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谷山 豊(たにやま とよ(ゆたか)[注釈 1] 、1927年〈昭和2年〉11月12日 - 1958年〈昭和33年〉11月17日)は、日本の数学者。理学博士。
埼玉県騎西町(現・加須市)出身。開業医の家庭に、八人兄弟の六番目として生まれる。
体が弱く、旧制浦和高等学校を2年休学して1950年に卒業。この頃に高木貞治の『近世数学史談』を読んで、数学者を志すようになる。
昨日まで、自殺しようという明確な意思があったわけではない。 ただ、最近僕がかなり疲れて居、 また神経もかなり参っていることに気付いていた人は少なくないと思う。 自殺の原因について、明確なことは自分でもよくわからないが、 何かある特定の事件乃至事柄の結果ではない。 ただ気分的に云えることは、将来に対する自信を失ったということ。 僕の自殺が、或る程度の迷惑あるいは打撃となるような人も居るかもしれない。 このことが、その将来に暗いかげを落とすことにならないようにと、心から願うほかない。 いずれにせよ、これが一種の背信行為であることは否定できないが、
今までわがままを通してきたついでに、最後のわがままとして許してほしい。[4]
と綴られていた[注釈 2]。没後、従七位に叙せられている[5]。墓は善応寺(加須市)。戒名は「理顕明豊居士」[6]。
その後、婚約者・鈴木美佐子も、遺書に「私たちは何があっても決して離れないと約束しました。彼が逝ってしまったのだから、私もいっしょに逝かねばなりません」[7]と書き残して12月2日にガス自殺を遂げている[注釈 3]。翌年1月25日、谷山・鈴木両家による「葬婚式」が行われた。善応寺にある谷山の墓には彼女の遺骨も埋葬され、墓石には二人の戒名が並んで刻まれている[9]。
業績として、アーベル多様体の高次元化、虚数乗法論。谷山–志村予想(上に定義された全ての楕円曲線はモジュラーである)がある。前者は谷山の死後志村五郎がその研究を発展させ、後者は志村が定式化した。
谷山予想は、1955年9月に栃木県日光市で開かれた代数的整数論の国際会議で、日本の若手の出席者が中心となって未解決の興味ある問題を集め、それを英訳して配布したものの中に問題という形で、今日「谷山予想」と呼ばれているものの原型が含まれていた、といわれている[10]。この時配布されたものは印刷されずに終わった[10]が、後に、英文によるものは『谷山豊全集』pp.147-148に、また日本語訳のものは『数学』第7巻第4号(岩波書店)に掲載された[11]。以下の2つの問題が、谷山予想の原型である。
問題12 を代数体上で定義された楕円曲線とし上の L函数をとかく:
は、上のzeta函数である。もしHasseの予想がに対して正しいとすれば、よりMellin逆変換で得られるFourier級数は特別な形の-2次元のautomorphic formでなければならない。(cf.Hecke) もしそうであれば、この形式はそのautomorphic functionの体の楕円微分となることは非常に確からしい。
さて、に対するHasseの予想の証明は上のような考察を逆にたどって、が得られるような適当なautomorphic formを見出すことによって可能であろうか。 (谷山豊)[11]
問題13 問題12に関連して、次のようなことが考えられる。Stufe の楕円モジュラー関数体を特徴づけること。 特に、この関数体のJacobi多様体をisogenousの意味で単純成分に分解すること。また素数、かつ ならば、が虚数乗法を持つ楕円曲線を含むことはよく知られているが、
一般のについてはどうであろうか。(谷山豊)[12]
谷山はたくさんの間違いを犯す、それもたいていは正しい方向に間違うという特別な才能に恵まれていた。私はそれがうらやましく、真似してみようとしたが無駄だった。そうしてわかったのは、良い間違いを犯すのは非常に難しいということだった。[14]
[2] R. Hecke, Hohere Modulfunktionen und ihre Anwendung auf die Zahlentheorie, Math. Ann., 7161912. j, 1-37.
[3] E. Hecke, Uber die Konstruktion relativ ABEL. scher Zahkiirper durch Modulfunktionen von zwei Variablen, Math. Ann., 74 (1913), 465-510.
[4] E. Hecke, Eine neue Art voir Tetafunktionen und ihre Beziehung zur Verteilung der Primzahlen, II, Math. Z.,6 (1920).11-51
[6] A. Weil, Varietes abeliennes et courbes algebriques, Paris, 1948.
[7] A. Weil, Number of solutions of equations in finite fields, Enil. Amer. Math. Soc., 55 (1919), 497-508.
[8] A. Weil, Jacobi sums as 'Grossencharaktere', Trans. Amer. Math. Soc., 73 (1952), 487-495.
文献
[1] M.Deuring, Die Zetafunktionen einer algebraischen.
Kurven vom Geschlecht Eins, Nachr. Akad. Wiss. Got-
tingen, (1953), 85-94.
[2] R. Hecke, Hohere Modulfunktionen und ihre Anwen-
dung auf die Zahlentheorie, Math. Ann., 7161912. j, 1-37.
[3] E. Hecke, Uber die Konstruktion relativ ABEL. scher
Zahkiirper durch Modulfunktionen von zwei Variablen,
Math. Ann., 74 (1913), 465-510.
