないかと彼は論じた。

このことは、貨幣の起源をメソポタミアの神殿の記録管理にあるとするハドソンの話にうまくつながっている。これはまた、redemption(贖罪、償還)やdebt jubilee〔訳注:直訳すると「負債記念催事」。旧約聖書に登場する債務帳消しの年〕など、貨幣と負債に関係する多くの用語が宗教的に密接に結びついていることと説得的であり、なぜ負債(debt)と罪(sin)が同義語であるのかも説明している15 。貨幣は取引コストを削減する交換媒体を求めて生まれたのではなく、むしろ負債から生まれたものであり、それ自体が社会的な関係である。すべての人間社会はお互いに負債を認識しているが(実際、他の多くの動物もそうである)、負債を一つの測定単位で「貨幣化」することは大きな飛躍であった。グリアソンが主張するように、「貨幣化」は長さや重さ、体積などの便利な尺度を思いつくよりもはるかに困難である。これらには膨大な社会的合意も必要となっている。そして、ケインズやグッドハートが強調しているように、民間機関が計算貨幣を作成した例はごく少数であり(クナップや私が1990年の本で論じた、北欧のgiro money 〔振替貨幣〕が例となるだろう)、過去「少なくとも4000年」を支配したのは、政府が選択した計算貨幣だった。

5 Comments:

Blogger yoji said...


love and theft: love and theft: [Full transcript] #53 L. Randall Wray: MMT And The Green New Deal | The MMT Podcast on Patreon 2020/06/03
https://love-and-theft-2014.blogspot.com/2021/02/love-and-theft-full-transcript-53-l.html?m=1
人間の生活でさえドル単位です。あなたは法廷に行って訴えることができます、そして彼らはテーブルを取り出して、彼らはその人間の人生が何の価値があるかをあなたに言うことができますよね?そして実際には、通貨の専門家であるケンブリッジの教授、グリアソンは、70年代初頭に、私たちが債務を測定するために集まって口座のお金で解決できる当局が文明に必要であると仮定しました、そして彼は考えましたおそらくこれは、あなたが他人に犯した怪我の借金である、窮地に立たされた伝統から来たのだろう。ですから、血の争いを防ぐために、私たちが知っているすべての部族社会には、このような伝統がありました。誰かを傷つけた場合、あなたとあなたの家族は犠牲者の家族に借りがあり、部族社会では、それに応じて提供されるものが異なります。怪我が何であったかについて。つまり、それは何かのための豚、他の何かのための牛、より少ない違反のためのトウモロコシのブッシェル、そして死、つまり目には目をかもしれません。したがって、彼らは長いリストを持ち、それが何であったかを覚えている指定メンバーを持っているでしょう。

しかし、ある種の上流階級の発展に伴い、測定単位は均一になりました。だから私たちはこれらすべての種類の負債を単一の口座のお金で測定し、これらのことを追跡するために書くことを発明することができるので、それはすべて誰かの心にある必要はありません、そしてそれはお金がどこから来たのかと思われますまた書く-書くことは詩人によって発明されたのではなく、お金の借金を追跡する会計士によって発明されました。初期の記録は常にお金です。ですから、両者は同じ起源を持っていたようで、おそらくそれを行ったのは文明の生活であり、当局はおそらく最初は、債務の返済で返済された罰金を共有しましたが、徐々に文明化されました。罰金はすべて当局に支払われ、被害者は何も得られません!

4:34 午前  
Blogger yoji said...

