木曜日, 1月 28, 2016

晩年のパーソンズによるルーマン批判

晩年のパーソンズによるルーマン批判 : 関本洋司のブログより

http://yojiseki.exblog.jp/6653410/

晩年のパーソンズによるルーマン批判

タルコット・パーソンズはその実質的最終講議で、レベルの違うものを混同しているとして、かつて自らの弟子だったニコラス・ルーマンを批判している。普通ならルーマンは変数が多すぎると批判すると思うが、パーソンズの晩年のカントへの傾倒も宜なるかなと思わせる批判である。
以下引用です。

 <ここ数日、私は『社会科学における一般理論の探究』(Explorations in General Theory in Social Science)という論文集の中の非常に興味のある論文を繰返し読んでいます。それはドイツの社会学者ルーマン(N・Luhmann)という人の論文です。彼の業績は、近年、多くの人々の注目を集めていますので、業績は知らなくても、彼の名前は皆様のうち何人かは御承知のことと思います。さてルーマンは、交換の一般化された媒体に接近する問題を取り上げようと試みています。ここ数日間、これを読み返しながら、私はルーマンが行為の一般理論の異なったサブシステムの区分に失敗しているため、彼の説明には重大な困難がひそんでいると確信するように成りました。例えば、彼は一般化されたメディアの分類をしていますので、私は次の時間に、それについていくつかのことを述べるつもりですが、そのなかでも「貨幣」、「権力」等についてはすでに御存知のことと思います。彼はこれに属するものとして貨幣と権力を認めていますが、協同者と私が用いて来た他の二つのカテゴリーー「影響力」と「価値委託」ーの代わりに、彼は「愛」(love)と「真実」(truth)(図)を用います。



ところで、他にもいろいろ難点がありますが、重要なことは、「愛」と「真実」は、一般行為システムのレベルに属するとしても、「貨幣」と「権力」は一般行為システムのレベルではなくて、社会システムに属しているというふうに思われます。私が考えていることを簡単に説明するに当ってまず述べたいことは、そこで言及しているシステムが何であるかを注意深く確認することの重要性であります。ルーマンはすべてのことを社会システムとして処理しており、文化システムを社会システムとは別個なものとして論じていません。>

(T・パーソンズ『社会システムの構造と変化』1984年、創文社p.34より)

参考:
やはり以前にも紹介した以下の図を参照するとわかりやすいかも知れない。
『人間の条件パラダイム—行為理論と人間の条件第四部 』(p264)富永健一作製の図↓
(AGILではなくLIGA図式になっている。)


追記:
先日書いたエルニーニョに関する記事↓と照らし合わせると生命システムの位置づけには実感としてうなづける。
http://yojiseki.exblog.jp/d2008-01-06


追記の追記:
パーソンズのシステム図は、インド生まれの思想家、サティシュ・クマールの以下の説と響き合う。
以下、ナマケモノ倶楽部MLより。

http://shop.slowbusiness.org/index.php?main_page=product_info&cPath=87_92_115&products_id=505

●つながりを取りもどす時代へ 持続可能な社会をめざす環境思想
http://shop.slowbusiness.org/index.php?main_page=product_info&cPath=87_92_118&products_id=556


■3つの“S”
――Soil(土)、Soul(心)、Society(社会)

エコロジーとは何か。土と心と社会という3つの言葉で説明できます。一体であるはずのこの3つが、バラバラだとどうなるでしょう?
例えば、社会運動家たちはこう考えるかもしれない。「環境どころじゃない。社会にまず正義を実現しなければ」と。また、環境運動家たちはこう言うかもしれない。「木や森、山に川、海や動物たちがあっての人間だ。人間だけの平和には興味がない」と。
さらに、自己啓発やスピリチュアルな世界、宗教などに救いを求める人たちは言うかもしれない。「地球は放っておいても大丈夫。必要なのは自己の成長と発展だけだ。自分が幸せなら、おのずと平和はついてくる」と。

新しい世界を目指す運動が、バラバラでは困るでしょう。それらを結びつける必要があります。なぜなら、これら3つの運動はどれも、ホリスティックで持続可能な世界を目指しているのだから。同様に、土と心と社会は、一体で切り離すことができません。

水曜日, 1月 27, 2016

翹望、impatience せっかち度?

フィッシャー利子論の邦訳で、 impatienceが
翹望と訳されていた。

(翹望する expect 翹望する anticipate  )

impatienceの意味 - 英和辞典 Weblio辞書

ejje.weblio.jp/content/impatience
impatienceの意味や和訳。 【名詞】【不可算名詞】1短気,性急,せっかち; いらいら,じれったさ; (苦痛・圧迫などを)我慢できないこと.用例feel impatience with 人にいらいらする.with impatien... 

減的限界せっかち度 decreasing marginal impatienceと呼ばれる内生的時間選好(endogenous time preference)

不忍耐(impatience)」:
  
選好の逆転」を織り込まずに行動. ▻ 時間非整合な ... 時間割引率(せっかちさ(impatience



http://www.econlib.org/library/YPDBooks/Fisher/fshToI4.html


PART II, CHAPTER IV
TIME PREFERENCE (HUMAN IMPATIENCE)

§1. Preference for Present over Future Income

ゲゼル、フィッシャー、マイナス利子




1930 年代アメリカのスクリップの再検討

 
(Adobe PDF)
宮崎義久

eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/.../DPB80.pdf
目次】. 0.はじめに. 1.スクリップの概観. 2.スクリップの思想史的背景. 2.1 ゲゼルの 自由貨幣の思想. 2.2 フィッシャーのスタンプ貨幣観. 3.スクリップの実践的 ..... 17 自由 貨幣の思想の背景にある資本理論や利子論は本稿では別の問題である。 18 しかし, ...



計画の骨子は,『好況と不況』のAppendix7「リフレーションと安定化のためのその他の提案」で説明されている23。以下は,その内容を要約したものである。 

スタンプ貨幣計画の概要は次の通りである。まず,政府がスタンプ貨幣を発行する。スタンプ貨幣は法定通貨と同じ扱いであるが,特殊なドル紙幣である。スタンプ貨幣の裏側には,12の空欄が設けられており,月初めに1セントのスタンプを貼り付けることが義務付けられている。最終的に政府がスタンプ貨幣を償還する。したがって,政府はスタンプ貨幣の発行益を得られる。この計画において,スタンプが貨幣の退蔵に対する税金となる。また,スタンプ貨幣を発行することで,貨幣量と貨幣の流通速度を上昇させることがねらいである。さらに,この計画のもうひとつのポイントは,失業者を含めたすべての消費者に対して購買力を提供することである。スタンプ貨幣が消費者の手元に配布されることによって,人々は財やサービスを手に入れるための購買力が得られる。さらに,スタンプ貨幣が何らかの手段によって配布されたとき,失業者救済の手段の役割を果たすだろう。したがって,新たな貨幣(=スタンプ貨幣)は新たに購買力を提供し,その利用が遅れたものに対して罰則を課すことで「呼び水効果」となるだろう24。 



マイナス金利は末端でやらないと意味がない

  • 【金融】元日銀副総裁・岩田一政氏「マイナス金利が望ましい」 [無断転載禁止]©2ch.net
    0001 海江田三郎 ★ 2016/01/28 14:45:28

    ■金融政策 私の視点 
     日本銀行は28、29日に金融政策決定会合を開く。年明けからの金融市場の混乱を受け 
    、市場関係者の間では追加緩和への期待が高まっている。会合を前に、岩田一政・元日銀副総裁に展望をきいた。 
    金融政策 私の視点 
     ――年明けから円高と株安が進みました。昨今の金融市場の状況をどう見ていますか。 
     「昨年8月の市場の混乱から、『ギリシャ悲劇』の第3幕が始まったと思っている。年明けからそれが深くなった。 
    『悲劇』の1幕目は2008年のリーマン・ショック、2幕目は10年のユーロ危機、3幕目は現在進行形の 
    新興国の減速と債務問題、資源価格暴落の組み合わせだ」 
     ――現在の状況は、リーマン・ショックやギリシャを発端とするユーロ危機と同じくらい重大な事態なのでしょうか。 

