プルードン(1809-1865)を読んだことのない読者には冒頭の伝記が便利だろう。
ただ再読すると全体の構成が気になってくる。
本書はプルードンの著作から引用された断片が、近年出版された
柄谷行人著『世界史の構造』と同じ構造に再構成されているのだ(初版は1977年2月)。
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編者の河野健二によって、1「状況の認識」、2「自由と労働」、3「抑圧の構造」、4「あるべき社会を求めて」と再編集、区分けされた全体の構成は、柄谷の言うネーション、キャピタル、ステート、アソシエーションに対応させ得る。
そして特に第三部の抑圧の構造はさらに所有/国家/教会に三分割されているのが注目される。
これら「絶対主義の三位一体」(173頁)はヘーゲルやコントに近いとはいえ、交換を基本にする点で柄谷の先駆けだ(「正義は‥交換的である」126頁)。
交換的正義(154頁)、
真実の社会/公認の社会(ソシエテ・レール/ソシエテ・オフィシエル 129頁)、
自由(138、146頁)、
社会契約(156頁)、集合力(163頁)、
所有(174頁)、国家(199頁)、
宗教(213頁)、アナルシー(240頁)、
などの定義、マルクスへの手紙(91頁)や結婚観(265頁)も興味深い。
また、アトミズム(211頁)という言葉を社会学的に使ったのがプルードンが最初?だということもわかった。
表紙で採用された肖像画を描いたクルーベに関する言及(『芸術の理論とその目的について』1865)もあると良かったが、、、、索引はありがたい。
本書は同じ編者のより詳細な『プルードン研究』(岩波書店)と一緒に読むべきだろう(こちらは本格的な共同研究で、年表が便利)。
引用元を年代順に並べ替えると以下になる(☆は邦訳なし)。
☆『日曜励行論』(1839) (25)/(233)/(299−300)
『所有とは何か』(1840) 131/131−2/133−5/135/158−9/174/174−5/175−7/
177−9/185−7(不可能)/187−8/188−9/190−2/192−3/193/193−4
☆『人類における秩序の創造』(1843) 159−161/162/189−190/213−4
「マルクスへの手紙」(1846.5.17) (マルクス)91−3
☆『経済的諸矛盾の体系』(1846) (ルイブラン批判)79−83/127−8/147/161−2/168−9/
207−8/209−210/214−9/271−3
「信用・流通の組織化と社会問題の解決」(1848) 152−3/153/179−185/211(アトム)
☆「モーリスへの手紙」(1848.2.25) 70−1/71−4/74−5
☆「ドゥー県選挙人への手紙」(1848.4.3) 75−6
☆「ゴードンへの手紙」(1848.4.10) 76−7/78−9
☆「革命的綱領」『人民の声』(1848.5.30) 273−6
☆「マゲへの手紙」(1848.6.25) 96−7
☆「『人民の声』紙編集長へ」(1848.7.6)93−5
☆「ルイ=ナポレオン・ボナパルト」「人民」(1848.12.17) 97−9/99−105
『一革命家の告白』(1849.1)
54−6/56−8/58−60/60−1/62/65−66/67−9/95−6/ 106−8/108−110/137−9/139−141/211−2/220−3/228−9/249−251
☆「革命に対する抵抗」『人民の声』(1849.12.3) 83/83−7/87−90/199−200/238−240
「ルイ・ブランについて」『人民の声』(1849.12)
90−1(1849.12.26)/208−9(1849.12.28)/236−7(12.28)
『19世紀における革命の一般理念』(1851) 59−60/60−1/65−6/154−5/155−7/
201−3/223−6/229−232/241−3/243−5/251−5
☆『クーデタによって証明された社会革命』(1852) 110−2/113/114ー7/117−9/200−1/245−8
☆『投機家への手引』(1854-7) 119ー121
☆『革命と教会における正義』(1858) 126−7/136−7/143−5/146−7/163−4(集合力)/165−6/265−271(家族、結婚)/276−7
☆「手帖」(1843-1860,1960-1968刊) 129−130/147/166−8
