http://www.freeassociations.org/
…
3 考察と展望
本論では、耐久性のない財がどのような条件で貨幣になりうるのかを探求したCuadras‐Moratoのモデルにもとづいた経済モデルを用いて実験室実験を行い、耐久性のない財が実際に貨幣にな)りうるのか否かを実証した。実験結果によれば、唯一実験設定に依存するタイプ1の主体の行動が理論的予測と整合
的であったので、耐久性のない財3が交換の媒介物としての商品貨幣となる場
合が高い頻度で観察された。また、永久に耐久的な財1は実験設定に依存せず
に常に商品貨幣になるのであるが、これも高い頻度で観察された。唯一理論的
予測と異なる結果だったのが、タイプ3の主体の行動で、そのために、理論的
予測と異なり、もう一つの永久に耐久的な財2も交換の媒介物となってしまっ
本研究では、均衡Aが成り立つようにUとDを設定したが、均衡Bが成り立
つ場合の実験結果と比較することがさらに必要であろう。また、タイプ3の主
体の理論から逸脱した行動が、全体の均衡の達成にどのような影響を与えるの
かはまだ定かではないので、タイプ3の主体の行動が理論的予測と一致する場
合と一致しない場合を、例えばコンピュータ・シミュレーションによって比較
検討することも今後の課題となろう。いずれにせよ、理論的には非耐久財が商
品貨幣となることはかなりデリケートな問題と考えられたが、本研究によれば
多少他の主体の均衡からの逸脱が見られようとも、非耐久財が商品貨幣となり
うるという実験結果が得られたことで、Cuadras-Moratoの理論的予測がかな
り頑健なものであることが確かめられたといえるだろう。
(1) William S. Jevons, Money and the Mechanism of Exchange, London: Henry S. King and Co.,1875.
(2) カール·マルクス著,武田隆夫ほか訳『経済学批判』岩波文庫、1859年、第2章4節貴金属、202~203ページ。
カレツキ(カレッキ)「計量経済学モデルと史的唯物論」1964〔"Econometric Model and Historical Materialism"
http://nam-students.blogspot.jp/2017/07/1964-econometric-model-and-historical.html経済計算論争 ランゲ、そしてカレツキ
https://nam-students.blogspot.jp/2017/05/blog-post_16.htmlhttps://twitter.com/toshijikawagoe/status/945164117182103552 ToshijiKawagoe (@ToshijiKawagoe) | |
『経済セミナー』増刊号「されどマルクス(仮)」のための原稿「行動マルクス経済学の可能性」がついに完成しました! たぶん、実験・行動経済学の観点でマルクス経済学を考察した世界で初めての試みだと思います。来年は、この内容を敷衍して本にしたいところですね。岩波書店さんとかどうですか? |
https://twitter.com/toshijikawagoe/status/998773474616262658 ToshijiKawagoe (@ToshijiKawagoe) | |
経済セミナー増刊「されどマルクス」に寄稿した「行動マルクス経済学の可能性」は、ちょっとサービス精神旺盛に書きすぎた気がする。 |
市場の内部化における3つの商品化のモード:
貨幣交換 市場の
商品化モード 商品化の場所 生産の目的 の頻度 経済統合度
1 外部商品化 コミュニティ・国家の外部 消費目的生産 偶発的 低
2 内部商品化 コミュニティ・国家の内部 所得目的生産 頻発的 中
3 一般商品化 コミュニティ・国家の消失 利潤目的生産 恒常的 高
マルクスの有名な文句を元にした表。ただし共同体と国家の差異は明確にすべきだ。