     「1、2幕目に続く大きなショックだ。ある人の計算によると、今年に入って世界の株式時価総額は8兆ドルくらい減った。 
    リーマン・ショックが起こった08年9月でも5兆ドルくらいだった。当時以上の株価下落が発生している。 
    『パーフェクト・ストーム』と言う人もいれば、『メイヘム(大混乱)』と言う人もいる」 
     「金融市場には投機的な動きがつきものだ。だが、21日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、 
    将来の追加緩和を示唆したら、翌日の日経平均株価は900円超も上がった。戻り方が極端で、極度に不安定な状況が続いている」 
     ――各国の中央銀行は、こうした市場を落ち着かせるためにどのような行動がとれるでしょうか。 
     「米連邦準備制度理事会(FRB)は、連邦公開市場委員会(FOMC)で、年内の金利引き上げペースを落とすと 
    いったサインを出すことができる。ほかにも、日本銀行が市場に渦巻く追加緩和期待が満たされるような声明を出すとか、 
    そういうことがあれば短期的には値を戻すだろう」 

     ――それでも、市場が不安定になっている原因の解決にはつながりません。 
     「危機が本格的な底入れを迎えるには、中国の減速や新興国の債務問題、とりわけ民間企業の債務問題 
    の解決にめどがつく必要がある。また、原油価格は極めて低水準だが、まだ下がるかも知れない。 
    これも底入れには時間がかかると思える要因だ」 
     ――金融市場の参加者の間では、28、29日の金融政策決定会合で日銀が追加緩和に踏み切ることを期待する声があります。 

     「市場参加者は、中央銀行の政策をいろいろと比較するものだ。一つの視線は『横』だ。 
    ユーロ圏と日本が置かれた状況を比べると、物価上昇率は似たようなものだ。景気はユーロ圏の方がしっかりしている。 
    パリでテロがあった割に持ちこたえている。日本の昨年第4四半期はゼロ成長に近くなる可能性も多分かなりある。 
    そんななか、ユーロ圏の中銀であるECBは、3月に追加緩和をすると示唆した。 
    だから、市場は日銀にECBと同様の政策を期待してしまっている」 
     「もう一つは『縦』の視線だ。14年10月に追加緩和をした時と比べて、いまの環境はあまり変わりない。 
    株価も追加緩和前後の水準に戻った。為替レートも円高の方向に反転し始めている。 
    日銀が最も重視しているのはインフレ期待だ。一昨年、原油価格が下がってインフレ期待が大幅に低下するのを恐れて 
    追加緩和をした、と説明した。だが、その原油価格が再び下がってきている」 

     ――ならば、月末に追加緩和に踏み切るのが適切と考えられると。 
     「材料を『横』で見ても、『縦』で見ても、今追加緩和があってもおかしくない客観的情勢にはあるというふうに思う。 
    もちろん実際にどうするかは日銀の政策委員の判断によるが」 
     「ただ、日銀はすでに量的緩和をやり尽くしている。国債購入の限界が見えてきているなかで、 
    追加緩和をどう考えるかという点がもう一つの要素としてある。ECBにはそういう緩和の限界の問題はないが、 
    日銀にはある。この点は二つの中銀の政策を比べる時に複雑な要素になる」
    返信 ID:CAP_USER(2)


http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/38128/1/DPB80.pdf

計画の骨子は,『好況と不況』のAppendix7「リフレーションと安定化のためのその他の提案」
で説明されている23。以下は,その内容を要約したものである。 

スタンプ貨幣計画の概要は次の通りである。まず,政府がスタンプ貨幣を発行する。スタンプ
貨幣は法定通貨と同じ扱いであるが,特殊なドル紙幣である。スタンプ貨幣の裏側には,12の
空欄が設けられており,月初めに1セントのスタンプを貼り付けることが義務付けられている。
最終的に政府がスタンプ貨幣を償還する。したがって,政府はスタンプ貨幣の発行益を得られ
る。この計画において,スタンプが貨幣の退蔵に対する税金となる。また,スタンプ貨幣を発行
することで,貨幣量と貨幣の流通速度を上昇させることがねらいである。さらに,この計画の
もうひとつのポイントは,失業者を含めたすべての消費者に対して購買力を提供することで
ある。スタンプ貨幣が消費者の手元に配布されることによって,人々は財やサービスを手に入れる
ための購買力が得られる。さらに,スタンプ貨幣が何らかの手段によって配布されたとき,
失業者救済の手段の役割を果たすだろう。したがって,新たな貨幣(=スタンプ貨幣)は
新たに購買力を提供し,その利用が遅れたものに対して罰則を課すことで「呼び水効果」
となるだろう24。 

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マイナス金利は末端でやらないと意味がない

1930 年代アメリカのスクリップの再検討 (Adobe PDF)
宮崎義久
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/38128/1/DPB80.pdf

計画の骨子は,『好況と不況』のAppendix7「リフレーションと安定化のためのその他の提案」
で説明されている23。以下は,その内容を要約したものである。 

スタンプ貨幣計画の概要は次の通りである。まず,政府がスタンプ貨幣を発行する。スタンプ
貨幣は法定通貨と同じ扱いであるが,特殊なドル紙幣である。スタンプ貨幣の裏側には,12の
空欄が設けられており,月初めに1セントのスタンプを貼り付けることが義務付けられている。
最終的に政府がスタンプ貨幣を償還する。したがって,政府はスタンプ貨幣の発行益を得られ
る。この計画において,スタンプが貨幣の退蔵に対する税金となる。また,スタンプ貨幣を発行
することで,貨幣量と貨幣の流通速度を上昇させることがねらいである。さらに,この計画の
もうひとつのポイントは,失業者を含めたすべての消費者に対して購買力を提供することで
ある。スタンプ貨幣が消費者の手元に配布されることによって,人々は財やサービスを手に入れる
ための購買力が得られる。さらに,スタンプ貨幣が何らかの手段によって配布されたとき,
失業者救済の手段の役割を果たすだろう。したがって,新たな貨幣(=スタンプ貨幣)は
新たに購買力を提供し,その利用が遅れたものに対して罰則を課すことで「呼び水効果」
となるだろう24。 


質問なるほドリ:マイナス金利、どんな効果?=回答・土屋渓 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160130/ddm/003/070/176000c

企業や個人にお金回す狙い 銀行の業績悪化の恐れ

 なるほドリ 日銀が導入を決めたマイナス金利(きんり)って何?
     記者 通常、お金を銀行に預(あず)けると一定の利子(りし)を受け取ることができます。でもマイナス金利では、お金を預けると逆に利子を取られることになり、預金(よきん)の手数料を支払うような形になります。金利が年1%の場合、100万円を預けると1年後には101万円になりますが、金利が年マイナス1%の場合は99万円に減ってしまいます。
     Q 私たちの銀行預金が減ってしまうの?
     A いいえ、一般の銀行の預金金利にマイナス金利が適用されるわけではありません。今回、マイナス金利を導入するのは、金融機関が日銀に預けているお金の一部です。金融機関は万一の預金の払い戻しなどに備えて、日銀に一定のお金を預けることが法律で義務付けられています。日銀は、義務付けの範囲を超えて銀行などが日銀に預けているお金に年0・1%の利子を付けていましたが、2月16日から、このお金の一部にマイナス0・1%の金利を適用することにしました。
     Q どうして、そんなことをするの?
     A 日銀は世の中に出回るお金の量を増やして、個人や企業がお金を借りやすくすることで消費や投資を活性化させ、物価を押し上げてデフレ脱却(だっきゃく)を実現しようとしてきました。しかし、これまでは0・1%の利子がもらえるので、日銀がいくらお金の量を増やしても、その多くが日銀への預金に回っていました。これからは、日銀にお金を預けると一部はマイナス金利によって手数料(てすうりょう)を支払わなければならなくなるので、銀行は損が出ないように、企業や個人への貸し出しなどにお金を回すようになることが期待されます。また貸出金利が低くても、日銀に預けて手数料を取られるよりはましなので、さらに住宅ローンなどの金利が低下することが見込まれます。
     Q 悪い影響はないの?
     A 日銀に預けることで得ていた利子がなくなることで、金融機関の業績(ぎょうせき)が悪化する懸念があります。金利の低下によって、銀行の貸し出し意欲が悪化する恐れもあります。(経済部)

