泉鏡花は『法華経』をいくつかの作品内で引用しているが、それは引用された『法華経』(
全体図↓)の章(品)番号と引用している泉鏡花作品の全体の章の数とを合わせるという興味深い方法で行われている。
『
高野聖』は全26章→『法華経』第26品の陀羅尼 が引用される。
『
薬草取』は全5章→第5品の薬草諭品が引用される。
『
葛飾砂子』は全16章→第16品の如来寿量品が引用される。
(『葛飾砂子』は正確には全15章だが最後の第16品の引用を独立した第16章と読むことが可能だ。『歌行燈』1910全23章も、直接的及び内容的に竜女の出てくる12品が関係するが、全23章である。23品も追悼、女性(竜女)の転生を語っているので内容的には対応するかもしれない。実際、『歌行燈』における音楽、火、供養、女人成仏の主題は薬王23品を連想させる。偶然とは思えない。)
これはジョイスがユリシーズでホメーロスを下敷きにしたのにどこか似ている。
泉鏡花はあくまでもアレゴリカルに信仰に近づこうとするのだ。
法華経に関していえば、その内容は前後半で分かれる(日蓮はヘーゲル的な三分割=五重三段を採用している)。
参照:
http://homepage3.nifty.com/y-maki/hihan/gojyusanndan.htm
スーパースターが活躍する後半より、前半の比喩が優れている。
自然の観察が見られるからだ。泉鏡花も前半部分を引用している(後半部も引用しているが)。
参考:
http://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/48329_33335.html
おばけずきのいわれ少々と処女作
泉鏡花
______
参照:
http://www.myofukuji.or.jp/okyo/index.html
妙法蓮華経(新字体全文)
巻第一 序品第一
方便品第二
巻第二 譬諭品第三
信解品第四
巻第三 薬草諭品第五 → この品が引用される『薬草取』は全5章
授記品第六
化城諭品第七
巻第四 五百弟子受記品第八
授学無学人記品第九
法師品第十
見宝塔品第十一
巻第五 提婆達多品第十二
勧持品第十三
安楽行品第十四
従地涌出品第十五
巻第六 如来寿量品第十六 → この品が引用される『葛飾砂子』は全16章*
分別功徳品第十七
随喜功徳品第十八
法師功徳品第十九
巻第七 常不軽菩薩品第二十
如来神力品第二十一
属累品第二十二
薬王菩薩本事品第二十三
妙音菩薩品第二十四
巻第八 観世音菩薩普門品第二十五
陀羅尼品第二十六 → この品が引用される『高野聖』は全26章
妙荘厳王本事品第二十七
普賢菩薩勧発品第二十八
*『葛飾砂子』は正確には全15章だが最後の第16品の引用を独立した第16章と読むことが可能だ。
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妙 法 蓮 華 経 総 科
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
一経三段 二経六段
┃ ┃
┣序━巻第一━序品第1━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━序┓ ┃
┃分┏ 方便品第2━━┳━━━━━━━━━━━━略して三を開いて一を顕す━┓分┃ ┃
┃ ┃ ┗━━正説━┓ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┏━領解━╋━法説周━┓ ┃正┃ ┃
┃ ┃ ┏━╋━述成━┫ ┃ ┣宗┫ ┃
┃ ┃巻第二 譬諭品第3━┫ ┗━授記━┛ ┃ ┃分┃ ┃
┃ ┃ ┗━━━正説━┓ ┃ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ 信解品第4━━━━━領解━╋━譬喩周━╋広く三を開いて一を顕す━━┛ ┃迹┃
┃ ┃巻第三 薬草諭品第5━━━━述成━┫ ┃ ┣門┫