表2
労働力商品化のモード変化による資本主義の進化:
1.一般財の外部商品化
2.一般財の内部商品化
3.一般財の一般商品化
4.一般財の一般商品化+労働力の外部商品化=資本主義市場経済の成立
i)労働力外部商品化型資本主義市場経済(Eモード)
ii)労働力内部商品化型資本主義市場経済(Iモード)
iii)労働力一般商品化型資本主義市場経済(Gモード)
Gモードではじめて資本家以外にメリットが生じる。
_____
現代の金融と地域経済 下平尾勲退官記念論集
著者名等 下平尾勲/編著
出版者 新評論
出版年 2003.2
大きさ等 22cm 530p
NDC分類 330.4
件名 経済学 ≪再検索≫
要旨 現代のわが国の経済における長期不況の中で最も鋭く問題が露呈しているのは、貨幣・金
融現象と地域問題である。バブル経済の崩壊が生産過剰とともに極端な株価・地価暴落に
端を発してから、金融、不動産、建設業などの産業分野の不良債権が表面化した。これら
の主要産業の極端な経営縮小と合理化は、商業・サービス業、製造業、さらに地域経済へ
と波及し、景気が悪化した。またそれにより、企業赤字の拡大と銀行の不良債権の増加と
が悪循環に入っている。本書は、これら貨幣・金融および地域経済・産業に関する現代の
状況をどのように捉えるのかという問題意識を起点として、現状分析、基礎理論、学説、
政策などが「第1部 金融・貨幣の経済学」、「第2部 地域経済・産業の経済学」に大
別されて論じられ、それぞれの争点が網羅されている論文集である。
目次 第1部 金融・貨幣の経済学(現代の金融と貨幣;現代の国際金融);第2部 地域経済
・産業の経済学(現代の地域経済;現代の地域産業)
内容 内容: 金融・貨幣の経済学 現代の金融と貨幣 1990年代長期不況と金融 下
平尾勲著
内容 成長通貨の供給と金融仲介 小林真之著
内容 信用創造と「資金の先取り」 木村二郎著
内容 銀行信用の本質と諸機能について 真田哲也著
内容 現代貨幣と貨幣の起源 楊枝嗣朗著
内容 インフレーション・ターゲティング論の虚妄性 建部正義著
内容 金融機関の公共性 濱田康行著
内容 株価形成要因としてのガバナンス構造 高田敏文著
内容 信託銀行資産の成長:1980~2000年 一ノ瀬篤著
内容 オーストラリアにおける地域通貨の開花の基盤 佐藤俊幸著
内容 自己資本比率決定の銀行モデル 鴨池治著
内容 非耐久財は貨幣となりうるか?実験研究によるアプローチ 川越敏司著
内容 戦後恐慌論論争における富塚体系の位置 後藤康夫著
内容 現代の国際金融 ユーロ発足とドイツ金融市場 岩見昭三著
内容 アメリカの金融革新とファースト・アカウント 坂本正著
内容 起業金融とアメリカの投資銀行 川波洋一著
内容 アメリカの信用組合 数阪孝志著
内容 中国の資本取引自由化への道 毛利良一著
内容 中国における中小企業の発展と金融 汪志平著
内容 現在中国の信用リスクと対策 陳作章著
内容 地域経済・産業の経済学 現代の地域経済 地域経済の再生 下平尾勲著
内容 「地域振興」から「地域再生」へ 鈴木浩著
内容 日本的NPOの成長と自立の条件 星野〔キョウ〕二著
内容 〈共生〉社会に向けた主体性の再定位 片山善博著
内容 生産要素の差別的移動性と地域経済システム 山川充夫著
内容 ほか12編
川越敏司の論考はほとんど地域通貨の基礎理論に読める。
効用/生産コストなる指標はよくわからない。
擬似貨幣を所持している間にいかに生産力を上げるかということだろう。
《つまり、メキシコではココアのような耐久性のない財が貨幣として用いられていたのである。しかし、マルクスは、自分自身が挙げている貨幣となる財が備えるべき条件のうち、特に耐久性という側面について劣ったココアのような財がなぜ貨幣になりえたのか、そのための条件は何か、といった問題には深入りしていない。》151頁
川越敏司が主に参照したのは以下、
第12章非耐久財は貨幣となりうるか?