ランダル・レイ「現代貨幣理論への“カンザス・シティ”アプローチ:成立史から辿るMMT入門」(2020年7月) — 経済学101
https://love-and-theft-2014.blogspot.com/2021/03/2020-101.html
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by L. Randall Wray

2020/07
http://www.levyinstitute.org/publications/the-kansas-city-approach-to-modern-money-theory

https://econ101.jp/%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%80%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%83%ac%e3%82%a4%e3%80%8c%e7%8f%be%e4%bb%a3%e8%b2%a8%e5%b9%a3%e7%90%86%e8%ab%96%e3%81%b8%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%b3%e3%82%b6%e3%82%b9%e3%83%bb/

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The "Kansas City" Approach to Modern Money Theory
by L. Randall Wray
Levy Economics Institute of Bard College
Working Paper No. 961
July 2020



目次

表券主義ー貨幣国定説
信用貨幣:貨幣サーキットと内生的貨幣
貨幣の性質
バランスシートの統合および整合: あるいは、政府支出の実態
部門別収支
金融不安定性
機能的財政、需要管理、完全雇用
MMTと雇用保障
結論: MMTと政策
要旨

#3

貨幣は私有財産の台頭から発生している、というヘインソーンとシュタイガ―の意見について上述した。これは最初私の興味を引いたが、ケインズの推測とハドソンの研究と対立する。1998年に本を執筆している途中、私たちはフィリップ・グリアソンの研究を発見した。グリアソンは抜きん出た貨幣学者であり、貨幣の起源を短い本(Grierson 1977)で考察し、説得力のある代替案を提供している。彼は、計算単位で負債を測定するという概念は、古代の部族の贖罪金の慣行から出てきた可能性があると論じた。贖罪金の「罰金」は現物で測定されていたが、文明社会の進化に伴い、罰金を課す公の集会において、負債を測定するために計算単位(大麦の穀物単位など)に落ち着いたのではないかと彼は論じた。

このことは、貨幣の起源をメソポタミアの神殿の記録管理にあるとするハドソンの話にうまくつながっている。これはまた、redemption(贖罪、償還)やdebt jubilee〔訳注:直訳すると「負債記念催事」。旧約聖書に登場する債務帳消しの年〕など、貨幣と負債に関係する多くの用語が宗教的に密接に結びついていることと説得的であり、なぜ負債(debt)と罪(sin)が同義語であるのかも説明している15 。貨幣は取引コストを削減する交換媒体を求めて生まれたのではなく、むしろ負債から生まれたものであり、それ自体が社会的な関係である。すべての人間社会はお互いに負債を認識しているが(実際、他の多くの動物もそうである)、負債を一つの測定単位で「貨幣化」することは大きな飛躍であった。グリアソンが主張するように、「貨幣化」は長さや重さ、体積などの便利な尺度を思いつくよりもはるかに困難である。これらには膨大な社会的合意も必要となっている。そして、ケインズやグッドハートが強調しているように、民間機関が計算貨幣を作成した例はごく少数であり(クナップや私が1990年の本で論じた、北欧のgiro money 〔振替貨幣〕が例となるだろう)、過去「少なくとも4000年」を支配したのは、政府が選択した計算貨幣だった。

6:27 午前  
Blogger yoji said...


ランダル・レイ「現代貨幣理論への“カンザス・シティ”アプローチ:成立史から辿るMMT入門」(2020年7月) — 経済学101
https://love-and-theft-2014.blogspot.com/2021/03/2020-101.html
The "Kansas City" Approach to Modern Money Theory

by L. Randall Wray

2020/07
http://www.levyinstitute.org/publications/the-kansas-city-approach-to-modern-money-theory

https://econ101.jp/%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%80%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%83%ac%e3%82%a4%e3%80%8c%e7%8f%be%e4%bb%a3%e8%b2%a8%e5%b9%a3%e7%90%86%e8%ab%96%e3%81%b8%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%b3%e3%82%b6%e3%82%b9%e3%83%bb/

ランダル・レイ「現代貨幣理論への"カンザス・シティ"アプローチ:成立史から辿るMMT入門」(2020年7月)
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The "Kansas City" Approach to Modern Money Theory
by L. Randall Wray
Levy Economics Institute of Bard College
Working Paper No. 961
July 2020



目次

表券主義ー貨幣国定説
信用貨幣:貨幣サーキットと内生的貨幣
貨幣の性質
バランスシートの統合および整合: あるいは、政府支出の実態
部門別収支
金融不安定性
機能的財政、需要管理、完全雇用
MMTと雇用保障
結論: MMTと政策
要旨