     掲載テーマを募集しています 〒100−8051毎日新聞「なるほドリ」係

    なお、今回の決定について詳細は、すでに参照されているとは思いますが、日銀の発表にありますので、リンク先を挙げておきます。

    http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160129a.pdf

    _____
    こんにちは

    今回の日銀にある民銀の当座口座の預金にマイナス率を適用する政策は、欧州ですでに行われているものですが、金融緩和(民間から適格債券を買入れ代わりにカネを出す)をしても、民間銀行はそれを実体経済に貸し出すでもなく、以前からブタ積みといわれたように、法定準備を超えて口座に置いておくだけ(それでもこれまではプラスの金利を付けてきた)。量的緩和といっても効果はなかった。

    こうした預金口座にマイナス率を適用するといっても、民間銀行の中銀口座に適用するわけですから、貨幣の名目金利をマイナスにする減価貨幣とは違います。

    一般に銀行預金にマイナス率を適用しろという政策もありますが(F・ソディなんかが提案者)、それだけだと人は預金をおろして現金でもとうとしますから、減価通貨を実現するには尻抜け。

    中銀の民銀口座ではなく、民間銀行に対する預金者の預金にマイナス金利を適用する手段は、スイス・フラン高に業を煮やしたスイスで実施されていますが、金融資産をスイスフランに避難させようとする外国人預金者の口座だけだったように思います(スイスの湖にカネを沈める(避難させる)なら料金を払えというわけです)。

    銀行が中銀にもつ口座や、たとえ一般預金者が銀行にもつ口座にマイナス率を適用したとしても、現金という逃げ場があるわけ。

    で、最近の欧州では、銀行危機がささやかれ預金が流出しはじめているところもありますので、そういうところほど、現金を禁止してしまえという主張が出てきていますね。

    減価マネーはマネー(現金や預金)に課税することで、額面金額が時間の経過に対してゼロのまま(額面の名目金利がゼロ)ではなく、貨幣資産の持越にマイナス率が導入されることを意味します。

    デフレ危機の克服のために、各国中銀が,量的緩和という貨幣量増発の政策を採った(それはあまり効果がなかった)のには、現金に課税する手法(ゲゼルマネー)がとれないという固定観念があったからといえるでしょう。これをゼロ金利制約(ゼロ・ロウアー・バウンド)といいます。つまり現金の名目金利はゼロを下回れない(時間の経過につき1000円はいつも1000円)という固定観念です。

    経済社会がデフレに苦しんでいても、ゼロ金利制約は破れない、ならばどうするということで、人のインフレ期待に訴えるインフレターゲットやQEやあれこれの政策が工夫されてきたわけです。

    しかし、なぜゼロ金利制約が破れないのか、貨幣課税をすればよいだけなのに。

    しかし、印紙税貼付はメンドー、他の逃げ道(貴金属や外国貨幣など)に逃げるよ、などの口実が使われきました。印紙税が面倒ならなぜみな法の定めるところに基づいて必要な場合に印紙を領収書等に貼付しているのか、また切手を貼るのがメンドーなら手紙はだせない、それに、現金保有に税金がかかるなら外国通貨に替えるだろうというが、じゃあなんで外国通貨を持ってる人はわざわざ将来に向かって100%確実な減価スケジュールをもつ貨幣をほしがるの?っていう取引相手のことを考えてもみない。あるいは減価貨幣の減価率は通貨の先物契約のなかで消化されちゃうという意見も、減価スケジュールの期日がくるたびに、そのときの減価が100%実現するだけ。その貨幣が消え失せるわけではないので、持ち手がいかように変わろうが、減価マネーは減価率を実現し、そのマイナスぶんを国家社会に得させているわけ。そうして持越にかかる負担を回避するためには使うほかない(支出するのが課税回避策であり、経済活動を活性化させる)。

    当然、預金通貨にも同率のマイナス率が減価マネーの仕組みでは導入されます。そうでなきゃ効果がないでしょう。

    しかし最近は、減価マネーを実施するために、貨幣の電子化という趨勢のなかで、現金を廃止せよという意見もある。

    欧州でさかんですが、ただいまの廃止論の多くは、ゼロ金利制約を破る(ゲゼルマネーの導入のため)というよりは、付加価値税の脱税を防ぎたい国家や銀行危機におびえる銀行筋の要求という側面が強いですね。

    年明けから急変し、先行き危機的な経済状況で日銀のQQEへの期待がありましたが、今回はECBにならって民間銀行の当座口座に料金をかけるマイナス金利のほうにしたということでしょう。この間、国債をじゃかすか買い上げてきましたから、国債も干上がりそうですので、ECBのマリオ・ドラギに足並みを揃えたというところでしょうか。

    じゃあ、当座口座にこれまで利子がついたものが預かり料をとられるということになったからといって、銀行が実体経済にカネを回すかといえば、さて、みてのお楽しみというところ。まあ、この間の欧州をみていればわかることですけどね。 

    -- 

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160129-00000011-zuuonline-bus_all

    日銀が導入決めた「マイナス金利」とは何か

    ZUU online 1月29日(金)14時29分配信
    日銀が1月29日の金融政策決定会合で導入を決めた「マイナス金利」。通常お金を貸すと利子がついて増えるものだが、「マイナス」金利とはその名前からも分かるように、預けたお金に応じて利子が取られて減ってしまう状態だ。

    ■銀行が日銀に預けるお金にマイナス0.1%

    銀行などの金融機関には、融資量に応じて日銀の当座預金口座に預ける義務がある。現状では、決まった額を超えて預けている分については、日銀が年0.1%の利子をつけている。だが2月16日からマイナス金利導入後は金利がマイナス0.1%になる。

    ここで考えられる変化は何だろうか。金融機関にしてみれば、お金を預けるほど利子が取られてしまうから、積極的に日銀に預けようとはしなくなるはずだ。つまりマイナス金利が導入されれば、金融機関は日銀にお金を預けるより融資に回すと考えられる。

    これまでの量的緩和政策で市中に供給されていたお金が日銀の口座に滞留することを避け、消費者や企業にお金が回す。これによって経済活動が活性化し、デフレが抑制されるというのが、マイナス金利に期待される効果だ。その資金が海外資産の購入につながれば、通貨高が行き過ぎた場合でも、通貨安に転じる可能性も効果として期待できる。

    ■欧州では先行導入 果たして期待された効果は実現するのか

    海外では欧州中央銀行(ECB)が2014年から導入。このほかスイスやデンマーク、スウェーデンなども導入している。たとえばデンマークは、EU加盟国だが通貨はユーロではなくクローネだが、欧州の債務危機をきっかけに、デンマークに資金が大量に流れ込み、対ユーロでのクローネ高が続いていた。スイスも、原油高やロシア経済の不安定化などが理由で、安全資産としてフランが買われ、上昇圧力が高まる中でマイナス金利導入を決めている。