実験研究によるアプローチ
…
3 考察と展望
本論では、耐久性のない財がどのような条件で貨幣になりうるのかを探求したCuadras‐Moratoのモデルにもとづいた経済モデルを用いて実験室実験を行い、耐久性のない財が実際に貨幣にな)りうるのか否かを実証した。実験結果によれば、唯一実験設定に依存するタイプ1の主体の行動が理論的予測と整合
的であったので、耐久性のない財3が交換の媒介物としての商品貨幣となる場
合が高い頻度で観察された。また、永久に耐久的な財1は実験設定に依存せず
に常に商品貨幣になるのであるが、これも高い頻度で観察された。唯一理論的
予測と異なる結果だったのが、タイプ3の主体の行動で、そのために、理論的
予測と異なり、もう一つの永久に耐久的な財2も交換の媒介物となってしまっ
本研究では、均衡Aが成り立つようにUとDを設定したが、均衡Bが成り立
つ場合の実験結果と比較することがさらに必要であろう。また、タイプ3の主
体の理論から逸脱した行動が、全体の均衡の達成にどのような影響を与えるの
かはまだ定かではないので、タイプ3の主体の行動が理論的予測と一致する場
合と一致しない場合を、例えばコンピュータ・シミュレーションによって比較
検討することも今後の課題となろう。いずれにせよ、理論的には非耐久財が商
品貨幣となることはかなりデリケートな問題と考えられたが、本研究によれば
多少他の主体の均衡からの逸脱が見られようとも、非耐久財が商品貨幣となり
うるという実験結果が得られたことで、Cuadras-Moratoの理論的予測がかな
り頑健なものであることが確かめられたといえるだろう。
(1) William S. Jevons, Money and the Mechanism of Exchange, London: Henry S. King and Co.,1875.
(2) カール·マルクス著,武田隆夫ほか訳『経済学批判』岩波文庫、1859年、第2章4節貴金属、202~203ページ。
☆☆
小林秀之、神田秀樹『「法と経済学」入門』(1986)弘文堂
浜田宏一『損害賠償の経済分析』(1977)東京大学出版会
J・マーク・ラムザイヤー『法と経済学:日本法の経済分析』(1990)弘文堂
法と経済学 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/法と経済学
法と経済学
ページの問題点
法と経済学(ほうとけいざいがく、英: law and economics)とは、経済学のうち、特にミクロ経済学・ゲーム理論の観点および手法を利用して法的理論を分析、再解釈する学問である、また近年では統計・計量経済学を用いた分析も行われている。近接する分野として契約理論がある。
目次
法と経済学の歴史
日本における法と経済学
アメリカにおける法と経済学
近年の動向
参考文献
関連項目
法と経済学の歴史 編集
18世紀の初頭に、アダム・スミスは重商主義者の立法がもたらす経済的効果を議論した。 その後も、独占禁止法や証券取引法などの分野においては、経済学的アプローチが用いられた。しかし近年まで、経済学が、市場外の活動を調整する法律の分析に適用されることはなかった。1961年に、ロナルド・コースおよびグイド・カラブレイジは、「社会的費用の問題」および「危険分配と不法行為法に関する若干の考察」という論文を、それぞれ独自に公表した。これらが、現代における法と経済学の起源であるとみなされている。その後、シカゴ大学ロー・スクール教授でアメリカ合衆国第7巡回区控訴裁判所裁判官(判事)のリチャード・ポズナーなどを中心に多くの研究者によって研究が進められてきた。
1970年代以降、アメリカの主なロースクールで法と経済学の教育プログラムが設けられるようになった。今日では、法と経済学はハーバード大学、エール大学、シカゴ大学、スタンフォード大学、ジョージタウン大学、ミシガン大学などのロースクールや経済学部で発展を続けている。現代のアメリカでは法政策に関わるテクノクラートや官僚は法と経済学を理解し、実際の政策・法整備などに必須のものとなっている。
法学の世界で用いられる場合には、企業法・経済法分野などで、何が合理的で認められるべきものなのか、何は不合理で否定されるべきものかを決定する背景的基準として用いられる場面がみられる。例えば、企業を巡る多数当事者の利害関係を調整する場合に、単純な古典的モラルによって正邪を決めにくい場面であっても、経済的合理性をもって価値を図ることによって、より説得的で、かつ、経済面でも発展を損なわない結論を法学として導くことが期待されている。
