本作品は3部から成り、それぞれの部が10章で構成される。ロバート・ジェームズ・ビディノットは、「各部、各章のタイトルが、重層的な意味を示唆している。たとえば各部のタイトルは、アリストテレスの論理的推論の法則に敬意を表して付けられている。第1部のタイトルは『非矛盾(Non-Contradiction)』、第2部は『二者択一(Either-Or)』、第3部は『AはAである(A Is A)』であり、これらはアリストテレスの同一律から取られている」と指摘している[28]。
主人公のダグニー・タッガートは、曾祖父が創業したタッガート大陸横断鉄道の、業務取締役副社長である。冒頭、ダグニーは、会社を集産主義や国家統制主義から守ろうと奮闘する。彼女の兄で社長のジェイムズ・タッガートは、会社が直面する数々の問題に薄々気づいているようだが、不合理な決定を繰り返している。たとえばジェイムズは、会社にとって死活的に重要なレールを、納期も仕様も守り低価格で納品してきたリアーデン・スチール(社長:ハンク・リアーデン)ではなく、高価格な上に納品を遅らせ続けている共同製鉄(社長:オルレン・ボイル)から調達したがる。ダグニーは、自分自身の方針に従い決定を下し続ける。ダグニーの幼なじみで最初の恋人であるフランシスコ・ダンコニアは、彼の一族が代々経営してきた国際的な銅山会社を、理由もなく破壊しているように見える。ダグニーは、フランシスコの行動に失望している。
たたき上げの鉄鋼王であるハンク・リアーデンは、世界で最も信頼性の高い合金、リアーデン・メタルを開発した。ハンクは、リアーデン・メタルの組成を秘密にしていた。このため、競争相手たちから激しく嫉妬されている。リアーデン・メタルを使おうとしたダグニーには、激しい圧力が掛かる。しかしダグニーはこの圧力をはねのける。ハンクの職業生活は、妻や母や弟に対する義務の感情によって、しばしば妨害される。ダグニーは、かつてハンクのために働いていながらハンクを裏切ったロビイスト、ウェスリー・ムーチとの面識を得る。やがてダグニーは、実業界の傑出したリーダーたちが次々に失踪していることに気づく。リーダーを失った企業は、次々に崩壊していく。ワイアット石油の創業社長のエリス・ワイアットも、突然行方をくらました。あとには原油と炎を虚しく吹き上げる巨大な油井が残された。残された油井が吹き上げる炎を、人々は「ワイアットのトーチ」と呼んだ。政治家たちは、失踪したリーダーたちを必死で捜索した。だが彼らの行方はわからないままだった。経済が悪化し、成功している企業に対する政府の統制が強まるにつれて、「ジョン・ゴールトって誰?(Who is John Galt?)」という決まり文句がはやり始めた。人々は、答えのわからない疑問に直面するたびに「ジョン・ゴールトって誰?」と口にするようになった。人々はこの決まり文句を、暗に「大事なことは質問するな、答えはないのだから」と述べるために使った。あるいはもっと広く、「要するに?」、「だから何なんだ?」といった意味でも使った。
ハンク・リアーデンとダグニー・タッガートは、「ジョン・ゴールト線」と名付けた鉄道でリアーデン・メタルの信頼性を証明した後、肉体関係を持つようになる。その後ハンクとダグニーは、廃棄された工場の廃墟で、大気中の静電気を運動エネルギーに変換するモーターの、未完成試作を発見する。彼らはこのモーターの発明者を探し始める。調査の過程で、ダグニーがある科学者を追いかけて「ゴールト峡谷」にたどり着いた時、ビジネス・リーダーたちの失踪理由がついに明らかになる。そこではジョン・ゴールトという人物が、政府に対するビジネス・リーダーたちの「ストライキ」を組織していた。
タッガート大陸横断鉄道を見捨てる気になれなかったダグニーは、ゴールト峡谷を後にし、ニューヨーク市に戻る。ダグニーを陰で見守るため、ゴールトもニューヨークに向かう。ゴールトは、国家元首が全国民に向けて演説するラジオ放送を乗っ取り、長時間の(原語初版で70ページに及ぶ)演説をする。この演説でゴールトは、本作品の主題であるランドのオブジェクティビズムについて説く[29]。政府の崩壊が進み、ゴールトは逮捕されるが、彼の仲間たちによって救出される。その時ニューヨーク市から電気が失われる。彼らが世界を再編成するとゴールトが宣言したところで、本作品が終わる