┃ ┃ 授記品第6━━━━━授記━┛ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ 化城諭品第7━━━━正説━━┓ ┃ ┃ ┃
┃ ┃巻第四 五百品第8━┓ ┏━領解━┓┣因縁周━┛ ┃ ┃
┃ ┃ ┣━╋━述成━╋┛ ┃ ┃
┃正┃ 人記品第9━┛ ┗━授記━┛ ┃ ┃
┣宗┫ 法師品第10━┳━━━━━━━━━━━━弘通の功の深きを明かして━┓ ┃ ┃
┃分┃ 宝塔品第11━┛ 未来の流通を勧む ┃流┃ ┃
┃ ┃巻第五 提婆品第12━━━━━━━━━━━━━━往事を挙げて流通を証す━━╋通┛ ┃
┃ ┃ 勧持品第13━━━━━━━━━━━━━━他方と此の土の流通を勧む━┫分 ┃
┃ ┃ 安楽行品第14━━━━━━━━━━━━━初心者のために安楽行を説く┛ ┃
┃ ┃ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━序┓ ┃
┃ ┃ 従地涌出品第15━━┫ 分┃ ┃
┃ ┃ ┗━━━━━━━━━略して近を開いて遠を顕す━┓ ┃ ┃
┃ ┃巻第六 如来寿量品第16━━近を開いて遠を顕す┓ ┣正╋本┛
┃ ┗ ┏━法身の記を授く━━╋広く近を開いて遠を顕す━━┛宗┃門
┃ 分別品第17━━╋━領解を申す━━━━┛ 分┃
┃ ┏ ┗┓ ┃
┃ ┃ 随喜品第18━━━┻初品の因の功徳━━━━━┓ ┃
┃ ┃ 功徳品第19━━━━初品の果の功徳━━━━━╋━滅後の功徳を説いて┓ ┃
┃ ┃巻第七 不軽品第20━━━━信毀の罪福━━━━━━━┛ 流通せしむ┃流┃
┃流┃ 如来神力品第21━━別付嘱━━┳━━嘱累流通┓ ┣通┛
┗通┫ 嘱累品第22━━━━総付嘱━━┛ ┃ ┃分
分┃ 薬王品第23━━━━苦行━━━┓ ┃ ┃
┃ 妙音品第24━┳━━三昧━━━┫ ┣━流通を付嘱す━━━┛
┃巻第八 普門品第25━┛ ┣━━化他流通┫
┃ 陀羅尼品第26━━━総持━━━┫ ┃
┃ 厳王品第27━━━━誓願━━━┛ ┃
┗ 勧発品第28━━━━神通━━━━━━自行流通┛
参照:岩波文庫『法華経下』
サンスクリット原典では第22品が末尾にまわる。
____________
『法華経』(
全体図)
五重三段とは、
A一代一経三段・
B法華経一経三段・
C迹門熟益三段・
D本門脱益三段・
E文底下種三段
(第一重) 一代一経三段 ◎釈尊一代五十年の経々を三段に分けて判釈A
(第二重)法華経一経三段 ◎第一重の正宗分を序・正・流通の三段に分けて判釈B
(第三重)迹門熟益三段 ◎法華三部経のうち、無量義経と法華経迹門を三段に分けて判釈C
(第四重)本門脱益三段 ◎法華三部経のうち、法華経本門と観普賢菩薩行法経を三段に分けて判釈D
(第五重)文底下種三段 ◎文底下種の法門より、仏教の一切を括って三段に分けた判釈E
http://homepage3.nifty.com/y-maki/hihan/gojyusanndan.htm
日蓮 観心本尊抄
<原文>+(現代語訳)
A
<法華経一部八巻二十八品・進んでは前四味・退いては涅槃経等の一代の諸 経惣じて之を括るに但一経なり始め寂滅道場より終り般若経に至るまでは序分なり無量義経・法華経・普賢経の十巻は正宗なり涅槃経等は流通分なり、正宗十巻 の中に於て亦序正流通有り無量義経並に序品は序分なり、方便品より分別功徳品の十九行の偈に至るまで十五品半は正宗分なり、分別功徳品の現在の四信より普 賢経に至るまでの十一品半と一巻は流通分なり。>
(法華経一部二十八品・すすんでは前四味(乳味・酪味・生 蘇味・熟蘇味・)(法華経は醍醐味)の教え最後のほうでは涅槃経までの教えを整理してみるとただ一経にまとめられます。寂滅道場(初涅槃)から般若経にい たるまでは釈尊一代の教えの序分であり、無量義経・法華経・普賢経の十巻は正宗分であり涅槃経は流通分なのです。)
http://blog.livedoor.jp/nakasugi_h/archives/55372579.html