    マイナス金利にはいくつもの期待効果があるが、これが実現するかどうかは未知数だ。たとえば欧州では企業や個人の資金需要が乏しかったためか、銀行のお金が融資に回っているとは言えないようだ。実際、ECBがマイナス金利を導入以降、ドイツやフランスなどで短期国債の利回りがマイナスとなっている。これは銀行が資金を短期国債へ移したことが原因と考えられる。

    またマイナス金利が続くと、預金の金利が下がる可能性が考えられる。実際、1月29日に日銀がマイナス金利導入を決めた直後、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが初めて0.1%を割り込み、0.090%をつけている。これは普通預金の金利にも影響を与える可能性がある。

    銀行預金の金利が下がった分、個人も投資に回せば経済の好循環が期待できるが、果たしてうまくいくかどうかは分からない。またマイナス幅が大きくなるようだと、銀行などが積極的に預金を集めなくなることも考えられ、金融機関のバランスシートに影響を与えることも考えられるだろう。(ZUU online 編集部)


    マイナス金利よりもっと驚いたのは日銀の当座預金に2008年から金利0.1%付いていたことだ。





    2008年の国債の利回りは最高1.75%あったので





    金利が付くのは超過準備金で、各金融機関のその合計は
    253兆円である。





    つまり、銀行は日銀から毎年253兆円×0.0010.1%)=2530億円入り
    国債で、毎年1000兆円×0.0175(1.75%)=175000億円入り、合計で177530億円入っていることだ


    国民の定期金利0.025%で借りて、1000兆円×0.00025=2500億円の金利経費を差し引いても、粗利益は172500億円であり




    さらに日銀に国民預金の余り253兆円を預け
    その金利を日銀に毎年円を2530億円増刷させて、
    合計 毎年175030億円のぼろ儲けをしていたというわけである。


    お金の収支は損得のバランスであるから
    国債の得の172500億円は消費税8%分予測176000億円の損予測のほぼ同額のバランスシートになる





    日銀が市中銀行への金利のために無料で増刷した市中銀行の2530億円得は日銀損になるが、日銀はいくらでも円を無料で印刷できるので、日銀と市中銀行の損得バランスは通用しない。


    そのため、日銀のプラス金利2530億円はいわば幻であり、今回
    これ以上の日銀当座預金にいくら預けても、逆にマイナス金利0.1%にしたとしても、幻の円であり、国民の実質収支損得バランスには無関係である。


    だが、日銀が国債を大量に買い占め、今後の超過準備金を受け入れないマイナス金利にし、今まで何もしないで 濡れ手に粟だったのを、日銀が市中銀行へ「もっと働いて稼ぎなさい」という叱咤しただけにすぎない。





    だが、市中銀行は 楽してもっと稼ぎたいので、国民の預金金利を一方的に下げて、いままで通り、果報は寝て待て ということであろう。


    大体、企業に現金貸ししたって、回収するリスクが高すぎ、元本割れしてしまう、それより株式や外国通貨に投資した方がリスクは少なく、儲けも大きい。


    日銀だって、ただで円を印刷して、株式投資 国債だけでなく海外に安倍さん派遣して じゃんじゃん貸し付けて外国債を買わせている。


    親分の日銀が中心になって不労所得しているのだから、子分の市中銀行だって、真似するのが世の習わしである。


    日銀が毎年追加80兆円印刷して 国債 外国債 株券を爆買いして、円安 株高 にして 国内外の投資家を80兆円分得させて、あたかも経済が上向き、景気がよくなったかのように見えるのは、毎年追加80兆円分の幻である。





    日銀がゼロから毎年追加80兆円はまさに「絵に描いた餅」であり、金持ち投資家や銀行家たちがそれに群がって喜び、安倍首相万歳を叫んでいるだけであり、「実際の餅」で四苦八苦している庶民にはまったく無関係である。




    このゼロから金を創造する手法は


    世界の中央銀行に真似た、ビットコインでも、
    最近では大手三菱UFJ東京銀行でもビットコインを真似て
    MUFGコイン を発行する動きが出ている





    私たちは「お金って一体何だ?」という疑問からスタートして、
    毎日汗水たらして稼ぐお金の真実をみようではないか!


    私たちはいったい何に悩み苦しんでいるのだろうか?


    それらはみな盲信 「単なる思い込み」 幻 ではないだろうか!


    いわば、この世界を 色眼鏡(思い込みの幻)で見て、それが真実であるかのように 勘違いして 悩み苦しでいる。


    あのイスラム国が 幻のアラーを唯一真実の神と盲信して戦争をしてのもそうではないだろうか。


    私がまだ子どもだった頃、家にあった神棚の中をのぞいて
    「どこに神さま」はおられるのだろうか?と探してみたことがあった。


    やっと探し当てたのは「天照大御神」という文字が書かれた紙のお札であった。


    紙に書かれた10000という数字も、天照大御神という文字も、みな白紙に描かれたお金や神さまであり、それらは単なる幻であったのである。


    幻を幻とし、その事実を事実として、いわば色眼鏡をはずして世界を見たとき、真実が見えてくる。その時、どうでもいい幻に悩み苦しんでいたことがきっと馬鹿らしくなってきて、


    「世の中ってなんてこんなに楽しいのだろう」
    「なんてこの世界は美しさに満ちているのだろう」


    と、天地自然をながめ、人もみな差別色眼鏡でみないで、自分もみなも同じ人間であることを知ることができるのではないだろうか!


    その金とその神の思い込みという幻をきれいに取り去って
    この真実の美しい姿をみて
    悩み苦しまず、もっと、 
    のんびりと、楽しく生きようではないか!



    今回の日銀のマイナス金利は当座預金残高に対する金利を0.1→0.05%に引き下げた効果とほぼ同じ
    2008リーマンショックで日銀当座にプラスの0.1%利付けてしまった反省も半省だ





    【金融】高橋洋一「マイナス金利に文句言うのは 銀行の関係者だけだ」 [無断転載禁止]©2ch.net
    1 :
    2016/02/10(水) 19:38:00.62 ID:CAP_USER
    http://www.j-cast.com/2016/02/10258121.html

    日銀は(2016年)1月29日、マイナス金利を導入した。その後、株式市場、為替市場は乱高下した。
    それでマイナス金利悪者論が闊歩している。
    それらは世界経済の動きが原因であり、残念ながら日本の金融政策が世界を動かしているわけでない。
    にもかかわらず、マイナス金利には否定的な論評が多い。

    日銀当座預金に金利で「濡れ手に粟」
    筆者は、この状況を揶揄して、2月3日に次のようなツイートをしたところ、これまでに1400を超えるリツイートがあった。
    この種の堅い話題では珍しい。
    「マイナス金利。金融関係者から弊害とかの批判が出ているようだが、クソコメントだな。国債や日銀当座預金で
    運用して儲けている金融機関がおかしい。貸出してなんぼだろ。マイナス金利はそうしたぬるま湯体質の
    金融機関をしばくもの。これに文句をいう金融機関は逝ってよし」
    多少言葉が不正確で乱暴なのはご容赦願いたいが、銀行を通してみると、マイナス金利の意味がよくわかる。
    テレビなどで、エコノミストらが批判するのは銀行の子会社にいて、親会社の銀行がマイナス金利を嫌っているからだ。

    一般人が銀行に当座預金しても金利はつかない。ところが、銀行は日銀に当座預金すると、
    0.1%の金利が付いていた。銀行は一般人から当座預金ではゼロ金利であったが、それを仕入れとして、
    日銀に当座預金すると、0.1%の金利が付くので、濡れ手に粟だった。

    この制度が導入されたのが、前の白川・日銀総裁時代の2008年である。
    今回、マイナス金利を決めた日銀政策決定会合は象徴的だった。
    賛成は、黒田委員、岩田委員、中曽委員、原田委員、布野委員。反対は、白井委員、石田委員、
    佐藤委員、木内委員。白井委員は学者出身であるが、石田委員、佐藤委員、木内委員は民間金融機関出身である。
    賛成には民間金融機関出身者はいない。賛成委員は安倍政権下で黒田体制になってからの任命、
    反対委員は民主党政権下で白川体制での任命である。