☆「X氏への手紙」(1861.8.20) 240−1
「イタリア統一の再検討」(1862) 280/282−3
☆『イエスとキリスト教の起源』(-1862,1896刊) 219−220/128-9(☆『宗教論集』)
『連合の原理』(1863) 262/262−4/265
『労働者階級の政治的能力』(1865)
148-151/151ー2/153/153−5/194ー5/195−8/237−8/277-9/
284-8/288ー290/290-2 /292-4 /295ー7/297-8
以下、本来の目次と引用元。
1:1
54-56 一革命家の告白
56-58 同
58-59 同
(ルソー) 59-6019世紀における革命の一般理念
60-61 同
62 告白
62-64 告白
65-66 一般理念
67-69 告白
1:2
70-71 モーリスへの手紙
71-74 同
74-75 同
75-76 ドゥー県選挙人への手紙
76ー77 ゴードンへの手紙
78-79 同
(ルイブラン批判)79-83 経済的諸矛盾の体系
83 革命に対する抵抗 人民の声
83-87 同
87-90 同
90-91 ルイブランについて 人民の声
(マルクス)91-93 マルクスへの手紙 1946、5、17
93-95 人民の声』紙編集長へ 1948、7、6
95-96 告白
96-97 マゲへの手紙 1948、6、25
97-99 「ルイ=ナポレオン・ボナパルト」人民 1948、12、17
99-105 同
1:3
106-108 告白
108-110 告白
110ー112 クーデタによって証明された社会革命
113 同
114-117 同
117ー119 同
119-121 投機家への手引
2:1
126-127 革命と教会における正義
127-128 体系
128-129 宗教論集
129ー130 手帖
131 所有とは何か
131-132 同
2:2自由
133-135 同
135 同
136-137 正義
137-139 告白
139-141 同
141-143 同
143ー145 正義
146ー147 正義
147 手帖
147 体系
2:3
148-151 労働者階級の政治的能力
151ー152 同
152-153 社会問題の解決
153 能力
153 解決
153-154 能力
154-155 一般理念
155ー157 同
2:4
158-159 所有とは何か
159-161 人類における秩序の創造
161-162 体系
162 創造
(集合力とは)163ー164 正義
165-166 正義
166ー168 手帖
168-169 体系
3:1(所有)
174 所有
174-175 同
175ー177 同
177ー179 同
179ー185 社会問題の解決
(所有は不可能である)185ー187 所有
187ー188 所有
188-189 同
189ー190 創造
190-192 所有
192-193 所有
193 所有
193-194 所有
194ー195 能力
195-198 同
3:2(国家)
199-200 「革命に対する抵抗」人民の声
200-201 クーデタによって証明された社会革命
201ー203 一般理念
207ー208 体系
208ー209 ルイブランについて
209ー210 体系
(アトム)211 解決
211ー212 告白
3:3(教会)
213ー214 創造
214ー219 体系
219-220 『イエスとキリスト教の起源』
220-223 告白
223ー226 一般理念
226-228 同
228ー229 告白
229-232 一般理念
4:1
236ー237 『ルイブランに~』
237-238 能力
238-249 「革命に対する抵抗」人民の声
240-241 X氏への手紙
241ー243 一般理念
243ー245 同
245-248 『クーデタによって~社会革命』
249ー251 告白
251-255 一般理念
4:2
256ー257 能力
258-259 クーデタ
259-262 一般理念
262 連合の原理
262-264 同
265 同
(家族、結婚)265ー271 正義
271ー273 体系
273ー276 「革命的綱領」『人民の声』1848、5、30
276-277 正義
277-279 政治的能力
280 イタリア統一の再検討
281ー282 正義
282-283 イタリア統一の再検討
4:3
284-288 政治的能力
288ー290 同
290-292 同
292-294 同
295ー297 同
297-298 同