但し、資源配分の効率化、最適化を目的関数とする経済学的アプローチは当然のことながら「社会的公正」の要素を考慮しないため(資源配分の最適化が経済「厚生」のみならず社会的「公正」に繋がるといった信仰に近い極端な考え方は除く。もっとも基本的には、談合や独占やパターナリスティックな介入による資源配分よりは市場を通じた資源配分の方が幾分公正であろう。)、正義の実現という価値判断も必要な法律においては、そのアプローチの限界をも十分に認識すべきであり、経済学的アプローチが普遍的に通用するものではない。たとえば、「パターナリスティックな介入による資源配分」であっても、社会保障の分野のように、そのこと自体が公平性の実現から期待される場合もあるからである。
また経済モデルのような高度に抽象的なモデルから得た解が現実社会の中でうまく働くとは限らないが、法と経済学は法という現実社会に密接に関わる分野について経済学を応用する学問分野であることから、常に現実との対話が必要となる。とすると、現実の社会の中では何が経済的に合理的なのかという判断自体が経済学者の間で論争となることも多く、経済学の利用によって現実社会の中で一意に最適な解が得られるとは限らない。近年ではヤミ金問題に端を発した、消費者金融における上限金利の引き下げについて、経済学者の中でも意見が別れたことが注目された。池尾、大竹論争など。消費者金融の上限金利等の引き下げ
日本における法と経済学 編集
従前、法と経済学を法学部の科目としての設置例はそれほど多くはなかったが、法科大学院及び公共政策大学院の設置に伴い、その数は飛躍的に増大した。特に会社法や税法、知的財産法といった領域において研究が進められている。政策レベルでは、重要法案の立案・検討に関して、理系出身官僚が法務省に出向するとともに、法と経済学を専門とする研究者を任期付研究官として採用して理論研究にあたらせるといった形での導入が進んでいる。
2002年スタンフォード大学ロースクールのローレンス・レッシグ教授が慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の「ネットワーク社会論」(担当 國領二郎教授)にて特別講演を行った。
アメリカにおける法と経済学 編集
アメリカでは、法の経済分析が非常に有力である。裁判所は事件の判断に当り、しばしば経済分析の結果や、法と経済学の理論を利用する。立法や政策立案過程でも、当該立法および政策の経済分析の結果が、考慮されることが多い。さらに、法学教育の分野でも、法と経済学の影響は大きい。多くのロースクールに経済学位を持つ教員が所属しており、民事法、刑事法、公法と、幅広い法分野にわたって、経済的分析を行っている。また、経済学部に所属する研究者の多くも、法と経済学の研究に携わっている。
近年の動向 編集
法と経済学は、その学際的性質もあり、経済学の理論の発展を柔軟に取り込んでいる。近年の重要な傾向としては、法的問題へのゲーム理論の適用が挙げられる。さらに、法の経済分析において、行動経済学や計量経済学などの分析手法を利用する研究も進んでいる。
参考文献 編集
小林秀之、神田秀樹『「法と経済学」入門』(1986)弘文堂
浜田宏一『損害賠償の経済分析』(1977)東京大学出版会
J・マーク・ラムザイヤー『法と経済学:日本法の経済分析』(1990)弘文堂
関連項目 編集
囚人のジレンマ
コースの定理
パレート効率性
不法行為法
契約法
ジュリメトリックス (計量法学)
法と経済学―市場の質と日本経済 | 矢野 誠 |本 | 通販 | Amazon
2007
https://www.amazon.co.jp/法と経済学_市場の質と日本経済-矢野-誠/dp/4130421247/
トップカスタマーレビュー
5つ星のうち 5.0各種規制(=法律)が経済に与える影響を知るのに最適
投稿者 三四郎 投稿日 2007/7/8
形式: 単行本
各種の法律、制度について、法と経済学の観点から深堀されています。章ごとにテーマと執筆者が異なるため、自分の関心分野だけを読むことができます。
個人的には、交換の利益の配分という観点から独禁法の優先的地位の濫用禁止を論じた第2章、アンチ・ダンピング措置を不当廉売との対比で整理する第3章、敵対的買収の是非を企業の相対取引市場の概念により整理する第7章などは秀逸と感じました。
また、薬事制度、出資法・利息制限法、借家法などのパートでは、規制(=法律)が経済にどういった影響をあたえているかが論じられており、本書は規制と経済の関係について学ぶのにも有用でしょう。
コメント 7人のお客様がこれが役に立ったと考えています.