B
<正宗十巻の中に於て亦序正流通有り無量義経並に序品は序分なり、方便品より分別功徳品の十九行の偈に至るまで十五品半は正宗 分なり、分別功徳品の現在の四信より普賢経に至るまでの十一品半と一巻は流通分なり。>
(正宗分のなかの十巻の中にまた序分・正宗分・流通分があります。無量義経と法華 経序品は序分なのです。方便品より、分別功徳品の十九行の偈にいたるまで十五品半は正宗分なのです。分別功徳品の現在の四信(仏在世あるいは滅後に法華経 を修行する者が初心の功徳を計るさいに四つの段階にわかれる。信解・略・一念解言趣・広為他説・深深観成の四つ)より普賢経にいたるまでの十一本半と一巻 は流通分なのです。)
http://blog.livedoor.jp/nakasugi_h/archives/55372579.html
C
<又法華経等の十巻に於ても二経有り各序正流通を具するなり、無量義経 無量義経と序品は序分なり方便品より人記品に至るまでの八品は正宗分なり、法師品より安楽行品に至るまでの五品は流通分なり、其の教主を論ずれば始成正覚 の仏・本無今有の百界千如を説いて已今当に超過せる随自意・難信難解の正法なり、>
(また法華経の十巻(経典は昔は巻物であり法華経は十巻二十八品)においても序・正宗・流通分があるのです。無量義経と序品は序分であり 方便品より人記品に至るまでの八品は正宗分なり、法師品より安楽行品に至るまでの五品は流通分なのです。その教主を論ずるならば始成正覚の仏、本無今有 (もとなくしていまあり:久遠の本地を明かさず今の成仏を論ずる)百界千如を説いて已今当(過去・現在・未来)に超える随自意で難信難解の正法なので す。)
D
<又本門十四品の一経に序正流通有り涌出品の半品を序分と為し寿量品と前後の二半と此れを正宗と為す其の余は流通分なり、其の教主を論ずれば始成正覚の釈尊に非ず所説の法門も亦天地の如し十界久遠の上に国土世間既に顕われ、>
(又 本門十四品の一経に序正・流通有り、涌出品の半品を序分と為し寿量品と前後の二半と此れを正宗と為す、その余は流通分とする、その教主を論ずれば始成正覚 の釈尊にではなく説くところのの法門も亦天地の如き違いがあります。十界が久遠と説かれ、その上に国土世間既に顕われています。)
http://blog.livedoor.jp/nakasugi_h/archives/55372579.html
E
<本門を以て之を論ずれば一向に末法の初を以て正機と為す所謂一往之を見る時は久種を以て下種と為し大通前四味迹門を熟と為して本門に至つて等妙に登らしむ、再往之を見れば迹門には似ず本門は序正流通倶に末法の始を以て詮と為す、在世の本門 と末法の始は一同に純円なり但し彼は脱此れは種なり彼は一品二半此れは但題目の五字なり。>
(本門から考えれば末法の始めをもって正機とするのです。いちおうこのことを考えると、久遠の昔に下種があったというべきで大通智 勝仏・前四味(乳味・酪味・生蘇味・熟蘇味)をもって熟とし本門にいたって妙覚に登ったのです。しかしさらによく見れば迹門とは違い本門は序分・正宗分・ 流通分ともに末法の始めから始まるのです。お釈迦様在世の本門と末法の始めは同じものですがお釈迦様の本門は過去の下種を刈り取るためで末法の始めは下種 の為なのです。お釈迦様の仏法は一品二半(従地湧出品十五の後半と如来寿量品第十六一品と分別功徳品第十七の前半)であり末法の下種は南無妙法蓮華経なの です。)
http://blog.livedoor.jp/nakasugi_h/archives/55372839.html
結論
<所詮迹化他方の大菩薩等に我が内証の寿量品を以て授与すべからず末法の初は謗法の国にして悪機なる故に之を止めて地涌千界の大菩薩を召して寿量品の肝心たる妙法蓮華経の五字を以て閻浮の衆生に授与せしめ給う、>