    「個人の預金金利がマイナスになる可能性はない」
    白川前総裁は、日本経済より銀行を優遇する政策を行ったが、この当座預金への0.1%付利はその典型だ。
    銀行の日銀当座預金残高は250兆円。その大半に0.1%の金利が付いているので、これだけで銀行
    は年間2200億円の利益を得ている。そもそも、当座預金に金利をつけることがおかしい。
    この付利は、次の金融緩和で見直される可能性がある。今回の騒動は、この2200億円を守りたい銀行が
    必死になっていると見たほうがいい。
    あえていえば、一般人からゼロコストの預金を受け入れ、それを貸出にまわさず、日銀当座預金している
    銀行は社会的にはいらない。貸出先がないと仕事をしない銀行もいらない。金融再編で消えても一般人は困らない。
    なお、日銀のマイナス金利政策の導入を受けても、個人の預金金利がマイナスになる可能性はない。
    マイナス金利になるなら、預金せずに、家の金庫に置いておいた方がいい。もしみんなが預金しなくなると、


    銀行は仕入れがなくなるわけだから経営できなくなる。だから、銀行は仕入れをするためにマイナス金利にしないはずだ

    10%にして消費税を廃止する

    末端における減価マネーは減価分が手数料になり税金の代替になる

    減価マネーは唯一税金のない世界を可能にする


    ____


    政策に批判は付き物である。見方、力点の置き方によって評価はいろいろできる。各種の見解に広くめくばりすることが必要なゆえん。

    ゼロ金利政策(ZIRP)、さらにはマイナス金利政策(NIRP)にも批判的見解は多々ある。下記はこうした政策が、経済問題が解決しうるとする幻想を付け加えることで、さらなる苦境に我々を追いやっているという批判。

    これらの政策が資金の金融システムから実体経済への押出効果によって、普段なら融資を受けられないような限界的な借り手にまで融資されることで高いリスクを貸し手がとることになるという事実の指摘がポイントかな。

    oftwominds-Charles Hugh Smith: If Zero Interest Rates Fixed What's Broken, We'd Be in Paradise
    http://charleshughsmith.blogspot.com/2016/02/if-zero-interest-rates-fixed-whats.html

    「もしゼロ金利が壊れたものを修復したのなら、我々はパラダイスにいるだろう」

    「実体経済によって壊れたものを修復するよりも、ゼロ金利政策あるいはマイナス金利政策はただ崩壊が解決しうるという問題を付け加えてきた。

    世界の中銀の政策のキホン前提は単純である。経済において壊れたものがなんであれ、ゼロ金利政策で修復されうるということだ。そしてこの前提の直線的拡張もまた単純だ。ゼロ金利政策が壊れたものを修復しなかったのなら、マイナス金利政策が修復するであろう、と。

    不幸なことに、この単純な政策は現実の浅瀬で座礁した。もしゼロないしマイナス金利政策が実際に経済のなかで壊れたものを修復したなら我々誰もがゼロ金利の7年間が経過してパラダイスに生活していることだろう。

    語ることができない真実はゼロ金利政策とマイナス金利政策は壊れたものを修復しえない。むしろ、それらは世界の金融システムを底深いクラッシュに引きずりこんだ記念碑的な量のリスクを付け加えたのである。

    もちろん、ゼロ金利やマイナス金利政策が生成してきたリスクはなんらかの精度で計算されるものではない。ゼロ金利政策が引き起こすリスクの元は知られている。

    1、ゼロ金利は投資家やマネーマネージャを収益を追いかけるように強いる、すなわち彼らの資本の正のリターンを求めさせる。中銀のゼロないしマイナス金利政策によって支配された世界では、より高い収益はより高いリスクの直接の帰結であるから、より高いリスクをとるよう求められるわけである。

    問題はリスクとより高い収益が非対称であることだ。4%のリターを稼ぐために、投資家は収益よりも高い強度のリスクをとることる。

    2、ゼロないしマイナス金利政策の世界において手数料を生み出すために、貸し手は莫大な額を限界的な借り手、つまりより慎重な時期には融資される資格がないであろうような借り手に融資しなければならない。

    このことは貸し手に、融資からの収入を見送るか、限界的な借り手で巨大なリスクをとるか迫ることになる。

    3,従来の貯蓄によって得た所得はゼロないしマイナス金利政策によってカギとなる所得の流れが経済から奪われ、完全に破壊される。

    [実効FFレートのチャート入る]

    銀行融資は急増した。我々の問題がただ銀行貸出の不足である場合は我々はいまパラダイスにいるだろう。残念ながら我々ではないけれど。

    [米国の銀行融資のチャート入る]

    現実はゼロ金利がただ債務に基づく消費の亢進をもたらしただけということだ。限界的ないしハイリスクの借り手への貸出が拡大し、資本ははつきりした脱出路のないところから暗い洞窟のなかに向かうのを余儀なくされたのである。

    こうした障害のある債務とリスクのある融資のすべてについて底知れぬクラッシュとはなにか。誰も知らない。実体経済によって壊れたものを修復するよりもむしろ、ゼロないしマイナス金利は崩壊がただ解決されうるという問題を付け加えたのだ。

    もしゼロないしマイナス金利が実際に経済のなかで壊れたものを修復したのなら、いま我々すべてがパラダイスにいるであろう。代わりに我々は爆縮を待ちながら沈みゆく潜水艦、別言すれば金融の地獄のなかにいる。


    小学校カリキュラム


     
     熱2 物体1    歴史2
      〈理科〉   〈社会〉
     地学4生物3 地理1公民3

     図形2計算1 書く3読む4
      〈算数〉   〈国語〉
    グラフ3文章4 聞く2話す1
    カリキュラム
    国語科

    国語科図
    国語は学びの基本となる教科です。国語教育は、「話す」「聞く」「書く」「読む」を大切に学習を進めています。学習活動を通して、思考力(考え方がわか る・考える習慣がつく)、読書力(語彙を豊かにし、心を育てる)、活用力(他教科や日常生活に生かす)を伸ばし、子どもたち一人一人が国語力の基礎をしっ かりと身につけていけるような教育を目指しています。

    (物体□個体△宇宙へ∞)(空間→時間↑システム○)
          熱2 物体1    歴史2
          〈理科〉   〈社会〉
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         図形2計算1 書く3読む4
          〈算数〉   〈国語〉
        グラフ3文章4 聞く2話す1
     (量+質−関係×様相÷)(自己表出0から指示表出へ1)


     
    (物体□個体○宇宙へ∞) (空間→時間↑システム◇)
     物質  熱2 物体1    歴史2
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     (量+質−関係×様相÷)(自己表出0から指示表出へ1)
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    火曜日, 1月 26, 2016

    ルベーグ積分:メモ

                     (リンク:::::::::数学
    NAMs出版プロジェクト: ルベーグ積分 wikiより
    http://nam-students.blogspot.jp/2016/01/blog-post_26.html 

    ルベーグ積分


    変数の値がaからbに変化する時における関数fの積分は、図の青く塗られた部分の面積として表される

    数学において関数積分はその関数と x 軸の間の図形の面積とみなすことができる。ルベーグ積分(ルベーグせきぶん、Lebesgue integral)とは、より広い種類の関数が積分できるように拡張したものである。ルベーグ積分においては、被積分関数は連続である必要はなく、至るところ不連続でもよいし、関数値として無限大をとることがあってもよい。さらに、関数の定義域も拡張され、測度空間と呼ばれる空間で定義された関数を被積分関数とすることもできる。