[4] E. Hecke, Eine neue Art voir Tetafunktionen und ihre
Beziehung zur Verteilung der Primzahlen, II, Math. Z.,
6 (1920).11-51
[5] G. Shimura, Reduction of algebraic varieties wih re-
spect to a discrete valuation of the basic field, Amer. J.
Math., 77 (1955) 134-176.
[6] A. Weil, Varietes abeliennes et courbes algebriques,
Paris, 1948.
[7] A. Weil, Number of solutions of equations in finite
fields, Enil. Amer. Math. Soc., 55 (1919), 497-508.
[8] A. Weil, Jacobi sums as 'Grossencharaktere', Trans.
Amer. Math. Soc., 73 (1952), 487-495.
(本研究は文部省研究助成金(昭29年)によるもので
ある)
イデアル (環論) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/イデアル_(環論)抽象代数学の分野である環論におけるイデアル(英: ideal, 独: Ideal)は環の特別な部分集合である。整数全体の成す環における、偶数全体の成す集合や 3 の倍数全体の成す集合などの持つ性質を一般化したもので、その部分集合に属する任意の元の和と差に関して閉じていて、なおかつ環の任意の元を掛けることについても閉じているものをイデアルという。
整数の場合であれば、イデアルと非負整数とは一対一に対応する。即ち整数環 Z の任意のイデアルは、それぞれただ一つの整数の倍数すべてからなる主イデアルになる。しかしそれ以外の一般の環においてはイデアルと環の元とは全く異なるものを指しうるもので、整数のある種の性質を一般の環に対して一般化する際に、環の元を考えるよりもそのイデアルを考えるほうが自然であるということがある。例えば、環の素イデアルは素数の環における対応物であり、中国の剰余定理もイデアルに対するものに一般化することができる。素因数分解の一意性もデデキント環のイデアルに対応するものが存在し、数論において重要な役割を持つ。
イデアルは整数の算術から定義される合同算術の方法と同様の剰余環(商環)の構成にも用いられる、この点において群論で剰余群(商群)の構成に用いられる正規部分群と同様のものと理解することができる。
順序集合に対する順序イデアルの概念は環論におけるこのイデアルの概念に由来する。またイデアルの概念を一般化して分数イデアルの概念を考えることもでき、それとの区別のためここで扱う通常のイデアルは整イデアルと呼ばれることもある。
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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E6%BA%96%E5%90%8C%E5%9E%8B
数学における自己準同型(じこじゅんどうけい、英: endomorphism)とは、ある数学的対象からそれ自身への射(あるいは準同型)のことを言う。例えば、あるベクトル空間 V の自己準同型は、線型写像 ƒ: V → Vであり、ある群 G の自己準同型は、群準同型 ƒ: G → G である。一般に、任意の圏に対して自己準同型を議論することが可能である。集合の圏において、自己準同型はある集合 S からそれ自身への函数である。
任意の圏において、X の任意の二つの自己準同型写像の合成は再び X の自己準同型である。X のすべての自己準同型の集合はモノイドを構成し、それは End(X) と表記される(あるいは、圏 C を強調するために EndC(X) と表記される)。
X の可逆な自己準同型は、自己同型と呼ばれる。すべての自己同型の集合は、群構造を備える End(X) の部分集合であり、X の自己同型群と呼ばれ、Aut(X) と表記される。次の図で、矢印は包含関係を表す:
あるアーベル群 A の自己準同型写像は、次のルールに従って足し合わされる:(ƒ + g)(a) = ƒ(a) + g(a)。この加法の下で、アーベル群の自己準同型写像は環(自己準同型環)を構成する。例えば、Zn の自己準同型写像の集合は、成分が整数であるような全ての n × n 行列からなる環である。ベクトル空間あるいは環上の加群の自己準同型写像もまた、前加法圏内の任意の対象の自己準同型写像と同様に、環を構成する。非アーベル群の自己準同型写像は、近環として知られる代数的構造を生成する。乗法単位元をもつすべての環は、その正則加群の自己準同型環であり、したがってあるアーベル群の自己準同型環の部分環である[1]。しかし、どんなアーベル群の自己準同型環でもないような環も存在する。
特にベクトル空間のような任意の具象圏において、自己準同型はある集合からそれ自身への写像であり、その集合上の単項演算子として解釈されることもある。それは元に対して作用し、元の軌道の概念の定義を許すものである。
手近な圏に対して定義される追加構造(トポロジー、距離など)に依存して、そのような作用素は連続性や有界性などの性質を持つこともある。その点に関する詳細は作用素論に関係する記事を参照されたい。
自己函数(endofunction)とは、その定義域が余域と等しい函数のことを言う。準同型な自己函数は、自己準同型である。
S を任意の集合とする。S 上の自己函数の中に、S と、各 に関連する与えられた定数 の置換が存在する。S のすべての置換は、その定義域と等しい余域を持ち、それは可逆な双射である。S が 1 より多い元を持つなら、S 上の定数函数は、その定義域の真部分集合であるような余域を持ち、双射ではない(また可逆でもない)。各自然数 n に対する n/2 の床函数に対応する函数は、余域と定義が等しいが、可逆ではない。
有限の自己函数は、有向擬森と等しい。大きさ n の集合に対し、その集合上には nn個の自己函数が存在する。
特定の双射自己函数は、対合、すなわちその逆と一致する函数である。
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