#3貨幣の性質

貨幣は私有財産の台頭から発生している、というヘインソーンとシュタイガ―の意見について上述した。これは最初私の興味を引いたが、ケインズの推測とハドソンの研究と対立する。1998年に本を執筆している途中、私たちはフィリップ・グリアソンの研究を発見した。グリアソンは抜きん出た貨幣学者であり、貨幣の起源を短い本(Grierson 1977)で考察し、説得力のある代替案を提供している。彼は、計算単位で負債を測定するという概念は、古代の部族の贖罪金の慣行から出てきた可能性があると論じた。贖罪金の「罰金」は現物で測定されていたが、文明社会の進化に伴い、罰金を課す公の集会において、負債を測定するために計算単位(大麦の穀物単位など)に落ち着いたのではないかと彼は論じた。

このことは、貨幣の起源をメソポタミアの神殿の記録管理にあるとするハドソンの話にうまくつながっている。これはまた、redemption(贖罪、償還)やdebt jubilee〔訳注:直訳すると「負債記念催事」。旧約聖書に登場する債務帳消しの年〕など、貨幣と負債に関係する多くの用語が宗教的に密接に結びついていることと説得的であり、なぜ負債(debt)と罪(sin)が同義語であるのかも説明している15 。貨幣は取引コストを削減する交換媒体を求めて生まれたのではなく、むしろ負債から生まれたものであり、それ自体が社会的な関係である。すべての人間社会はお互いに負債を認識しているが(実際、他の多くの動物もそうである)、負債を一つの測定単位で「貨幣化」することは大きな飛躍であった。グリアソンが主張するように、「貨幣化」は長さや重さ、体積などの便利な尺度を思いつくよりもはるかに困難である。これらには膨大な社会的合意も必要となっている。そして、ケインズやグッドハートが強調しているように、民間機関が計算貨幣を作成した例はごく少数であり(クナップや私が1990年の本で論じた、北欧のgiro money 〔振替貨幣〕が例となるだろう)、過去「少なくとも4000年」を支配したのは、政府が選択した計算貨幣だった。

6:28 午前  
Blogger yoji said...

楊枝2013

 ケインズは, 計算貨幣の生成を貸付取引と結び付けているが, これに対して,

Grierson は古代には共通の価値の尺度は観念上の標準であっても, 現実の支払にはそれと同等と見なされる他の財で支払われることが多く,支払の語源が, pacify (to make peace with) の意味であることから, 共同体の全体集会で, 損害や傷害を償うために決められる wergeld (贖罪金) に, 貨幣システム確立のための前提条件である価値尺度としての貨幣 (「関連しないものを評価するための共通の尺度」) の起源を求めている。 「価値の一般的尺度としての貨幣の概念を発展させた社会においては, 人的傷害を法的に償う制度は, 直ちに, 相互の比較を可能にし, 社会の全成員に影響を与えるがゆえに, その社会の背後に見出される。」 「鋳貨の特殊な現象の背後には, 貨幣のより一般的な現象があり, 貨幣の起源は市場の中ではなく, 共同体の発展における非常に初期の段階に求められるのである」 (P. Grierson, The Origins of Money, 1977, pp. 16, 17, 21, 28-29, 33)。 ともあれ, 商品交換から貨幣が生まれたという常識は, 考古学の世界ではほとんど受け入れられていないようである。


(10)(11) op.cit., pp.224-225, 226.
(12)(13) op.cit., pp.252-255, 253-258.
(14) ケインズ 『貨幣論』 第 1 分冊, 鬼頭仁三郎訳, 同文舘, 1932 年, 1953 年, 15, 16 頁。 鋳造硬貨が流通していないにもかかわらず, 計算貨幣や価格, 利子が存在していたことは, 貨幣生成の常識を覆すものである。 (15) 同, 33, 38 頁。

11:36 午後  
Blogger yoji said...

法学 ┃H・グリアソン P・グリアソン 

1:18 午前  

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