法と経済学 | スティーブン・シャベル, 田中 亘, 飯田 高 |本 | 通販 | Amazon
2010
https://www.amazon.co.jp/dp/4532405858/ref=pd_luc_rh_sim_02_01_t_img_lh?_encoding=UTF8&psc=1
5つ星のうち 5.0法と経済学に違和感を感じている人こそ読むべき良書
投稿者 another_theory_of_justice 投稿日 2010/2/22
形式: 単行本
本書は法と経済学の基礎を平明に紹介してくれる良い教科書であり,分厚いですが,数学の知識に乏しい私のような者でも(数学的な説明の詳細を無視すれば)スイスイと読み進めることができます。
正直にいうと,自分自身も法の経済分析を何となく肌に合わないものとして毛嫌いしていましたし,会社法などの経済法分野では妥当するにしても,他の法分野でそう上手くいくのだろうかと疑問に思っていました。しかし,本書第24章の「刑法」についての説明を読んで,そのような印象は全く変わりました。
故意犯処罰の原則や未遂犯処罰の根拠,更には錯誤論などの刑法独自の概念についての法と経済分析の観点からの説明は,刑法学の伝統的な論理にしか接してこなかった者にとっては,本当に目からウロコものです。本書を読むと,「なるほど,法と経済分析の観点からは(ある制度の存在理由について)そのように説明ができるのか!」という驚きと同時に,「これまでの立法や伝統的な法律学も,実は法と経済分析の観点を多分に取り入れているではないか!」という両面の驚きがあります。
伝統的な法律学の中に既に取り入れられている法と経済分析的な説明を自覚的に取り上げて精緻化するためにも,特に法学部生の段階で本書を読むことは非常に有益であると思います。経済学や数学を毛嫌いしている人にこそ読んでもらいたい一冊です。
最後に,法実務の観点からの雑感ですが,法と経済分析は,立法の場面には当然に大いに活用されるべきであるし,法律学においても取り入れられるべきであると思うのですが,司法の場においては法と経済分析的な説明を裁判の理由付けとして用いることには困難があるのではないかと思われます。
というのも,民主的な正統性や社会的厚生の計算を行う能力に欠ける(とされる)裁判所が,「このような結論が社会的厚生を最大化するので正しい結論である」という理由付けを裁判において明示的に採用することはできない(不可能でないにしても困難である)からです。
そうすると,現実の法実務(裁判)に役立つ法理論としては,やはり伝統的な法律学のドグマティックな説明が支配的にならざるえを得ないのではないかと思います。このような事情も,法と経済分析が法律学の主流に明示的に取り入れられない理由かも知れません。
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『経済セミナー』増刊号「されどマルクス(仮)」のための原稿「行動マルクス経済学の可能性」がついに完成しました! たぶん、実験・行動経済学の観点でマルクス経済学を考察した世界で初めての試みだと思います。来年は、この内容を敷衍して本にし
たいところですね。岩波書店さんとかどうですか?