    このような積分の拡張が必要となった背景には、フーリエ級数などの関数列の極限として表される関数に対して、積分と極限操作が可換となるかどうかをリーマン積分で考えるために非常に繊細な議論が必要だったということがある。この点について、ルベーグ積分では、関数列の極限が被積分関数として適当かどうかを考える必要がなく、積分と極限操作の交換も簡単な十分条件が分かっている。

    ルベーグ積分の名前は、数学者のアンリ・ルベーグ(Henri Lebesgue、1875年 - 1941年)に由来している。

    概要編集

    積分を厳密なものにしようという動きは、19世紀に始まる。ベルンハルト・リーマンが提案したリーマン積分は大きな前進であった。リーマンは関数の積分を「簡単に計算できる積分」で近似することによって定義した。この定義による積分は、それまで解答が知られていた問題に対して予想通りの結果をもたらしたし、他の問題に対しても新しい結果を与えることになった。

    しかし、リーマン積分は関数列の極限との相性が悪く、そのような極限と積分が同時にあらわれるような局面では困難な解析を必要とする場合があった。それに対して、ルベーグ積分においては、積分記号のもとでの極限がより扱いやすくなっている。ルベーグ積分では、リーマンとは異なる形の「簡単に計算できる積分」を考えており、このことがルベーグ積分がリーマン積分よりよく振舞う理由となっている。さらに、ルベーグ積分ではリーマン積分より広い種類の関数に対して積分を定義することが可能になっている。例えば、無理数で 0 を有理数で 1 をとる関数(ディリクレの関数)はリーマン積分では積分が定義されないが、ルベーグ積分では積分できる。

    ルベーグ積分の構成編集

    以下ルベーグ積分のよく知られた構成法を示す。この方法は二つの章に分けられる。

    1. 可測集合と測度
    2. 可測関数と積分

    この二つの章の内容は、直感的には円柱三角柱の体積を計算する前に底面積を計算し、ついで、高さをかけるという作業に似ている。すべての平面図形の面積を定義するのが最初の章であり、その図形を底面とする複雑な立体の体積を計算するのが第二の章である。

    測度論編集

    当初、測度論は線分平面図形立体などの長さ面積体積などの精密な解析のために考え出されたものである。特に 実数全体の集合R の部分集合について、その部分集合の長さとは何か、という問いに対して整然とした解答を与えるものであった。 集合論の発展によって、自然な加法性を持ち、平行移動不変になるように、実数体R のすべての部分集合に長さを定義することが不可能であることがわかった。このことにより、可測集合と呼ばれる種類の部分集合にのみ長さを定義する必要が生まれた。

    当然であるが、リーマン積分においても長さというものを暗黙に使用している。そうではあるが、実際のところは、リーマン積分では長方形 [ab] × [cd] の面積が (b - a)(d - c) で計算できることだけを基礎としている。リーマン積分は積分を近似するための「簡単に計算できる積分」として、このような長方形を並べたものだけを使っており、測度に関するより深い議論を必要としなかったのである。

    現代では測度と積分は公理的に定義される。測度というのは、集合 X の適当な条件を満たす部分集合の Σ 上で定義された適当な条件を満たす関数 μ であれば何でもよく、X がユークリッド空間であったり、Σ のが面積を計算したい図形であったりする必要はないし、μ の値が面積とかけ離れたものでもよい。そこで、ユークリッド空間の図形の面積を与える測度は特別にルベーグ測度という名前がついている。測度が満たすべき適当な条件については測度論を参照されたい。

    積分編集

    測度空間として (XMμ) が与えられたとする。例えば、X としてユークリッド空間M をルベーグ可測集合全体、μ としてルベーグ測度などが考えられる。確率論においては測度空間としてμ(X)=1であるような測度空間(確率空間)を使う。

    ルベーグ積分において、被積分関数になる関数は可測関数と呼ばれる関数である。X上で定義された実数または±∞に値をとる関数 f が可測関数あるいはM-可測関数であるとは、任意の実数aについて(a,+∞]=(a,+∞)∪{+∞}のfによる逆像がMに属すること:

    f^{-1}((a,\infty]) \in M

    が成り立つことである。複素数値関数は、その実部虚部が共に可測関数のとき、可測関数あるいはM-可測関数であるという。このように関数の可測性を定めれば、可測関数の全体からなる集合は代数的な操作(和、差、積、商、実数倍または複素数倍)に関して閉じていることが分かる。可測関数の全体の集合は、実数体または複素数体の上の線型空間を成すことも分かる。また、完全加法族Mの性質から、R∪{+∞,-∞}の全ての部分集合Iの可測関数fによる逆像f-1(I)もMに属することも分かる。重要なことは、多くの関数列の極限に関して閉じていることである。例えば、可測関数の列 fk に対して

    \varliminf_{k\in\mathbb{N}}f_k,\quad\varlimsup_{k\in\mathbb{N}}f_k

    で与えられる関数もまた可測関数になる。従って、可測関数列が各点収束していれば極限関数もまた可測関数である。

    可測関数 f に対して、そのX上での測度μについての積分

    \int_X f\,d\mu

    を以下の手順で構成する。

    集合の定義関数の場合
    可測集合 S に対して、S の定義関数  1_S の積分を
    \int_X 1_S\,d\mu = \mu(S)
    で定める。これがルベーグ積分における「簡単に計算できる積分」である。
    非負値可測単関数(simple function)の場合
    可測集合の定義関数の有限個の線型結合
    \sum_k a_k1_{S_k}
    で書ける関数を可測単関数という。
    全てのkに対しak≧0であるとき非負値可測単関数と呼ぶ。
    その積分を
    \int_X \left(\sum_k a_k1_{S_k}\right)\,d\mu = \sum_k a_k\mu(S_k)
    で定める。
    非負値可測関数の場合
    非負値可測関数(+∞ も値として許す) f の積分を
    \int_X f\,d\mu = \sup\left\{\int_X s\,d\mu : 0\leq s\leq f,\, s \mbox{ is a simple function} \right\}
    で定める。
    実数値可測関数の場合
    実数値可測関数(±∞ も値として許す) f の積分を定義する。まず f を
    f = f^+ - f^-\,
    と分解する。ここで
    f^+(x) = \max\{f(x), 0\}\,
    f^-(x) = \max\{-f(x), 0\}\,
    である。このとき、両者とも非負可測関数である。さらに、
    |f| = f^+ + f^-\,
    も非負値可測関数である。

    以上の準備を基に、実数値可測関数 f がルベーグ可積分であるとは

    \int_X f^+\,d\mu < \infty,\quad \int_X f^-\,d\mu < \infty

    を充たす事である。このときfμによる積分を

    \int_X f\,d\mu = \int_X f^+\,d\mu - \int_X f^-\,d\mu

    によって定める。

    複素数値可測関数の積分は、その実部uと虚部vがルベーグ可積分であるならば、u,vの積分をα,βとするとき、α+で定義される。

    可測集合EXでのfのルベーグ積分はf1EX上での積分として定義される。

    直感的な解釈編集

    積分の定義方法の違いを直感的に理解できるように、山の(海抜より上の部分の)体積を計算する例を考えよう。この山の境界ははっきりと定まっているとする(これが積分範囲である)。

    リーマン積分による方法
    ケーキを切るときのように、山を縦方向に切り分けて細分する。このとき、各パーツの底面は長方形になるようにする。次に、各パーツで最も標高が高いところを調べ、底面の面積とその標高を掛け合わせる。各パーツごとに計算したその値を足したものを、上リーマン和と呼ぶことにする。同様のことを、最も標高が低いところに対して行い、下リーマン和と呼ぶことにする。分割を細かくしていったときに、上・下のリーマン和が同じ値に収束するときに、リーマン積分可能であるといい、その極限値が山の体積になる。
    ルベーグ積分による方法
    山の等高線を地図にする。等高線にそって地図を裁断して、地図をいくつかのパーツに分解する。各パーツは面積を計算できる平面図形なので(測度が分かっているので)、パーツの面積とそのパーツの最も低い点の標高を掛け合わせる。各パーツのこの値を足したものを「ルベーグ和」と呼ぶことにする。この「ルベーグ和」はルベーグ積分の構成にあった、単関数の積分に相当する。等高線の間隔を半分にしていったときの「ルベーグ和」の極限値が山の体積になる。