(結論は迹化や他方の大菩薩等に釈尊の内証の寿量品を以て授与すべきでなく末法の初は謗法(ほうぼう)の国であり悪機が充満し、故に菩薩の布教を止めて地涌千界の大菩薩を召して寿量品の肝心たる妙法蓮華経の五字を以て閻浮の衆生に授与しようと考えたのです。)
http://blog.livedoor.jp/nakasugi_h/archives/55372839.html
参考:
http://blog.livedoor.jp/nakasugi_h/archives/55372579.html 観心本尊抄 講義(12)A〜D
http://blog.livedoor.jp/nakasugi_h/archives/55372839.html (13)E、結論
http://blog.livedoor.jp/nakasugi_h/archives/55373080.html (14) 『法華経』(
全体図)
A妙 法 蓮 華 経 総 科(
日蓮解説リンク付き)
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
一経三段 二経六段
┃ ┃
┣序━巻第一━
序品第1━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━序┓ ┃
┃分┏
方便品第2━━┳━━━━━━━━━━━━略して三を開いて一を顕す━┓分┃ ┃
┃ ┃ ┗━━正説━┓ ┃ ┃ ┃
┃ ┃ ┏━領解━╋━法説周━┓ ┃正┃ ┃
┃ ┃ ┏━╋━述成━┫ ┃ ┣宗┫ ┃
┃ ┃巻第二
譬諭品第3━┫ ┗━授記━┛ ┃ ┃分┃ ┃
┃ ┃ ┗━━━正説━┓ ┃ ┃ ┃
C┃
┃ ┃
信解品第4━━━━━領解━╋━譬喩周━╋広く三を開いて一を顕す━━┛ ┃迹┃
┃ ┃巻第三
薬草諭品第5━━━━述成━┫ ┃ ┣門┫
┃ ┃
授記品第6━━━━━授記━┛ ┃ ┃ ┃
┃ ┃
化城諭品第7━━━━正説━━┓ ┃ ┃ ┃
┃ ┃巻第四
五百品第8━┓ ┏━領解━┓┣因縁周━┛ ┃ ┃
┃
B┃ ┣━╋━述成━╋┛ ┃ ┃
┃正┃
人記品第9━┛ ┗━授記━┛ ┃ ┃
┣宗┫
法師品第10━┳━━━━━━━━━━━━弘通の功の深きを明かして━┓ ┃ ┃
┃分┃
宝塔品第11━┛ 未来の流通を勧む ┃流┃ ┃
┃ ┃巻第五
提婆品第12━━━━━━━━━━━━━━往事を挙げて流通を証す━━╋通┛ ┃
┃ ┃
勧持品第13━━━━━━━━━━━━━━他方と此の土の流通を勧む━┫分 ┃
┃ ┃
安楽行品第14━━━━━━━━━━━━━初心者のために安楽行を説く┛ ┃
┃ ┃ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━序┓ ┃
┃ ┃
従地涌出品第15━━┫ 分┃ ┃
┃ ┃ ┗━━━━━━━━━略して近を開いて遠を顕す━┓
E┃
D┃
┃ ┃巻第六
如来寿量品第16━━近を開いて遠を顕す┓ ┣正╋本┛
┃ ┗ ┏━法身の記を授く━━╋広く近を開いて遠を顕す━━┛宗┃門
┃
分別品第17━━╋━領解を申す━━━━┛ 分┃
┃ ┏ ┗┓ ┃
┃ ┃
随喜品第18━━━┻初品の因の功徳━━━━━┓ ┃
┃ ┃
功徳品第19━━━━初品の果の功徳━━━━━╋━滅後の功徳を説いて┓ ┃
┃ ┃巻第七
不軽品第20━━━━信毀の罪福━━━━━━━┛ 流通せしむ┃流┃
┃流┃
如来神力品第21━━別付嘱━━┳━━嘱累流通┓ ┣通┛
┗通┫
嘱累品第22━━━━総付嘱━━┛ ┃ ┃分
分┃
薬王品第23━━━━苦行━━━┓ ┃ ┃
┃
妙音品第24━┳━━三昧━━━┫ ┣━流通を付嘱す━━━┛
┃巻第八
普門品第25━┛ ┣━━化他流通┫
┃
陀羅尼品第26━━━総持━━━┫ ┃
┃
厳王品第27━━━━誓願━━━┛ ┃
┗
勧発品第28━━━━神通━━━━━━自行流通┛
参照:岩波文庫『法華経下』
サンスクリット原典では第22品が末尾にまわる。 『法華経』(
全体図)
漢訳/訓読:
http://www.mitene.or.jp/~hokkekou/hokekyou/hk.html