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https://twitter.com/toshijikawagoe/status/998773474616262658 ToshijiKawagoe (@ToshijiKawagoe) | |
経済セミナー増刊「されどマルクス」に寄稿した「行動マルクス経済学の可能性」は、ちょっとサービス精神旺盛に書きすぎた気がする。
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川越 敏司 (著) kindleあり
https://ysk24ok.github.io/2018/03/10/market_design_for_auction_and_matching.html
第一章 市場メカニズムと情報の問題
市場メカニズムでは、家計や企業が各自で需要曲線や供給曲線を元に判断して取引することで
効率的な資源配分が実現できる。
つまり市場メカニズムは資源配分上も情報処理上も効率的なメカニズムである。
市場メカニズムのように各プレーヤーが分権的に意思決定することで
社会的に望ましい結果に自然と導かれていくような方式をデザインすることである。
そもそもいつでも存在するものなのか(均衡の存在の問題)について述べている。
結論から言うと、市場で取引される材の間に粗代替性が成り立っていれば、
市場均衡は必ず存在し、かつ安定である。
第二章 戦略的行動と市場 - ゲーム理論による分析
第二章では不完全競争の場合について述べる。
不完全競争のうちの協力ゲームにおいて、
誰と協力すべきかという望ましさの指標として個人合理性とパレート効率性の2つがあり、
その2つを同時に満たしているときその配分はコアであるという。
コアな配分は他のどの配分からもブロックされないため、安定性を満たしていると言える。
市場均衡はコアの部分集合であるが、
参加する経済主体が十分多くなるとコアは市場均衡と完全に一致する(コアの極限定理)。
耐戦略性、個人合理性、パレート効率性を同時に満たすような方式は存在しないことが
不可能性定理によって証明されている。
マーケット・デザインでは不可能性定理のために理想的な解決ではないものの、
現実問題に対してある程度ワークするようなメカニズムを考える。
そしてこれが理論上ワークする方式を考えるメカニズム・デザインと大きく異なる点である。
ダブル・オークションは現実ではうまくワークすることが示されている。
第三章 オークションの基本原理
配分の効率性と耐戦略性が満たされるが、
オークショニアの不正、情報漏洩、情報収集のコスト、予算制約など様々な理由で
現実ではあまり使用されない。
売り手の期待収入はどれも等しいことが示されているが、
実験室実験・フィールド実験では収益同値定理は必ずしも成り立つとは言えない。
第四章 複数財オークションのケーススタディ
異質材の同時オークションとなる。
異質材の同時オークションにおいて、
全プレーヤーが評価値を正直に入札することが支配戦略になるような方式をVCGメカニズムと呼ぶ。
しかしVCGメカニズムが実際に使用されることは少なく、
二位価格オークションが現実で使用されることが少ない理由と重複するものを除けば、
NP困難、架空名義入札が可能であるという問題点があるためである。
実際、周波数オークションではVCGオークションでも二位価格オークションでもなく
同時競り上げ式が使用された。
VCGメカニズムでは評価値より低い入札が多く観測された。
耐戦略性は現実ではあまり満たされないのかも?
第五章 マッチング理論の諸問題
その順位に基づいて双方の組み合わせを効果的におこなう方式を研究する分野を
マッチング理論と呼ぶ。
参加者全員にとってこれ以上希望順位が上の相手と組になれないようなマッチングを効率的、
ある方式の下で決まったマッチングをブロックする提携が生まれないようなマッチングを安定的、
参加者全員にとって自分の選好を正直に提出することが最善になるマッチングを対戦略性を満たすと言う。
片方のグループについてのみ耐戦略性を満たすマッチングが可能になる
(不可能性定理によって両方のグループについて耐戦略性を満たす方式は存在しない)。
受入保留方式はカップリングパーティーのような一対一マッチングだけでなく、
研究室配属問題や大学入学問題のような一対多マッチングでも有効である。
カップルの存在や選好の地域偏在、スキッピングダウン戦略などの
現実世界の制約条件を克服するために改良を加えることが必要である。
エピローグ
また、オークション・マーケットデザイン・フォーラムが2012年に設立され、
制度設計について数々の提案をおこなっている。
現場の人々の意見を取り入れつつ改良していくという工学的アプローチが必要である。