    編集

    有理数体 Q の定義関数 1Qディリクレの関数)を考える。この関数は至るところ不連続である。

    • 1Q  [0,1] 上でリーマン可積分ではない: [0,1] をどのように区間に分割しても、各区間には有理数と無理数の両方が少なくともひとつは入っている。よって、上積分は常に 1 であり、下積分は常に 0 になり、リーマン可積分ではない。
    • 1Q  [0,1] 上でルベーグ可積分である: 集合の定義関数の積分は定義より
       \int_{[0,1]} 1_{\mathbf{Q}} \, d \mu = \mu(\mathbf{Q} \cap [0,1]) = 0

    ルベーグ積分における定理編集

    ルベーグ積分においては零集合の上でのみ異なる値をとる関数を区別しない。 正確に言うと、関数 f と g がほとんど至るところ等しいとは

     \mu(\{x \in E: f(x) \neq g(x)\}) = 0

    をみたすことであり、

     f = g,\quad\mbox{a.e.}

    とも書く。

    • 非負値可測関数(+∞ を関数値として許す)f と g がほとんど至るところ等しいならば
       \int_E f\, d \mu =  \int_E g\, d \mu.
    • 可測関数(±∞ を関数値として許す) f と g がほとんど至るところ等しいならば、f が可積分であることと g が可積分であることは同値であり、可積分のときは積分の値も等しい。

    ルベーグ積分は以下の性質を持っている。

    線型性: 可積分関数 fg と実数 ab に対して、af + bg も可積分になり

     \int_E (a f + bg) d \mu = a \int_E f d\mu + b \int_E g d\mu\,

    単調性: 0≤fg ならば

     \int_E f d \mu \leq  \int_E g d \mu

    単調収束定理: {fk}kN を非負値可測関数の増大列とする。つまり

     0\leq f_k(x) \leq f_{k+1}(x) \quad \forall k\in \mathbb{N}, a.e.\ x \in E.

    このとき

     \lim_k \int f_k d \mu = \int \lim_k f_k d \mu.

    が成立する。

    注意: 左辺または右辺の一方が正の無限大に発散すれば、もう一方の辺も同様である。

    ファトゥーの補題: {fk}kN を非負値可測関数の列とする。このとき

     \int \varliminf_k f_k d \mu  \leq  \varliminf_k \int f_k d \mu

    が成立する。

    この定理においては左辺が正の無限大に発散すれば、右辺も正の無限大に発散する。

    ルベーグの収束定理: {fk}kN を可測関数の列で f に概収束するとし、可積分関数 g によって、 任意の k に対して|fk| ≤ g a.e.と上下から押さえられているとする。このとき、極限関数f も可積分であり

     \lim_k \int f_k d \mu = \int f d \mu

    が成立する。

    他の定式化編集

    可測関数についての分布関数の広義リーマン積分によってルベーグ積分を定義することもある。

    (X,Σ,μ)を測度空間、EΣとするとき、任意のt≧0と非負値Σ-可測関数fに対して、Eの点で, そこでの値>tなる点全体の集合の測度をf分布関数L(t)=μ({xE : f(x)>t})といい、その無限区間[0,+∞)での広義リーマン積分(=I とする)を、非負値Σ-可測関数fの可測集合E上でのルベーグ積分という。即ち、

    I=\int_E f d\mu = \int_{0}^{\infty}L(t)dt .

    f(x)が有界(∃M≧0,∀xE, |f(x)|≦M)であるとき、tMならば、L(t)=0である。このとき、f本質的上限(essential supremum)ess sup(f)=inf{tR : L(t)=0}=mとすれば、定義式の広義リーマン積分は有界閉区間[0,m]上でのL(t)のリーマン積分に等しくなる:

    I=\int_E f d\mu = \int_{0}^{m}L(t)dt .

    これはリーマン積分の積分区間についての加法性などから分かる。

    fが有界ならばこの積分 I は必ず存在する。fが有界でない場合や、或る t に対してL(t)=+∞である場合にも、+∞もとして許せば、 I は必ず存在する。非負値Σ-可測関数の積分から、上記と全く同様に実数値Σ-可測関数と複素数値Σ-可測関数の積分も定義される。

    この積分 I が有限値(I <+∞)であるとき、fE上でルベーグ可積分またはルベーグ積分可能であるという。

    この定義によるルベーグ積分に於いても、上記と同じ性質、例えば線型性単調性、単調収束定理、ファトゥの補題、ルベーグの収束定理などが成り立つ。

    測度論を全く使わない方法としては、リーマン積分はコンパクトを持つ任意の連続関数に対して定まっているので、関数解析の手法を用いることでより一般の関数にこの積分を拡張する方法がある。Cc を R 上定義された実数値関数でコンパクトな台を持つもの全体とする。ノルムをリーマン積分を用いて

     \|f\| = \int |f(x)| dx

    により定める。

    これにより Cc は線形ノルム空間となる。距離空間の完備化(Hausdorff completions)によって完備な空間に拡張したものを L1 とする。この空間はルベーグ可積分な関数からなる空間と(ほとんど至るところ等しい関数は同一視したとして)同型となる。さらに、リーマン積分は Cc 上の連続な線形汎関数であり、Cc は L1 の稠密な部分空間であるから、L1 上の線形汎関数にただ一通りに拡張できる。 この拡張は、ルベーグ積分と一致する。

    この方法の問題点は可測関数を完備化により抽象的に得られた空間の点として定めていることであり、この抽象的な点を関数として表現する方法が自明ではないことである。とりわけ、関数列の各点収束と積分との関係を示すことは非常に難しい。This approach can be generalised to build the theory of integration with respect to Radon measures on locally compact spaces. It is the approach adopted by Bourbaki (2004); for more details see Radon measures on locally compact spaces.

    参考編集

    • "Does anyone believe that the difference between the Lebesgue and Riemann integrals can have physical significance, and that whether say, an airplane would or would not fly could depend on this difference? If such were claimed, I should not care to fly in that plane."「ルベーグ積分とリーマン積分に物理的な意味の違いがあると、たとえばそれで飛行機が飛ぶか飛ばないかが決まるなどと、誰が思う? そんなことがあったら、私は飛行機になど乗らないよ。」 リチャード・ハミング

    参考文献編集

    • 高木貞治『定本解析概論』岩波書店
    • 寺澤順『はじめてのルベーグ積分』日本評論社
    • 猪狩惺『実解析入門』岩波書店
    • 数学セミナー」2010年8月号、日本評論社(「実解析」とは何か)
    • 新井仁之『ルベーグ積分講義』日本評論社
    • 森真『ルベーグ積分超入門』共立出版
    • 松浦武信・高橋宣明・吉田正廣『物理工学のためのルベーグ積分入門』東海大学出版会
    • 谷島賢二『ルベーグ積分と関数解析朝倉書店
    • R. M. Dudley, Real Analysis and Probability, Wadsworth & Brookes/Cole, 1989. Very thorough treatment, particularly for probabilists with good notes and historical references.
    • P. R. Halmos, Measure Theory, D. van Nostrand Company, Inc. 1950. A classic, though somewhat dated presentation.
    • L. H. Loomis, An Introduction to Abstract Harmonic Analysis, D. van Nostrand Company, Inc. 1953. Includes a presentation of the Daniell integral.
    • H. Lebesgue, Oeuvres Scientifiques, L'Enseignement Mathématique, 1972
    • M. E. Munroe, Introduction to Measure and Integration, Addison Wesley, 1953. Good treatment of the theory of outer measures.
    • W. Rudin, Principles of Mathematical Analysis Third edition, McGraw Hill, 1976. Known asLittle Rudin, contains the basics of the Lebesgue theory, but does not treat material such asFubini's theorem.
    • W. Rudin, Real and Complex Analysis, McGraw Hill, 1966. Known as Big Rudin. A complete and careful presentation of the theory. Good presentation of the Riesz extension theorems. However, there is a minor flaw (in the first edition) in the proof of one of the extension theorems, the discovery of which constitutes exercise 21 of Chapter 2.

