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《…そして、それは贈与から生じる。クラ交易は、共同体と共同体の間の物々交換を可能にするのは、贈与交換だということを示すのである。いいかえれば、Cの根底にはAが働いていることを。
このことを示すいま一つの例として、「沈黙交易」を挙げておこう。これについては、P・H・グリアスン(一八五ーーー九二七)の『沈黙交易』(一九〇三年)が示唆に富んでいる。沈黙交易とは、古代から現代にいたるまで、さまざまな地域で行われてきた交易の形態であり、交易を担う双方の集団ができる限り身体的な接触を回避しつつ、安全・公正のうちに、必要なものの交換を遂行することを目指すものである。具体的には、まず片方が、お互いのテリトリーの中間に位置する中立的な場所に品物を置く。相手方は、その品物に満足すればそれを自分たちのものとし、それと等価とみなす品物をそこに置く。双方が品物に満足するとき、取引が成立する。ここでの等価性の根拠は、もっぱら双方の合意である。
この際に不可々なのは、交易を可能にするような中立的な場である。グリアスンによれば、「市場」とは、そのような「場」の発展形態である。よってそこでは、平和裏に交易を行うことを可能にするような、中立性、平和の保全が図られる。このほかにも、交換の土台となる平和を保全するための風習が数多くある。集団の外からやってきた客人を保護し歓待する習慣は、その代表的な例の一つである。さらにグリアスンは、市場に都市の起源を見いだしている。
以上の事例が示すのは、交換様式Cにおいて、交換する者たちの間の「信用(A)」が根本的だということである。そしてまた、交換が広がるにつれて、社会が拡大し変容するということである。すなわち、氏族社会から、部族社会、首長制社会、そして国家社会へと発展する。交換様式の観点からいえば、それは、交換様式AからBへの移行であり、そこに不可々な要素として、交換様式Cが絡んでいるということである。》
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