ベストセラーになったマクニール『世界史』の本文は技術史を重視し、固有名の記載は最小限に止められている。年表(〜前2C、前6C〜16C、15C〜)も簡潔なものしか載っていないが、騎馬兵法や大航海時代や産業革命が曲線で記載されているなど興味深い点が多い。
ただ、わかりやすさという観点からなら、ヘーゲルの世界史(参考↓)もそれほど悪くないのではないかと思わせるものがある。周期的歴史観か発展史的歴史観か、どちらの立場を筆者が取るのかわかりづらいのだ(最終的には前者のような気がするが)。
また、文庫版訳者解説によるとAndre Gunder Frank, Barry K. Gillsの『The World System: Five Hundred Years or Five Thousand? 』に世界システム論に関する感想を述べるなど、マクニール本人は世界システム論の観点を意義あるものと考えているらしい(柄谷の『世界史の構造』(参考↓)も世界システム論の影響下にある)。
ある種の原理的視点で捨象していないのが本書の魅力かも知れない。リンク