    関連項目編集

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    ルベーグ積分
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    リーマン積分
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    直感的な解釈編集

    積分の定義方法の違いを直感的に理解できるように、山の(海抜より上の部分の)体積を計算する例を考えよう。この山の境界ははっきりと定まっているとする(これが積分範囲である)。

    リーマン積分による方法
    ケーキを切るときのように、山を縦方向に切り分けて細分する。このとき、各パーツの底面は長方形になるようにする。次に、各パーツで最も標高が高いところを調べ、底面の面積とその標高を掛け合わせる。各パーツごとに計算したその値を足したものを、上リーマン和と呼ぶことにする。同様のことを、最も標高が低いところに対して行い、下リーマン和と呼ぶことにする。分割を細かくしていったときに、上・下のリーマン和が同じ値に収束するときに、リーマン積分可能であるといい、その極限値が山の体積になる。

    リーマン積分
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    ルベーグ積分による方法
    山の等高線を地図にする。等高線にそって地図を裁断して、地図をいくつかのパーツに分解する。各パーツは面積を計算できる平面図形なので(測度が分かっているので)、パーツの面積とそのパーツの最も低い点の標高を掛け合わせる。各パーツのこの値を足したものを「ルベーグ和」と呼ぶことにする。この「ルベーグ和」はルベーグ積分の構成にあった、単関数の積分に相当する。等高線の間隔を半分にしていったときの「ルベーグ和」の極限値が山の体積になる。

    ルベーグ積分
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    直感的な解釈:
    積分の定義方法の違いを直感的に理解できるように、山の(海抜より上の部分の)体積を計算する例
    を考えよう。この山の境界ははっきりと定まっているとする(これが積分範囲である)。

    リーマン積分(Riemann integral)による方法:
    ケーキを切るときのように、山を縦方向に切り分けて細分する。このとき、各パーツの底面は長方形に
    なるようにする。次に、各パーツで最も標高が高いところを調べ、底面の面積とその標高を掛け合わせ
    る。各パーツごとに計算したその値を足したものを、上リーマン和と呼ぶことにする。同様のことを、
    最も標高が低いところに対して行い、下リーマン和と呼ぶことにする。分割を細かくしていったときに、
    上・下のリーマン和が同じ値に収束するときに、リーマン積分可能であるといい、その極限値が山の
    体積になる。

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    ルベーグ積分(Lebesgue integral)による方法:
    山の等高線を地図にする。等高線にそって地図を裁断して、地図をいくつかのパーツに分解する。
    各パーツは面積を計算できる平面図形なので(測度が分かっているので)、パーツの面積とそのパーツ
    の最も低い点の標高を掛け合わせる。各パーツのこの値を足したものを「ルベーグ和」と呼ぶことに
    する。この「ルベーグ和」はルベーグ積分の構成にあった、単関数の積分に相当する。等高線の間隔
    を半分にしていったときの「ルベーグ和」の極限値が山の体積になる。
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    ルベーグ積分ではリーマン積分より広い種類の関数に対して積分を定義することが可能になって
    いる。例えば、無理数で 0 を有理数で 1 をとる関数(ディリクレの関数*)はリーマン積分では
    積分が定義されないが、ルベーグ積分では積分できる。

    ディリクレの関数(ディリクレの-かんすう)とは、実数全体の成す集合 R上で定義される次のような関数のことである。

    
f(x)= 
\begin{cases}
1 & (x \in \mathbb{Q})\\
0 & (x \in \mathbb{R}\smallsetminus \mathbb{Q})
\end{cases}

    ただし、Q は有理数全体の成す集合である。 式から分かるように、この関数はいたるところで不連続である。さらに、

    \sup \int^a_b f(x)dx=a-b
    \inf \int^a_b f(x)dx=0

    が成り立つから、(sup∫ を上積分、inf∫ を下積分という)ディリクレの関数はリーマン積分不可能であることが分かる。(ルベーグ積分は可能で、その値は 0 である。これは、可算無限集合である Q はルベーグ測度に関して零集合であることによる)


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    数学実解析の分野において、リーマン積分(リーマンせきぶん、:Riemann integral)とは、区間上の関数の積分の最初の厳密な定式化であり、ベルンハルト・リーマンによって創始された[1]。多くの関数や実際的な応用に対しては、リーマン積分は微分積分学の基本定理による計算や数値積分による近似計算が可能である。

    リーマン積分は Rn の有界集合上の関数に対して定義されるが、積分範囲にある種の極限を考えることにより、広義リーマン積分が定義される。広義リーマン積分との対比で、通常のリーマン積分を狭義リーマン積分とも呼ぶ。

    リーマン積分は積分の多くの性質を示すのに有効であるが、積分と極限との交換に関係する性質を示すには理論的困難を伴うなど、いくつかの技術的欠点がある。この為こうした欠点を補うべくリーマン=スティルチェス積分ルベーグ積分など積分概念の別の定式化方法も提案されている。


    同じ海の体積でも

    海の深さから測るのと(ルベーグ)

    海の広さから測るのと(リーマン)

    道具を使い分けましょう、ということ




    ルベーグ積分30講 

    ルベーグ積分30講

    A5/256ページ/1990年09月20日
    ISBN978-4-254-11484-3 C3341
    定価3,888円(本体3,600円+税)

    志賀浩二 著

    教科・科目 : 数学

    #18より





     日常的な例で,関数列fnがfにー様収束しないような状況を感じとってもらおう。
    図31は,xy-平面上に底面がおかれた,1辺が1の立方体で,上面には大きさの違う
    細かい穴が隙間のないほどいっぱいあいている.この上から細かい砂をー様に落とし
    ていくとする,あるいは立方体の上面に箱を乗せ,そこに砂を詰めたと思ってもよ
    い.砂は穴から下の立方体ヘと落ちていくが,穴の大きいところでは,砂はどんどん
    高くなり,穴の小さいところでは,砂はごく微少な量だけ積もってくる.砂はあまり
    崩れないとすると,この状況は図31で察せられるだろう.数学的に考えるときに
    は,穴の大きさは(そしてまた砂粒の大きさも)いくらでも小さくとってもよいとす
    る.このとき,立方体の底面(x , y)から測ったn秒後における,砂の高さをfn(x,y)
    とすると,n→∞のとき,fn(x,y)→1である.これは,どの点(x,y)をとっても,
    点(x,y)上で砂はいつかは立方体の上面にまで達するということである,しかし,
    たとえば点(a,b)で上面の穴が小さければ,砂はごくわずかずつしか落ちないから
    1万秒たっても,まだそこでの砂の高さは,1/1000に達していないかもしれない,
    そのことは
    f10000(a, b) <  1000
    を示す,すなわち,非常に速く砂の高さが1に達する場所と,恐ろしいほど長時間た
    ってから高さが1に達する場所とが散在している.このようなとき,fn(x , y)は1に
    一様に収束していない.
    n秒後の砂の体積を測ってみても,これが究極的には立方体を埋めつくし,体積1
    となることは予想できないだろう.
    単関数列が可測関数に収束する状況と積分の収束とがどのように関わるかにつ
    いて,次講の最初で述べることにしよう,

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